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労働が拡張する世界ーースタートアップが必要だったワケ/Telexistence 富岡仁氏 Vol.2

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本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 前回のインタビューではハードウェア・スタートアップの大きな壁となる実証実験をどのようにクリアし、創業からわずか3年というスピードで遠隔操作ロボットという新たな技術を試用運転にまで進めることができたのか、その逆転の発想についてお伺いしました。後半ではそのようなスタートアップがどのようにして生まれたのか、…

テレイグジスタンス代表取締役CEO、富岡仁氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

前回のインタビューではハードウェア・スタートアップの大きな壁となる実証実験をどのようにクリアし、創業からわずか3年というスピードで遠隔操作ロボットという新たな技術を試用運転にまで進めることができたのか、その逆転の発想についてお伺いしました。後半ではそのようなスタートアップがどのようにして生まれたのか、富岡仁さんの創業ストーリーについて伺います。(文中の質問者はMUGENLABO Magazine編集部、回答はTelexistence代表取締役CEOの富岡仁氏、文中敬称略)


はなぜスタートアップ企業になったのか

創業の前は三菱商事ですよね

富岡:長期売電契約が紐付いている太陽光や風力などの発電所に投資したり売却する仕事をしていました。大学がコーポレートファイナンス関連の専攻だったので、三菱商事に入社した当初は財務部に配属されました。総合商社を選んだのは、新卒時点で何か一つの事業セグメントを決めることができなかったので、色々な事業を総合商社で幅広に探索できればという感じでそこまで深い意味はなかったです。

その後、ファンド運営で投資も手掛けられる

富岡:(三菱商事在籍中)スタンフォードへの社費留学から戻ってきた時ですね。グロースファンドの組成と運用を2年半ほどやりました。おおよそ300億円ぐらいの資金を日本のLP投資家から集めて米国のスタートアップへグロース投資をしてました。今はもう名前がSnapに変わってしまいましたが、当時のSnapchatだったりUberなどが出資先でした。そういうのを数件やって、もういいかなと。ファンド投資といっても所詮はサラリーマンとして関わっていて、いくら資金を集めて投資をしても個人としてのリターンは変わらない。元Andreessen Horowitzのファンドパートナーとその彼のチームと一緒に仕事をしましたがそれを実感しました。

そこからスタートアップするわけですが何がどうなってテレイグジスタンス(遠隔存在)に

富岡:三菱商事には結果的に12年ほど在籍しました。事業開発や投資など三菱商事でやれることは全部やったからそろそろいいかなと。じゃあこの会社で経験できないことは何かと考えた時に、スケーリングを体験したいと思いました。スケーリングの議論は、最も基本的な話で言うなら、サイズが変化した時にその系がどう反応するか、という話です。その観点で言えば、企業のサイズが倍になると、組織として何が複雑化するか?企業の売上が短期間で2倍3倍になると何が起こるか?物理学でいう「超線形スケール化」という現象、もしくは非線型的挙動みたいなものをビジネスの世界で見てみたい、経験してみたいと思いました。

当たり前ですが、大企業は急成長をするような事業というよりは、あくまで実証済みの技術とビジネスモデルをベースにキャッシュフローが読みやすい案件に取り組む機会が多いので、非線形でスケーリングしそうな事業に挑戦することに決めました。未実証な革新的技術を核にしたアーリーステージのビジネスですね。

で、テーマを探していた時に出会ったのがVRだったんです。

創業時の様子

三菱商事を辞めてTelexistenceをすぐに創業した、ということじゃないんですね

富岡:我々のスタートアップ・ストーリーですが、実は非常に独自のストーリーです(笑。

三次元の空間伝送という意味でVRには大きな可能性を感じたので、どうやってこの技術を事業化するかを模索していた時、Supership元代表の森岡(康一)さんと意気投合して、一緒にVRの新規事業をやろうよということになりました。VRはスタートアップとしてやるにはアーリーすぎて日本の資本市場ではミスマッチがあるし、かといって大企業は先も話をしたようにこういうリードタイムが長すぎるものは嫌う。Supershipはそういう意味で「中間点」でした。KDDIという大企業の資本も活用しつつ、創業数年という組織なので機敏にも動ける。これはいいぞ、と。それで転職しました。

結果的には半年ほどでVRの新規事業をやりながら現在のTelexistenceを創業することになるんですが。

そこで遠隔存在の技術に出会った

富岡:当時、私にはVRともう一つ、新しい領域の技術やビジネスモデルをソーシングしてくるというミッションも担っていました。東大名誉教授の舘先生やテレイグジスタンス技術との出会いもその流れでした。

当時、まだ副社長だった髙橋(誠・KDDI代表取締役社長)さんを東大や慶應の研究室にお連れして、技術をプレゼンし、KOIF(KDDI Open Innovation Fund)の投資会議にかけて自分は投資担当として全ての過程に参加していました。で、これはいいものだから進めようとなるわけなんですが、ある時点から、これ革新的な技術はあるけど経営や資金調達など会社に必要な機能はどうするんだ、という論点が浮上しました。技術ドリブンの大学発ベンチャーにありがちな話です(苦笑。

僕自身は、テレイグジスタンス技術の可能性を信じてましたし、技術的な難しさはあるものの、ティッピングポイントを超えて社会実装された時の変化率もしくは進化率は自分が今まで感じたものの中では一番大きいと思ってました。なので誰もやらないなら、自分でやってしまおう、と。当時のKDDIやSupershipの関係者とも相談し、経営側の人間として立ち上げに参画することにしました。

なかなかのジャンプですね

富岡:技術が実際にあったのも大きかったです。流石に紙だけのコンセプトであれば心配ですが、東大の研究室で実際にプロトタイプが動いているわけですし、エンジニアを揃えて資金と実現までの時間軸を考えてスケーリングさせるのはまさに自分が三菱商事をやめて体験したかったことだと思いました。

ただやはり、既に存在している市場で技術やビジネスモデルの焼き直しをするのではなく、本当にゼロから市場を作ることになりますからね。何もない。本当の新規事業です。そういうものをやるのって、まあ、しんどいですよね。

サラリーマン時代に事業・資産買収やシリコンバレーのグロースファンドをやってファイナンス知識・事業に関する経験もある程度備わっているわけです。創業の難しさはどこにありましたか

富岡:創業することに難しさはあまり感じませんでした。誤解を恐れずに言えばシードファイナンスはその後に経験するハードシングスに比べればまだ楽です。そこからです、本当の難しさは。技術・事業のマイルストーンをきちんと実現し、正のキャッシュフローが出るまで醸成した期待値を調整、維持、拡大しないといけない。この過程でスタートアップをやっている人間にかかるプレッシャーは相当大きくなります。

MODEL Hの遠隔操作(2018年)

更に言えば、ハードウェアスタートアップ独特の難しさもある

富岡:例えばファイナンスで言えば、ソフトウェアスタートアップなら一回の資金調達でランウェイを18カ月用意しましょう、みたいな資本市場の暗黙の共通認識があると思います。これに従いソフトウェアのスタートアップは資金調達後、18ヶ月以内で重要なマイルストーンをクリアしてその後もファイナンスを繰り返していくわけです。今はソフトウェアビジネスが全盛の時代なので、この18ヶ月というのがいつの間にかソフトウェアのみならず全てのベンチャー投資の共通認識になるわけです。

一方、ロボティクスやハードウェアビジネスが18ヶ月以内に技術・事業開発で、次の資金調達の時価の根拠となるマイルストーンをソフトウェアビジネスのようにいくつもクリアしていくのは難しい。従って、18ヶ月分の資金調達、という認識がある資本市場で、ハードウェアスタートアップは24ヶ月や30ヶ月分の資金を一度の調達で確保しなきゃいけない。

このギャップを乗り越えるには、ビジョンや技術、事業構想ももちろん重要ですが、それを誰がやるのか、という実行者の実力を、実行前に証明することが必須です。

どれだけ経験していてもロジックだけではどうにもならない

富岡:当初は2017年5月にシードファイナンスをして次の調達予定は2018年11月の予定でした。きっちり18ヶ月です(笑。当時の私はハードウェアは初めてで資金繰りの計画を甘く見積もってました。

想定外の部材を準備しなくてはいけなくなったりと、ロボット開発はびっくりするほどお金がかかります。シードで用意した資金で想定していたこと「以外」のことがガンガン起こる。会社の製品としての試作機を開発して、その上でどの事業領域をどういうビジネスモデルで行うのかを示すのが次の調達に向けてのマイルストーンだったので、そのプロトタイプが完成しない限りには顧客候補とも議論が出来ない。そして刻一刻と資金は尽きてくる。苦し紛れに顧客と話をしても「コレまともに動いてないじゃん」と。もはや時間切れでファイナンスの交渉力もなくなってくるわけです。

でもようやくなんとかプロトタイプが完成して、さらに100社ぐらいですかね、各事業領域での大手顧客候補との話も終わり、将来のゲームプランもできていたことで先に進めました。明日振り込みがなかったら、というギリギリとの戦いです。

どうもありがとうございました。

テレイグジスタンスと通信を通じて、身体性を伴う人間の労働が拡張される世界へ

ということで2回に渡り、Telexistence富岡仁さんのお話を伺ってきました。創業からたった3年という時間軸で研究段階だった概念を形にし、社会実装できる一歩手前の段階にまで駆け抜けた裏側には、普通のスタートアップとは少し違った大手との共創ストーリーが隠れていました。話の最後、富岡さんにロボットと共生していくこの先の未来について尋ねたところこのようなお話をしてくれました。

「テレイグジスタンス(遠隔存在)技術は人間の身体的能力を音楽や書籍と同様にどうやってデジタル信号にして伝送するか、と言う問題を解いています。そして、この物理的な身体的能力のデジタル化を労働に結びつけるとTelexistenceの事業コンセプトである、「拡張労働力」、につながります。

つまり、我々が作りたい世界というのは、オフィスワーカーがZoomを使って遠隔で仕事をするように、肉体的な労働力を提供しているエッセンシャルワーカーが、世界中のどこからでもロボットを通じてその労働力を提供する世界です。こうすることで、人間は、インターネットとロボットで構成されるネットワーク構造を通じて、複数の時空間スケールにまたがる形でつながり、相互作用し、そして進化すると思っています」。

大手との共創で世の中にある技術が大きく社会を変える、スタートアップの本来の役割を感じる取材となりました。次回もまた共創によって社会を変えるキーマンの話題をお届けします。(了)

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完全な自動運転車へ向けてシミュレーションを提供する「Applied Intuition」

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ピックアップ:Applied Intuition Reaches $1.25 Billion Valuation In New Funding For Its Autonomous Vehicle Testing Software ニュースサマリー:自動運転用シミュレーションツールを提供する「Applied Intuition」は、シリーズCにて1億2500万ドルの資金調達を実施したことを発表して…

Image Credit :Applied Intuition

ピックアップ:Applied Intuition Reaches $1.25 Billion Valuation In New Funding For Its Autonomous Vehicle Testing Software

ニュースサマリー:自動運転用シミュレーションツールを提供する「Applied Intuition」は、シリーズCにて1億2500万ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家にはLux Capital、Andreessen Horowitz、またGeneral Catalystが参加している。今回の調達により同社バリュエーションは12億5000万ドルに達したとされている。

話題のポイント:TeslaやGoogleのWaymoの台頭で、自動運転の話題も日常化してきました。特に最近ではホンダが国交省より自動運転レベル3を取得したことで話題になっています。世界的には無人での自動走行などが実証実験中ですが、量産できるレベルでの認証取得という点で世界的にも大きな一歩となりました。

今回取り上げるApplied Intuitionは、主に自動運転車両を開発する企業内チームに向けてソフトウェア・インフラの環境を提供するスタートアップです。自動運転市場では「シミュレーション」技術の枠組みに入る同社は、2017年に創業したばかりですが、既に現在のラウンドまでで1億7650万ドルの調達に成功しています。

A roadmap to the trends guiding mobility automation in 2019.
Auto &Mobility Trends In 2019/CB Insights

CB Insightsが昨年公開した現段階における自動運転市場の各事業立ち位置をマッピングした「Auto &Mobility Trends In 2019」をみると、シミュレーション事業はマーケットシェア・業界アダプション共に中心に位置していることが分かります。また、実証実験の枠組みの中では最も重要度高く位置していることが分かり業界での需要が多く集まっていることが読み取れます。資料の大まかな要点は以下のようにまとめられています。

  • 完全な自動運転の確立まで、自動車メーカーは人間のドライバーと連携させた方法で技術強化を進めている
  • 運転シミュレーションプラットフォームは、自動運転車の路上テストに伴う時間と手間を大幅に軽減している
  • 自動運転車用のセンサーは、完全な自動運転に不可欠な視界の先を車が理解するのに役立っている

日本に目を向けると、まさにトヨタグループでは自動運転の仮説検証をApplied Intuitionのシミュレーションを用いて続けています。

冒頭に述べたように、自動運転で第一想起する企業やプロジェクトは限られている印象ですが、マクロ的に市場を見ると今回のシミュレーションツールに加えて様々な要素をカバーする技術が誕生していることが分かります。まだまだ広がりがあるこのテーマにどのようなプレーヤーが生まれてくるのか、引き続き注視したいところです。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

Wazeが大幅アップデート、カープール(相乗り)新機能「Real-Time Riders」を公開

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2013年に総額10億ドルでGoogleによって買収されたナビゲーションアプリWazeは、パンデミック以降の交通需要低下を食い止める打開策となる新機能をお披露目した。 同社は創業以来初のバーチャルイベント「Waze On」を実施し、新機能を発表したのだが、これは同社が従業員の5%をレイオフし、数カ所のオフィスを閉鎖することを明らかにしてから数週間での出来事であった。同社によれば、レイオフに至った経…

2013年に総額10億ドルでGoogleによって買収されたナビゲーションアプリWazeは、パンデミック以降の交通需要低下を食い止める打開策となる新機能をお披露目した。

同社は創業以来初のバーチャルイベント「Waze On」を実施し、新機能を発表したのだが、これは同社が従業員の5%をレイオフし、数カ所のオフィスを閉鎖することを明らかにしてから数週間での出来事であった。同社によれば、レイオフに至った経緯にはパンデミックにより全世界で60%程の交通需要が減少したことに起因するとしている。

リコメンド機能

今回発表にあった新機能の一つ「トリップ提案」は、ユーザーが過去に訪れた旅先やロケーション情報に基づいて自動でお勧めの行き先を提示してくれるというもの。アプリを起動すると場所を入力せずとも、自動でいくつかの目的地がリスト表示される。また、表示段階の交通状況に基づいてリスト化されるため、一目で目的地までの時間目安を知ることができる、

同社はまた、お気に入りの目的地や交通状況に影響を及ぼす可能性がある際に事前にユーザーへ通知する機能をリリースした。Wazeがトラフィック情報を検知後、情報がプッシュ通知で送信される仕組みだ。

加えて、未だβ版であるものの「車線変更誘導機能」のリリースを発表している。これは、ハイウェイや一般道などでどのタイミングで車線変更をするべきかを視覚的に知らせてくれるというもの。なお、既にGoogle Mapsでは同じ機能が展開されている。

カープール(相乗り)

Wazeは地域を限定しているものの、自動でカープール(相乗り)を受け付けることができる機能をリリースしている。なお、同機能は米国、ブラジル、メキシコ、イスラエルで利用可能だ。これにより、ドライバーはスマホを触らずとも自動で相乗りの承認をすることができる。

また、イスラエルに限定されるものの、同社は今月末より「Real-Time Riders」と呼ばれるカープール機能をリリースした。ドライバーが目的地を入力した際に、近場の目的地を目指すWaze利用者がいる場合、カープールの提案を自動でしてくれる。

同機能は、これまでカープールを積極的に利用してこなかったユーザーの新しいタッチポイントとして期待されている。また、Moovitなどのサードパーティーと提携し、ユーザーがWaze上のドライバーを検索できる機能も発表している。その他の機能では、Googleアシスタントのフランス語、スペイン語、ポルトガル語の対応が今年後半に予定されているという。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

労働が拡張する世界:遠隔操作ロボットがコンビニで働き出すまで/Telexistence 富岡仁氏 Vol.1

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本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」に掲載された記事からの転載 日本の共創・オープンイノベーションに関わるキーマンの言葉を紡ぐシリーズ、今回はテレイグジスタンス(遠隔存在)の研究を具体化し、社会実装を進めるTelexistence代表取締役CEO、富岡仁さんにお話を伺います。 東京大学名誉教授、舘暲教授によるテレイグジスタンス(遠隔存在)の研究をもとに、富岡CEO…

テレイグジスタンス代表取締役CEO、富岡仁氏

本稿はKDDIが運営するサイト「MUGENLABO Magazine」掲載された記事からの転載

日本の共創・オープンイノベーションに関わるキーマンの言葉を紡ぐシリーズ、今回はテレイグジスタンス(遠隔存在)の研究を具体化し、社会実装を進めるTelexistence代表取締役CEO、富岡仁さんにお話を伺います。

東京大学名誉教授、舘暲教授によるテレイグジスタンス(遠隔存在)の研究をもとに、富岡CEOが共同創業者として2017年に創業したのがTelexistenceです。2018年5月には量産型プロトタイプ「Model H」の開発に成功。遠隔操作ロボットによる旅行や購買・小売業に事業機会を見出し、今年8月からはファミリーマートやローソンなどのコンビニエンス・ストアでの試用運転を開始しました。

今年8月に発表されたTelexistenceとファミリーマートによる協業では、新たな店舗オペレーション基盤の構築を目的とした遠隔操作ロボット技術の試用運転を開始しています。店舗の飲料売場にて遠隔操作によるペットボトル飲料の陳列から業務を開始し、今後は、おにぎりやお弁当など作業対象を随時拡大していくそうです。遠隔操作が可能なModel-Tの導入によって、遠隔地から一人で複数店舗の作業が可能になるため、人手不足の軽減や現在拡大している感染症拡大防止にも繋がると期待されています。

大学での研究を形にし、そしてそれらを社会実装するまでにはどのような困難があったのでしょうか。(文中の質問者はMUGENLABO Magazine編集部、回答はTelexistence代表取締役CEOの富岡仁氏、文中敬称略)

スピーディーに社会実装を進めるための逆転の発想

遠隔操作の様子

遠隔操作というアプローチでロボットの社会実装に取り組むのですが、ローソンやファミリーマートへの導入はどういう経緯で実現したのですか

富岡:小売、その中でもコンビニエンスストアというのは最初から狙っていたマーケットでした。

世の中にない技術や仕組みを社会に実装する場合、まずはプロトタイプを作って実証実験(Proof of Concept・POC)を行い、効果検証などをするわけですが、ロボティクスやハードウェア系のスタートアップは、このPOCをやるやらないの交渉で1年使ってしまう。そして、仮にPOCを行っても結局次に進まず、また違う顧客候補と実証実験を行う、というのを繰り返す『POC屋さん』になってるケースが多くあります。

ジェフリームーアのキャズム的に言うと、ロボティクススタートアップはPOCでぐずぐずしていると、キャズムのベルカーブにできた最初の裂け目、クラックに躓き、転んでしまうことが多いと思います。これはある意味しょうがないところもあります。産業用ロボット以外のロボティクスは導入したい側も何ができるのか分からないし、ロボット屋さんも作るのは得意だけど、相手のオペレーションがわからないのでニーズに最適化されたロボットを作れない。この情報の非対称性とギャップを短期間の実証実験で埋められる訳がない。

多くのB2Bハードウェア・スタートアップのハードルです

富岡:だから自分たちの場合、既存のコンビニオーナーさんにお願いして2カ月店舗にロボット置かせてください、と交渉したら時間がかかるだろうなということは当初から予想していました。であれば自分たちでコンビニ店舗を運営する中でロボットを稼働させ、製品化する、という打ち手でPOCの壁を、ベルカーブのクラックを、最小抵抗経路で超えていくことにしました。

そしてもう一つ、自社店舗を運営する狙いは、自らキャズム上のイノベーターやアーリーアダプターになることで、次の段階の顧客グループであるアーリーマジョリティ層にイノベーターの利用事例を説得材料にすることにあります。ただ、これも言うは易しで、創業2年のロボット会社が突然フランチャイズオーナーとして店舗運営の許可をコンビニブランドの本部の方々から頂く交渉は相当難しかったのですが。

逆転の発想ですね

富岡:ロボット開発以外に小売の店舗運営をしないと行けないので大変ですけどね。ただ、商品の入荷時間がいつでその為にはロボットがどういうスループットで動かなければいけないかなど、ロボット導入に興味を持つ企業のオペレーションを細かいレベルで理解できています。するとこれまで印象論でしか分からなかったことが見えてくるんですよね。だから正直、他社のロボット会社が小売や物流向けに我々と同じレベルの製品はなかなか作れないと思います。

実際に導入して検証している様子を拝見したのですが、店舗が案外普通の様子でした。例えばAmazonではDash Cart用に店舗を最適化したり、TRIのロボットでは天井にぶら下げるようなパターンもあります。オーナーであるなら店舗を最適化させるということは考えなかったのでしょうか

富岡:ないですね。産業用ロボットの市場ってどれぐらいだと思いますか?グローバルで何台ぐらい売れてると思います?なんとなくすごく沢山売れてて巨大なマーケットっぽい印象があるじゃないですか。でも実際は世界で37万台です。ファナックや安川などグローバルで主要な4ロボットメーカーがありますが、それを全て合わせてもそれぐらい。車が世界で年間9,000万台販売されていることを考えるとまあ、小さい市場ですよね。

理由は現状、自動車や総合電気の工場の中でしかロボットが使われてないからです。工場の中であれば完全にコントロールできる環境なのでロボットが稼働しやすいように周辺環境を構造化出来ます。一方、我々が狙っているのはあくまでその工場の外のリアルな世界、非構造な環境です。

工場外に出ないと確かに市場は限定的になりそうです

富岡:リアルな世界を工場のように全てロボットに最適化された環境に変えていくのは我々の仕事ではないと考えてます。例えば、馬車から車に移った時、馬車と車が通る道を分けて、自動車専用の道路を整備したのは国です。スタートアップや企業がやれるものじゃない。もしかしたらいつかはロボットが動きやすい環境を整えてくれるのかもしれないけど、タイミングですよね。そのタイミングが来るまではなるべく周辺環境を変えなくてもロボットが使えるようにしなければいけない。そうしないと勝ち筋ってちょっと見えないと思います。

足を使い外で動くロボットと言えばBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)のロボットがやはり印象的です。一方で、自由に動き回れるロボットにはまだ社会実装までのリードタイムがありそうですが

富岡:機械工学的な我々の強みはマニピュレーション(手による操作)にあり、世界に存在するマニピュレーションに関わる問題を解きたいと思ってます。

ロボットが完全に自動で物体を把持するには「目」が必要で、これがコンピュータービジョンにあたります。ただ、現在の機械学習ベースの物体認識は所謂フレーム問題をまだ超えられていません。フレーム問題が解決されるリードタイムは諸説ありますが最低でも10年、という共通認識があるので、それを待っていたら時間との勝負であるスタートアップは死んでしまいます。

だからロボットの社会実装の最適解として、視覚能力も含めた人間の知覚能力をインターネット経由、遠隔のロボットに組み合わせ、フレーム問題の解決を待たずにロボットを社会に実装していくのがTelexistenceです。

人間と機械による完全なオートメーションの間にTelexistenceの価値がある

富岡:人間が自分の知覚能力や身体能力をインターネットで伝送し、ロボットを遠隔制御することは、遠隔から自動化に移行する為に必要なプロセスだと考えてます。今、工場で稼働している産業用ロボットは人間が一つ一つロボットにやってほしい動きを教えています。XYZ軸の空間座標を専用の端末に打ち込み、プログラミングもしないとロボットは動きません。これはティーチングという作業ですが、この方法は産業用ロボットが実用化されてから約60年間、何も本質的なイノベーションが起こってないです。

今、ニューラルネットを使ってこのティーチングの作業をティーチレスにする技術開発が欧米を中心に始まっていますが、人間が遠隔操作したロボットの制御データをもとにロボットの軌道計画を自動生成するという我々の自動化アプローチもこの技術革新の一つだと考えてます。(次回につづく)

始まる自動宅配:Walmartが進める自動運転スタートアップとの提携戦略(2/2)

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(前回からの続き)Walmartは複数の自動車メーカー・スタートアップと自動運転に関するパートナーシップを結んでいる。11月には、フロリダ州マイアミのWalmart店舗から、食品やパーソナルケア商品の配達をプロトタイプの自動運転車を用いて配達するため、PostmatesやFordと提携していた。 また、アリゾナ州の店舗ではUdelvの自動運転型バンを試験的に導入しているし、加えて5億ドルを調達した…

Walmart-Cruise

前回からの続き)Walmartは複数の自動車メーカー・スタートアップと自動運転に関するパートナーシップを結んでいる。11月には、フロリダ州マイアミのWalmart店舗から、食品やパーソナルケア商品の配達をプロトタイプの自動運転車を用いて配達するため、PostmatesやFordと提携していた

また、アリゾナ州の店舗ではUdelvの自動運転型バンを試験的に導入しているし、加えて5億ドルを調達したばかりのNuroとテキサス州ヒューストンにて食料品配達の実証実験にも乗り出している。さらには、アーカンソー州BentonvilleではGatikと協力し、一部の店舗での自動運転車による配送サービスを実施している。

Cruiseはサンフランシスコにおけるフードバンクのドロップオフプログラムを除いては、多くの投資をしているわけではない。同社はScottsdaleとデトロイトの都市圏で実証実験を行っているが、実際の実験はサンフランシスコに集中している。Cruiseは当初の自動運転車30台から、2017年5月には130台にまで車両を増やし事業拡大を図っていた。現在の正確な車数は公表していないものの、カリフォルニア州のDMVには180台の自動運転車が登録されている。また、IEEE Spectrumが入手した資料によれば、Cruiseは300台以上の自動運転車を全米に整備させる計画を進めているという。

10月、Cruiseはカリフォルニア州自動車局(DMV)から、サンフランシスコの公道での自動運転車を用いたテストを可能とする許可を取得した。Cruiseは2015年から自動運転かつ有人での公道テストライセンスを同州から取得していたが、今回の新ライセンスにより指定される公道で無人での自動運転車のテスティングが最大5台まで可能となった。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

始まる自動宅配:Walmartによる自動運転プログラム開始、GM支援先と協業(1/2)

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GMの支援する自動運転スタートアップCruiseは、Walmartと自動運転を利用した配達パイロットプログラムのパートナーシップを結んだことを発表した。アリゾナ州ScottsdaleのWalmart店舗から顧客住宅まで宅配するもので、2021年を目途に開始される予定の同プログラムには、Cruise社のシボレー・ボルトモデルが採用される。 自動運転技術は既に輸送産業を大きく変えつつある。例えば、丸太…

GMの支援する自動運転スタートアップCruiseは、Walmartと自動運転を利用した配達パイロットプログラムのパートナーシップを結んだことを発表した。アリゾナ州ScottsdaleのWalmart店舗から顧客住宅まで宅配するもので、2021年を目途に開始される予定の同プログラムには、Cruise社のシボレー・ボルトモデルが採用される。

自動運転技術は既に輸送産業を大きく変えつつある。例えば、丸太や輸送用コンテナなどを自動で輸送可能とするシステムを開発するTuSimpleやEinrideは数千万ドルの資金調達を実施しているほか、コロナウイルスによるパンデミックが市場をさらに活性化するという意見もある。もちろん、自動運転技術については一般からの不信感をぬぐい切れてはいないものの、ドライバーと第三者との接触を限りなく最小限に抑えられるという面で期待する声が高まっているのは確かだ。

CruiseとWalmartは、パイロットプログラムに関する情報をいくつか公開している。まず、少なくとも一人のドライバーが自動運転車の車内に常駐することは明確に示した。また、プログラムが成功を収めた場合は、他の小売りとのパートナーシップによるオンデマンド型配送の実現を目指すとしている。同社は既に今年初め、DoorDashとサンフランシスコの一部顧客に対して食料品の配送テストを実施することも発表しており、小売りに加えデリバリーサービスとのコラボレーションも期待されている。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

2025に“空飛ぶタクシー”実現へ:究極のワーケーション環境がそこに(2/2)

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(前回からのつづき)Liliumはパンデミックなど、非常事態の真っ只中である6月に3500万ドルを調達しており、これまでの総調達金額が3億7500万ドルに達した。同社は現在創業から5年経過しており、ちょうど製品の生産段階へ突入した段階だ。Liliumが最初に建設を予定するヘリパッドは、Tavistockグループが所有するノナ湖であることも着目すべきポイントだ。同地域は17平方マイルの広さを誇り、約…

Liliumのヘリパッドイメージ

(前回からのつづき)Liliumはパンデミックなど、非常事態の真っ只中である6月に3500万ドルを調達しており、これまでの総調達金額が3億7500万ドルに達した。同社は現在創業から5年経過しており、ちょうど製品の生産段階へ突入した段階だ。Liliumが最初に建設を予定するヘリパッドは、Tavistockグループが所有するノナ湖であることも着目すべきポイントだ。同地域は17平方マイルの広さを誇り、約10年前に「Visionary Community」として設計されたものだ。

さらに、オーランドやタンパなどの主要都市と近いロケーションは、オーランド空港を経由する国内・海外旅行を戦略的に考慮した結果と言えるだろう。また、マイアミはLiliumが提唱する飛行最大距離内にちょうど収まっている。距離にすると186マイル(約300キロメートル)で、約1時間の飛行時間でたどり着けることになる。

同社の長期的計画を見れば、今回を足掛かりにあらゆる都市で垂直離陸をベースとした飛行場を建設するのは明らかだろう。

Liliumはドイツ国内でも、Dusseldorf空港やCologne/Bonn空港と協力し、地域的なエアモビリティーネットワーク構想を発表している。同社は米国における明確な今後の飛行場建設予定地を明らかにしていないが、フロリダでの立ち上げまでにいくつか明らかにしていくと語っている。

「ノナ湖での飛行場建設は、あらゆる都市をLiliumがカバー可能な距離の半径186マイルに収めることができる点で非常に優れています。米国におけるネットワークの全貌は後日発表される予定で、2025年までにはいくつかの拠点で実際に稼働する予定です」(LiliumのCOO、Remo Gerber氏)。

同社はまた、垂直離着陸機をあらゆる都市が都市開発や交通インフラ整備の面で導入できるための標準化の開発を進めているとする。Gerber氏は標準化が進めば、ヘリパッドのオフサイトでのプレハブが可能となり、大幅にコストが削減され迅速に現地での建設へ取り組みが進むとも話していた。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

2025に“空飛ぶタクシー”実現へ:「Lilium」がフロリダでの実証実験を開始(1/2)

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空飛ぶタクシーの実現を目指すドイツ発の航空系スタートアップLiliumは、2025年にフロリダをベースとした半径185マイルに渡る初のモビリティーネットワークハブ構築プランを公開した。 同社によれば、不動産開発会社のTavistock並びにオーランド市とパートナーシップを締結し、フロリダを米国第一号の「先進的空中モビリティー地域」として位置付けていくという。Lilium最初のエアポートステーション…

Lilium jetの創業者チーム:Daniel Wiegand氏、Matthias Meiner氏、Sebastian Born氏、Patrick Nathen氏/Image Credit: Lilium

空飛ぶタクシーの実現を目指すドイツ発の航空系スタートアップLiliumは、2025年にフロリダをベースとした半径185マイルに渡る初のモビリティーネットワークハブ構築プランを公開した。

同社によれば、不動産開発会社のTavistock並びにオーランド市とパートナーシップを締結し、フロリダを米国第一号の「先進的空中モビリティー地域」として位置付けていくという。Lilium最初のエアポートステーション(vertiport)は、オーランドにて空中都市(Aerotropolis)と呼ばれるLake Nona地域に建設される予定だ。

もちろん実際に空飛ぶタクシーが登場するのはまだ未来の話だが、eVTOLを採用して取り組みを続ける中でもLiliumは一歩前進していると言えるだろう。同社は以前から2025年までの空飛ぶタクシー実現を公言していたが、まさにそれを裏付けるスピード感で事業成長を遂げている。

2015年設立のLiliumは、ドライバーと乗客が4人まで乗車できる垂直離着陸型のジェット機を生産するスタートアップ。同社のヘリパッド(垂直離着陸用の飛行場)は、屋上から沿岸沿いまであらゆる都市環境に建設可能で、Uberのようなモバイルアプリから乗車予約をすることができる。

Liliumの競合には、今年初めに4,000万ドルを調達したVolocopterが挙げられる。また、UberもUber Elevateと呼ばれる飛行型タクシーサービスを発表しており、競合となることが予想されている。(次につづく)

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

空の移動革命:災害時利用も期待、長距離固定翼ドローンのテララボ(4/4)

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本稿は企業やスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事。執筆はドローンファンド大前創希氏が担当した 災害時への利用も期待、長距離固定翼ドローンを開発するテララボ (前回からのつづき)長距離固定翼ドローンの研究開発を行っているのがテラ・ラボです。このテララボの開発する機体は3時間から5時間は飛行が可能で、長距離の無人航空機を衛星通信で制御することにより、広域で高い高度で映像を取得するこ…

本稿は企業やスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事。執筆はドローンファンド大前創希氏が担当した

災害時への利用も期待、長距離固定翼ドローンを開発するテララボ

(前回からのつづき)長距離固定翼ドローンの研究開発を行っているのがテラ・ラボです。このテララボの開発する機体は3時間から5時間は飛行が可能で、長距離の無人航空機を衛星通信で制御することにより、広域で高い高度で映像を取得することができます。機体は非常に軽くできていて、雨が降っても、風が吹いてもかなり強い衝撃にも耐えられる機体になっていて、長距離を運行するのに非常に適した機体になっています。

ドローンを飛行させるためには高度150メートルの制限がありますが、その制限の中でも安全に飛行させるための開発をしています。テララボの機体のような飛行機型の固定翼を持った長距離無人航空機を、150メートルをさらに超えた500メートル、1000メートルを飛行していくためには、ヘリコプターや旅客機とのバッティングしないように安全に飛行させる高度を綿密に設計することが必要となり、よりシビアな設計が求められます。

画像クレジット:DRONE FUND

テララボの強みは、固定翼機をしっかり運用できるノウハウを持っている点です。150メートル以上を飛ばすノウハウを国内では持っている人はなかなかいないと私たちは考えていますし、その運用できることをを政府に示しているところです。加えてノウハウだけではなく、機材を揃え、安全設計している点は強みだと考えています。

テララボの開発する長距離固定翼ドローンが運用できるようになると、甚大な災害が起きた時にでも、いち早く、政府機関、関係機関と情報共有することができるようになります。現在、テララボは福島ロボットテストフィールドに拠点を置いて、南海トラフ地震などを見据えた大規模災害対策システムの研究開発に取り組んでいます。

これは衛星通信で制御可能な長距離固定翼ドローンや車両型地上支援システムを活用したものになっています。福島ロボットテストフィールドは、研究開発、実証試験、性能評価、操縦訓練を行うことができる研究開発拠点のため、実際の使用環境を拠点内で再現しながら研究開発、実証実験ができるのです。

テララボでは、福島ロボットテストフィールドにて、評価試験を繰り返し行い実装かに向けた準備を進めているほか、愛知県や名古屋市、福島県など、地方自治体との連携も積極的に行っています。直近では、今年1月に、三重県鳥羽市にて無人航空機による公開実証実験を実施しています。

自治体と連携して、実証実験を実施することで、長距離固定翼ドローンを災害時への利用を目指しています。

実用化が進むドローンとは?リベラウェアの小型機による屋内点検

本稿も終わりに近づいてきました。最後に紹介するケーススタディはインフラ点検分野のドローンです。

自動巡回型小型ドローン「IBIS」を開発するリベラウェアがそれで、この領域での利活用は非常に進んでいる分野でもあります。ドローンビジネス調査報告書2021によれば、市場規模は2020年度には353億円、2025年度には1625億円に達すると推測されています。

特に、リベラウェアの開発するドローンは、手のひらサイズの世界最小クラスの産業用小型ドローンで、人が点検しづらい場所でも飛行が可能です。

産業用となると環境が極悪で、鉄粉が飛んでいたりするような場所もある中、モーターへの工夫や、狭い空有感の中でも風に乗れるようするプロペラの開発、暗い環境の中でも明確に対象物を鮮明に撮影できるカメラなどを自社開発することで、そのような環境下でもきちんと飛行できる機体の開発をしています。

現在、リベラウェアの開発する自動巡回型小型ドローン「IBIS」は、現場の作業員の省人化・省力化に伴いセキュリティ面・安全性の向上や業務の効率化が見込まれていることから、高所や地下ピット、配管内などの人が作業することができない場所での点検、工場内の定期チェックや倉庫内の在庫管理、屋内施設巡回警備などの引き合いも増えているそうです。

直近では、自動巡回型小型ドローン「IBIS」を活用した JR 新宿駅における天井裏点検の実施や、都内の地下トンネル内の点検、京急百貨店(横浜市)の設備点検の実証実験などを実施しています。さらに、船橋市・西図書館の「AI蔵書点検システム」試験導入において自動巡回型小型ドローン「IBIS」による書架自動撮影の検証を実施しています。ドローンを活用して、図書館における蔵書点検業務の負荷軽減、効率化をはかる取り組みも始まっています。

リベラウェアでは、現場の作業員の省人化・省力化に伴いセキュリティ面・安全性の向上や業務の効率化に加え、今までは人の感覚、目視でとってきたデータをドローンで撮れるようになることで、データ化ができるようになり、そのデータをベースに予防保全や将来まで見据えたサービスを展開できるようになると考えています。

ということで、4回に渡り国内外のドローンを取り巻く環境を私たちDRONE FUNDの出資先ケーススタディと共にお伝えしてきました。この分野でのビジネスを手掛ける方のヒントになれば幸いです。

空の移動革命:調達金額39億円「空飛ぶクルマ」本命のSkyDrive(3/4)

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本稿は企業やスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事。執筆はドローンファンド大前創希氏が担当した 調達金額39億円、空飛ぶクルマ、ドローン配送を展開するSkyDrive (前回からのつづき)DRONE FUNDでは、エアモビリティ領域の投資を実施しており、その代表例が「空飛ぶクルマ」と「カーゴドローン」を開発するSkyDriveとなります。 ニュースレターの購読 注目すべき記事、世…

本稿は企業やスタートアップ自身がストーリーを投稿する「POST」記事。執筆はドローンファンド大前創希氏が担当した

調達金額39億円、空飛ぶクルマ、ドローン配送を展開するSkyDrive

(前回からのつづき)DRONE FUNDでは、エアモビリティ領域の投資を実施しており、その代表例が「空飛ぶクルマ」と「カーゴドローン」を開発するSkyDriveとなります。

ドローンはコンパクトなものが主流となっていますが、大きな機体を作る場合際の難易度が上がります。安定性が難しく、万が一を起こした時の安全性が必要になるからです。SkyDriveでは誰でも使いやすく、航空機レベルの安全性を作ろうとしており、世界中で見ても素晴らしい仕上がりをみせています。

DRONE FUNDではSkyDriveのようなエアモビリティが飛ぶ世界が必ずくると考え出資を実施してきました。出資に加え、SkyDriveはとDRONE FUND は、空の移動革命に向けた官民協議会に構成員として参加し、第一回会合において発表を行うなど、空飛ぶクルマの実現に向けた公共政策活動を行っています。

(画像クレジット:DRONE FUND)

直近では、シリーズBラウンドにおいて39億円の資金調達を実施し、SkyDrtiveとともに空飛ぶクルマを開発する有志団体「CARTIVATOR」が、日本最大級の屋内飛行試験場のある豊田テストフィールドで公開有人飛行試験を成功させたことを発表しています。

カーゴドローンに関しては、兵庫県神戸市協力のもと、セイノーホールディングス、神戸阪急などと共同で実証実験を実施しています。今後、神戸市と各企業と連携し、山間部の居住者が手軽に小売店の日用品、医薬品、及び自治体からの必要物資を居住区で受け取れる配送サービスの実用化を目指しています。

神戸市は、今年5月、六甲山上の事業環境を整備し、快適で創造性を刺激する魅力的なビジネス空間を実現していく「六甲山上スマートシティ構想」を策定しており、SkyDriveの実証実験も「六甲山上スマートシティ構想」に位置付けられています。SkyDriveは、空飛ぶクルマの2023年度の実用化と、すでに販売中の「カーゴドローン」の山間部での運用と2022年以降の都市部での活用を目指しています。国内でも空飛ぶクルマやドローン配送の実装がより近くなっていると考えられます。(次につづく)