フランス政府、ヨーロッパでFacebook仮想通貨「Libra」の禁止に向け動き始める

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フランスの経済・財務金融大臣 Bruno Le Maire 氏
Image Credit: VentureBeat/Chris O’Brien

フランス経済相 Bruno Le Maire 氏は、ヨーロッパにおける Facebook の仮想通貨 Libra の開発を阻止すべくフランス政府が動き出していることを打ち明けた。Libra には経済の安全性と安定性を脅かす懸念があるという。

フランスの Le Figaro 紙によると、リスクがあまりにも高い上にFacebook に対する信用度は非常に低いと、Le Maire 氏は仮想通貨に関する OECD 会議の中で言及した。

Le Maire 氏は次のように述べている。

このような状況ではヨーロッパ内で Libra の開発を承認することはできないことを明言しておきたいと思います。

同氏はさらに、悪影響の可能性についても次のような厳しい警告を発している。

ヨーロッパ各国の貨幣主権が Facebook に乗っ取られようとしています。

Le Maire 氏はここ数か月、Libra に対する反対意見を積極的に発信している。同氏はヨーロッパすべての国を一枚岩にまとめたいと考えているようだが、どのような組織体や仕組みによって大陸レベルの禁止措置を実現するかは同氏の発言からは伺い知れない。

ただし、Facebook に対して大きな疑念を抱いていることは同氏の発言からもわかる。

Facebook が自社の仮想通貨 Libra発表したのは6月のことで、Libra はジュネーブを拠点とする28の組織からなる国際協会によって管理されるという。仮想通貨の流通を可能にする Libra ネットワークは2020年から稼働予定だ。

Facebook は、同社の Messenger と WhatsApp サービスで使えるデジタルウォレットなど、Libra の金融サービスを補完する Calibra も開発している。

Calibra の トップ David Marcus 氏は声明で次のように語っている。

Libra は、より包括的でオープンな金融エコシステムに世界中の人々を導くことができる可能性を秘めています。Libra ネットワークに設立メンバーとして参加して、Calibra を通じて Libra へのアクセスをコミュニティに提供できることを今から楽しみにしています。旅はまだ始まったばかりですが、世界中の人々に恩恵をもたらすシンプルなグローバル通貨と金融インフラを構築するという Libra のミッションを共に達成したいと思っています。

しかしながら、Libra を発表して以降、Facebook は国内外の政治家や金融庁からさまざまな非難を浴びている

7月の公聴会ではアメリカの上院議員が Libra 計画を激しく非難した

民主党上院議員で上院銀行委員会の有力メンバーでもある Sherrod Brown 氏は次のように述べた。

Facebook は信頼に値しないことを数々のスキャンダルが証明しています。Facebook に民間人の銀行口座で実験させるなど正気の沙汰ではありません。

英国の当局者たちも疑念を示しているが、その疑念を積極的に声に出しているのがフランスだ。

フランスは今年の夏にかけて、Libra などの仮想通貨の影響や中央銀行が仮想通貨を規制できるのかを研究すべく、G7 のタスクフォースの構築を主導していた

Le Figaro 紙の報道によると、20億人のユーザを抱える企業が通貨を独自に運営するというリスクに悩まされていると Le Maire 氏は発言したという。

Libra の準備金を管理するうえで、流通に失敗したりするととんでもない金融上の混乱が起きかねません。

同氏はまた、非合法活動や暴力的活動の国際的な資金源を断つための最近の活動が Libra のような通貨によって阻害されるとも発言した。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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