THE BRIDGE

Taishi Masubuchi

Taishi Masubuchi

1996年東京生まれ。シンガポールでの高校生活、米シアトルでの大学生活を通し、いつの間にかテクノロジーが好きに。現在はブロックチェーンリサーチャーとして活動。個人で、イーサリアム関連のプロジェクトに多く関わる。ブロックチェーン以外でも、東南アジア、北米(シアトル中心)のスタートアップの動きに着目。ジャーナリズムを通した小さなムーブメントを乱発し続けるために記事執筆。旅行をもっとしたくなるような、"位置"に価値を付けていく事業考案中。旅が好きです! Twitter - @taiseaocean

執筆記事

MSが考える社会起業家のクライテリア(基準)とは

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<ピックアップ> Creating a world of good: Microsoft launches the Global Social Entrepreneurship program ニュースサマリー:米マイクロソフトは21日、社会起業家向けプログラム「The Global Social Entrepreneurship program」を発表した。同プログラムは環境・社会問題に挑む起業…

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<ピックアップ> Creating a world of good: Microsoft launches the Global Social Entrepreneurship program

ニュースサマリー:米マイクロソフトは21日、社会起業家向けプログラム「The Global Social Entrepreneurship program」を発表した。同プログラムは環境・社会問題に挑む起業家を対象としたもの。応募対象は世界140カ国で、採択されると助成金をはじめ、Azure クラウドのクレジット12万米ドル相当 、GitHubやVisual Studioエンタープライズ版の技術提供を受けることが出来る。

また、MIT(マサチューセッツ工科大学)が運営する社会起業家マーケットプレイス「MIT Solve」とのパートナーシップも発表されている。

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話題のポイント:マイクロソフトが新たに開始した社会起業家スタートアップに特化したインキュベーション事業は、既に同社が長年取り組んでいるMicrosoft for Startupsの一環です。

同社ブログでは、発表されたプログラム「The Global Social Entrepreneurship」にふさわしいクライテリアについて以下3点が挙げられています。

  1. 重要な社会的・環境的課題に対し、提示するソリューションがいかに解決へと導くか計測可能であり、
  2. 既にエンタープライズ企業への恩恵を前提としたプロダクト・サービスを展開しており、
  3. AIの事業応用に際し倫理的かつ責任ある使用にコミットメントを持っている

また、同社ホームページではさらに細かいクライテリアについて触れられています

  1. デジタルトランスフォーメーションを促進するテクノロジーソリューションを持つ
  2. 創業から7年以内である
  3. 年間総売り上げが25万ドル以下である
  4. ラウンドが、シード、シリーズA、B、Cのいずれかである

さて、プログラムが求める例には、上述したMIT Solveに採択された「OmniVis」が挙げられています。同社は、スマートフォンを通して感染病や秒検体の検出を低価格で行えるというもの。代表的なものでは、コレラ病原体の検査を数分で、かつ10ドル以下で実施できることで知られています。

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また、別の例ではオーストラリアを起点に始まった海中のゴミ(マイクロプラスチック)を収集するデバイスの開発に挑む「Seabin Project」が挙げられています。同プロジェクトは2018年にTimes誌の「One of the World’s 50 Best Inventions」にノミネートされ、海上汚染対策テクノロジーの一社として国連から表彰を受けています。

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社会起業家の流れは特に若者世代を中心に広がりつつある印象です。デロイトが2018年に公開した調査「Human Capital Trends 2018」では、86%のミレニアル世代が社会問題を中心にビジネスを考えたいと述べたと触れられています。

今回のマイクロソフトが率先するプログラムでは、最終的なエンタープライズのDX(デジタルトランスフォーメーション)へ繋がるミッションが根底にあると感じます。社会起業家がソーシャルインパクトを求めつつも、持続性のあるプロジェクトを作り出すプラットフォームとして、マイクロソフトの役割は重要となってきそうです。

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会員制で即入居、退去は3日前でOK「Life as a Service」という考え方

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<ピックアップ> Next Chapter For Shipt Founder: Landing, A Flexible Leasing Startup That Just Raised $30M ニュースサマリー:フレキシブルな賃貸契約サービスを提供する「Landing」はシリーズAにて2000万ドルの資金調達を実施したことを発表した。Greycroft がリード投資家を務め、Maveron、A…

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<ピックアップ> Next Chapter For Shipt Founder: Landing, A Flexible Leasing Startup That Just Raised $30M

ニュースサマリー:フレキシブルな賃貸契約サービスを提供する「Landing」はシリーズAにて2000万ドルの資金調達を実施したことを発表した。Greycroft がリード投資家を務め、Maveron、Abstract Venturesも同ラウンドに参加した。

同社は年間199米ドルのメンバーシップ費を払うことで、Landingが保有する家具付き住居にデポジットなく、最短1カ月から入居できるサービスを展開している。同社が所有する物件間における移動であれば、3日前の通達で引っ越しができるフレキシブルさが際立つ。

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Landingでは不動産会社やアパートメントオーナーと直接交渉をし、物件を所有しない又貸しの方式を取る。そのため、利用者は厳しい賃貸契約や水やガスなど諸契約を必要としない。

話題のポイント:Landingは2019年にBill Smith氏によって創業されたスタートアップです。同氏は、日用品デリバリサービス「Shipt」の創業者でもあり、2017年末に5億5,000万米ドルでTargetへ売却に成功しています。

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さて、そんなシリアルアントレプレナーのSmith氏は同サービスを〝Living as a Service〟のカテゴリに相応しいと述べています。同カテゴリーの代表格として、民泊運営のZeus、WhyHotelやSonderなどが思い浮かびます。

<参考記事>

Smith氏はLanding創業に至ったきっかけとして、自身の引っ越し経験が基になっているとブログで語っています。サンフランシスコへの引っ越して実際に感じた、あまりにも時代遅れな賃貸市場の考え方、電気・ガス・水道を一からドキュメントベースで契約しなければならない煩わしさが挙げられています。

加えて、いわゆる〝アメリカンドリーム〟は既に進化を遂げていると表現し、若年層と賃貸市場が求める「契約形態」に大きな隔たりがある点も指摘しています。

賃貸市場では主に年単位での契約が当然であるものの、人口割合の高くなる若者世代は住む場所も短期から選べる方が需要が高くなることを意味しています。まさに、LaaS をこれからの世代に提供していくための大きな観点です。

The current rental market is strikingly outdated. It’s still primarily offline, and renters get locked into lease commitments that don’t fit the reality of their lives. The “American Dream” is evolving, with younger generations delaying home buying (or forgoing altogether) and focusing on their careers instead of settling down. The average millennial is moving every two years, which is not only disruptive but also extremely costly.(Bill Smith 氏のブログから)

さて、メンバーシップ制ではないものの、同様サービスとして日本に昨年から登場したのがインド発OYOの新サービス「OYO LIFE」です。日本独特の礼金がないのは当然のこと、敷金も仲介手数料もかからずフレキシブルな契約形態を取れることが魅力とされ注目を集めていました。

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しかし、同社は昨年末にヤフーとの合弁会社を解消しSNS上でも対応の悪さを指摘されるなどあまり調子は良くない印象を受けます。実際、筆者も日本滞在時に3カ月ほどOYO LIFEを利用していました。もちろん、住宅としての満足度(入居までのフレキシビリティー)は高かったものの、LaaSとしての最終的な満足度は満足いくものとは全くなりませんでした。

これは、OYO LIFE事体に問題があったというより、日本支社に LaaSの概念が浸透しきれていなかったために起きた利用者とのギャップなのではと今は感じています。

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実際に受け取ったメール

1つ例を挙げるならば、住居退去時の立会いが求められていた点があります。ある意味で  LaaS の利用者は煩雑な作業にかかる時間をお金で買っているともいえるので、退去の立会いが求められるのは、やはりコンセプトからずれが生じているのではと感じてしまいます。

とはいえ、ショートタームでの賃貸をシームレスに体験できる同社のコンセプトは必ず需要が伸びると想定でき、利用者も増えていくことに間違いはないでしょう。

さて、Landingに米国国内で拡大を続け、既に13の都市でサービスの利用が可能です。
さらには今後グローバル展開を目指していることは既に公言されています。彼らがグローバル展開を進める中で、いかにLaaS を通して成し遂げたいビジョンやミッションを支社に現地に合わせた形で共有し、各国の若者の需要を獲得できるのか、注目していきたいと思います。

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とりあえず高級住宅に住める「住宅のサブスク」ZeroDown、シアトル進出

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ピックアップ:Y Combinator grad ZeroDown opens Seattle office to tackle pricey housing down payments ニュースサマリー:不動産テック「ZeroDown」は1月17日、本社を置くサンフランシスコに次ぐ第二のサービス展開都市としてワシントン州・シアトルへの進出を果たすことを発表した。同社はこれまでに、Y Combin…

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ピックアップ:Y Combinator grad ZeroDown opens Seattle office to tackle pricey housing down payments

ニュースサマリー:不動産テック「ZeroDown」は1月17日、本社を置くサンフランシスコに次ぐ第二のサービス展開都市としてワシントン州・シアトルへの進出を果たすことを発表した。同社はこれまでに、Y CombinatorやGoodwater Capital、 Credit Suisseから総額1億ドル越えの資金調達(デッドファイナンス含む)に成功している。

ZeroDownは高級一軒家を頭金なく分割払いで購入可能なプラットフォームを展開。一般的なローンでなく、自宅の価格から算出される金額を2年間分割で支払うシステムを取る。買わない場合は支払額の50%をキャッシュバックする選択も可能で、2年間実際にお試しで住んだ後、購買の意思を決めることができるのが特徴。

頭金とは別に初期費用として1万ドルまたは1万5000ドルの支払いが必要。費用に応じて月額の支払額に差が出る仕組みを取る。なお、月額料金は市場価格の変動に左右されず初期値から変更されることはない。

話題のポイント:California Association of Realtorsのデータをもとに不動産企業「Compass Real Estate」が算出した資料によれば、ダウンタウン・サンフランシスコ近郊にて一軒家・コンドミニアム(中層物件を想定)を購入するためには、約34万ドル(日本円で約3700万円の年収)の収入が必要と示しています。

Median Income

この指標はサンフランシスコ市内における物件の「中央値」なことも特筆すべき点です。数個の高級物件が平均値を上げているのでなく、あくまで中央値なため、総じて約34万ドルほどの収入がないと基本的な生活を送れないということを意味します。

ZeroDownは物件価格が高騰する背景に対してソリューション提供をしています。初期サービスフィーはかかるものの、物件の購入自体は同社が代わりとなって対応し、ユーザーはZeroDownから物件を賃貸します。

物件の購入ステップを踏んでいるにもかかわらず金利が高いローンを組まず「とりあえず入居」を最低限の資金で始めてしまうことを可能としています。この「とりあえず」の環境を整えるという点を踏まえれば、WeWorkのモデルと似ているといえます。

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WeWorkはフリーランスや小規模の事務所からの需要が多いですが、大企業の海外進出の際「とりあえず入居」することが可能なオフィスとしての需要にも応えています。敷金や礼金がなく、基本的な家具が準備されている「環境」を即日から得られるとあれば、多少家賃が高くとも短期的には問題はない思考になります。

ZeroDownも「便利・お得」といった感覚を上手に利用しているといえるでしょう。自宅購入のようなまとまった金額が必要だった従来の概念を取り払うことに成功しています。

お試し感覚で住み始めることができるモデルは、物件購入におけるユーザーの負担を限りなく取り除けている「住宅のサブスク」と言えるのではないでしょうか。なかでもZeroDownの住宅サブスクモデルが優れているのは、住み始めてから5年以内であれば退去できる選択肢を準備している点にあります。住宅購入をしないと選択した場合でも、月額で支払っていたサブスク料金の50%はキャッシュバックされることも大きな利点となります。

購入する場合には今まで払っていた月額のサブスク額を全て購入資金として充てることが可能です。ただし、自宅の総額は同社が購入した時点より年間最低3.3%が上乗せさせられるそうです。そのため購入の意思を示す人は比較的少ないのでは、と感じました。

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さて、自宅を所有するためのサブスクリプションモデルの観点では、同じくYC卒業生の「Rent the backyard」が近い構造だと思います。同社は既に自宅を所有しているユーザー向けに裏庭に新たな住居を建設し、Airbnbなどの民泊として利用する機会を提供しています。建設に際し前金などはなく、所有権を月額で買い戻していく仕組みです。

こうした住宅のサブスク化は、米国で深刻となっている住宅価格の高騰という社会問題に対する明確なソリューションです。特にサンフランシスコやシアトルの住宅価格高騰はテック企業がもたらしたものと言われており、これを揶揄した「The Google Bus」という歌もリリースされるほどです。

サンフランシスコと同じ西海岸のシアトルも、住宅価格は高騰を続けていることは下のグラフで一目瞭然です。

Seattle Real Estate Prices

今回シアトルへの進出を果たしたZeroDownですが、シアトルには同社に似た事業を行うスタートアップ「Flyhomes」が本拠地としています。ZeroDownと同じように、物件購入に際するキャッシュフローに対してソリューション提供をしており、既に1500件以上もの利用実績を誇っているとしています。

シアトルでは、オンライン型の不動産検索・データベースとして成長を遂げてきたZillowやRedfinも本拠地としており、リアルエステートのコミュニティーも活発な印象です。既にエンタープライズの域に達している先駆者と、新しい形の社会課題解決型のスタートアップが見事にコラボレーションし、より住みやすい街に変化を遂げていくことが望まれます。

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カード番号入力とおさらば、VISAの「Click to Pay」

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ピックアップ:Participation in Visa Token Service Hits Major Milestone as Digital Commerce Expands ニュースサマリー:決済大手「VISA」は1月14日、同社が提供するVisa Token Service (VTS)におけるeコマース取引高が合計1兆ドルを記録する予定であることを発表した。同サービスは消費者の個人情報…

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Image Credit: VISA

ピックアップParticipation in Visa Token Service Hits Major Milestone as Digital Commerce Expands

ニュースサマリー:決済大手「VISA」は1月14日、同社が提供するVisa Token Service (VTS)におけるeコマース取引高が合計1兆ドルを記録する予定であることを発表した。同サービスは消費者の個人情報を保護しつつ、デジタル決済のプロセスをトークン化させる取り組みである。16桁のカード番号や有効期限、セキュリティコードをトークンにして決済を簡素化させる。

VTSでは主に3つのツールを提供する。トランザクションに必要なトークンの生成から管理までできる「Visa Token Vault」、トークンのマネジメントを可能とする「Token Management Tools」、不正利用時にトランザクションの管理が可能な「Visa Risk Manager」の3つで構成される。

同社プレスリリースによれば、1月21日より北米におけるオンライン決済の新機能「Click to Pay with VISA」が現在Visa Checkoutを利用する店舗向けにリリースされる。同機能により消費者は、カード情報を入力することなく商品を購入することができる。

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話題のポイント:Adobeが公開した「2019 Holiday Shopping Trend」によれば、2019年の11月1日から12月31日までのeコマース市場は1438億ドル(2018年は1260億ドル)の取引高を記録したことが示されています。また、オンラインショッピングが最も1日で多くなる日の一つ、サイバーマンデーでは昨年比で19.7%の伸びとなる94億ドルを記録したとしています。こうした点から、eコマース市場はまだまだ成長段階であることがわかるでしょう。

今までVISAはオンライン決済手段としてVISA Checkoutを提供しています。しかし、毎回クレジットカードの16桁番号やCVCの入力のためにカードをわざわざ取り出して確認する必要性がありました。もちろん、Chromeなどにカード情報を保存していれば自動入力されますが、それでも新規利用のサイトだったり、有効期限、CVCの入力が求められることが多くあり、体験面ではやや改善したいところです。

今回VISAがVisa Checkoutを廃止して切り替えを実施する『Click to Pay』は、従来フローの更なる短縮化に成功してます。クリックのみで16桁の番号や、その他購入に必要な縦長フォームの入力をショートカットすることができるようになります。

また、Visa Token Serviceは『EMVCo Tokenization Specificification 』と呼ばれるオンライン決済におけるトークンの仕様やシステムの要件に準拠しています。同スタンダードは、Europay、 MasterCard、Visaによって制定されており、トークン決済以外にもコンタクトレスやQRコード決済の標準も定めています。

そのため、Click to PayでもVisa Token Service(VTS)が利用されることになるでしょう。以下が、Visaによるトークン決済の仕組みを現したものになります。

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上図からもわかるように、Step4にて消費者のカード番号をトークン化(unique digital identifier)をさせることでカード情報が特定されない仕組みを作り出すことに成功しています。

さて、Visaは先日ブロックチェーンスタートアップの「Plaid」を買収するなどして、新しい技術を大きく活用した決済インフラのアップグレードを目指していることが明らかになりました。ちなみにブロックチェーンを利用したペイメントインフラでいえば、既にB2B領域で事業展開を開始しています。

Diagram showing how Visa B2B Connect works: Company A, arrow pointing right,  Bank A in Australia, Visa B2B Connect circle connecting Bank A to Bank B in Japan, arrow pointing  right, Company B.

B2B向けサービスは「Visa B2B Connect Network」と呼ばれ、ブロックチェーンを一部に利用し、国際的な決済プラットフォームとしての役割を担っています。取引の透明性や安全性が特徴として挙げられていますが、最も注目されていた点は直接取引が可能となる点です。

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従来、国際取引を行う際はSWIFTを利用したコルレス銀行(Correspondent Bank:仲介銀行)を通した形での送金が一般的でした。VISAのB2B Connect Networkでは、上図で言うOriginating BankとBeneficiary Bankを中継なしで直接つなげることを実現しています。Visa以外にもこうした事例は数多く登場しており、国際送金スタートアップ「TransferWise」が分かりやすい事例でしょう。

Image Credit: McKinsey

VisaはPlaidの買収以降も積極的にフィンテック企業とタッグを組み始めており、15日にはオンライン決済における独自のセキュリティー技術を提供する「Very Good Security」へ出資を決めています

McKinseyが2018年に公開したデータによれば、グローバルの資金移動は年々増加傾向にあり、2023年までに前年比で平均6%の成長率が見込まれると示しています。

このように、VISAではB2B、B2Cに関わらずシームレスな送金、決済の体験をアップデートしている様子が伺えます。今回の「Click to Pay with VISA」の施策が拡大すれば、消費者からビジネスまで、世界的なお金の流れよりスムーズになりそうです。

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「自分は出社、お部屋はフリーランスに貸して稼ぐ」、この発想はマイクロステイの概念を変えるぞ

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ピックアップ:By-the-hour hotel booking site ByHours adds €8M to launch U.S. operations ニュースサマリー:ホテルブッキングを運営する「ByHours」はベンチャーラウンドにて880万ドル(800万ユーロ)の資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはメキシコに本拠地を置くAngel Venturesが参加している。 同社は…

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ピックアップ:By-the-hour hotel booking site ByHours adds €8M to launch U.S. operations

ニュースサマリー:ホテルブッキングを運営する「ByHours」はベンチャーラウンドにて880万ドル(800万ユーロ)の資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはメキシコに本拠地を置くAngel Venturesが参加している。

同社はビジネス旅行者向けに、短時間の利用を目的とした宿泊施設の予約プラットフォームを提供。最低利用時間は3時間から。最大12時間まで利用することが出来る。

ByHoursによれば、2012年のサービスローンチ以降、合計100万時間を超える貸し出しに成功し、2,200万ドルの利益をもたらしたと述べている。

話題のポイント:ByHoursの本拠地はスペイン・バルセロナですが、既にヨーロッパ各国のみならず、メキシコや中東にまでサービス展開を進めています。同社によれば、今回のラウンドで調達した資金を用いて米国に進出するとしています。ヨーロッパ発のホスピタリティ-系スタートアップが、EU圏を足掛かりにグローバル展開することは珍しくないですが、南米と中東を経由しているのはとても特徴的です。

さて、Airbnbの台頭でホテル業界は変革を迫られているといわれますが、絶対数的なマーケットシェアを見れば、当然ですが圧倒的に伝統的なホテルがシェアの多くを占めています。

Infographic: Airbnb Is Making a Dent in Sales for Major Hotel Chains | Statista
Statista

こちらのデータによれば、2018年の主要ホテルの市場シェアを合算すると70%程のシェアを誇っています。ただ、2013年頃の94%と比較すると、いかにAirbnbが市場を飲み込みだしているかが分かります。昨年にはマリオットが民泊事業の初手として「Homes and Villas by Marriott International」をローンチし、ハイエンド向けのバケーションレンタルとして話題になりました。

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Homes and Villas by Marriot International

ByHoursによる短時間滞在「マイクロステイ」の提供は、ホテルを「カフェ化」させているともいえます。たとえば、高級ホテルのロビーにはアフタヌーンティーを楽しめるカフェがあったりしますが、通常短くても1時間、長くて3時間ほど過ごすことも珍しくないでしょう。これをホテルの室内として提供することで、時間価格を上げつつも満足度高い環境を提供できているといえます。

ところで、ホテルの1室をカフェとして提供が可能であるのであれば、個人の部屋も貸し出せるのではと考えるスタートアップがY Combinator卒業生の「Recharge(現Globe)」です。彼らは分単位で個人の部屋を仮眠用やパソコン作業向けに貸し出せるマーケットプレイスを運営しています。

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自宅にいないときに気軽に部屋を貸し出せるというコンセプトでは、以前紹介した「Leavy.co」と類似しています。同社では、旅に出ている期間のみ自室を誰かに貸し出せるエコシステムを形成していました。

<参考記事>

対して「Globe」は、オフィスワーカーが毎日フリーランスへ自宅を作業場として貸し出すといった視点を元にコンセプトが作られています。日常的に利用してないスペースを簡単に「マイクロステイ化」させることを目指しています。

Airbnbが一般化されたことで自宅に家族でも友人でもない「誰か」が滞在することが特に不思議でなくなりました。ByHoursのようにホテルのような既存宿泊施設を時間単位で貸し出すことや、Globeのように個人の空間を貸し出せる環境が整えば、新しい概念の「民泊」が誕生するのではと思います。

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Amazonが仕掛ける「手のひらPay」に見る、“ペイ戦争”の戦い方

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ピックアップ:Here’s how Amazon’s rumored pay-by-hand tech could work ニュースサマリー:アマゾンは同社が独自に開発を進める「手のひら払い」システムを一般リテール向けに導入展開を進める考えであるとWSJが報じている。アマゾンは、昨年12月26日に米国特許商標庁へ生体認証デバイスに関する申請資料を提出していた。 同システムは生体認証デバイスにより…

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ピックアップ:Here’s how Amazon’s rumored pay-by-hand tech could work

ニュースサマリー:アマゾンは同社が独自に開発を進める「手のひら払い」システムを一般リテール向けに導入展開を進める考えであるとWSJが報じている。アマゾンは、昨年12月26日に米国特許商標庁へ生体認証デバイスに関する申請資料を提出していた。

同システムは生体認証デバイスにより、「手のひら」とクレジット・デビットカードの情報を結びつけるというもの。WSJによれば、アマゾンは同技術をクレジットカード会社と協力し個人情報保護の扱いに注力し開発を進めているという。

話題のポイント:アマゾンがインターネットから実店舗へ誘導させるOMO(Online Merge Offline)戦略に注力していることは、AmazonGoやWhole Foodsを例にとり、以前ご紹介した通りです。

特許資料には、自動コンビニAmazonGoの開発に大きく関わっているとされるメンバーの記載があるため、同店舗への導入可能性が高いと報じられていました。

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それとは反して、アマゾンは同技術を第三者店舗への導入を進めるのではと言われています。もちろん、アマゾン運営の店舗へ導入がないとは言い切れませんが、新しいデータポイントを獲得するという意味では効率がよさそうなので納得のいく方向性でしょう。

実はAmazonGoでは「手のひらPay」と類似した決済方法を実現させています。入店の際にAmazonアカウントと連携させたQRコードをAmazonGoアプリで表示させ、改札を通る方法です。

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US Patent and Trademark Office

ここで注目したいのが同じAmazon傘下のスーパー、Whole Foodsです。今でこそ支払いは伝統的なレジを通したペイメントのみですが、データポイント獲得のためにプライム会員限定の割引を獲得するため、レジでQRコードをスキャンするワンステップが始まっています。

現時点では支払いはAmazonアカウントに紐付いていませんが、もし、この「手のひらPay」が実現すればWhole Foodsのような既存店舗でも、限りない無人化にも繋がる可能性が見えてきます。

もちろん、Whole FoodsではAmazonプライム会員以外も利用可能なため、完全無人化は適してないと思いますが、プライム会員限定向けの無料配達サービス同様、会員向けのリッチな支払い体験を提供することは容易に想像ができます。

さらにAmazonが「手のひらPay」を全くテクノロジーとは結びつきのない店舗へ導入することができれば、AmazonGoやWhole Foodsで得られるデータとは分離したサンプリング層からデータの抽出をすることも可能となります。

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今年のCESでAmazonは「Alexa, pay for gas」を発表し、スマートスピーカーを通したペイメントの拡張を明らかにしています。

Amazonといえば「ワンクリック」で一斉を風靡したいわば、支払い体験の王様です。

これまでの自社ブランドのペイメントシステムに加え、「手のひらPay」によるリテール市場、さらにスマートスピーカーという音声市場など、あらゆる支払いのゲートウェイを押さえにかかっている同社戦略の輪郭が浮かんできました。ここから得られるデータは莫大です。

これらを組み合わせて、OMOのUX体験はどう変わるのか、大変興味が湧いてきます。

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「アプリ開発を民主化」するAppSheet、Googleが買収

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ピックアップ:Google acquires no-code app development platform AppSheet ニュースサマリー:Googleは1月14日、米シアトルをベースとする「AppSheet」を買収したと発表した。買収額は非公表。同社はコーディング要らずでアプリケーション開発可能なプラットフォームを運営するスタートアップ。これまでに1850万ドルの資金調達を完了していた。…

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ピックアップGoogle acquires no-code app development platform AppSheet

ニュースサマリー:Googleは1月14日、米シアトルをベースとする「AppSheet」を買収したと発表した。買収額は非公表。同社はコーディング要らずでアプリケーション開発可能なプラットフォームを運営するスタートアップ。これまでに1850万ドルの資金調達を完了していた。

同社によれば、累計20万を越えるアプリケーションがAppSheetの開発環境を利用して作られており、月間1万8000人ほどの開発者が利用していたという。

Googleは同社クラウドサービス「Google Cloud」にてAppSheet事業の更なる開発・運営を進めていく予定。同社ブログでは今回の買収は、Google Cloudが掲げる成長戦略の一つであり、エンタープライズ向けノーコード開発環境を整える方針と一致した結果であると伝えている

話題のポイント:アプリケーション開発からコーディングをできるだけなくすことに挑む、「ノーコード・スタートアップ」が近年注目され始めています。Coral Capitalの西村賢さんがブログ「コーディングを不要にする「ノーコード・スタートアップ」が注目される理由」で書いている通り、「ノーコード・スタートアップ」がVC側から一つの大きなセクターとして注目を得ており、資金が集まりだしています。

ノーコード・スタートアップといっても、全てが同じコンセプトというわけでなく、例えば今回取り上げるAppSheetは「データ〜アプリケーション」のフローに特化しています。同社では、Google SheetsやExcelなどにデータを入力しインポートすることで自動でアプリケーションを生成することが可能です。

対して、同じくノーコードスタートアップである「Builder.ai」はマーケットプレイスモデルを採用。作りたいアプリの趣旨に合わせて、既存のアプリで近いものを選択することから始まります。たとえば、ライドシェアに近いアプリケーション開発であれば、UberやLyftをベースとしたアウトプットをまず選択します。

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ベースのコンセプトを選択した後は、ドラッグ&ドロップでアプリ内の機能を作り、この内容を元に開発者へ依頼をして完成という流れになります。コーディングの知識がなくとも、必要な機能をカゴに入れて買うだけのため、EC購買に限りなく近い体験になっているのが特徴です。

企業内部や簡易的な利用を想定した場合は「AppSheet」、本格的なアプリケーションをコーディングの知識0で開発したい場合は「Builder.ai」といったすみわけができそうです。またこの他にもノーコード・スタートアップでは「Bubble」や、少し範囲を広げれば「Airtable」などあらゆる角度で効率化が進められています。

AppSheetは同社のミッションを「アプリケーション開発の民主化」と表現しています。Google Cloudとの連携が進められ、今まで以上にユースケースが増えることで彼らのミッションは確実に達成へと近づくでしょう。また、現状AppSheetでは複雑なアプリケーション開発に特化しているわけではないですが、今後Googleとのコラボレーション次第ではさらに応用の利くプラットフォームとして進化を遂げるかもしれません。

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スーツケースの“民泊”BagBnb、世界3000地域と300都市でサービス展開中

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ピックアップ:BagBnb raised $2.8 million in seed funding ニュースサマリー:ローマに本拠地を置くトラベルスタートアップ「BagBnb」は1月15日、シリーズAにて280万ドルの資金調達を実施したと発表した。Vetrisがリード投資家を務めた。同社は旅行者向けに店舗やカフェ、ホテルなどの空いているスペースにスーツケースや大型の荷物などを安全に預けることができ…

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Image Credit: BagBnb

ピックアップ:BagBnb raised $2.8 million in seed funding

ニュースサマリー:ローマに本拠地を置くトラベルスタートアップ「BagBnb」は1月15日、シリーズAにて280万ドルの資金調達を実施したと発表した。Vetrisがリード投資家を務めた。同社は旅行者向けに店舗やカフェ、ホテルなどの空いているスペースにスーツケースや大型の荷物などを安全に預けることができるマーケットプレイスを運営している。

既に世界3000の地域と300の都市にサービス展開を完了しているという。また、合計150万にも及ぶ旅行者とストレージ場所とのマッチングをさせた実績を持つ。

話題のポイント:つい先日に紹介した「Bob」に引き続き、再びヨーロッパ発トラベルスタートアップの話題です。BagBnBの価格設定は、1つのスーツケース・荷物を丸一日保管すると、基本料金6ドル前後となっています。おそらく1日丸ごとの預かりではなく、最終日のホテルチェックアウト後の数時間等が想定利用シーンなのでしょう。国内では同様のサービスをecbo cloakが積極的に展開しています。

<参考記事>

従来、コインロッカーは事前予約ができないことから、利用できないという不安が常に旅行者を悩ませていました。たとえば、東京の中心街にはコインロッカーが充実していますが、観光地の周りには大きなスーツケースをいくつも収納できる場所を見つけるのは難しいのが現状です。

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一方、BagBnbではモバイルアプリかウェブサイトより、オンデマンド形式でストレージ場所の予約をすることができます。そのため、事前に旅行プランに沿った最適な場所にストレージを設定することが容易となりました。実はBagBnb、日本にも進出しています。築地市場の周辺でサービスを受け入れている店舗を見つけることができました。

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東京に限ってみると、全23店舗がサービスを提供しています。なかでも中央区から東側に対応店舗が増えてきており、築地や豊洲、東京スカイツリーや浅草など大きい荷物を持ったままでは観光UXが下がりそうな場所から攻めていっている印象を受けます。

このように、Bobの記事でも触れましたが、今まであまり注目されていなかった、確かな需要があるトラベルスタートアップの登場が2020年以降は目立ってくるのではないでしょうか。

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MBAも変化の時代、働きながら受講可能な「NAMBA(Not an MBA)」とは

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ピックアップ:Jolt raises $14.1m to target US MBA market ニュースサマリー:イスラエル発のエドテック企業「Jolt」は13日、シリーズAにて1410万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはBalderton Capitalが参加し、Hillsven Capital、Octopus Venturesも同ラウンドに参加している。 Joltは低価格…

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Image Credit: Jolt

ピックアップJolt raises $14.1m to target US MBA market

ニュースサマリー:イスラエル発のエドテック企業「Jolt」は13日、シリーズAにて1410万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはBalderton Capitalが参加し、Hillsven Capital、Octopus Venturesも同ラウンドに参加している。

Joltは低価格かつ月払いが選択可能な、従来の大学院(MBA)に相当するスクールを運営。イスラエル・テルアビブ、イギリス・ロンドンに校舎を構える。調達した資金は米国・ニューヨークへの進出に用いられるという。

同社ホームページによれば、最安価格のコースは月175ポンド(約220米ドル)または合計4500ポンド(約5800米ドル)から受講可能だという。学生自身で受講スケジュールの調整ができる点も特徴で、休職することなくフレキシブルに学位取得をすることも可能だ。伝統的な「MBA」ではなく、独自にサービス設計する「NAMBA(Not an MBA)」の取得を目指す。

話題のポイント:「大学・大学院機関」といえば、大きな校舎を持ち、大人数が収容可能なクラスルームで授業やディスカッションを行うイメージが一般的でした。ところが、ミネルバ大学の登場に代表されるように、校舎の必要性やオフライン授業の必要性に対する疑問が提唱され始めます

イスラエルとロンドンをベースにMBAライクな授業を実施するJoltも校舎を持たず、コワーキングスペースの一室で授業を行う形式をとっており、伝統的な大学院とは環境から違うことが分かります。

今回ご紹介するJoltはそうした環境のみならず、コアとなる「コンテンツ」にも大きく変革をしています。同社独自プログラム「NAMBA」がどういった意味でMBAを「Not」しているのか、具体的に見ていきましょう。

MBAの問題点

JoltではMBAの問題点を2つあげています。1つ目は柔軟性に欠ける「スケジュール」。基本的にMBAは社会人経験を数年積んだ後に進む道です。そのため、休職するか一度退職する選択肢を求められます。一方、Joltでは「働きながら通う」ことをベースとしたカリキュラムを設定し、フレキシブルに授業選択が可能なカリキュラム・デザインを採用しています。

2つ目が「高い授業料」。オンラインマーケティング会社「QuinStreet」の調べによれば、MBAの学位を取得するまでにかかる授業料の平均は5万ドルから8万ドルとのデータを公開しています。対してJoltでは、約10分の1相当の5800ドルの低価格授業料を設定しており、月額支払いもできることから金銭問題を限りなく取り除くことを目指しています。

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Jolt Academic Committee のメンバー例

さて、同社のカリキュラムは正確にはMBAではなく、世界のMBAで提供されているコンテンツを基に新たに生み出したオリジナルの学位「NAMBA」を提供しています。カリキュラムは「Academic Committee」と呼ばれ、各業界で活躍している名だたるMBAプログラムを卒業したメンバーが作り上げています。

同委員会は理論的・実践的な研究をベースとした3つのコンセプトを踏襲し、NAMBAのサービスデザイン設計をしているといいます。その1つが、Googleが優れたマネージャーをリサーチするために実施したプロジェクト「Project Oxygen」です。

JoltではGoogleの同プロジェクトの研究成果を活用し、そこで定義される10つのスキルをNAMBAで身に着けることができるよう、カリキュラムに盛り込んでいます。

2つ目はMBAの最高峰ハーバードビジネススクールの所属するハーバードビジネスレビューが提唱する、最高のマネージャーに必要な17のスキル。

3つ目はGlassdoorとLinkedInにて募集のあったスタートアップ企業にて、マネージャー職として求められているスキルを同社独自に分析したもの。全12のスキルが挙げられています。

同社ではただ単に「イノベーティブな授業」と語るだけでなく、実際に研究成果として挙げられているファクトを基にカリキュラム作成が行われています。教科書にある決まりきった定例を学ぶのではなく、時代やトレンドに沿った形で、かつ実践的なスキルを集中して学ぶことが出来る環境を作り上げているようです。

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また、同社では「Super-HR Club」と呼ばれるコミュニティー運営を通し、あらゆる業界業種の最新トレンドを自然と吸収できる環境を整えています。

たとえば、デザインを学びたければMOOCを通じたオンライン学習や、オフラインで学べる場の提供も充実させています。Joltは実践スキルのレベルアップを叶える一方、従来のMBAが目指してきた「素晴らしいマネージャー・経営者」になるための最新トレンドを学ぶことができるといえるでしょう。

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具体例を挙げれば上図にあるように、Calculus 101(微分積分)やStatistics 101(統計学)を題材として学ぶのでなく、「Data」という大きな視点で学ぶことで、トレンド全体を踏まえながら専門性を学ぶことができます。

米国は下降、その他は上昇トレンド

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Quartzが発表したデータによれば、年々名門MBAへの出願率は下降を続けており、時間とお金をかける意味がないとまで言われるまでにMBAの価値は疑問視されるようになっています。2018から2019年において米国トップ10のMABスクールに対する出願率は前年度と比べ5.9%、約3400人減少したとのデータもあります。

ただ、世界に目を向ければ下降気味であるのは米国のみで、逆にアジア圏では相当数の上昇を見せているのが実情で、まだまだMBAグローバル市場は衰えていないとも言えます。

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Quartz

ではなぜアメリカだけがMBAの出願率低下に陥っているのでしょうか。語学学校などを運営する教育機関「Kaplan」の調べによれば、わざわざ米国のMBAを目指さない理由の42%を、経済が好調であることと紐づけています。その他にも、MBAの価値に対する疑問視や、政治的な影響、高額な授業料、MBAを必要とする職の低下などが挙げられています。

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Kaplan

対して、MBA出願率が最大の成長率(約8%)のアジア・パシフィック地域では、GDP増加や新興ユニコーン企業の台頭などを牽引に、マネジメント職の需要が今まで以上に高くなりつつある状況が大きく影響しています。

北米に本社を置く企業が、APEC地域に拠点を大規模に設立することも珍しくなくなりつつあることも一つの要因となっているかもしれません。なかでもシンガポールは米国と同等レベルまでに1人当たりのGDPが成長を遂げており、APECが世界経済にとって重要なエリアになっていることは間違いありません。

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APEC

米国で伝統的なMBAを取得することの価値はこれからも変わらず存在し続けるかと思います。ただ、Joltをはじめ、新たな形でのMBAが一般的になれば、より実践的なカリキュラムを提供するスタートアップや教育機関が増えることも予想されます。ミネルバ大学のように、世界を旅しながら学ぶ大学院が誕生してもおかしくなく、そこまで到達すれば「特定の国で取得するMBA」といった概念も取り払われることになるでしょう。

学べるチャンスが世界に広がりつつある今、MBAの価値を作り上げてきた旧来のMBA提供者たちが内部からどうイノベーションを起こして、新興エドテックスタートアップと差別化するのか、といった視点も面白いと思います。

 

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民泊市場と並行して広がる自宅のIoT化

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ピックアップ:The Guild Raises $25M For New Short-Term Travel Stay Option ニュースサマリー:トラベルスタートアップ「The Guild」は7日、シリーズBにて2500万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はMaveronが務めた。また、Convivialite Ventures、MarkVC、ATX Venture Partn…

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ピックアップThe Guild Raises $25M For New Short-Term Travel Stay Option

ニュースサマリー:トラベルスタートアップ「The Guild」は7日、シリーズBにて2500万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はMaveronが務めた。また、Convivialite Ventures、MarkVC、ATX Venture Partners、Corigin、Nicol Investment Group、不動産ファームRXR Realtyも同ラウンドに参加している。

同社は2016年創業。ビジネス旅行者向けに民泊事業を展開する。不動産デベロッパーとの提携に努め、設備投資に力を入れているのが特徴。現段階では米国のみの展開で、オースティン、シンシナティー、ダラス、デンバー、マイアミ、ナッシュビルに施設を所有している。米国中部から東海岸に焦点を当てている。

話題のポイント:「旅のストーリーが個人を強くする時代」でも触れたように、「〇〇版Airbnb」の需要は今年も続いていく傾向にありそうです。本記事では「ビジネス旅行版Airbnb」が当たります。

今回資金調達を実施したThe Guildは、Airbnbとの違いをビジネス旅行者向け施設のデザインと位置づけています。ホテルライクなアミニティ提供や、不動産を丸ごとThe Guildのブランド物件として提供しているのが特徴です。ただ、こうした特徴は他の〇〇版Airbnb企業にも数多くみられる差別化戦略です。たとえば「Lyric」も同じ戦略を採用してブランディングを始めています。

そのため、民泊事業は飽和状態にあり新興スタートアップが誕生したとしてもイノベーティブなものは生まれにくく、市場として盛り上がりに欠けます。一方、ここ数年大きく成長しているIoT市場は民泊と大きな親和性を見せ始めており、レッドオーシャン化している民泊市場にインパクトを与えつつあります。IoTを介した鍵の受け渡し自動化により、空き家の再活用を促すことに成功している事例はその際たる例です。

ビジネストラベル特化型では、チェックインからチェックアウトまでのシームレスな体験提供を売りにしている場合が多く、The Guildも例外ではありません。同社ではIoTを利用した鍵の受け渡し端末を開発・運営する「KeyCafe」とパートナシップを結び、ストレスを感じさせない民泊利用の体制を整えています。

バケーションレンタル・民泊市場の成長に並行して大きく伸びているのが、上述したようなIoT市場です。なかでもスマートロックが民泊と非常に相性の良い領域であるのは明らかでしょう。

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Image Credit: iProperty Management

スマートホームのコンサルティング事業を展開する「iPropertyManagement」によれば、2019年において260億のIoTデバイスが既に利用されているとしており、今後も順調な増加が見込まれているとしたデータを公開しています。そのうちの約15%がスマートホームへの利用だとされていることから、約39億のIoTデバイスが住宅物件へ導入済みということになります。

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米国において、セカンドハウス(第二の住居)を保有する世帯は900万とした統計が出されています。もちろん民泊として利用せず、賃貸契約されているケースもありますが、同統計によれば全体の約25%が賃貸として利用、残りは家族用の別荘としての利用がメインとなっているとされています

そこで、セカンドハウス市場がKeyCafeやその他IoTデバイスの導入を通じ、直接管理が不要になれば、さらに民泊化可能な物件数の増加が見込めます。IoTでなくとも「Leavy.co」のようなオンデマンド・ホストによる経済圏が出来れば、だれもが簡単に民泊経営することが可能となります。

日本においても、こうしたセカンドハウスや空き家の絶対数は今後も増加傾向とされており、新たな市場として注目を集めています。

<参考記事>

〇〇版Airbnbのビジネスモデルはどこも被り始めており、新規性を見出すことが難しくなりつつあります。しかし、関連サービスで成長を遂げているマーケットをうまく活用したモデリングを展開していくことで、市場の中でも一歩抜け出せる可能性が高くなるのではないでしょうか。

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