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souta watanabe

souta watanabe

主に暗号通貨界隈でリサーチャーとして活動。ベルリン住まいで放送大学に在籍中。執筆分野:暗号通貨・ブロックチェーン/フィンテック/エドテック。Twitter : https://twitter.com/watatata0108

執筆記事

OSSの「タダ乗り」を防げーーSquareが暗号資産オープン特許アライアンス「COPA」設立

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ピックアップ:Square Forms Group to Stop Patent Hoarding From Stifling Crypto Innovation ニュースサマリー:ジャックドーシー氏が代表を務める決済企業Squareは、暗号資産オープン特許アライアンス(COPA : Cryptocurrency Open Patent Alliance)と呼ばれる独立した非営利アライアンスの設立…

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ピックアップSquare Forms Group to Stop Patent Hoarding From Stifling Crypto Innovation

ニュースサマリー:ジャックドーシー氏が代表を務める決済企業Squareは、暗号資産オープン特許アライアンス(COPA : Cryptocurrency Open Patent Alliance)と呼ばれる独立した非営利アライアンスの設立を発表した。Squareは、暗号資産関連特許の問題点について「重要な土台となるテクノロジーを特許で独占することは、イノベーションとその普及を阻害し、悪意のある参加者による特許の悪用は、暗号資産技術の成長を脅かす」と指摘している。

同社によれば、業界の中には将来的に実装や採用を予定していないにも関わらず、ある技術の特許をとりあえず確保し、競合企業の成長を妨げようとする行為も存在するという。COPAのメンバー企業は、その他メンバー企業が取得した特許技術を自由に利用可能になる。一方で非加盟企業はCOPAが保存する特許技術は使うことができない。

したがって、企業はCOPAに加盟する方がより多くの技術・知見にアクセスできるためメリットが大きい。結果的に、COPA内では上述したような特許の独占は無意味になるため、技術発展の妨害競争は減少する可能性がある。

話題のポイント:暗号資産業界においては、透明性の向上やコラボレーションの可能性を増やすため、プログラムコードを全て公開しているオープンソースプロジェクトが少なくありません。例えば、ビットコインやイーサリアムなどはオープンソースプロジェクトの好例です。しかしそのデメリットとして、外部の人間はソースコードをコピーして、すぐに同じソフトウェアを作成して、オリジナルプロジェクトの市場シェアを脅かすこともできてしまうという問題があります。実際にビットコインにはフォークといって、沢山のコピープロジェクトが存在します。

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つい最近でも、分散型の暗号資産取引所Uniswapのコードがコピーされ、SushiSwapという新しいプロジェクトがローンチされました。Uniswapでは、流動性提供者と呼ばれる外部の主体が流動性(暗号資産)をスマートコントラクトにロックし、ユーザーはそのスマートコントラクトとやり取りすることで通貨交換を行います。これは自動マーケットメイカーモデルと呼ばれます。

あろうとことか、SushiswapはUniswapのコードをコピーするだけでなく、Uniswapの流動性提供者達に独自の暗号資産SUSHIによる特別なインセンティブを与えることで、Uniswapのスマートコントラクトにロックされている流動性をSushiswapのスマートコントラクトに移動させるという戦略を取りました。

結果的に、SushiSwapはUniswapから約880億円以上の流動性を奪うことに成功したのです。例えるならば、ある新しい証券取引所が競合の大手証券取引所のシステムを丸々コピーし、同時に蓄えられていた流動性(証券)もごっそり強奪してしまうようなものです。規制の厳しい既存金融においては許される行為ではないでしょう。

しかしOSSエコシステムにおいては、以上のようなことも簡単にできてしまいます。あるプロジェクトが数年かけて作り上げてきたソースコードを、1日で複製し、やり方によっては大量のユーザーを奪うこともできてしまうということです。以上のUniswapとSushiswapの例は、Square社のアライアンスとは直接的な関係はありませんが、オープンソースエコシステムのデメリットを示す良いケーススタディです。

将来的には、オープンソースである暗号資産エコシステムにも、イノベーションの持続的発展を促すような特許の枠組みが増えていくかもしれません。Square社の取り組みは、その先駆け的存在だと考えることができます。

 

誰でもアクセス可能、次世代の暗号資産・分散型取引所「ユニスワップ」とは何者か

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ピックアップ:DeFi Flippening Comes to Exchanges as Uniswap Topples Coinbase in Trading Volume ニュースサマリー:分散型取引所のUniswap(ユニスワップ)のデイリー取引ボリュームが一時、1,000億円を突破したそうだ。この取引高は中央集権型の暗号資産取引所で最大と目される「Coinbase」の取引高を超えている。分…

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ピックアップDeFi Flippening Comes to Exchanges as Uniswap Topples Coinbase in Trading Volume

ニュースサマリー:分散型取引所のUniswap(ユニスワップ)のデイリー取引ボリュームが一時、1,000億円を突破したそうだ。この取引高は中央集権型の暗号資産取引所で最大と目される「Coinbase」の取引高を超えている。分散型取引所とは、組織によって管理されるのではなく、スマートコントラクトと呼ばれるプログラムが自動で取引を仲介することによって、通貨交換を成立させる取引所のことである。ちなみに、国内最大手の暗号資産取引所「bitFlyer」のデイリー取引ボリュームは100億円前後になる。

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話題のポイント:Uniswapは、イーサリアムブロックチェーン上で価値交換を行う分散型取引所(DEX : Decentralized Exchange)です。最も特徴的なポイントは、ウォレットのハッキングや内部不正による資産の盗難リスクが存在しない点です。2018年にCoincheckがハッキングによって580億円相当の暗号資産を盗まれた事件は記憶に新しいですが、その原因は取引所がユーザーの資産を代わりに預かっていたことに起因しています。

しかし、Uniswapの場合は自分自身で管理するウォレットとUniswapが直接やり取りを行うため、暗号資産取引所への一般的なハッキング攻撃によって資産を失うリスクはありません。加えて、取引所内部の人間による内部不正によって資産を盗まれるようなリスクもありません。なぜなら、Uniswapの開発者であってもUniswapのプログラムを勝手に変更したり、Uniswap上にある資産にアクセスすることができないからです。

こうしたセキュリティは、Uniswapのインフラであるイーサリアムブロックチェーンによって保証・実現されています。したがってユーザーは、組織や人が運営する金融機関や企業ではなく、プログラムコードだけを信用して取引することができます。

こうした優位性に加え、Uniswapのアルゴリズムは限りなく低い手数料で暗号資産の交換をしてくれます。詳しい交換プロセスやその仕組みはやや複雑なため本稿では割愛しますが、既存の中央集権型の取引所とは根本的に設計が異なる、安全かつ安価な取引所だということができます。

ここ数カ月でUniswapの取引高が急増している理由が、イーサリアム上の金融エコシステムの発達にあります。巷では分散型金融(DeFi : Decentralized Finance))と呼ばれていますが、日本ではまだほとんど浸透していません。詳細は以下の記事をご覧ください。

DeFiエコシステムの発展により、DEXの利用度(取引高)はここ数カ月で異常な成長を見せており、直近の週間取引高は3,000億円に上っています。Uniswap(下図チャートのピンク部分)を筆頭に、他にもいくつもDEXが登場し、急成長を続けていることが分かります。

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Uniswapの興味深い点はまだまだあります。それはインターネットに繋がっていて暗号資産を持っていれば、実質的に誰でもアクセス可能だという点です。一般的な金融機関のサービスのように、KYC(本人確認)や年齢制限はありません。ブロックチェーン上の取引のため、誰もが取引の整合性を検証することができる透明性もあります。

将来的にUniswapは中央集権取引所を飲み込み、より広く多くの人々に利用されるグローバルかつオープンな価値交換プロトコルへと進化していく可能性があります。まだ始まったばかりであり、利便性や技術、規制の観点でいくつも課題がありますが、今回のニュースはそんな未来を強く予感させます。

チャレンジャーバンクのRevolut、法人顧客が50万件を突破

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  ピックアップ:Revolut Business celebrates 3 years – and 500K business customers ニュースサマリー:Revolutは9月3日に50万人のビジネス顧客を獲得したことを発表した。3年以上前に開始したRevolutのビジネスサービスは、世界中であらゆる業界・規模のビジネスを支援している。Revolutのビジネスアカ…

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ピックアップ:Revolut Business celebrates 3 years – and 500K business customers

ニュースサマリー:Revolutは9月3日に50万人のビジネス顧客を獲得したことを発表した。3年以上前に開始したRevolutのビジネスサービスは、世界中であらゆる業界・規模のビジネスを支援している。Revolutのビジネスアカウントは月額課金で利用できる法人向けの口座サービス。無料利用も可能だが、月額25ユーロの有料版と比較すると機能に制限がかかる仕様だ。

無料版でも銀行送金・28種類の通貨交換・デビットカード・モバイルアプリ・他金融サービスへの接続など様々な機能にアクセスできるが、有料版になると、決済の一元化・24時間のサポート・利用又は決済における認証・資産マネジメントなどの機能も利用可能になる。

最近は、特にモバイルアプリの機能拡充や対応通貨の多様化、デビットカードなどの提供など、様々な新機能追加を進めている。

話題のポイント:Revolutは世界でも最大規模のチャレンジャーバンクです。競合には、N26やMonzoなどのスタートアップが挙げられますが、世界展開の規模でいえば、Revolutが現在はトップを走っていると言えるでしょう。

現状Revolutのビジネス口座は、ヨーロッパ及びスイスでのみ提供されていますが、米国とオーストラリア市場への進出も視野に入れています。日本では既に個人口座の開設がスタートしているので、そう遠くない未来に国内でもビジネス口座の提供を始めるかもしれません。Revolutはオープンバンキングを導入しているため、複数のフィンテック企業ないし金融企業は、独自サービスと顧客のRevolutアカウントとを連携し、Revolut上から金融サービスを提供することが可能です。

したがって、国内に参入していく過程で、国内の資産管理・投資・保険などのサービスを提供するフィンテック企業とコラボレーションを起こす未来も期待できます。同時に国内のモバイルバンクサービスとは競合関係になるかもしれません。

RevolutのCEOであり創設者であるNik Storonsky氏は法人顧客の対応強化をメッセージしています。

私たちは、企業がお金と時間を節約できるようにお手伝いできることを嬉しく思っています。当社のRevolut Businessウェブおよびモバイルアプリの新しい構造は、当社が準備しているいくつかの本当にエキサイティングな製品への道を開きます。ビジネスアカウントを次のレベルに引き上げるのが待ち遠しいです。

ここ数年、欧州からは画期的なチャレンジャーバンクが次々に登場し、世界中にそのビジネスを拡大しています。その中でも、日本に参入を決めたのはRevolutが初めてです。今後のチャレンジャーバンクの発展に注目が集まります。

参考記事:欧州フィンテックの新潮流「チャレンジャー・バンク」とオープン・バンキング規制改革「PSD2」を紐解く

コインチェックが新たな資金調達事業「IEO」を国内初で実現へ

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ピックアップ:日本初のIEO(Initial Exchange Offering)実現に向け共同プロジェクトを発足 ニュースサマリー:コインチェックとHashpaletteは8月25日、日本初のIEO(Initial Exchange Offering)の実現に向け共同プロジェクトを発足したことを公表している。Hashpaletteはマンガアプリを運営するLink-Uと、ブロックチェーン分野のコン…

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Image Credit : コインチェック

ピックアップ日本初のIEO(Initial Exchange Offering)実現に向け共同プロジェクトを発足

ニュースサマリー:コインチェックとHashpaletteは8月25日、日本初のIEO(Initial Exchange Offering)の実現に向け共同プロジェクトを発足したことを公表している。Hashpaletteはマンガアプリを運営するLink-Uと、ブロックチェーン分野のコンサルティングを手掛けるHashPortの合弁会社。

「IEO(Initial Exchange Offering)」は、トークン発行による資金調達とマーケティングを暗号資産取引所が支援する仕組み。企業やプロジェクト等の発行体が主体的にトークンを発行するICO(Initial Coin Offering)とは異なり、暗号資産取引所が主体となって発行体のトークン販売を実施するのが特徴。

今回のプロジェクトではHashpaletteがマンガやアニメ、スポーツ、音楽などの日本文化コンテンツ発展を目指したパレットトークン(PaletteToken・PLT)の発行を目指す。

話題のポイント:IEOは、海外ではBinanceなどの大手暗号資産取引所も採用している注目の資金調達方法です。ただし国内では未だ前例がないため、コインチェックは非常に先進的な取り組みに着手したことになります。

下図は本プロジェクトのスキーム図です。コインチェックが資金調達をサポートするパレットトークンは、コンソーシアム型のブロックチェーンプラットフォームである「パレット」上で流通する通貨となります。

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コインチェックが公表している説明資料

パレットでは、コンテンツホルダー(企業)がファン(ユーザー)に対してNFT(Non-Fangible Token・代替不可トークン)を販売できます。NFTを使った事例としては「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」が有名で、ユーザーはデジタルデータである子猫キャラに価値を付けて交換することができました。従来のデータであれば複製などの問題からハードルの高かったトレードをNFTは可能にしたのです。

パレットトークンの利用用途は、その取引を仲介する価値の交換手段となることです。他にも、パレットトークン保有者はトークンを委任することで、コンソーシアム全体のガバナンスに参加することもできます。

コインチェックがIEOの事業化を検討し始めたのは昨年の2019年8月頃からです。これまでの暗号資産による資金調達は、ICOなどが一般的で投機的な色合いが強いものでした。しかし今回のプロジェクトを通じ、コインチェックは社会的意義を有する暗号資産の創造に取り組むと宣言しています。本プロジェクトの今後の展開に注目です。

ビットコインはどこに消えているのか?

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ピックアップ:Onchain Data Shows $449M Worth of Bitcoin on ETH Eclipses Offchain Competitors ニュースサマリー:Bitcoin.comは、5月以降におけるイーサリアムブロックチェーン上に保有されるビットコイン数が急激に上昇していることを明らかにした。8月16日時点において、3万8,021BTCがネットワーク上に存在し、ま…

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Image Credit : Pixabay

ピックアップ:Onchain Data Shows $449M Worth of Bitcoin on ETH Eclipses Offchain Competitors

ニュースサマリー:Bitcoin.comは、5月以降におけるイーサリアムブロックチェーン上に保有されるビットコイン数が急激に上昇していることを明らかにした。8月16日時点において、3万8,021BTCがネットワーク上に存在し、また、ビットコインに連動するWBTCなどの形で4億4,900万ドルが保管されている。

話題のポイント:ビットコインの総発行量(2,100万)のうち、0.22%に当たる約4万6,000BTCは、既にビットコインブロックチェーン上には存在しないという事実をご存知でしょうか。

これはビットコインのバグのせいでも、単に所有者がウォレットを紛失してしまったなどという話でもありません。消えたビットコインは、今は別のところでしっかりと利用されています。むしろ、ビットコインブロックチェーン上にあった頃より活発に利用されているとも言えるかもしれません。

姿を消し始めたビットコイン(BTC)

では、一体消えたビットコインは今どこにあるのでしょうか。その答えは、暗号資産の時価総額第二位のETHを基軸通貨とする、イーサリアム・ブロックチェーンです。ここ数カ月、ビットコインをイーサリアムブロックチェーン上に移行させるムーブメントが急加速しており、既に時価総額にして570億円相当のBTCがイーサリアム上で発行され流通しています。

最近になってビットコインが急速にイーサリアム上に流入し始めたのは、イーサリアム上の金融エコシステムが活発化し始めているからです。ここでの金融エコシステムとは、具体的には分散型取引所やレンディング、デリバティブなどの金融サービス群を指します。

ビットコインは、ビットコインブロックチェーン上にあるだけでは、投資(保有)という一種類の運用方法に用途が限られます。しかし、もしビットコインをイーサリアム上に持ち運べば、貸し出して利回りを得たり、値上がりにレバレッジをかけたり、ローンの担保にしたりと様々な金融サービスに利用することが可能です。

時価総額2位のETHはイーサリアムの金融エコシステムで最も多く利用されている資産の一つですが、ビットコインの時価総額はETHの4倍です。したがって流動性も高く、ファンダメンタルも安定していると考えられるため、投資家には好まれるのは当然でしょう。

ERC20ビットコイン

ビットコインをイーサリアムブロックチェーンに持ち込む方法はいくつかありますが、現時点で最もメジャーな方法は、BTCを特定の企業に預託し、それと同額かつビットコインと価格が一致したERC20規格の新しいトークンを発行するというものです。

※ERC20:イーサリアムの新規トークン発行規格。

一般的な価格の安定した暗号資産(ステーブルコイン)は、ドルなどの法定通貨を金融機関に預け、同額・同価格の暗号資産を新規発行するモデルが一般的ですが、ERC20ビットコインにも、それと全く同じ方法が取られています。

上述の方法で発行されていて、今最も大きいシェアを持つERC20ビットコインにWBTC(Wrapped BTC)があります。驚くことに、現在イーサリアム上のWBTCは、マイニングによって発行されるビットコインよりも速いスピードで発行されているそうです。つまり、ビットコインブロックチェーン上のビットコインの量は増加せず減少し続けているということです。

現時点で確認されている範囲では、7種類のERC20ビットコインが存在します。以下は、ERCビットコインの供給量増加グラフです。今年5月頃から異常な成長を見せていることがわかります。

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ERCビットコインの供給量増加グラフ   / Image Credit : Dune Analytics

ERC20ビットコインの問題

ここまでERC20ビットコインの動向をポジティブに説明してきましたが、実はこの技術には大きな課題があります。それは、現時点でほとんどのERC20ビットコインは、中央集権的アプローチで発行されていて、ビットコインそのものが持つセキュリティや分散性などは維持できていないという点です。

先ほど、WBTCを発行するためには企業にBTCを預ける必要があると話しましたが、これはつまり、企業が自分のBTCを紛失・盗難しないと「信用」する必要があるという意味です。加えて、金融機関を介すということはKYCが必須のため、誰でも自由に発行できるという訳でもなく、かつ検閲耐性を著しくを犠牲にしています。

これのデメリットは、ビットコインの技術設計・思想とは根本的にかけ離れています。ビットコインは、中央集権的な第三主体に依存しない、P2Pの電子決済・送金システムです。金融機関に依存した形でビットコインを扱うというのは、暗号資産取引所のウォレットでビットコインを保管するのと同じくらい矛盾しているのではないでしょうか。

ですが、第三者機関に依存しない形でERC20ビットコインを発行する、技術的に高度なアプローチを取る事例も出てきています。したがって、ゆくゆくはビットコインそのものに限りなく近いセキュリティを持ったERC20が出てくる可能性もゼロではありません。

まだまだ課題が山積みであるのは事実ですが、イーサリアムの金融エコシステムの発展スピードは非常に高いため、いずれにせよビットコインの流入は今後も止まることはないでしょう。今後の技術的発展に期待が高まります。

拡大する暗号資産担保ローンビジネス「BlockFi」の運用資産は1年で10倍成長に

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ピックアップ:BlockFi Raises $50M Series C Led by Morgan Creek Digital ニュースサマリー:米国ニュージャージー州に拠点を置く暗号資産レンディング企業「BlockFi」が、シリーズCラウンドにて5,000万ドルの資金を調達した。Morgan Creek Digitalがこのラウンドを主導し、他にはValar Ventures、CMT Digit…

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BlockFiウェブサイト

ピックアップ:BlockFi Raises $50M Series C Led by Morgan Creek Digital

ニュースサマリー:米国ニュージャージー州に拠点を置く暗号資産レンディング企業「BlockFi」が、シリーズCラウンドにて5,000万ドルの資金を調達した。Morgan Creek Digitalがこのラウンドを主導し、他にはValar Ventures、CMT Digital、Castle Island Ventures、Winklevoss Capital、SCB 10X、Avon Venturesなど複数の投資家が参加している。

Crunchbaseによれば、今回はBlockFiにとって3度目の資金調達となる。同社は2019年にシリーズA及びBでそれぞれ1,830万ドルと3,000万ドルを調達している。BlockFi創業者、Zac Prince氏に対するインタビューによれば、今回の調達資金は主にビットコインやイーサリアム、ステーブルコインなどを利用した高利レンディングサービスの拡充や、暗号資産担保ローンサービスの開発に当てられるという。

話題のポイント:暗号資産担保ローンとは、暗号資産を担保にドルなど法定通貨でお金を借りるローンです。暗号資産の価格変動幅は高いため、担保率は約50%に設定されています。ちなみに、国内でも大和証券とクレディセゾンの合弁会社Fintertech社が暗号資産担保ローンに取り組んでいます。

調達資金の使い道は他にも、チームやオフィスの拡大に投じられる予定です。現在の従業員数は170名ほどですが、Zac氏によれば今年の終わりまでに250名ほどに拡大するそうです。同社のオフィスは既に欧州やラテンアメリカ、東南アジアにありますが、今後ブランチの数も増加していくでしょう。

同社は今後、ビットコインでポイントリワードがもらえるクレジットカードの開発や、追加資産や通貨のサポート拡充など、様々な形でサービス拡大を見込んでいるとのことです。

短期間でここまで多くの資金を調達し、かつ高速にビジネスを展開できる理由は、ひとえに同社の営業成績が高いことが理由です。同社がプラットフォーム内で運用している資産の合計額は、昨年末の2億ドルから今15億ドルに増加しています。さらに収益は過去1年間で10倍ほど上昇しており、今後1年で1億ドルを達成する可能性も十分にあるそうです。

暗号資産バブル再来か、DeFi(分散型金融)エコシステムで今起こっていること

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ピックアップ:What’s ‘Yield Farming’? (And How Do You Grow Crypto?) 日々暗号資産やブロックチェーンの情報を追っている人なら一度は聞いたことがあるかもしれませんが、DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)という言葉が、今大きな注目を集めています。 DeFi(ディーファイ)とは、イーサリアムブロックチェーン上の金融エコシス…

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ピックアップWhat’s ‘Yield Farming’? (And How Do You Grow Crypto?)

日々暗号資産やブロックチェーンの情報を追っている人なら一度は聞いたことがあるかもしれませんが、DeFi(Decentralized Finance:分散型金融)という言葉が、今大きな注目を集めています。

DeFi(ディーファイ)とは、イーサリアムブロックチェーン上の金融エコシステムを総称する言葉です。現在、DeFiエコシステム内のサービスに投入されている資金額の合計が、37億ドル(約3,900億円)を超えており、凄まじいスピードで成長しています。

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Image Credit : DeFi Pulse

7月後半からBTCやETH価格が急上昇しているのも、このDeFiの成長による影響です。2年前まではユーザーもサービスの数もわずかでしたが、今やブロックチェーンエコシステムに最も注目される領域の一つになっています。

DeFiとは何か

DeFiといえど提供されるサービスが既存金融と360度異なるという訳ではありません。DeFiエコシステム内には、既存の金融システムではお馴染みの取引所やレンディング、デリバティブ、投資などの金融サービス群があります。

したがって、既存の金融システムをパブリックブロックチェーン上で複製したもの=DeFiという認識でも間違いではありません。しかし異なるのは、根本的な思想や設計の部分です。以下はDeFiの特徴・メリットです。

透明性が高い
ブロックチェーン上の取引は誰でも閲覧・検証可能

カウンターパーティーリスクが存在しない
金融機関に資産を預ける必要がなく、ブロックチェーン上にて自分自身で資産を管理できる

プログラマブル(構成可能性)
開発者は、既存のDeFiサービスを組み合わせて自由に新しいDeFiサービスを開発できる

誰でも利用可能
インターネットに繋がっていて、暗号資産を持っていれば世界中誰でも利用できる

検閲耐性
第三者が恣意的な理由で取引を無効化・改竄できない

DeFiの”De”がDecentralizedの頭文字2つであるように、これらの要素を抽象化して「分散性/非中央集権性がある」と表すこともできます。ただし現状全てのサービスが完璧な非中央集権モデルを実現してはいません。その点はしばしば批判の的になっており、解決すべき課題の一つです。

<過去のDeFi関連記事>

今、DeFiで何が起きているのか

現在のバブルとも呼べるブームに火をつけたのは「イールドファーミング(Yield Farming)」と呼ばれる概念です。イールドとは利回りのことです。この言葉は、資産をサービスを介して誰かに貸し出したり、流動性を提供することで、利回り/手数料を得る行為を指します。

DeFiには、資産を貸し借りができるレンディングサービスが複数存在します。それらのサービスにETHを預けておくと、反対側でその資産を借りた人から支払われる金利手数料として、貸し手は利回りを得ることができます。

もう一つ、DeFiには分散型の取引所サービスが存在します。この取引所サービスにおいても、ユーザーは自分自身の暗号資産をサービスに預け流動性を提供することで、反対側でその資産を交換した人が支払った取引手数料を報酬として受け取ることができます。

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Image Credit : DeFi Pulse

冒頭述べたように、エコシステム全体でこうして預けられた資産の合計額が、現在3,900億円にまで急上昇しているのです。預けられる資産額が大きいということは、つまり預ける金銭的報酬が高いことを意味します。言い換えれば、それほど借入/取引の需要も高いということです。

上述のモデルのサービスが稼働し始めたのは最近のことではなく、1年ほど前から十分認知されていました。しかしそれに火をつけたのが、「資産を預ける」行為に二次的なインセンティブを提供する新しいトークン発行スキームが現れたからです。

これは端的に言えば、サービス側が資産を預けてくれた人に、株式に似た新規発行トークンを配布するというモデルです。資産を貸せばかすほど、流動性を提供すればするほど、「イールド(利回りor手数料収入)」に加えて、この先価値が価値が高まる(と期待されている)新規トークンが手に入るため、ここにユーザーが殺到しました。

このモデルの代表格であるレンディングサービスCompoundのCOMPトークンは、配布開始から5日後、一時1,000億円の評価額を記録しました。不適切な比較であることは承知ですが、もし株式なら”ユニコーン企業”に肩を並べるバリュエーションです。

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COMPトークン時価総額  Image Credit : CoinGecko

人々がCOMPを求める(COMPの価格が上がる)のは、それが投機対象としての価値を持っているからです。

ユーザーがCOMPの時価総額が上がると予想する理由は、間違いなくCompoundの利用度が増加しているからです。ですがその利用度の増加は何から生み出されているのでしょうか。それはサービスの利用に応じて配布されるCOMPです。

つまり、投機熱が投機熱を生む、限りなくバブルに近い構図だといえます。何を隠そう、これこそがレンディング及び取引所サービスに預けられている資産額が急上昇している理由です。

現時点でCOMPのように発行されるトークンは、株式のような議決権としての性質しか持ちません。そのため、根本的な価値がないはずのものに大量の資金が流れ込んでいるという見方もできてしまいます。当然、熱狂と同時に「DeFiは一過性のバブルに過ぎない」と強く批判されています。

イールドファーミングにトークン配布を組み合わせたサービスは未だ数えるほどしかありませんが、エコシステムの投機熱は十二分に大きいといえます。つられてETHを始めとする暗号資産の価格が上昇しているため、良い意味でも悪い意味でも、ICOを契機に始まった2017年のバブルを彷彿とさせるものがあります。

DeFiは元来、既存の金融機関への信用を必要せず、世界中の誰もが利用できるオープンな金融システムの構築を目指し成長してきたエコシステムです。注目度が上がるに越したことはありませんが、本来の目的やイメージを失ってしまっては意味がありません。

新規発行されるトークンに配当的性質を持たせる仕組みや、その他に別の利用価値を付け加えていくことは、トークン保有者の意思決定(投票)次第では実装可能です。一時的な投機熱の後に、健全で持続的なモデルを生み出していくことが、今後のエコシステムの発展には不可欠です。

被害額1,200万円「大規模Twitter乗っ取り事件」ーー犯人の狙いとビットコインに対する誤解

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ピックアップ:The Twitter account hacks: a comprehensive timeline of events ニュースサマリー:日本時間で7月16日早朝、Twitterプラットフォーム上で大規模な乗っ取り事件が起きた。同時に犯人はユーザーからビットコインで資金を騙し取ることに成功し、Twitter上は一時大パニックとなった。 Twitterのアカウントに影響を与えるセキ…

ピックアップThe Twitter account hacks: a comprehensive timeline of events

ニュースサマリー:日本時間で7月16日早朝、Twitterプラットフォーム上で大規模な乗っ取り事件が起きた。同時に犯人はユーザーからビットコインで資金を騙し取ることに成功し、Twitter上は一時大パニックとなった。

乗っ取りの対象となったアカウントは、ジェフベゾス氏やビルゲイツ氏、イーロンマスク氏などの起業家、AppleやCash Appなどの企業、BinanceやCoinbaseなどの大手暗号資産取引所、バラクオバマ氏やジョーバイデン氏などの政治関係者、その他には暗号資産業界のインフルエンサー、著名アーティスト、などの計45アカウントに及んだ。

犯行者はそれら全てのアカウント上で、ビットコインアドレスと共に「約10万円分のビットコインをくれれば、2倍にして返金する」という旨のツイートを投稿。乗っ取りとツイートは2〜3時間に渡って行われ、合計約12.86 BTC(約1,265万円)のBTCを受け取ることに成功した。

Twitterは事態が収束した後、乗っ取りの要因を発表。同社によれば、犯人はまず同社の従業員をターゲットに彼らの行動を巧みに操作し機密情報を盗み取った。結果、二段階認証などを掻い潜り、Twitterシステムへの進入に成功したのだという。Twitterはその後、今後の対策としてツイート内に暗号資産アドレスを記入することを禁止した。

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乗っ取られたアカウント一覧/Image Credit : Larry Cermak

話題のポイント:本事件の注目ポイントは、「ビットコインが犯罪利用されやすい」などといった話ではなく、世界中に影響力を持つ人々及び企業のアカウントがあれだけ一斉に乗っ取られたことであり、それが何を意味するかという部分にあります。

確かに暗号資産アドレスを晒せば、確かに簡単に世界中の人から資金を匿名で集めることが可能です。そしてミキシングという、資金を何回にも分けて分割する資金洗浄ツールを使えば、トラッキングは困難になります。ビットコイン以外に匿名性に優れた暗号資産も存在するため、それらで資金を集めていれば、ハッカーは格段に資産を洗いやすくなったでしょう。

しかし、今回利用されたビットコインの取引履歴は全て透明で公開されており、上記のような資金洗浄処理にも限界があります。実際に現時点で奪われたビットコインは全て正確にトラッキングされているのです。

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Image Credit : Pixabay

考慮すべきはハッカーは異なる方法でもっと多くの利益を得ることができたはずで、最悪の場合、国際政治などに悪影響をもたらす行為ができたという点です。

考えてみれば、なぜあれだけのアカウントをハッキングできたにも関わらず、たった1,200万円しか獲得できていないのでしょうか。しかも未だにその資金は使えるお金になってすらいません。これは私見ですが、おそらくハッカーは経済利益を狙う人間ではなく、単なる愉快犯だったのではないかと思われます。

利益を最大化したいのであれば、イーロンマスクが以前実際に行ったように、「テスラの株は高過ぎる」ともう一度ツイートして、今バブル真っ只中のテスラ株を暴落させ、空売りから膨大な利益を得ることができたはずだからです。ビルゲイツやジェフベゾスのアカウントでも、株価操作は簡単に実現できたでしょう。

ハッカーが政治的利益を求めていなかったことも明らかです。オバマ氏とバイデン氏のアカウントを乗っ取ることができるのなら、アメリカ大統領選や対中国関連の政治問題に何かしらの影響を与える行動ができたはずです。実際に乗っ取り可能だったアカウントは130と公表されていますから、トランプ大統領のアカウントを悪用できた可能性すらあります。

本事件の後、メディアやSNS上では「ビットコインこそが元凶で、やっぱりビットコインは危ない」というような認識が少なからず広まっていましたが、今回ばかりはその認識は正しくありません。当然、根本的な問題を抱えていたのはTwitterのセキュリティ体制であり、今後警戒すべきは、Twitterアカウント乗っ取りの潜在的リスクの高さではないでしょうか。

急成長する暗号資産「ステーブルコイン」、そのメリットとリスクは?

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ニュースサマリー:Tetherが発行する暗号資産「USDT(テザー)」の時価総額が10億ドル(約1.1兆円)を突破した。本記事では現在大きく成長を見せるステーブルコインについて、ステーブルコインとは何かという点や、そのメリットやリスクについて考察する。

話題のポイント:暗号資産といえばBTC(ビットコイン)やETH(イーサリアム)などが有名で、この2つは、現在時価総額ランキング1位、2位に位置付けています。

ですが、世の中で3番目に大きな時価総額を持つ暗号資産が何なのかはあまり知られていません。それはUSDT(テザー)と呼ばれる価格の安定した、いわゆるステーブルコインと呼ばれる暗号資産です。

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暗号資産時価総額ランキング上位3つの銘柄、価格及び時価総額は執筆時点(2020年7月2日)     参考:Coingecko

価格の安定したというのは文字通り、ビットコインやその他の一般的な暗号資産のように価格変動がほとんどないことを意味します。価格が安定する仕組みは極めてシンプルで、米国ドルをUSDTを発行するTetherに預けると、預けたドルと同額分のUSDTが発行される設計です。例えば2ドルを預ければ2USDTを受け取ることができます。

今年3月の金融市場のクラッシュに合わせて、暗号資産市場も大きな暴落を経験しました。それ以降、資産の退避先としてUSDTをはじめとするステーブルコインの需要が急増しています。USDTの発行量は今年3月以降2倍以上になっており、現時点でステーブルコイン市場のシェア80%を占めています。

ステーブルコインのメリットは、価格の暴落リスクに晒されない点や、ボーダレスかつ低い手数料でのデジタル決済・送金が実現できる点です。現時点のユースケースは単なる安全資産、もしくはアービトラージやデリバティブなどの仮想通貨トレードでの利用に限られてはいますが、将来的にはブロックチェーン上の経済圏全体の主要な価値交換手段となる可能性があります。

<参考記事>

現在はまだローンチされていませんが、FacebookのLibraプロジェクトもステーブルコインLibraの発行を予定しています。同プロジェクトは、当初は主要各国の法定通貨のバスケットで発行する予定でしたが方針転換し、現在はUSTDとほぼ同じモデルでLibraを発行する予定です。

現時点では、USDTを始めどのステーブルコインもオンラインショップなどでの商用利用はされていません。しかしLibraが正式にローンチされれば、Facebookエコシステム内でLibraが使えるようになるので、一般層にまでステーブルコインの利便性が認知されることになる可能性があります。

ただし、USDTやLibraのように法定通貨の預託を元に発行される暗号資産に欠点がないわけではありません。BTCやETHなど価格変動を伴う暗号資産と決定的に異なる点は、利用者は金融機関を信用しなくてはならない点です。

先日明らかになった決済企業ワイヤーカードの不正会計問題では、保有しているはずの2280億円の現金が存在しないことが判明し、同社は破産に追い込まれました。もしUSDTで同様の事実、つまりユーザーが預けていたはずのドルが紛失していることが判明すれば、USDTの価値はゼロになります。

ステーブルコイン市場はこれからも大きく成長し、Libraやその他大手企業の参入により一層競争が激化していくと考えられますが、上述のような反比例した肥大していくリスクにも気を配る必要があります。

a16zらが注目、分散型金融(DeFi)プラットフォーム「Avalanche」

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Image Credint : Ava labs

ピックアップ:Avalanche Raises $12M in Private Token Sale Led by Initialized, Galaxy, Bitmain, NGC and Dragonfly Capital

ニュースサマリー:Avalancheブロックチェーンの開発元AVA Labsは6月25日、同社が発行するAVAXトークンのプライベートセールス完了を報告している。調達した資金は1,200万ドル。今回の資金調達ラウンドには、Galaxy Digital、Bitmain、Initialized Capital、NGC Ventures、Dragonfly Capitalと、非公開の個人投資家が参加している。

Avalancheとは、ビットコインやイーサリアムが採用するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)とは異なる合意形成アルゴリズムのことであり、より高速な取引処理を実現するとして期待されている。

AVA Labsは、2019年2月にシリーズAで600万ドルの資金調達を実施している。同ラウンドの投資家は、Andreessen Horowitz(a16z)、Initialized Capital、Polychain Capital、Balaji Srinivasan氏など。一般投資家向けのトークンセールは7月8日から実施される予定だ。

話題のポイントビットコインが1秒間に処理できる取引の数は3~7件といわれています。この数はグローバルな送金ネットワークを支えるには圧倒的に不足しています。例えば、VISAネットワークは最大で1秒間に約5万6,000件の送金取引を処理することが可能です。

2017年にはAlibaba(阿里巴巴)がAlipay(支付宝)で秒間25万6,000件取引を処理したと報告しています。暗号資産が決済に利用されていくようになるには、既存の決済ネットワークのスピードに対応していく必要があります。

暗号資産と国際送金といえばRippleのようなネットワークが有名で、実際同ネットワークは秒間約1,500件の処理スピードを実現しています。しかしAva LabsのAvalancheは理論上、秒間6,500件もの取引を処理できるとしています。実際のところ秒間処理件数は4,000程度あれば十分とされているため、実現すれば間違いなくAvalancheはゲームチェンジャーになるでしょう。

処理速度が高いブロックチェーンの典型的な欠点は分散性の低さだといわれます。つまり、取引処理ネットワークに参加するコンピュータの数が減らし、セキュリティを犠牲にすることで、処理スピードを上昇させる方法です。しかしAvalancheはそのジレンマをも解決可能だとしており、理論上数千・数百万ノードを参加させ、セキュリティを維持した形でネットワークを動かすことが可能だそうです。

現在ブロックチェーン業界では分散型金融(DeFi : Decentralized Finance)というムーブメントが大きく盛り上がっています。その証拠に、現時点で全ての分散型金融サービスにロックされている資産額の合計は約16億ドル(1,700億円)に上っています。

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Image Credit : DeFi Pulse

Avalancheの目的の一つは、この分散型金融プラットフォームとして活用されることです。現状分散型金融サービスの99%はイーサリアムをベースにしているため、Avalancheの競合はビットコインというよりイーサリアムに近いと考えられるでしょう。

ブロックチェーン業界において、「ビットコインを超える処理性能を持った画期的なブロックチェーンが開発された」と何か新しいプロジェクトがもてはやされることは日常茶飯事です。ですが今の所、ビットコインあるいはイーサリアムが追い抜かれるという現象が起こる兆しはなく、もはや「よくあるパターン」として飽き飽きされている一面もあります。

Avalancheに関しても同様の眼差しが向けられるのは仕方のないことです。予定通りに動作するかは、メインネットがローンチされるまで誰も分かりません。しかし、異なるアプローチが沢山提案され検証されるのは、技術の進歩にとっては必要不可欠です。Avalancheも、「ビットコインやイーサリアムを超える次世代技術」という見方よりむしろ、一つの実験として見る程度でもいいかもしれません。