マネーフォワード、成長企業向けフィナンシャルアドバイザリー事業に参入——マネーフォワードのIPO立役者、金坂直哉氏が新会社の代表に就任

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マネーフォワードシンカ 代表取締役 金坂直哉氏
Image credit: Money Forward Synca

マネーフォワード(東証:3994)は19日、フィナンシャルアドバイザリー事業を提供する100%子会社として、マネーフォワードシンカを設立したと発表した。新会社の代表には、マネーフォワード前 CFO の金坂直哉氏が就任する。

マネーフォワードシンカでは、フィナンシャル・アドバイザリーサービス(資金調達、M&A、戦略策定、プロジェクト推進)、成長企業経営支援サービス(経営・財務・バックオフィス領域のハンズオン支援およびアドバイス)を提供。同社は対象ユーザとなる企業を限定していないが、ミドルステージやレイターステージのスタートアップを視野に入れていると推測される。

THE BRIDGE の取材に対し、金坂氏はマネーフォワードシンカを立ち上げた理由を次のように挙げた。

  • スタートアップにとって、ファイナンスをどう生かすかは大きなテーマ。スタートアップの成長に大きく影響を及ぼす。
  • ファイナンスを先導する CFO 人材が業界全般的に不足している。
  • CFO 人材を即席で多人数育成するのは難しいが、マネーフォワードの IPO を先導してきた自らの経験や、それを通じた知見やネットワークが、他スタートアップのファイナンスにも役に立つ。

端的に言えば、資金が必要な時に、どこからどのような方法で調達するかというのは、スタートアップ経営者にとっては永遠の命題のように思える。起業家の話を聞く限り、彼らはファイナンスに関するハウツーを、自分と立場を同じくする起業家仲間と情報交換することで得ているケースが多いが、互いに使える時間や知識に限界もあるため、必要十分な情報を得られているかどうかは難しい。マネーフォワードシンカでは、そのような起業家を支援したいと考えているようだ。

Image credit: Money Forward Synca

マネーフォワードでは、自社や自社傘下のグループ会社が提供する各種 SaaS にマネーフォワードシンカが加わることで、企業経営に必要なサービスを網羅的に提供することを目指している。マネーフォワードシンカは SaaS ではないが、クライアントの増加に合わせチームを拡大する計画だ。料金形態は未定だが、例えば、資金調達を手伝う場合、コンサルフィー(ベース料金)+成功報酬(資金調達が成功した場合)などが考えられる、と金坂氏は語ってくれた。

資金調達のプロセスやメソッドは多様化しつつあり、昨年 SmartHR が実施したシリーズ B ラウンドでは戦略的スキーム SPV(Special Purpose Vehicle)が採用された事例もある。将来的には、マネーフォワードのグループ各社や外部の金融機関の協力を得て、例えば、エクイティとデットの中間のような、新しい資金調達手段の開発にも注力したいと、金坂氏は語った。

なお、マネーフォワードは19日、同社が提供する会計 SaaS「マネーフォワード クラウド」の機能として、IPO 準備・上場企業向け支援機能「マネーフォワード クラウド会計 for IPO(仮称)」を来年2月にローンチすることを明らかにしている。

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