Taishi Masubuchi

Taishi Masubuchi

1996年東京生まれ。シンガポールでの高校生活、米シアトルでの大学生活を通し、いつの間にかテクノロジーが好きに。現在はブロックチェーンリサーチャーとして活動。個人で、イーサリアム関連のプロジェクトに多く関わる。ブロックチェーン以外でも、東南アジア、北米(シアトル中心)のスタートアップの動きに着目。ジャーナリズムを通した小さなムーブメントを乱発し続けるために記事執筆。旅行をもっとしたくなるような、"位置"に価値を付けていく事業考案中。旅が好きです! Twitter - @taiseaocean

執筆記事

本当に社会起業家に求められるインパクト投資をーーGLINが新ファンド設立

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ニュースサマリー:インパクト投資を手掛けるGLIN Impact Capitalは3月23日、1号ファンドの組成を明らかにした。2021年秋を目途にファンドクローズを予定している。投資対象は主に環境問題やジェンダー問題、さらにはメンタルヘルスや教育分野などの社会課題解決に取り組む企業へ出資を進める。また、出資ラウンドはグロースステージを予定しており、上場後の社会的ミッションを見据え包括的なサポート…

写真左から:中村将人氏、Vikram Gandhi氏、Shawn Cole氏

ニュースサマリー:インパクト投資を手掛けるGLIN Impact Capitalは3月23日、1号ファンドの組成を明らかにした。2021年秋を目途にファンドクローズを予定している。投資対象は主に環境問題やジェンダー問題、さらにはメンタルヘルスや教育分野などの社会課題解決に取り組む企業へ出資を進める。また、出資ラウンドはグロースステージを予定しており、上場後の社会的ミッションを見据え包括的なサポートを実施していく。

話題のポイント:日本においても、ジェンダー格差やSDGs文脈で社会的課題を議論する機会が増え始めている印象です。例えば、昨年日本政府は2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会を目指すことを公言しています。また、身近な例を挙げれば同じく昨年からプラスチック製のレジ袋が有料化へと移行するなど、社会課題と私たちとのタッチポイントはこれからも多くなっていくのでしょう。

そうした社会課題解決を目指す社会起業家へ投資を実施するファンドが、今回発表のあったGLINなどのインパクト投資及びESG投資双方を追求するプレーヤーです。

海外に目を向けると、アイアンマンとして著名な俳優ロバート・ダウニーJr氏がESG投資にフォーカスしたファンドFootprint Coalition Venturesを設立し、「フィンテックと環境問題を掛け合わせたコンセプトのAspirationへ出資していました。このように、既存の成長分野と社会課題を組み合わせたマーケットが生まれ始めているのも、同業界の特色と言えるでしょう。

また、JPモルガンからスピンオフしたDBL Partnersはクリーンエナジーの領域でTeslaに、Sustainable Products &Services領域で以前紹介したBellwether Coffeeに出資するなど、投資領域は限定されず多岐に渡っていることが分かります。直近では、感染症の拡大を防ぐことを目的としたハードウェアの開発元であるR-Zeroの1500万ドル規模のシリーズAラウンドにリード投資家として参加しています

さて、今回ファンド立ち上げを発表したGLIN代表の中村将人氏は同ファンドのミッションに「より良い資本主義の構築」を掲げています。同氏は「従来の資本主義上では、社会起業家が直面する弊害が多い」とし、この弊害を取り除く仕組みを作ることがミッション達成に近づくとしています。

「資本主義社会は、経済的成長やリターンをプライオリティーに置き経済活動のインセンティブ付けを設計してきました。それによって生じた問題を社会起業家は解決するべく挑戦しますが、そうした事業へ投資するVCや機関投資家は、どうしてもバリュエーションやExit戦略が先行してしまう傾向にあります。これはどうしても避けられない事実ですし、だからこそ社会面のリターンと経済的リターンを両立させたインパクト投資家が市場から求められる所以となっています」(中村氏)。

資料提供:GLIN

今回GLINはレイターラウンドの社会起業家支援に回るとしていますが、当初はシード期へのファーカスも考えていたようです。しかし上述したような「IPO直前の社会起業家」の不安視を取り除くべく、レイターを優先したとのこと。

「IR文脈で中長期的に社会ミッションに賛同してくれる投資家への需要は、特に国内で高まりつつあります。GLINはレイターステージにフォーカスすることで、インパクトある企業を経営者が持つミッション・バリューに寄り添い、長期的な成長にベットしていきます」(中村氏)。

インパクト投資のイニシアティブ団体「GIIN」によれば、2020年においてインパクト投資市場規模は7150億ドルという指標を公開しており、今後も成長を続けることが予想されています。国内市場はというと、市場分析を実施するGSG国内諮問委員会の調べによれば2019年時点で3000億円程度ではあるものの、2016年時点では300億円規模であり10倍の成長を遂げていることが分かります。社会のトレンドも過渡期にある今、国内でインパクト投資市場に挑戦するGLINには今後も注目が集まります。

毎日の支払いを環境に役立てる「Aspiration」、アイアンマンのRobert Downey Jr.氏ら出資

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ピックアップ:An Iron Man goes Green: Robert Downey Jr. launches ESG-focused venture capital funds ニュースサマリー:フィンテック・スタートアップ「Aspiration」は5,000万ドルの資金を獲得したことを発表している。リード投資家としてFootprint Coalition Venturesが参加している。 …

ピックアップ:An Iron Man goes Green: Robert Downey Jr. launches ESG-focused venture capital funds

ニュースサマリー:フィンテック・スタートアップ「Aspiration」は5,000万ドルの資金を獲得したことを発表している。リード投資家としてFootprint Coalition Venturesが参加している。

話題のポイント:今回投資家として参加したFootprintは、アイアンマンで有名な俳優、Robert Downey Jr.氏が設立した、ESG(Environmental, social and corporate governance)投資にフォーカスしたファンドです。Aspirationに対する案件が最初のプロジェクトとなっています。Aspirationは金融と環境問題を繋ぐ「Green Financial Services」というコンセプトに挑戦するフィンテック・スタートアップです。

アカウントを開設するとクレジットカードが発行され、一般的な支払いに利用ができます。iOSとAndroidアプリが用意されていて、支出管理など一般的なモバイルバンクと同様のサービスが受けられます。もちろんこれだけではありふれたサーヒスなのですが、やはり特徴的なのは金融を環境に繋げようとしている点でしょう。

例えば環境保全に協力しAspirationとパートナーシップを結んでいる店舗での支払いであれば10%のキャッシュバックがされる仕組みなどがあります。その他にも、他のモバイルバンクと同じように10ドル以下の小額からESGに特化したファンドへの投資ができるサービスを提供しています。

サービスは無料のものと、ESG関連のベネフィットが受けられる月額15ドルの課金のものが用意されています。有料機能のひとつに「Planet Protection」という機能があり、ガソリンの購入をAspirationのカードで決済すると、その二酸化炭素排出量を相殺するだけの森林保全事業をAspirationが勝手にやってくれます。ややもすると遠くなりがちなESGの活動も、まずは身近なところからコミットすることが重要です。

今までのクレジットカードは、個人の信用(クレジットスコア)を基に特定のオファーや利用限度額が割り振られていました。しかしAspirationでは、新しい概念として「Impact Score」というものを採用し、どれだけ環境保全にコミットしているかで評価されるような経済圏を作ろうとしています。同社によれば、これまで300万を超える植樹を達成しているとのことです。

あらゆる形でモバイルバンクが誕生してきていますが、Aspirationのようなアプローチも興味深いです。

3回払い限定の「後払い(Buy Now, Pay Later)」Scalapayが打ち出したシンプル戦略

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ピックアップ:Scalapay Banks $48M Seed For Buy Now, Pay Later Tool ニュースサマリー:フィンテックスタートアップ「Scalapay」は27日、シードラウンドにて4,800万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家には、Fasanara Capitalが参加し、Baleen Capital、Ithaca Investmentsも同ラウンドに…

ピックアップ:Scalapay Banks $48M Seed For Buy Now, Pay Later Tool

ニュースサマリー:フィンテックスタートアップ「Scalapay」は27日、シードラウンドにて4,800万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家には、Fasanara Capitalが参加し、Baleen Capital、Ithaca Investmentsも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:後払い(BNPL:Buy Now, Pay Later)市場に新しいスタートアップが参戦です。今回調達を発表したScalapayはイタリア・ミランに拠点を置くスタートアップ。既存のBNPLプレーヤーである、AffirmやKlarnaと同様に無利子で分割払いができるサービスを提供しています。

AffirmとKlarnaは比較的、ユーザーに選択肢を渡し、例えば分割払いでも何か月で支払いを終えるかなど全てユーザーのアクションベースを基本設計としています。反対にScalapayでは、3カ月で支払いを完了する1プランしか提供していません。また、単一のプランなため、ユーザーのクレジットや選択ごとに利子率が変動することはなく、極限までBNPLの仕組みをシンプル化させたものとなっています。

AffirmやKlarnaはどちらかと言えば、ユーザーフォーカスの分割払い体験に力を入れエコシステムを設計しているため、モバイルバンクに近い印象を受けます。その反面、Scalapayはマーチャントフォーカスで、シンプルな分割払いのインフラを提供するというスタンスを取っているように感じます。

店舗向けのセールスポイントとして、Scalapayの分割インフラを導入したことで平均して42%の購買ボリュームの増加、11%のコンバージョン率上昇が見込めるとしています。同社の収益モデルは店舗側から手数料を徴収する設計です。AffirmやKlarnaと違い、ユーザー側から収入を設計する施策は現状見受けられないため、公開はされていないものの他社より店舗が負担する金額は高くなるのではないかという懸念はあります。

Affirm自体はまだまだアメリカ中心なエコシステムの印象ですが、Klarnaなどはスウェーデン発なこともありヨーロッパ市場への地理的利点は多く持ち合わせています。また、エンタープライズでいえばPayPalがPay in 4と呼ばれる4回払いのBNPLモデルで市場エントリーしています。このように競合が多く市場参入してくる中、Scalapayのシンプル戦略は今後どのような結果を見るのか、注目したいところです。

Plaidを諦めたVISA、次は国際送金のTransferWiseと提携でマルチ通貨口座の拡大へ

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ピックアップ:TransferWise and Visa Announce Global Partnership Following Successful Collaboration on Cloud Technology ニュースサマリー:VISAは27日、送金大手のTransferWiseとの戦略的パートナーシップを発表した。これにより、TransferWiseはVISAのCloud Conn…

ピックアップ:TransferWise and Visa Announce Global Partnership Following Successful Collaboration on Cloud Technology

ニュースサマリー:VISAは27日、送金大手のTransferWiseとの戦略的パートナーシップを発表した。これにより、TransferWiseはVISAのCloud Connectインフラストラクチャーを利用し、マルチ通貨に対応するデビットカードプログラムの拡大をスムーズに遂行できるようになる。

話題のポイント:VISAが金融APIを提供するPlaidの買収をアンチトラスト法に阻まれてからまだ数週間ですが、次のステップが明らかになってきました。今回新たにパートナーシップを発表したのは、国際送金の分野をリードするTransferWiseです。今回の提携では、VISAがクラウドの決済サービスをTransferWiseに対して提供することで、彼らがパブリッククラウド経由でVISAの決済処理ネットワーク「VisaNet」にアクセスすることができるようになります。これにより、TransferWiseは2018年頃より進めていた複数通貨に対応するデビットカード口座の市場拡大を進めやすくなるなる思惑があるようです。

TransferWiseは国内だけで生活しているとあまりその利便性にピンとこないかもしれませんが、複数通貨に対応する口座の破壊力はすさまじく、例えば日本から米国に初めて移住する場合、実際に現地に行くまで米ドルの口座を開設することは実質不可能でした。しかし、TransferWiseを介すことで事前に米ドルベースの口座、かつ送金をするのに必要な番号(ACHなど)もすべて割り振られます。そのため、Bank of AmericaやChaseなどと、実店舗があるかどうかの違いはあれどほぼ同等の機能を気軽に持てる利点が特徴でした。

加えて、デビットカードの発行にも国ごとに徐々に対応しており、つい先日には小規模であるものの日本においてもサービス開始の発表がありました

今までは各国通貨の安定的な決済やセキュリティーに対応させるため、各国におけるローカルでのデータセンター設置や通信インフラ、決済ハードウェアなど、多くの投資が必要でした。そのため、日本へのマルチ通貨アカウントの提供もロールアウトまである程度の時間を要していた背景があります。そのウィークポイントを、VISAのCloud Connetを通したクラウドベースへ切り替えることで、安定性と迅速性を達成することができるようになります。つまり、各国への対応が大幅にスピードアップする、ということです。

TransferWiseの利便性を考えるととにかく1枚・1口座は所有しておくことが世界の常識となる日も近い気がします。

「人による」窓口サポートに回帰するモバイルバンクのAlbert

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ピックアップ:U.S. fintech startup Albert raises $100 million ニュースサマリー:フィンテックスタートアップ「Albert」は、シリーズCにて1億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはGeneral Atlanticが参加し、Alphabetの独立成長ファンド、Prtag3、CapitalGなども同ラウンドに参加している。2015年創業の…

ピックアップ:U.S. fintech startup Albert raises $100 million

ニュースサマリー:フィンテックスタートアップ「Albert」は、シリーズCにて1億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはGeneral Atlanticが参加し、Alphabetの独立成長ファンド、Prtag3、CapitalGなども同ラウンドに参加している。2015年創業の同社はこれまでに総額1億7300万ドルの資金調達に成功している。

話題のポイント:Albertの基本的な機能自体は、チャレンジャーバンクの代表格ともいえるChime、Cleo、N26とほぼ変わりありません。モバイルバンクとしての基本機能を提供しつつ、Albert Instantと呼ばれる100ドルを上限とする先払い機能を付属させモダンな銀行体験をデザインしています。加えて同社では支出の状況をダイナミックに分析し、貯蓄を増やす仕組みを導入。ユーザーごとにパーソナライズされた貯蓄目標に応じて的確な支出管理の手助けをしてくれます。また、アプリ内から手軽に投資へ手が出せるように、1ドルから株式投資ができる機能を備えており、包括的な金融サービスを提供しています。

ただこれだけでは、よくあるチャレンジャーバンクと差異はほぼありません。1ドルからの投資を含め、多機能なモバイルバンクも数多く市場に登場してきています。Albertの違いは、あえて人間のフィナンシャルアドバイザーをサービスの中核として提供することで、コミュニケーションが取れるモバイルバンクとしてのポジションを取ろうとしているのが特徴です。Albertでは、「Genius」と呼ばれる金融面でのアドバイザーが常駐しており、チャットベースで個人の支出に関わるアドバイスを金融的側面から提供してくれます。

いわば人による銀行の窓口サポートを充実させるAlbert

また、株式投資においてもGeniusに対して銘柄の好みやゴールを伝えることでポートフォリオを作成し提案してくれます。もちろん、今時完全自動でポートフォリオを作ってくれるサービスもありますが、Albertではあえてコミュニケーションを介在させることがユーザーベネフィット(Financial Wellness)に繋がるという考えを持っているのだと思います。AlbertはGeniusに対してサブスクモデルを採用しています。月額は最低4ドルからで、いくら実際に払いたいかはユーザーに決定権を持たせています。初月は無料でも体験が可能です。

現状でGeniusのメンバーがどのようなバックグランドなのか、そうした情報は現状公開されていません。なので、どうしてもアノアニマスな人間に話しかけている印象がぬぐえませんから、もしこのGeniusの個人をイメージできるような設計(プロフィールやバックグランドがユーザー側で知れる)ようになれば、さらにコミュニケーション型モバイルバンクとしての地位は高まるような気がします。

学業の状態などからローンを審査する「Stilt」、与信の多様性に向け1億ドル調達

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ピックアップ:Stilt Brings In $100M Debt Financing To Power Immigrant Loan Product ニュースサマリー:米国の移民や特定のビザ向けにローン型フィナンシャルサービスを提供するStiltは27日、Silicon Valley Bankからのデッドファイナンスによる1億ドルの資金調達を実施したことを発表している。 話題のポイント:アメリカ…

ピックアップ:Stilt Brings In $100M Debt Financing To Power Immigrant Loan Product

ニュースサマリー:米国の移民や特定のビザ向けにローン型フィナンシャルサービスを提供するStiltは27日、Silicon Valley Bankからのデッドファイナンスによる1億ドルの資金調達を実施したことを発表している。

話題のポイント:アメリカで生活する際、SSN(Social Security Number)ほど客観的に信頼度を提供することができるツールはありません。ただ、アメリカでVISAをきちんと取得し、移民や留学生として正式な形で来ているからといって、無条件で得られるものでもないのも実情です。

むしろ、ほとんどの留学生はSSNを持っていません。留学生が取得することの多いF-1ビザは、そもそも所得を得ることが前提にないため、SSNの取得が必要ないと考えられているからです。

そのため、例えばアパートメントの契約をしようとしても、大げさに言えば銀行口座に100万ドルあることが証明できようが、SSNの提出が規約に入っていると契約を断られてもおかしくありません。つまり、SSNを理由にフィナンシャルサービスを受けられないため、クレジットスコアを持てないという悪循環に陥るのです。

そうした現状を変えることを目指すのがStiltです。Stiltでは、SSNではなく学業の状態(GPAなど)、銀行口座の出費傾向などから総合的に個人の信頼性を分析し、ローンが可能かどうかを決定します。至って普通のフローのように思えますが、SSNが前提のアメリカではこうしたサービスは、特にデジタル上では存在しなかったのです。

例えば後払い市場をリードするスタートアップとして有名なAffirmなども、利用の際にはSSNが前提にされており、それ以外での信頼性担保を証明する手段は考慮されていません。現段階でStiltは、ローンとオリジナルの銀行口座のみのサービス提供ですが、将来的には後払い市場など包括的な金融サービスへの拡張も考えられます。

オープンバンク市場をリードする「Rapyd」が25億ドル評価に

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ピックアップ:Rapyd raises $300M on a $2.5B valuation to boost its fintech-as-a-service API ニュースサマリー:APIベースのFintech as a Serviceを運営するRapydはシリーズDにて3億ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家にはCoatueが参加し、既存投資家のGeneral Cata…

ピックアップ:Rapyd raises $300M on a $2.5B valuation to boost its fintech-as-a-service API

ニュースサマリー:APIベースのFintech as a Serviceを運営するRapydはシリーズDにて3億ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家にはCoatueが参加し、既存投資家のGeneral Catalyst、Tal Caital、Tiger Globalなども同ラウンドに参加している。

話題のポイント:オープンバンク市場をリードする「Rapyd」が、今回25億ドルのバリュエーションで3億ドルの調達を図りました。同社はグローバル展開を積極的に進める戦略を取り、例えば南米のフィンテック企業の買収を行うなど、独自に各銀行と連携を深めながら決済APIの機能拡張に努めています。

その観点から言えば、最大の競合となるのがStripeといえます。StripeはEC市場との相性がよく、比較的2C文脈で語られますが、いずれ2Bとしてのオープンバンク市場へも参入した際にはまさにバッティングしあうこととなるでしょう。

Rapydの最大の特徴は、そのグローバルに対応したペイアウト・ペイオフのネットワークといえます。例えば同社では「ギグエコノミー」プラットフォームにフォーカスした事業モデルも展開しており、プラットフォーマーのローカルへの進出を決済の側面からフォローするという見せ方をしています。

もちろんEコマースやB2B決済にも対応しており、また既存銀行向けにグローバルなデジタルバンキングサービスを提供するためのモデリング提供も実施しています。

StripeとRapydは現状そこまで競合しているとは言えませんが、将来的には必ず市場が被るのは避けられないでしょうし、どのような戦略をお互い取るのか注目です。

パンデミックによるB2B支払いのデジタル化を加速させる「Melio」

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ピックアップ:B2B Payments Startup Melio Reaches $1.3B Valuation Following $110M Series C2 ニュースサマリー:B2B向け決済「Melio」は26日、シリーズCに続くシリーズC2ラウンドにて1億1000万ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家にはCoatueが参加し、既存投資家にAccel、Aleph、Be…

ピックアップ:B2B Payments Startup Melio Reaches $1.3B Valuation Following $110M Series C2

ニュースサマリー:B2B向け決済「Melio」は26日、シリーズCに続くシリーズC2ラウンドにて1億1000万ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家にはCoatueが参加し、既存投資家にAccel、Aleph、Bessemer Venture Partners、Corner Ventures、General Catalystなどが参加している。同社は今回のラウンドにて総額2億5,600万ドルの資金を調達している。

話題のポイント:Melioは企業間の決済と請求書のやり取りを一括管理可能なSaaSを提供しています。一般的な銀行送金やチェックによる支払いだと、4、5日は必要なのに対しMelioでは当日もしくは最大でも3日以内に相手の銀行口座に着金できるフローを採用しています。また、支払い手段もACHを利用したデビットカードもしくはクレジットカードによる決済に対応しており、クライアントごとにフレキシブルな支払い手段の選択を可能にしています。

FRB

企業間の支払いにおけるキャッシュフロー改善は、特にチェック(小切手)での取引が定着している国では大きな問題です。

FRBが公開しているデータによれば、2000年から2018年にかけて米国におけるキャッシュ以外の支払い手段(ボリューム別)として断トツの1位がACH Credi(銀行口座を利用した手動での送金)、同一でチェックとACH Debit(銀行口座を利用した自動での送金)で、クレジットカードによる支払いは過去18年間で全く成長していないことが分かります。

このグラフ自体はB2B限定ではないですが、逆に言えば大きな金額が生じるB2BトランザクションがACH・チェックのボリュームを押し上げ、身近な支払にのみクレジットカードが利用されているとも言えるでしょう。

Melioでは、特にデジタル化が進んでいない業種・業界のユースケース事例を多く取り上げています。例えばワイナリーやロジスティクス、ヘルスケアなど紙による支払いが伝統的に続き、かつ小規模な事業形態を取っている企業の導入を戦略的に多く進めているようです。Crunchbaseによれば、同社の2020年度における月ごとのアクティブユーザーは2000%以上のスピードで成長したとのことで、パンデミックによる支払いのデジタル化が当然の流れとなってきていることが読み取れます。

特にMelioでは、デビットカードにより支払いであれば請求書の管理や支払いは完全に無料で、クレジットカードによる支払い時のみ支払い側に2.9%の手数料をかけるモデルを採用しています。そのため、とにかく導入して試してみるという企業のモチベーションには最適なのだと思います。

アメリカにおいて長年続いたチェック文化が徐々に変わりつつあります。

地銀をマッチングでモダン体験に変える「Synctera」の方法

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ピックアップ:Banking On Fintechs: Synctera Raises $12.4M Seed For Financial Services Matching Platform ニュースサマリー:サンフランシスコを拠点とする「Synctera」はシードラウンドにて1,240万ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家にはLightspeedとDiagram Ventu…

ピックアップ:Banking On Fintechs: Synctera Raises $12.4M Seed For Financial Services Matching Platform

ニュースサマリー:サンフランシスコを拠点とする「Synctera」はシードラウンドにて1,240万ドルの資金調達を実施したことを発表している。リード投資家にはLightspeedとDiagram Venturesが参加し、個人投資家としてPlaidのファウンダーZachary PerretやAffirmのファウンダーMax Levchinも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:銀行が開示する情報をAPI経由で一般のフィンテック企業が利用できるオープンバンクの仕組みが広がりつつあります。最近の動きでいえば、Fintech as a Serviceとして市場をリードするRapydが25億ドルを調達するなど、レッドオーシャン化しつつあるマーケットです。

ただ、扱うサービスを大きく変えるような提携となると、APIを叩いてはいどうぞというわけにはいかず、銀行側は慎重にならざるを得ません。そこで登場したのが彼らのマッチング支援をするSyncteraです。銀行とフィンテック企業がスムーズに技術レベルまでの提携を進められるよう、コンプライアンスに関する書類処理を含めた支援をしています。オープンバンクに関連したマーケットプレイスモデルを採用しており、ユニークな提供価値を持っています。

Syncteraでは特にコミュニティーバンクとフィンテック企業との関係構築マーケットプレイスとしてのブランディングを進めています。コミュニティーバンクは、ローカルの事業者や住民を対象とした銀行のことで、比較的小規模な資金運営を実施している銀行を指します。日本で言う地方銀行のような存在です。

直近では、シアトルベースのコミュニティーバンクCoastal Community Bankとサンフランシスコベースのフィンテック企業Oneとのマッチングがケーススタディとしてあるようです。

イメージのアプリはCoastal Community Bankが提供しているものなのですが、シンプルなものに留まっていて、モダンな体験にはまだまだ改善の余地がありそうです。一方のOneでは、モダンなUI/UXを既に提供しており、彼らが手を結ぶことで地方の銀行体験が一気にデジタル化することができ、まさにSyncteraが目指すロールモデルとなりそうです。

同社CEOであるPeter Hazlehurstは、Uber MoneyやGoogle Walletでのデベロップメント経験を持っているとのこと。今回のラウンドの投資を見ても、PlaidやAffirmなどから出資を受けており、市場からの需要と期待も大きいことが予想されます。

APIで金融を「アンバンドル化」するUnit、オープンソースコミッターたちが牽引

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ピックアップ:Unit raises $18.6M to offer banking features as a service ニュースサマリー:金融サービスをAPIで提供するUnitはシリーズAにて、1860万ドルの資金調達を実施したことを発表している。イスラエルベースのVCであるAlephとTLV Partnersや、サンフランシスコベースのBetter Tomorrow Ventures、…

ピックアップ:Unit raises $18.6M to offer banking features as a service

ニュースサマリー:金融サービスをAPIで提供するUnitはシリーズAにて、1860万ドルの資金調達を実施したことを発表している。イスラエルベースのVCであるAlephとTLV Partnersや、サンフランシスコベースのBetter Tomorrow Ventures、Flourish Venturesなどが同ラウンドに参加している。また、TechCrunchによればフィンテックに精通する30人のエンジェル投資家も同ラウンドに参加しているとする。

話題のポイント:銀行のAPIを使って外部企業が金融サービスを提供できるようになる「Unit」。2019年のシードラウンドに引き続き新たに資金を調達しました。

「Build banking in minutes」というキャッチコピーからも分かる通り、同社はいわゆる典型的なオープンバンクの業態を採用しているスタートアップです。特に市場アプローチとしては、ギグエコノミーやフリーランス経済を睨んでいるようです。そのため、市場自体が大きいため、レッドオーシャンでありながらも、市場に可能性を見出してのシリーズなのだと思います。

とはいえ、この領域には数多く既存プレーヤーが市場をリードしており例えば先日25億ドルを調達した英国ベースの「Rapyd」などが存在します。同社はUnitと同じくギグエコノミー・フリーランスエコノミーについてもフォーカスして事業モデルを提供しており多くの面でバッティングする相手となりそうです。

その他にも同様サービスを提供するスタートアップには、「Thought Machine」、「Temenos」、「Edera」や「Mambu」などが挙げられます。直近ではベルリン拠点のMambuが20億ドルを超える評価額で1億3500万ドルの資金調達を実施しています。同社は2020年前年度比100%の成長率を持ち、50以上の市場へと参入しているグローバル銀行プラットフォームの立場を確立しており、Unitにとっては一歩リードする存在であるといえます。

比較的新興勢力に当たるUnitですが、ファウンダーやボードメンバーにはNASAやGoogleなどでオープンソースプロジェクトにコミットしてきたメンバーが参加しており、市場にとっても単なる1社ではなくユニークな存在感を放っていきそうです。

上述した通り、オープンバンク領域はかなりレッドオーシャンと化してきていますが、フォーカスをかける領域によっては(特にtoB向け)まだ多くの参入領域が残されており、Unitが加速度的に成長する可能性も高いといえます。