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Taishi Masubuchi

Taishi Masubuchi

1996年東京生まれ。シンガポールでの高校生活、米シアトルでの大学生活を通し、いつの間にかテクノロジーが好きに。現在はブロックチェーンリサーチャーとして活動。個人で、イーサリアム関連のプロジェクトに多く関わる。ブロックチェーン以外でも、東南アジア、北米(シアトル中心)のスタートアップの動きに着目。ジャーナリズムを通した小さなムーブメントを乱発し続けるために記事執筆。旅行をもっとしたくなるような、"位置"に価値を付けていく事業考案中。旅が好きです! Twitter - @taiseaocean

執筆記事

法人向け電力オークション「エネオク」運営にジェネシアVが出資、取引総額は42億円に

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ニュースサマリー:法人特化型の電力リバースオークション「エネオク」を運営するエナーバンクは27日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とした第三者割当増資を実施したと発表した。調達金額は約5000万円。 エネオクは工場やビルオーナーなどの施設を保有する法人と全国の電力小売事業者をリバースオークション(繰り下げ方式入札)でマッチングするプラットフォーム。同社プレスリリースによれば、2018年10月にサー…

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エネオクウェブサイト

ニュースサマリー:法人特化型の電力リバースオークション「エネオク」を運営するエナーバンクは27日、ジェネシア・ベンチャーズを引受先とした第三者割当増資を実施したと発表した。調達金額は約5000万円。

エネオクは工場やビルオーナーなどの施設を保有する法人と全国の電力小売事業者をリバースオークション(繰り下げ方式入札)でマッチングするプラットフォーム。同社プレスリリースによれば、2018年10月にサービス開始以降、既に取引総額は42憶4000万円に達し、452施設がオークションを利用した実績を持つ。

話題のポイント:電力自由化が始まって以降、日本においても個人を含むすべての事業者が自由に電力供給の事業者をフレキシブルに選択できるようになりました。経済産業省・資源エネルギー庁が公開するデータによれば、現段階において登録されている小売電気事業者の数は664事業者とされています。これは、自由化が始まった2016年04月の登録件数291事業者と比較するとおよそ2.3倍規模に拡大していることが分かります。

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電力小売全面自由化の進捗状況・資源エネルギー庁

エネオクは、こうした小売り電気事業者と施設を運営する法人側を価格・用途の面で繋げる最適なオークションプラットフォームを提供しています。オークションの形は、リバースオークション型(繰り下げ方式)が採用されているため、法人は最適な価格の事業者と契約を結ぶことが可能となります。

一方、必ずしも最安の事業者と契約が自動的にされるわけではなく、入札された金額や様々な要素を考慮し、小売り電気事業者と直接チャット上で交渉することが可能でそれに応じて納得がいけば、契約を成立させることができます。

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エネオクの仕組み/エナーバンク

同社公開のケーススタディーによれば、工場を始めゴルフ場などのスポーツ施設、オフィスビルなどの複合商業施設での導入事例で年間数百万円から最大で数千万円までの電力コスト削減の貢献実績を公表しています。今回の調達を境に同社は、全国の民間施設や官公庁・自治体への導入に力を入れていくとしています。

「全国での店舗を運営するチェーン店舗(飲食、小売、ホテル、商業施設)などは、エリアごとに需給契約を行って契約を一本化できていないことがよくあり、それをまとめるだけでも管理の上でメリットがあります。調達を丸投げできるエネオクで、複数施設でボリューム効かせた一括オークションを実施してコストの最適化が図れることを訴求していきます」(同社創業者、代表取締役の村中健一氏)。

また、環境省も参加する、再生可能エネルギーをグローバル企業単位で押し進めることを目標に置く国際イニシアティブ「RE100」においてエネオクは調達選定システムとして参画しているそうです。

「RE100は持続可能な社会を実現のために、グローバル基準でかつ官民一体で目標を定めて推進する重要な取り組みです。2040年もしくは2050年までに100%を達成する計画を出すことが加盟の条件とされています。しかし、各社が再エネの取り組みをビジネス的に内在し、投資・リターンで考えることができれば、達成を2030年、もしくはもっと手前に前倒しすることができると考えています。そういった面における「エネオク」の役割は大きい思っています」(村中氏)。

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Airbnbはいまどうなっている?ーー新施策「Kindness Card」は、ゲスト再来へのきっかけになるか

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ピックアップ:Airbnb is getting ripped apart for asking guests to donate money to hosts ニュースサマリー:Airbnbは新しいCOVID-19対応策「Kindness Card」を開始している。この取り組みは、ゲストが過去に宿泊したことのあるホストに寄付(ドネーション)ができるというもの。対象となるゲストには、メールで通知が…

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Photo by John-Mark Smith on Pexels.com

ピックアップ:Airbnb is getting ripped apart for asking guests to donate money to hosts

ニュースサマリー:Airbnbは新しいCOVID-19対応策「Kindness Card」を開始している。この取り組みは、ゲストが過去に宿泊したことのあるホストに寄付(ドネーション)ができるというもの。対象となるゲストには、メールで通知が届いて寄付に参加できる仕組みを取る。過去に4つ星・5つ星のレビューをしたホストにのみ「Kindness Card」を送ることが可能だ。

話題のポイント:COVID-19対応で、Airbnbはあらゆる対応をホスト・ゲスト両者に向けて施してきました。今年3月には、医療従事者向けに無償で宿泊先を提供し、合計2万件以上のホストが協力を申し出る結果となりました。また、ホストの救済を目的とした「スーパーホスト救援基金」では創業者であるBrian Chesky氏を含む従業員が中心となり総額1700万ドルを寄付金として用意し話題となりました。

さて、新たな施策「Kindness Card」はホストの金銭的・精神的な手助けを目的として始まっています。しかしSNSでは、高評価を出したゲストですら「なぜゲストがホストに寄付しなければいけないのか?」という批判も出ている状況です。

実際のところ「寄付」の部分はオプショナル(メッセージのみでホストへ送れる)なため、お金を添えなくても構いません。また、「Kindness Card」という名前からもわかる様に、どちらかといえば「感謝と応援」を直接メッセージで送れる機能がメインだと言えるでしょう。

AirbnbはCOVID-19に関わる理由に限り、ゲストへキャンセル料を課さない対応を提供してきました。そのため、ホスト側にとっては本来予定されていた収益が完全になくなる日が続いているのが現実でしょう。

そうした意味では、今回の新施策「Kineness Card」は将来的なゲストの再来へ繋げる目的が大きかったのではないかと思います。Airbnbからのメールにも「We hope these cards will make hosts smile, and bring a little joy your way」と記載のあるように、あくまで過去に宿泊したホストとゲストとのコミュニケーションの入り口を提供するというスタンスで、ホストの損失をゲストへ負担の強要しているわけでは全くありません。

さて、今月14日にAirbnbは4カ月ぶりに100万泊以上の宿泊予約を記録したことを公開しています。そうした予約の特徴には「都会以外」が多いことを挙げており、ソーシャルディスタンスを意識した新しいAirbnbの形が生まれ始めていることが分かります。

つまり、今までのAirbnbは「~という街を観光するからAirbnbを利用する」というユーザー行動が一般的でした。しかし現在はむしろ、「このAirbnbの家に泊まりたいから、~という街に行ってみよう」と逆のフロー化しているケースが増えてきているように感じます。

そうなると、今まで以上に気に入ったAirbnb施設があれば積極的にホストとコミュニケーションを取り、また訪れたいという気持ちが強くなることは間違いありません。だからこそ、遠く離れたホストとフランクに繋がれる「Kindness Card」は経済的援助という側面以外で役に立つことが想定されます。

確かに、考え方次第ではお金を送れる機能が備わったことでゲストがホストを助けることを強要しているような誤解が生まれてしまいました。しかし、Airbnbが向かいつつある方向性からも分かるように「Kindness Card」はあくまで「再来訪」の入り口としての役割を期待した施策なのだと思います。

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日本のマインドフルネス市場を狙えーーCBDウェルネスブランド「mellow」がANRIなどから資金調達

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ニュースサマリー:CBDドリンク・サプリメントを始めとするウェルネスブランド「mellow」を企画・販売するLinkshipは21日、ANRIと個人投資家複数名を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。個人投資家の氏名と調達額は非公開。 同社は2016年10月創業。CBDプロダクトのウェルネスブランドを軸に、休息・睡眠市場の改革を狙るスタートアップ。2020年5月には、日本初のCBD炭酸飲…

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mellowウェブサイト

ニュースサマリー:CBDドリンク・サプリメントを始めとするウェルネスブランド「mellow」を企画・販売するLinkshipは21日、ANRIと個人投資家複数名を引受先とする第三者割当増資を実施したと発表した。個人投資家の氏名と調達額は非公開。

同社は2016年10月創業。CBDプロダクトのウェルネスブランドを軸に、休息・睡眠市場の改革を狙るスタートアップ。2020年5月には、日本初のCBD炭酸飲料・サプリメントの販売を開始している。

話題のポイント:日本においてCBD関連のスタートアップを耳にする機会はまだ少ない印象です。しかし、海外市場(特に北米)では顕著な成長マーケットの様子を見せており、CB Insightのリサーチによれば、2019年01月~05月の時期においてCBDを含むマリファナ関連のスタートアップは総額13億ドルを調達しているそうです。これは、2018年同時期の5億6900万ドルと比較して倍以上の成長になります。

CBDマーケット成長(Image Credit : CB Insight)

また、昨年にはLAを本拠地とするCBDスタートアップの「Future State Brands」が2500万ドルの資金調達を完了するなど注目が集まる市場となっています。CBDマーケットの市場調査を実施するBDS Analyticsのデータによれば、2022までの同市場CAGRで〜25%程度とされ、2022年には300億ドルの流通規模となると予想されています。

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Image Credit : BDS Analytics

こうした市場成長の背景には、大きく分けて2つの変化が起きていると考えます。

1つ目は、ミレニアル世代に向けたプロダクトのブランド化戦略です。例えば上述した「Future State Brands」は、「若者向けの新しいライフスタイル」を前面に押し出し、ブランド化を進めています。これは、よりアパレルブランドのような商品の打ち出し方に近寄った手法に寄せることで、ライフスタイルの一部としてのポジションを狙っているのでしょう。

2つ目は、ユニコーンの1社でもあるメディテーションサービス「Calm」等に見られるマインドフルネス・ウェルネス市場の盛り上がりです。特にCOVID-19以降、より成長が加速した同市場は2024年までにCAGR6%、市場規模約1兆3000億ドルに達するとTechnavioがリサーチ結果を公表しています。

Image Credit : Technavio

今回新たに調達を発表したmellowも、日本におけるマインドフルネスを促進するウェルネスブランドとしてのポジショニングを目指しています。同社代表の韮澤真人氏は日本における同マーケットへの期待感を以下のように語っています。

「日本でもCBD市場は本当に成長していくのか?と疑問に思っている方も多いと思います。 CBD市場自体に予想をつけることは難しいですが、確実なこととして、休息・睡眠市場は確実に伸びていくと考えています。特に、日本人は世界で最も疲弊している国民とも言われています。だからこそ、日本人に向けて上質な休息・睡眠をサポートするプロダクトが必要だと感じています」。

同社ではウェルネスの定義を「疲れやストレスから開放され、たっぷりと休める喜びを実感できている状態」と定義づけており、一つのソリューションとしてCBDのプロダクトを提供しています。今後はCBDに加え、より多くの人がウェルネスな状態を目指せし上質な休息や睡眠を取れるプロダクトの追求もしていくそう。

「私達は、社会的な成功=絶対的な幸せではないと考えています。社会と繋がることで疲れやストレスを生むくらいなら、むしろ社会と一旦距離を置き、しっかりと自分の時間を過ごすことの方がウェルネスな状態だと思っています。

そのようなウェルネスな状態を実現するためには、mellowのプロダクトだけでは不十分だと考えています。購入者限定にWebアプリを提供し、睡眠前BGMやメロウシアターという名の寝落ちライブを開催したり、これからも多くの休息・睡眠体験を提供していく予定です」(韮澤真人氏)。

日本でもリモートワークが広がりつつある中、マインドフルネス・ウェルネスを目的とした嗜好品需要は高まる傾向にあるかもしれません。CBDのようなプロダクトがテクノロジーと調和することであらゆる年代層にとって意味のある存在となりえる可能性は十分にあるのではないでしょうか。

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レジ不要、Amazonのスマート・ショッピングカート「Dash Cart」がすごいワケ

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ピックアップ:Amazon Dash Cart ニュースサマリー:米Amazonは13日、キャッシャーを必要としないスマートショッピングカート「Dash Cart」を発表した。Dash Cartは同社アプリを通しQRコードをスキャンし、専用バッグを置くことで利用を開始できる。最終的な会計・決済は、専用出口「Amazon Dash Cart Lane」を通ることでアマゾンアカウントから自動的に引き落…

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Image Cerdit : Amazon Dash Cart

ピックアップ:Amazon Dash Cart

ニュースサマリー:米Amazonは13日、キャッシャーを必要としないスマートショッピングカート「Dash Cart」を発表した。Dash Cartは同社アプリを通しQRコードをスキャンし、専用バッグを置くことで利用を開始できる。最終的な会計・決済は、専用出口「Amazon Dash Cart Lane」を通ることでアマゾンアカウントから自動的に引き落としされる仕組みだ。

話題のポイント:以前書いたレポート『Amazon Goにみる「OMO戦略」を紐解く』でも触れたように、以前からAmazonGo・WholeFoodsに引き続き新ブランドのスーパーマーケットをAmazonが模索中であったことは明らかでした。

実際に、今回発表されたスマートショッピングカート「Dash Cart」は報道されていたLAの郊外Woodlands Hillsに新設される食料雑貨店へ試験的に導入されるとされています。

一見すると、無人コンビニAmazon Goの「レジを通さずシームレスな購買体験」という観点ではあまり違いがないように思えます。例えば、Amazon Go店舗においても入り口でQRコードをスキャンし、専用レーンから出口を通るというフローなため、Dash Cartの流れとの差はありません。

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Image Cerdit : Amazon Dash Cart

しかし、店舗側に立ってみると大きな違いが見えてきます。前者は店舗内にセンサーなどのインフラ整備が絶対必要なのに比べ、Dash Cartはカートそのものがセンサーの役割を果たすことができる設計となっています。

そのため、Amazonの自社ブランドWhole Foodsでいずれ導入されることはほぼ間違いないと思います。また、Amazon Goのようにセンサーインフラの実装コストがないことからも、他施設への技術提供を進めていく可能性も高いといえます。

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Image Cerdit : Amazon Dash Cart

特に利用方法も難しくなく、バーコードをスキャンすると自身のAmazonアカウントへ商品が追加されていく仕様です。エラーがあれば、オレンジ色に点滅し教えてくれます。バーコードや、重さによって値段が変わる商品はDash Cartに付属するスクリーンで「PLU(Price Lookup)」と表示されたボタンを押せば簡単にカートへ追加することが可能です。

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Image Cerdit : Amazon Dash Cart

そもそも、アメリカの生鮮食料品店では、セルフレジが発達しており、こうしたセルフチェックアウトへの抵抗は年齢を問わず皆無と思います。また、COVID-19対策という観点においても大行列や人と接する可能性が高くなる「有人レジ」は避けるトレンドになっており、Amazonにとってはタイムリーなスマートショッピングカートの導入となりました。

さて、Whole Foodsにおいては、プライム会員なら無料で利用できる生鮮食料品のデリバリーが盛んな印象です。その際、Dash Cartがあればデリバリーの担当や商品を詰める担当はその場で全ての決済をシームレスに行える利便性が享受されることになるでしょう。また、細かいオーダーリストなどもスクリーン上で確認できるため、非常に効率が増すといえます。

Dash Cartは感覚的な「シームレスな購買体験」の利便性という面では、確かにAmazon Goと似ていると思います。しかし、本質的な価値創出は店舗という観点で違ったポイントにあると感じます。もちろん、両者が相互にポジティブに影響を与えることもあると思いますが、基本的にはお互いが別のルートで成長を遂げていくのではないでしょうか。

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映像視点の民主化を目指す「SwipeVideo」、長友佑都氏らが支援

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ニュースサマリー:マルチアングル・自由視点映像の配信技術「SwipeVideo(スワイプビデオ)」を開発・運営するAMATELUSは26日、プレシリーズAラウンドでの資金調達を公表した。投資家にはプロサッカー選手の長友佑都氏、ちばぎんキャピタル(ひまわりG4号投資事業有限責任組合)、山口キャピタルや個人投資家らが参加している。調達額は非公開。 同社は2017年1月創業。配信者による一方的な映像配信…

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ニュースサマリー:マルチアングル・自由視点映像の配信技術「SwipeVideo(スワイプビデオ)」を開発・運営するAMATELUSは26日、プレシリーズAラウンドでの資金調達を公表した。投資家にはプロサッカー選手の長友佑都氏、ちばぎんキャピタル(ひまわりG4号投資事業有限責任組合)、山口キャピタルや個人投資家らが参加している。調達額は非公開。

同社は2017年1月創業。配信者による一方的な映像配信ではなく、ユーザーの需要に応じたマルチアングル視点の自由なスイッチングを可能とするアプリケーションを提供。国際特許を取得し、昨年末には民法テレビ局で同技術が採用されるなどの実績を持つ。

話題のポイント:6月19日に約3カ月遅れで日本プロ野球が開幕し、久々に日本にスポーツの熱狂が戻りつつあります。試合自体は感染防止のため無観客で行われているものの、今までカメラが入れなかった客席アングルからの映像を放送するなど、実際に観戦しているような熱狂の「リアリティー」体験を追求しようという動きが生まれています。

このようなエンターテイメントのマルチアングル化は、近年あらゆる分野で導入される傾向にありました。

例えば海外に目を向けると、NFLやMLBなどでは360度のパノラマアングル映像がチャレンジの際に活用され、スポーツエンターテイメント領域における単一視点からマルチアングルへの変化は着実に進んでいる印象を受けます。

しかし、自由視点映像はあくまでコンテンツの一部として導入されているのが実情です。つまり、映像選択自体に「自由」はなく、マルチアングルへ切り替える「スイッチング権限」は放映側が持ち続けています。

こうした、ユーザーが任意にアングルを選べる仕組みが一般化されていない背景には、受信側・閲覧側のデータ処理が非常に重いことが挙げられます。視聴ユーザ各自が自由に視点を選ぶような体験は、5G環境が前提とされているということでしょう。

では現在のインフラとデバイスで、本当の意味で「自由視点映像」を実現することはできないのでしょうか?この問題を解消し、映像視点の民主化を実現させているのが「SwipeVideo(スワイプビデオ)」を開発・運営するAMATELUSです。

同社では「VOD (Video On Deman)からVOD 2.0 (View On Demand)」をキーフレーズに、一人一人のユーザーが本当に見たい景色を自由に選択できる Switching Free を掲げたテクノロジーを提供しています。これは、視聴者がWeb上またはアプリから左右へスワイプするだけで、自由な視点スイッチングの体験を味わうことができるというものです。

SwipeVideo の直近利用例では、ミュージシャン、ナオト・インティライミさんの過去に実施したライブ映像をマルチアングル化させ、ファンクラブサイト限定で配信したことが大きな反響を呼びました。このように、過去の映像であっても自由視点映像を生み出すことができるのは大きな強みだと思います。

また、今回同社の調達ラウンドへ参加した長友佑都氏はリリースにて「サッカーでファンの皆さんが視点を自由に選べることができたら試合の楽しみ方も増える」とコメントを寄せてより、同社技術を活用したスポーツ観戦における視聴体験アップデートなど、様々な利用も想定できます。

そのためにも、既存エンターテイメント事業者やテレビ局との繋がりは重要となるでしょう。その布石として、同社は今年3月に電通との業務提携を発表し、あらゆる分野・映像の改革へ乗り出しています。

同社創業者でCEOの下城伸也氏はプロカメラマンによって撮影されたライブ映像を、後から自由視点化し配信することの面白い一つの例として「ワンフレームごとにおける “視聴率”を算出できる仕組みがある」と語っています。

「例えばミュージシャンの例では、過去のライブ映像をマルチアングル化し再度配信することで、アングルごとの視聴率を導き出すことが可能です。それにより、アーティスト側は誰が、そして、どのタイミングで一番見られているのかを知ることができ、モチベーションに繋がると思います。また、アングル視聴率に沿ったMVを制作することで、ファンの一番好きなアングルに最適化させたMV制作も可能となります」(下城伸也 / AMATELUS)。

このように、B向けにシステム提供を推し進める一方、今後はユーザー主体でコンテンツを作り出すUGC分野にも力を入れていくそうです。

「スマホのリアとフロントカメラを利用し、2画面を同時に撮影することが可能な『SVcam』を自社で開発しています。この機能と、SwipeVideoを組み合わせることで視聴者は自分好みのリア・フロント景色を融合させた視聴体験が可能になる」(下城伸也 / AMATELUS)。

実際に同社ではSVcamとSwipeVideoを組み合わせることで、高校バスケ「SoftBank ウインターカップ 2019」の決勝戦オープニングイベントにて、アイドルグループのメンバーが撮影者となり(自撮り画面)パフォーマンスを撮影し(フロントカメラに映る)配信する取り組みを実施しています。

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SVcamとSwipeVideoを活用した新しい視聴体験

同氏は本当の意味でVR/ARが実用レベルになるまでには、少なくとも3〜5年の月日がかかると予想しています。つまり同社ではその変化過程の通過点として「VOD2.0」があると定義し、現段階における課題解決に挑んでいるのです。

「VR/ARは概念として一般化されたのは事実です。しかし、広く多くの人が利用出来るレベルになっていないので、利用レベルでは一般化されていないのもまた事実。私たちとしては、撮影と視聴体験を、現在のインフラとデバイスで出来る事を前提にアップデートするのが直近3〜5年の指標となります」(下城伸也 / AMATELUS)。

また、「VOD2.0」を進めていく中でも、VR/ARが実用化された社会を想定し、様々なものをホログラム化できる世界も展望するとしています。世の中の視聴体験がダイナミックに変わりつつある今、SwipeVideoが挑む映像視点の民主化が視聴体験のネクストスタンダードになる可能性は大いにあるのではないでしょうか。

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スタートアップが本当に重視すべき「粗利」の捉え方

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ピックアップ:Moats Before (Gross) Margins スタートアップが本当に重視すべき「粗利」の捉え方について、Andreessen Horowitzがレポート「Moats Before(Gross)Margins」を公開している。同レポートでは、スタートアップが高い粗利率を継続しなくても安定した経営を可能とする4つの「Moats(堀)」を例に挙げ分析している。 Economie…

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Photo by Francesco Ungaro on Pexels.com

ピックアップ:Moats Before (Gross) Margins

スタートアップが本当に重視すべき「粗利」の捉え方について、Andreessen Horowitzがレポート「Moats Before(Gross)Margins」を公開している。同レポートでは、スタートアップが高い粗利率を継続しなくても安定した経営を可能とする4つの「Moats(堀)」を例に挙げ分析している。

  • Economies of Scale(規模の経済・スケールメリット)
  • Meaningful Differentiated Technologies(意味のあるテクノロジー優位性)
  • Network Effect(ネットワークエフェクト)
  • Direct Brand Power(ブランド力)

もちろん、スタートアップが利益を重要視しなくていいという主張ではない。利益が立たなければ、そもそも企業経営は続かないし、R&Dやマーケティング費用等へのキャッシュフローが回らず、悪循環に陥る。

むしろ、上記にあげたような「Moats」が前提にあるからこそ、高い利益率は自然とついてくる性質にある。つまり、粗利の高さが「Moats」となり安全な企業経営を出来るのではなく、注目すべきなのは「Moats」を如何に構築していくかであって、ゴールのないR&D・マーケティングではないということだ。その一例にAppleを取り上げ、同社の粗利率は38%のみであることを指摘している。

以下で、それぞれのMoatsに関する詳細をまとめた。

Economies of Scale

Economies of Scaleの顕著な例として、Amazonの流通ネットワークが挙げられている。絶対的な経済規模を構築し、コスト面で優位性を獲得することでユーザー視点で見れば「そのプロダクトを利用する意味」を自動的に生み出すことが可能となる。これが、生産可能量の絶対数増加に伴うコスト優位性を意味するEconomies of Scaleだ。

では、Economies of Scaleを自社が得ているかの判断基準はどういったものになるのか。レポートでは以下のようにまとめられている。

  • 単価コストが競合より「確実かつ明確に」低くなっているか?
  • ユニットエコノミクス(最小単位あたりの収益性)を下げず、単価コストが成長しているか?
  • サプライヤー・バイヤーに対する「明確な交渉材料」を持っているか?

「交渉材料」を市場から獲得した例には「Spotify」が挙げられる。確かに同社はテイラースウィフトなどのアーティストと、音楽に対する捉え方の違いから問題を抱えていた過去があった。しかし、Spotifyは今や5000万曲以上のコンテンツまでスケールさせ、アーティストとの明確な交渉材料を手にしはじめている。

Meaningfully differentiated technology

経営者として「明確な」テクノロジーの違いを導くためには、プロダクト機能や性質のどの1点にフォーカスした差別化に取り組んでいくかがキーとなる。多くの企業は自社の技術が「飛びぬけて素晴らしい」と信じているため、それを別の角度から表現していくことが重要となる。

  • その技術・プロダクトはIP(Intellectural Property: 知的財産、特許など)を取得しているか?
  • 競合より価格設定が多少高くても、その技術に投資するユーザーから選択してもらえるか?

Network effects

粗利が低くとも、なぜ成長を遂げることができるのかに対する答えが「ネットワーク・エフェクト」です。UberやLyftなどのデジタルマーケットプレイスのスタートアップの成長過程をその代表例に挙げる。ネットワーク・エフェクトが自社プロダクトに生じているかは、「ユーザーエンゲージメント」・「マネタイズ」の2点から判断できるとしている。

  • ユーザー数が伸びるのと並行して、ユーザーエンゲージメント(DAU/MAUなど)に成長はみられるか?
  • プラットフォームにおける需要と供給にオーガニックグロース(自律的成長)がみられるか?

Direct brand power

「強い」ブランド力の構築には「カルト的信者」をどのように長期的目線で集めていくかが重要となってくる。もちろん、そうしたブランドの構築には資金投入が求められるが、必要資金と捉えるより投資と捉えリターンを求めるべきであるとしている。

  • 売り上げのトラフィックが常に「Organic > Paid」となっているか?
  • 初期のCAC率(Customer Acquisition Cost: 顧客獲得費用)は継続的に下落傾向にあるか?

実際、スタートアップを経営するうえで上記にあげたような「Moats」は知らないうちにマーケティング施策に取り組まれていることが多いと感じる。だからこそスタートアップ経営としてトップがこういったオーダーを重視すると、自然にこれ自体が一つのMoatsとなり、スタートアップのDefensibilityへと繋がるのだと思う。

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個人ECをノーコードでアプリ化する「Appify」、100万店舗のBASEと提携

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ニュースサマリー:ノーコードで簡単にアプリを開発できる「Appify(アッピファイ)」を開発・運営するD Technogiesは6月16日、ネットショップ作成サービス「BASE」との提携を発表した。BASEは既にショップ開設数100万店を突破している。 同パートナーシップにより、BASE上のショップオーナーはシームレスにオリジナルアプリを作成可能となる。利用料金は月額4,980円で、BASEの拡張…

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ニュースサマリー:ノーコードで簡単にアプリを開発できる「Appify(アッピファイ)」を開発・運営するD Technogiesは6月16日、ネットショップ作成サービス「BASE」との提携を発表した。BASEは既にショップ開設数100万店を突破している。

同パートナーシップにより、BASE上のショップオーナーはシームレスにオリジナルアプリを作成可能となる。利用料金は月額4,980円で、BASEの拡張機能「BASE Apps」からAppifyをインストールすれば利用可能だ。

話題のポイント:COVID-19以降、私たちの生活は着実に、かつダイナミックに変化を遂げつつあります。企業の在り方にも大きな影響を与え、例えば米国ではTwitter社が半永久的なWFH(Work From Home)体制へシフトしたり、スターバックスがサードプレイス提供型からピックアップ型へカルチャー変化を進めるなど、目に見える形でニューノーマルへの適応を始めています。

中でも消費行動は大きく変わりました。Bank of America・米国商務省のデータに基づく投資ファンドShawSpringの調べによれば、米国におけるEコマース普及率は2019年末まで16%程度だったのに対し、パンデミック以降ECの相対的な需要・供給は増加し、2020年4月末には約11%増の普及率27%へと急上昇を遂げたことを明らかにしています。

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Bank of America, U.S. Department of Commerce, ShawSpring Research

D Technologies代表の福田涼介氏は、EC向けノーコードツールサービス立ち上げの背景を「これまでインターネットでの販路を必要としてこなかった業界でもネットショップ開設が急増しており、今後さらにオンラインシフトの需要は拡大していくと予想している」と、今回BASEとの提携に至った経緯を明らかにしています。

確かに、海外に目を向けてもFacebookがShopifyなどと提携し、個人が簡単にECサービスをFacebookページに構築できる「Facebook Shops」の提供を先月より始めるなど、販売経路のデジタルトランスフォーメーションの動きは加速度を増したと言える状況です。

「新型コロナウイルスにより、BASEのようなウェブ型ネットショップを通したデジタル販売経路の重要性が再認識され始めています。それに伴い、アプリという媒体を使い顧客のリピート率を上昇させる施策への需要は、パンデミック以前の想定より早く訪れることになると感じていいます」(福田氏)。

Adobeのレポート「The ROI from Marketing to Existing Online Customers」によれば、平均的なオンライン店舗におけるリピートユーザーは全体の8%のみにもかかわらず、売り上げ配分の41%を占めていると明らかにしています。つまり、eコマース市場におけるショップオーナーの「リピート率上昇施策」は新規顧客に対するマーケティングに比べ、店舗売り上げ向上のクリティカルな手法であることが分かります。

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The ROI from Marketing to Existing Online Customers

さて、現段階でBASEの開設店舗数は100万店舗を越えている状況です。

ショップオーナーが自身のオンライン店舗をアプリ化できれば、例えば「プッシュ通知」などを通し、積極的かつ人間味高く(メールのような一方通行なコミュニケーションではなく)ダイレクトなユーザーとのコミュニケーションが可能になります。

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特にオーナー側にとっては開発等の前提知識や、まとまった資金なしにノーコードでアプリの制作依頼まで完了できるのはメリットです。

新しいテクノロジーが生まれたときに、今までは解決が難しかった課題が突如として解決可能になる(or しやすくなる)変化が起きます。ノーコードツールが気を付けるべきポイントの一つに、利用者がそのツールのユースケースを持っているか?があると思いますが、AppifyはBASEと提携することで、インターネットで商品を販売するという既存のユースケースが持つ明確な課題に対してプロダクトを提供していきます」(福田氏)。

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ポッドキャストの97%は収益ゼロ、それでも「Podhero」が挑戦する新しいサブスクモデルとは

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ピックアップ:Meet Podhero — The Easiest Way to Support Podcast Creators ニュースサマリー:ビジネスチャットサービス「HipChat」を創業し、Atlassianに売却したことで知られるPete Curley氏は5日、新サービス「Podhero」のリリースを発表した。同サービスはポッドキャストのクリエイターサポートに特化したサブスクリプショ…

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Image Credit : Podhero

ピックアップ:Meet Podhero — The Easiest Way to Support Podcast Creators

ニュースサマリー:ビジネスチャットサービス「HipChat」を創業し、Atlassianに売却したことで知られるPete Curley氏は5日、新サービス「Podhero」のリリースを発表した。同サービスはポッドキャストのクリエイターサポートに特化したサブスクリプションサービス。料金は月額5.99ドルとされているが、内訳は4.99ドルが配信者へ還元され、1ドルは運営側の費用と明示している。同社は100万を超えるポッドキャスト配信者と提携しており、ユーザーは制限なく利用することが可能だ。

話題のポイント:コメディアンのジョー・ローガン氏がSpotifyと1億ドルの専属配信契約したことは、ポッドキャストの可能性を探る上でも大きな出来事でした。日本においても、ポッドキャストスタートアップは増えつつあり、最近では「Standfm」など配信者とリスナーの繋がりを重視したプロダクトが人気を集めつつあります。

しかし、ポッドキャスト配信者の収益構造はまだ未成熟な点が多く残されています。PodheroのMediumによれば、全ポッドキャスト番組の内97.2%は未だに収益ゼロな状況下にあるそうです。つまり、ポッドキャストのみで上手く収益化できている配信者は全体の2.8%で、これらも課金というよりは主に広告・スポンサーが主体となっているようです。

そもそも、「お金を支払ってポッドキャストを聞く」という概念はまだ根付いていないように感じます。Netflixなど、映像コンテンツとサブスクに違和感は感じませんが、ポッドキャストでは既に無課金でリッチコンテンツが充実している状況もあります。また、コンテンツ販売を目的に運営をするより、メイン事業との相乗効果を狙ったものが現状でメインを占めていると感じています。

podhero
著名VCのa16zが提供するポッドキャストには良質コンテンツが多い

もちろん、Patreonなどを利用して個別のコンテンツに対し課金制を導入している配信者もいます。しかし、ユーザー視点で考えれば、各コンテンツごとに課金するのは望ましい体験とはいえないでしょう。

Podheroでは1ドルを運営費として徴収し(Mediumには「これがなければクリエイターを支援できない」と書いています)、ユーザーの課金額4.99ドルが登録している全クリエイターへ配分される形を取っています。配分の方法については、ユーザーはアプリ内で「サポート」したいクリエイターを登録でき、その人数に応じて4.99ドルが分配される、という仕組みです。

リスナーにとってみれば、既に月額の課金額は決めていて、また気軽にクリエイターのサポートをすることが可能なため、ポッドキャストを購入するかどうかの迷いを取り払うことが可能です。一方で、一人のユーザーがサポートするクリエイターの数を多くしすぎると、分配金は減ってしまう、というデメリットもありそうです。

Image Credit : Podhero

また、仮にSpotify等で無料配信をしていたとしてもPodheroへ登録することで無料コンテンツを継続して配信しつつ、ユーザーからのサポートを受け取れるようになります。ここで興味深い点は、配信者がPodhero限定のコンテンツ作成を強制されていない点です。

つまり、今まで通り自身の好きなプラットフォームで配信を続けつつ、新たな収益源としてPodheroを利用できるということです。これは、Podheroが「あるコンテンツを聞くためのサブスク」という立ち位置ではなく、「ピュアに配信者を応援したい」ユーザーの需要を叶えるいわば寄付のような形式をとっていることが理解できます。

同社の調べによれば、92%のポッドキャストリスナーが資金的サポートにリターン(限定配信など)を求めていないとしています。もちろん、各コンテンツごとの課金となれば別でしょうが、月額5.99ドルで自分の好みの配信者を応援できるのであれば、そこまで壁は高くないといえます。

今回Podheroが提唱した、新しいポッドキャスターとリスナーのあり方は非常に理にかなっていると思います。また、Podhero上にまだ載っていないチャンネルがあったとしてもリスナーが直接Podheroへ申請することで、サポート対象へと切り替わるそうです(要審査)。そのため、配信者はファンさえいれば、気が付かないうちに収益源が生まれているという状況も生まれるかもしれません。

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トラベル業界の回復はいつ?ーーホテル事業は苦境続き、2023年まで復活見込めず【Cowen調査】

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ピックアップ:TRAVEL UPDATE: MORE RECOVERY DATA POINTS; VACATION RENTAL SURGE CONTINUES ニュースサマリー:投資銀行のCowenは8日、COVID-19パンデミック以降におけるトラベル市場推移に関するレポートを公開した。同資料によれば、Expedia傘下のバケーションレンタル「Vrbo」の検索ボリュームはYoYで昨年を上回る数…

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ピックアップTRAVEL UPDATE: MORE RECOVERY DATA POINTS; VACATION RENTAL SURGE CONTINUES

ニュースサマリー:投資銀行のCowenは8日、COVID-19パンデミック以降におけるトラベル市場推移に関するレポートを公開した。同資料によれば、Expedia傘下のバケーションレンタル「Vrbo」の検索ボリュームはYoYで昨年を上回る数値を記録したことを報告し、市場が好調な兆しをみせているとしている。

話題のポイント:夏の訪れが、バケーションレンタルを救うのでしょうか。Cowenが発表した資料では、バケーションレンタルプラットフォーマーの回復傾向が示されており、AirbnbもYoY検索ボリュームでみれば10%減ほどに抑えられているとしています。

先月Vrboを子会社に持つExpediaは、Q1決算報告書にてバケーションレンタルの大幅な失速が減損損失に大きく影響したと指摘していました。しかし、上述したようにVrboは収益とは直接関係ない検索ボリュームとはいえ、YoYで成長増を示しておりCOVID-19以降においてもバケーションレンタルの需要は変わらず安定成長の兆しがみえはじめています。

また、Bloombergによれば5月17日から6月3日の期間において、Airbnbの宿泊予約件数がYoY比較で上回ったことを明らかにしています。同社CEOのBrian Chesky氏も「StayHomeが長かった分、その反動がはっきり見え始めている」と述べており、夏の休暇も重なることで「近場」かつ、家族など少数のプライベートで時間を過ごせるバケーションレンタルに焦点が集まった形のようです。

しかし、ブランドホテルやExpediaなどのOTAはYoY検索ボリューム比が依然と60%減となっており、需要の回復はまだまだ先のようです。

同資料では、2020年におけるホテル売上高がYoY比でマイナス56%に落ち着くだろうと予想しており、徐々に回復傾向へ向かうものの2019年度のホテル売上高(部屋代のみ)への回帰には3年ほどかかると予想しています。

ホスピタリティー業界のデータ解析を行うSTRによれば、米国におけるホテル部屋稼働率はメモリアルデーが重なった5月下旬には35.4%を記録し、4月度の平均稼働率21%と比較すれば徐々に回復していることが分かります。とはいえ、彼らの中心顧客であったビジネストラベラーや団体旅行客が見込めない現状では、先行きは不透明と言わざるを得ません。

またポストCOVID-19の世界において、移動を最小限にしてローカルの魅力を探る「マイクロツアリズム」に注目が集まりつつあります。日本でいえば、個人経営の旅館などストーリー性の伴う宿泊施設はこの文脈に最適です。そうした意味でもやはり、上述したようなランダムな大衆を顧客としてきたチェーンベースのホテルは利用する意味が見いだせず、苦境に立たされる可能性は大です。

Expedia等のOTAはいくらでも市場に合わせ、その事業エコシステムを変化させられるのでしょう。しかし、不動産を抱えるホテルにとっては、ポストCOVID-19での新しい専属顧客を探る必要が出てきます。そのため、Cowenの予想に反して最速で回復の出口へ向かうには、「マイクロツアリズム」のような新しいアイデアが求められそうです。

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真のシリコンバレー・アウトサイダーが率いるa16z新ファンド「The Talent x Opportunity Fund」

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ピックアップ:Introducing the Talent x Opportunity Fund ニュースサマリー:Andreessen Horowitz(a16z)は3日、新ファンド「The Talent x Opportunity Fund(TxO)」の設立を発表した。同ファンドはa16zパートナーであるNait Jones氏によって運営される。また、初期の規模は220万ドルからで、Donor…

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ピックアップ:Introducing the Talent x Opportunity Fund

ニュースサマリー:Andreessen Horowitz(a16z)は3日、新ファンド「The Talent x Opportunity Fund(TxO)」の設立を発表した。同ファンドはa16zパートナーであるNait Jones氏によって運営される。また、初期の規模は220万ドルからで、Donor Advised Fund(DAF:財産を寄付する形式のファンド)の形となる。そのため、ファンドへの寄付者は税制上のメリットを受けることができる。

話題のポイント:a16zの新ファンド「The Talent x Opportunity Fund(TxO)」には”不当”な扱いや環境に置かれているスタートアップを対象とするという、個性的なポジションを与えています。新ファンド担当者となるJones氏は、”シリコンバレー”的なファウンダーではなく「Hidden Founder」、つまり不平等を受け機会を失っている層に焦点を当てるそうです。

Jones氏は元々、a16zから出資を受けたスタートアップのファウンダーでした。

彼が運営していたスタートアップ「AgLocal」が上手くいかず、シャットダウンする決断を下した時、Ben Horowitz氏からa16zへジョインしないか?といった連絡を受け取ります。この時、Jones氏は、Benを含むa16zのメンバーが自分を「黒人で大卒でもないアウトサイダー」ではなく「Nait Jonesそのもの」として評価してくれたことを痛感した、と語っています。

Jones氏は2017年に執筆したブログ「“Inclusion” is not for outsiders」にて、本当の「Silicon Valley outsider」とは何かについて言及しています。組織にもダイバーシティ-が求められ、スタートアップは人種・性別を問わず採用活動をしているものの、彼らが着目しているのは本質的なバックグラウンドではないことを指摘しています。

People tend to think “Hey I’m competent and I worked at Google and came out of Stanford CS so this candidate must be at least marginally competent as well”.

もちろん彼もダイバーシティを実現するため「ハーバードでCSを学んだ”女性”」や「MITでエンジニアリングを学んだ”アフリカ系アメリカ人”」をシリコンバレーの経済圏に迎え入れることを100%否定しているわけではありません。

ただ、ダイバーシティーを追い求めるすぎるとすでに機会を与えられ、誰にでも分かりやすい才能を持った者だけが輪の中に入れる「空虚な理想郷」となってしまう恐れがあります。こうした視点は彼の経験が基になっており、そうした事実を振りかざし人種や性別に差別がない「Inclusion」をアピールするのは間違いであるというのが彼の考え方です。

今回のリリース冒頭には、現在世界的な問題に発展しているGeroge  Floyd 氏の死について触れられています。法の前では「平等」にもかかわらず、法の執行者の前では「不平等」が蔓延している事実を指摘し、そういった環境や思い込みは多くの社会的弊害を生み出し、スタートアップエコシステムにもある種の距離や幅の狭さを生み出す要因になっていると語っています。一方で、こうした社会的問題に影響された突発性のものではなく、6カ月ほど前から計画的に取り組んでいたプロジェクトであることも明らかにしています。

本質的なシリコンバレーにおけるアウトサイダー(本人はTHIS is the profile of a Silicon Valleyと表現)のNait Jones氏が率いる新ファンド「The Talent x Opportunity Fund」が、ただの表面的なアピールではなく、本気でアクションを起こそうとしていることが強く伝わる動きなのではないでしょうか。

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