債務返済版ライザップ「Happy Money」が7,000万ドルを調達ーーその独自の返済援助スキームとは

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ピックアップHappy Money Raises $70 Million At A Valuation Of Nearly $500 Million

ニュースサマリー:9月5日、クレジットカードの債務返済サポートをする「Happy Money」が、シリーズDラウンドにて、CMFG Venturesから7,000万ドルを調達した。2009年創業の同社の累計調達額は1億4,000万ドルに達している。

Happy Moneyは、クレジットカードの高金利債務の返済に苦しんでいる消費者をターゲットに、債務の返済・貯金・幸福度の高い出費モデル構築などのファイナンス・サポート及び心理的教育サービスを提供している。

話題のポイント:Happy Moneyが他のフィンテック企業と異なる点は債務返済モデルです。同社サービスでは、クレジットカード債務を抱える消費者にそのクレカよりも低い金利でお金を借りさせ、債務を返済させる方式を取っています。こうすることで高金利債務の膨張を回避し、消費者の返済を楽にすることができる、というわけです。

消費者に貸し出す低金利のローンは米国の大手信用組合から供給されているものであることから、おそらくローン仲介のプラットホームとして仲介手数料でマネタイズしていると思われます。

なお、Happy moneyホームページには債務の回収方法について具体的な記載はなかったものの、同社前身サービスのPayoffが同様の債務返済モデル(クレカ債務を低金利ローンで肩代わりする)をとっていることから類似した回収方法ではないかなと。

Payoffでは低い金利(5%〜22%)のほか、独自のファイナンス・マネジメントアプリの提供や定期的な信用スコア情報の開示などを行い、債務者サポートを通じて回収を実施する、というシンプルな設計です。Happy Moneyも同様の仕組みをベースに運営されていると推測されますがさらなる提供価値が付加されています。

それが心理学的なアプローチになります。

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Happy Moneyは債務者へ教育を施し、金融リテラシー向上を図ることを目的にしているのです。上述したPayoffのスキームに独自の教育サポート機能を加えることで、債務者が一人で返済計画を立てるよりも楽に債務完済を行える環境を作っていると言えます。

結果にコミットする、とまでは言えなくとも、単に安い金利で借り換えさせるだけではなく、なぜお金を借りてしまうのか、そういった根本的な部分にフォーカスしている体験は新鮮に感じます。他にも貯金や幸福度の高い出費モデルの構築など、債務返済以降のお金のマネジメントに焦点を当てたサービスも提供しています。

本ラウンドで単独出資を行なったCMFG Venturesは、大手保険会社CMFGのベンチャー・ファンドであり、親会社のCMFGは活動の95%を米国の信用組合とのビジネスで成り立たせている企業です。そのため、今回の調達を機にHappy Moneyは見込みパートナーとなる米国大手の信用組合などにアプローチしやすくなりました。

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