モビリティと不動産事業のアイビーアイ、グロースポイントエクイティとXTech Venturesから4億円を調達——IPO念頭に、テック事業化を加速

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タクシーのロイヤルリムジングループやマンション売買の「iReno」などを展開するアイビーアイは18日、グロースポイントエクイティXTech Ventures から4億円を調達したと発表した。アイビーアイは傘下に複数の事業体を擁し、その売上規模などから純粋な資金需要からの調達とは考えにくいが、同社は数年以内の IPO を念頭に置いており、比較的デジタル技術の取り込みが課題となる交通や不動産領域において、グロースポイントや XTech の知見やネットワークを活用するものと見られる。

アイビーアイは、傘下のロイヤルリムジングループの7社を通じて車両約350台によるタクシーやハイヤーサービスを都内で展開。DiDi(滴滴出行)や uBer との提携、配車アプリ「RoyalTaxi 配車」など MaaS 領域にも積極的に進出している。不動産事業では、中古マンションのリノベーションを中心に、アフターサービス保証付き物件を年間100件以上販売している。

モビリティ事業と不動産事業に共通項は見出しにくいが、アイビーアイ(Investment for Business Infrastructure)という社名に象徴されるように、生活インフラの利便性向上と価値提供をビジョンに掲げていることから、これら2つの事業が同社の主軸を担うことになったようだ。

今後、アイビーアイはモビリティ事業で、自社のタクシーやハイヤー車両を使って、繁忙時間帯・閑散時間帯に応じた〝擬似的なダイナミックプライシング〟の仕組みを取り入れた交通サービスを提供する。同社では、トヨタのミニバン「アルファード」を積極的に導入しており、多人数乗車ができる強みを生かして、都内と主要空港との相乗り需要を開拓する。事前予約により効率的な配車を実現し、割安な料金でサービスを提供できるという。

海外の Uber や Grab などでは繁忙時間帯に料金が上がる「Price Surging」の仕組みが取り入れられているが、アイビーアイでは逆に、閑散時間帯に料金を下げられる仕組みの導入も検討する。日本の法令をクリアするために、送迎の注文を受ける都度、アイービーアイが企画旅行の契約を成立させ、自社などが持つタクシーやハイヤーを借りきる形をとることで実現するようだ。

また、中古マンションのリノベーションに関連し、販売仲介会社向けにマンションの販売・買取価格を提示するサービスを開発している。OpenDoor やすむたすのモデルに似て、「買取→リノベーション→販売」のスピードアップを図ることで物件在庫を抱える期間を短縮するとともに、価格の変遷を追いかけるなどビッグデータを取り込むことで、「宅建・不動産版の弁護士ドットコム(代表の金子健作氏談)」的位置付けを狙う。将来的には、所有権を移転せずに、「買取→リノベーション→販売」できるモデル開発にも注力する。

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