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Taishi Masubuchi

Taishi Masubuchi

1996年東京生まれ。シンガポールでの高校生活、米シアトルでの大学生活を通し、いつの間にかテクノロジーが好きに。現在はブロックチェーンリサーチャーとして活動。個人で、イーサリアム関連のプロジェクトに多く関わる。ブロックチェーン以外でも、東南アジア、北米(シアトル中心)のスタートアップの動きに着目。ジャーナリズムを通した小さなムーブメントを乱発し続けるために記事執筆。旅行をもっとしたくなるような、"位置"に価値を付けていく事業考案中。旅が好きです! Twitter - @taiseaocean

執筆記事

ハイエンド都市型Airbnbの「Casai」、a16zら2300万ドル出資

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ピックアップ:Investing in Casai ニュースサマリー:メキシコ発のスタートアップ「Casai」は14日、シリーズAにて2300万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家としてAndreessen Horowitzが参加し、 Cultural Leadership Fund、Kaszek Ventures、Global Founders Capital、Monashees C…

Image Credit : Casai

ピックアップ:Investing in Casai

ニュースサマリー:メキシコ発のスタートアップ「Casai」は14日、シリーズAにて2300万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家としてAndreessen Horowitzが参加し、 Cultural Leadership Fund、Kaszek Ventures、Global Founders Capital、Monashees Capital、Liquid 2 Ventures、DST Globalも同ラウンドに参加している。また、同時にTriplePoint Capitalとの間で、最大2,500万ドルの融資枠獲得に関するパートナーシップも公表している。

同社はメキシコシティーに本拠地を置くホスピタリティースタートアップ。旅行者向けにハイエンドな都市型の宿泊施設を提供する。キーレスチェックインなどテックフレンドリーな設計にするほか、アメニティを宿泊者が容易に購入できるような体験づくりを特徴としている。

話題のポイント:久しぶりにトラベルスタートアップの話題です。しかも、調達額も2300万ドルと比較的大きな規模に加え、a16zがリード投資家として参加しています。COVID-19以降、トラベルスタートアップの話題といえばAirbnbに関わるレイオフなどやや不透明なものが主でしたが、ついに息を吹き返し始めている頃合いなのかもしれません。

Image Credit : Casai

さて、今回2300万ドルを調達したCasaiは自社で物件は所有せず、オーナーとのレベニューシェアでのモデルを採用しています。Airbnbが出資するLyricと非常に近いモデルで、価格帯は60ドルから150ドルのレンジで貸し出しており、a16zによればパンデミック以降でも90%の高い入居率を保っているそうです。また、現在メキシコシティの都市を中心に200の物件を運営しており、今回調達した資金は新しくメキシコ国内・ブラジルでの物件獲得に用いられるそうです。

宿泊地のプラットフォームとして特出すべき点は特に上記以外にはありませんが、a16zも触れているようにCasaiは「Sustainable Local Tourism Economies(持続可能なローカルツアリズム市場)」に力を入れています。これは、例えば上述した地元で生産される家具などを利用して部屋をデザインし、宿泊者の購入へと繋げるなど、Casaiが提供する空間を中心に回るローカルエコノミーを意味しています。同社のホームページにも「Boutique Travel」とあるように、Casaiでは宿泊はあくまで手段であり、そこから派生するエコノミーに着目する新しいホスピタリティースタートアップと言えるのではないでしょうか。

Amazonが提供するオンラインツアー体験「Amazon Explore」

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ピックアップ:Amazon launches a virtual tours and experience platform, Amazon Explore ニュースサマリー:Amazonは9月末、体験型プラットフォーム「Amazon Explore」を発表した。同プラットフォームはオンライン体験・ツアーサービスを予約・購入できるマーケットプレイスで、現在は同社に承認されたホストのみがサービス公開…

日本の観光コンテンツも・Image Credit : Amazon Explore

ピックアップ:Amazon launches a virtual tours and experience platform, Amazon Explore

ニュースサマリー:Amazonは9月末、体験型プラットフォーム「Amazon Explore」を発表した。同プラットフォームはオンライン体験・ツアーサービスを予約・購入できるマーケットプレイスで、現在は同社に承認されたホストのみがサービス公開可能な状況だ。

話題のポイント:Amazon Exploreは、オンラインツアリズム市場に乗り出したAirbnbの「Airbnb Experience」と非常に近いUXを提供しています。Amazon Exploreでは、価格帯を最低10ドルから最大で210ドルのレンジで公開しておりその経験の貴重さで値段の調整がされているようです。もちろん街中を巡るバーチャルツアーも数多く提供されていますが、Airbnb Experienceと同じように例えば異国のカルチャーを学べる経験「コスタリカでのコーヒー生産の仕組み」や「日本酒を日本のバーから学ぶ」など、まさに実際の観光ツアーが組まれそうなコンテンツもあります。

小売りのプラットフォームであるAmazonにてこうした「体験サービス」を立ち上げられるようになれば、いずれはマーケットプレイスに参加する小売企業から個人まで、幅広い人が教育・旅行・小売など多岐にわたる分野で体験サービスを立ち上げられるようになるはずです。実店舗の売上が厳しくなっている中、店舗からライブ配信をして、その場で商品を世界中に売るようなライブ配信ショッピングのような形にまで手を伸ばせる大きな可能性を秘めています。

今までも、例えばPrime Dayなどではライブ配信で商品の実演と販売を実施するなど動画と商品購入を結びつける動きはありました。しかし、あくまでAmazon Exploreは「経験」をすることが前提にあり、それに応じた商品購入フローが用意されているという点から両者は一線を画すと言えるでしょう。Amazonがオンライン体験に乗り出したことで、Airbnbなどにどういった影響を与えていくのか気になります。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆

“優しいSNS”目指す実名制「Telapath」はアンチFacebookの選択肢となるか

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ピックアップ:Telepath is a new, kinder social network. But is the internet ready to be nice? ニュースサマリー:9月24日、元ベンチャーキャピタリストで実業家のMarc Bodnick氏は実名制SNS「Telepath」のローンチを発表した。同プロダクトは個人の興味に応じたネットワーク(コミュニティー)に参加し、交流を…

Image Credit : Telepath

ピックアップ:Telepath is a new, kinder social network. But is the internet ready to be nice?

ニュースサマリー:9月24日、元ベンチャーキャピタリストで実業家のMarc Bodnick氏は実名制SNS「Telepath」のローンチを発表した。同プロダクトは個人の興味に応じたネットワーク(コミュニティー)に参加し、交流を図るというもので一般的なSNSと変わりはない。DiscordやFacebookと使い勝手は似ており、特徴は完全実名制(登録時に氏名の認証がある)を採用しているところだ。

話題のポイント:Telepathを創業したMarc Bodnick氏はベンチャーキャピタル「Elevation Partners」の共同創業者としてご存知の方もいらっしゃるかもしれません。Facebookに対し2億1000万ドル、Yelpに対し1億ドルの投資をIPO前に実行するなど、現在のIT市場を創り上げてきた存在でもありました。

そんな同氏がリリースしたTelepathは、上述したように完全実名制のいわば「優しいSNS」を目指しています。同氏はツイッターで以下のようなコミュニティーガイドラインを発表し、中にはLGBTQなどの表記も受けられることが分かります。こうしたガイドラインを違反した場合、どのような対処がなされるのか不明です。加えて、実名にしたからといえ完全な健全性を本当に保てるかどうかについては、現在のFacebookを見ても疑問が残ります。

Image Credit : Telepath

Bloomberg等で公開されている(ツイッター下図)TelapathのUIを見る限り、特に今までよくあるSNSと変化がないように感じます。また、実名制であるという点も例えばQ&AサイトのQuoraなどが既に存在しています。実は創業者のMarc氏は2011年頃から2016年頃まで、Quoraに参画していた経歴を持っています。そのため、Quoraのような実名制特有のコミュニティー性を引き継ぎつつも、QAのような固定ページ化されるものとせず、さらにツイッターのように「流れ」のあるSNSを目指しているのだと思います。

同氏はツイッターで、実名制SNSの重要なフィロソフィーに「Paradox of Torelance(寛容のパラドックス)」を挙げています。これには、『寛容な社会を維持するためには、不寛容性がどこかに必要だ』という意味が込められています。つまり、誰もが自由に楽しめる寛容なSNSであるためには、時に訪れるフェイクニュースやヘイトスピーチに対して不寛容な社会が存在しなければならないということを示しています。

FacebookやTwitterでは煽りや炎上、最近では選挙戦に関連したフェイクニュースが多数タイムラインに流れます。こうした従来のSNSにアンチテーゼをかけるように、実名性を軸にした新しいSNSがTelepathです。使い勝手はFacebookに似ていますが、必ず興味のあるネットワーク(コミュニティ)に参加しなければならない、DiscordやMixiのような興味ベースのSNSとなっています。

また、現在はコミュニティの質を担保するため招待のみの限定となっています。人々の不信感を煽って荒れたコミュニティでありながら、ユーザーを集めた「Secret」や「YikYak」などはそのユーザー数に任せて大型調達を重ねてきましたが、Telepathはさすがにその道を辿ることはなさそうです。こういった「アンチFacebook」のようなコンセプトは今まで何度か出てきましたが、「Path」以外のサービスでうまくいった事例を見ていません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏

広がるリモート課外活動、「個人塾」をオンライン化するOutschool

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ピックアップ:Outschool, newly profitable, raises a $45M Series B for virtual small group classes ニュースサマリー:義務教育から高校向けのオンライン授業を手軽に作成できる「Outschool」は9月18日、シリーズBにて4500万ドルの資金調達を実施したと発表している。リード投資家としてLightspeed Ven…

Outschoolウェブサイト

ピックアップ:Outschool, newly profitable, raises a $45M Series B for virtual small group classes

ニュースサマリー:義務教育から高校向けのオンライン授業を手軽に作成できる「Outschool」は9月18日、シリーズBにて4500万ドルの資金調達を実施したと発表している。リード投資家としてLightspeed Venture Parnersが参加し、既存投資家のReach Capital、Union Square Ventures、SV Angel、FundersClub、Y Combinatorなども同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Outschoolでは通常学校教育で得られる学習コンテンツに加え、ライブ配信型でアートや音楽、クッキングなど幅広いカテゴリーの動画コンテンツを提供しています。オンライン教室立ち上げの観点でいえば、UdemyやCouseraなどが挙げられますが、これらコンテンツは大学や社会人よりの層をターゲットとしたものでした。

Outschoolでは、米国の教育制度K-12(幼稚園~高校卒業までの13年間)の学生に特化することで、「課外活動」感覚で新しい教育チャンスに触れられる機会を提供しており、他社との差別化をはかっています。コンテンツや料金設定などは各自で行う必要があるものの、その分手数料を抑え収益性高く運営することが可能です。個人が塾を立ち上げられる感覚に似ており、マイクロ起業家とライブ動画配信トレンドに乗った成長企業と言えるでしょう。

Outschoolウェブサイト

1つの授業の参加費は10ドル~20ドルの幅が多く、また受講時間もグローバル規模で受け入れ可能なようフレキシブルに設定されています。クラスのサイズも10人程度の少人数に抑えられ、教育がきちんと行く渡るようクオリティーの担保に力を入れようという意識を感じます。プラットフォームのクラス一覧を見ると明らかですが、歴史上の暗号を解く授業やアニメのお絵かきからアートセンスを磨く講座内容など、通常の教育課程では得られない課外活動的な学びを習得することが可能です。

つまり、学校の義務教育や受験勉強をフォローアップするのための「塾」という立ち位置より、冒頭で述べたような「課外活動」の一環さが強い印象を受けました。日本でも同様の流れが「MOSH」から起きていますが、あらゆるものがオンラインに移行するにつれ市場の勢いが増すことは間違いないでしょう。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏

熱を帯びる「後払い市場」Affirmが5億ドル調達ーー購買データをどう生かす?

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ピックアップ:Affirm Raises $500M Series G Round ニュースサマリー:分割払いサービスを展開する「Affirm」は17日、シリーズGで5億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはGICとDurable Capital Partners LPが参加し、既存投資家であるLightspeed Venture Partners、Wellington Manage…

Affirmウェブサイト

ピックアップ:Affirm Raises $500M Series G Round

ニュースサマリー:分割払いサービスを展開する「Affirm」は17日、シリーズGで5億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはGICとDurable Capital Partners LPが参加し、既存投資家であるLightspeed Venture Partners、Wellington Management Company、Baillie Gifford、Spark Capital、Founders Fund、Fidelity Management & Research Company LLCも同ラウンドに参加している。

話題のポイント:Affirmはミレニアル・Z世代を中心に、アパレル商品をターゲットとした分割払いサービスを提供しています。最近は、家具・家電を購入可能なWalmartやDJIのECサイトでの対応を進めるなどサービスの業界をまたいで拡大している「分割払い」の代表格となりました。消費者にとっては手元にキャッシュが少なくても商品を後払いで購入できるのがメリットです。また、支払い期間も6カ月から18カ月の中から自由に選択可能なためフレキシブルなケースに対応しています。

さて、今後のAffirmの事業展開を予想すると、現段階における同社最大のアセットはクレジットスコアが低~中のデータを膨大に所有していることになります。これは、同社は本質的に見れば決済システム会社であり、「分割払い・後払い」の機能と担保をECサイトへ提供しているからです。

この点については先日、105億ドル評価を受けたスウェーデンのスタートアップ「Klarna(クラーナ)」も同様ですし、そうしたミレニアル・Z世代のデータアセットを欲しているのはモバイルバンクの「Chime」や「Step」などが思い浮かびます。両者はAffirmが保有する若者世代の購買データを得られれば、的確な融資事業を推進できるようになり、フィンテック企業として更なる事業成長を進められる可能性を秘めています。

そのため今後Affirmは新興銀行サービスとの提携を進める可能性が高いといえます。口座を持つ若い世代の信用情報を分析し、融資事業に素早く銀行各社が展開できるように手助けする横展開を目指すことが非常に理にかなっているのではないでしょうか。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏

1兆円評価の“スゴイ後払い”サービス「Klarna(クラーナ)」

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ピックアップ:Klarna now Europe’s biggest fintech unicorn at over $10 billion value ニュースサマリー:スウェーデン発のスタートアップKlarnaは9月14日、エクイティーラウンドで6億5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはSilver Lake Partnersが参加し、シンガポールの政府系フ…

Klarna(クラーナ)ウェブサイト

ピックアップ:Klarna now Europe’s biggest fintech unicorn at over $10 billion value

ニュースサマリー:スウェーデン発のスタートアップKlarnaは9月14日、エクイティーラウンドで6億5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはSilver Lake Partnersが参加し、シンガポールの政府系ファンドであるGIC、BlackRock、HMI Capitalも同ラウンドに参加している。同社はスウェーデンを拠点に、後払い決済サービスを運営。無利子の分割払いや、商品到着から30日後の事後一括払いシステムなどを提供している。同ラウンドにて、同社評価額は106億ドルに達した。

話題のポイント:ECでの支払い方法と言えば、デビット・クレジットの決済方法が一般的ですが、Klarnaでは後払いシステム「buy now, pay later」を大きく3つの方法で提供しています。4回分割、30日以内後払い、そして即時ファイナンス(貸付)です。

まず1つ目の無利子「4回払いプラン」。この決済方法を選択すれば、ユーザーは商品の価格をそのまま払いつつも、4回に決済を分割して払うことが可能となります。決済は登録するデビット・クレジットカードのいずれかより2週間ごとに自動的に引き落とされます。仮に、自身でクレジットカード付帯サービスの分割払いを利用すると、利子が必要なのでメリットがあります。

次は無利子の「30日以内・後払いプラン」。この決済方法では、ユーザーは商品到着から30日以内であれば無利子で購入することが可能です。興味深いメリットとして、購入に際しクレジットカード番号なども求められることがないので、多くの情報を提供せずともシームレスな商品購入体験を味わえる点にあります。また、後日払いではクレジットカードも選択可能なため、実質的なキャッシュの支払いは商品購入の2か月先と調整できる点もポイントでしょう。

最長36回返済のファイナンスプラン。6カ月までなら無利子

最後は購入代金を貸し付けて、6カ月から36カ月の分割返済を求めるプランです。ユーザーは利用できるECサイトで、配達先に使っている住所と電話番号などの諸情報を入力さえすれば即時でクレジット与信枠を利用することが可能となります。6カ月までのプランであれば、利子はゼロであることも注目すべきポイントです。

さて、販売店舗側のポジティブポイントですが、何より、Klarnaでは即日入金という形でフォローアップしているのが特徴です。単にクレジットカード払いだと手数料も多く取られ、実際の入金日遅れも避けられない状況でした。そしてユーザーに対してリスクフリーな分割払い・後払いオプションを提供できることはもちろんプラスの要素であることは間違いありません。

気になる手数料自体は「月額固定+トランザクションごとの少額フィー」で構成し、通常のクレジット決済より低価格に抑えているとされています。同社公式サイトによれば、Klarnaの月間アクティブユーザーは既に1000万人を超えており、全体の30%の小売りがコンバージョンレートが向上したとの結果を公表しています。現在は欧州・米国を中心とした事業展開ですが近いうちにアジア圏への進出もあるかもしれません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏

友人とオンラインでサイクリング、Zwiftが4.5億ドル調達に成功

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ピックアップ:Cycling Startup Zwift Passes $1 Billion Value After Fund Raising ニュースサマリー:オンライン・サイクリングサービスを提供する「Zwift」は9月16日、総額4億5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。同ラウンドには、Amazon Alexa Fund、Specialized Bicycle、Zone 5 Vent…

Zwiftウェブサイト

ピックアップ:Cycling Startup Zwift Passes $1 Billion Value After Fund Raising

ニュースサマリー:オンライン・サイクリングサービスを提供する「Zwift」は9月16日、総額4億5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。同ラウンドには、Amazon Alexa Fund、Specialized Bicycle、Zone 5 Venturesが新たに参加している。また、既存投資家のHighland Europe, Novator, Causeway Media and Trueも同ラウンドに参加した。同社はカリフォルニア州ロングビーチに本拠地を置くスタートアップ。在宅中でも、オンラインプラットフォームとリアルデバイスを組み合わせ、手軽にサイクリング体験ができるサービスを提供している。

話題のポイント:今回大型調達を発表したZwiftは、フィットネス体験をバーチャルとリアルを上手く結びつけアップデートを目指しています。ユーザーは、保有する自転車と自宅内で利用するためのアクセサリー(ストッパーなど)を用意します。その後、iPadなどの外部デバイスとスピードセンサーをペアリングすることで、簡単にオンライン上と繋がったサイクリング体験を味わうことができる、というものです。

Zwiftウェブサイト

 

オンラインプラットフォーム上では、サービスに登録するグローバルなユーザーと繋がることができ、レースイベントへの参加や実際の友達などと、リアルタイムなオンライン上のサイクリング体験をすることも可能です。今までリアルの世界でしか物理的に叶わなかった遠く離れた友人とのサイクリング体験を、Zwiftはバーチャル上に持ってくることに成功しています。

さて、同様に自宅からフィットネスを楽しむ例ではPelotonが挙げられます。しかし、同社はライブ配信されるコーチを観ながら運動することを最大の売りとしており、Zwiftのサイクリング特化型オンラインコミュニティーとは大きく異なる性質です。筆者のシアトル自宅のジムにも、Pelotonに対応したサイクリングマシンが設置してありましたが、特に「オンラインコミュニティー」と意識したことはなく、普通に運動するよりトレーナーとリアルタイムに運動することができるマシーンという印象でした。そのため、Zwiftとは違う性質な両者といえますが、フィットネス体験とデジタルの接点を作り出しているという意味では似ています。

ZwiftやPeloton含め、フィットネスの世界でも仮想世界のアバターが交じり合うサービスは注目を集め出しています。特に米国のアパートメントでは、ジムなどのアメニティーの質を宣伝文句にしているケースも多いため、わざわざ自分でデバイスを用意せずともZwiftやPelotonに触れられる機会は加速度的に増えていくことが予想されます。COVID-19により、積極的な外出がままならない状況ですが、フィットネス体験にもリアルとバーチャルが交じり合うタイミングが訪れているのかもしれません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏

預金で「宝くじ」が貰えるYotta、新たなチャレンジャーバンクの座を狙う

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ピックアップ:Yotta Savings Banks On $3.3M Seed Round To Propel Prize-linked Savings Accounts – Crunchbase News ニュースサマリー:新たなチャレンジャーバンクの座を狙う「Yotta」は9月30日、シードラウンドにて330万ドルの資金調達を発表した。同ラウンドに参加したのは、Slow Ventures、F…

ピックアップ:Yotta Savings Banks On $3.3M Seed Round To Propel Prize-linked Savings Accounts – Crunchbase News

ニュースサマリー:新たなチャレンジャーバンクの座を狙う「Yotta」は9月30日、シードラウンドにて330万ドルの資金調達を発表した。同ラウンドに参加したのは、Slow Ventures、Funders Club、TwentyTwo VC、Chapter One、CapitalX、Y Combinator。同社は毎週一定額以上の金額を該当口座に貯金することで、「宝くじ」を引けるサービスを展開している。行動経済学に基づき、長期的に見れば預貯金額が最大化できる新しい銀行の形を目指す。

話題のポイント:同社は2020年春季のY Combinatorアクセラレータープログラムの卒業生です。最高で1千万ドルの賞金を掲げており、かなり業界の中でも挑戦的かつ若者世代の心を掴みにきました。Yottaの「掛け金」には預かりの貯金額に余裕を持たせてあると想像しますが、ユニットエコノミクス確立が実際にできるのかどうかは不明です。フィンテックに行動経済学を足し合わせた分野では、QapitalLemonadeが参入していることから、Yottaも巧みにユーザー心理をついた新興銀行のポジションを狙っていることが窺い知れます。

仕組みはシンプルで、まずユーザーは25ドル単位で利用している金融機関からYottaに対し振り込みをします。25ドルごとに「チケット(宝くじ)」を受け取ることが可能で、実際の宝くじのように7つの番号を選択します。数字の抽選は毎日7日間行われ、最終的に日曜日に該当週の当選番号が決定するという流れです。

選んだ数字とマッチすればするほど当選金額は上昇し、最大で1,000万ドルの賞金を獲得することが可能です。さらには、同社の預金金利は0.2%をベースとしています。そのため、Yottaに預金していれば金利での利回り+賞金獲得のチャンスを同時に獲得することができるのです。

Image Credit : GoBankingRates

2019年にGoBankingRatesが公開したデータによれば、回答した米国の69%の人の預金総額が1,000ドル以下という状況もあるようで、さらに貯金額5,000ドルまでレンジを上げると全体の80%以上というから驚きです。Yottaは宝くじで高額当選という、いかにも若者世代に特化した機能にも思えますが、こうした社会問題を考えると案外、効果的な施策であるのかもしれません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏

 

チャレンジャーバンクの「Kard」はZ世代家族にフォーカスした戦略を展開

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  ピックアップ:Kard raises another $3.5 million for its challenger bank for teens ニュースサマリー:Z世代向けチャレンジャーバンク「Kard」は23日、昨年のシードラウンドに引き続き350万ドルの資金調達を実施したと発表した。これにより、同社はシードにて700万ドルの調達を完了したこととなる。Founders Futu…

 

ピックアップ:Kard raises another $3.5 million for its challenger bank for teens

ニュースサマリー:Z世代向けチャレンジャーバンク「Kard」は23日、昨年のシードラウンドに引き続き350万ドルの資金調達を実施したと発表した。これにより、同社はシードにて700万ドルの調達を完了したこととなる。Founders Futureがリード投資家として主導し、その他エンジェル数人が参加している。

話題のポイント:Kardは主にZ世代、特に10代の需要に合わせた戦略で金融サービスを提供しています。月額サブスクリプションを採用し、家族単位で月に約5ドル(4.99ユーロ)でサービスの利用が可能です。例えば同じチャレンジャーバンクのN26やChimeなどは、利用者からのサブスクモデルを打ち出していませんが、同社はあえて有料化することで10代の子供を持つ家族が利用しやすくなるような付加価値を提供しています。

具体的には、保護者が直接的に子供の口座を管理できるようアプリからすぐに入金できる点や、振り込み頻度のスケジューリングをフレキシブルに設定することができるなどです。また、口座を保有していれば自動でスマホ損傷保険を利用でき、ティーンの求める機能が今後も増え続ける雰囲気を見せているのも特徴です。

他のチャレンジャーバンクも、既存金融機関が実現できない関連機能を続々と実装していますが、同社では金融をベースとした包括的なライフスタイルサービスの提供も視野に入れているようです。例えば収益軸を月額利用料に置くことで、低金利な学生ローンも実現するかもしれませんし、また、10代の内から家族単位でお金の運用をすることで、投資体験を身近にできることも利点の一つです。

小さいころから始めるお金の教育が注目される中、「Kard」を始めとするZ世代+家族にフォーカスしたチャレンジャーバンクは大きな需要を集める気がします。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏

あえて「手数料」を捨てたモバイル銀行「Chime」が躍進した理由

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ピックアップ:Chime is now worth $14.5 billion, surging past Robinhood as the most valuable U.S. consumer fintech ニュースサマリー:モバイルバンク「Chime」は18日、シリーズFにて4億8500万ドルの資金調達を実施したとCNBCが報じている。今回の調達で同社評価額は145億ドルに達し、前回ラウン…

Image Credit : Chime

ピックアップ:Chime is now worth $14.5 billion, surging past Robinhood as the most valuable U.S. consumer fintech

ニュースサマリー:モバイルバンク「Chime」は18日、シリーズFにて4億8500万ドルの資金調達を実施したとCNBCが報じている。今回の調達で同社評価額は145億ドルに達し、前回ラウンドの15億ドルから約9倍に上昇している。Chimeはミレニアル世代などのティーンをターゲットとしたモバイル銀行を運営するスタートアップ。送金や海外利用の際に生じる手数料等を完全廃止し、若者世代の需要に特化したサービスを特徴としている。

話題のポイント:アメリカの中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)は最低でも2023年末までのゼロ金利政策、つまり政策金利がほとんど発生しない金融緩和施策を維持すると明らかにしています。そのため、実質的には銀行へキャッシュを金利目的に預ける意味はなくなっており、銀行側としては他行との違いを出すのが難しい状況です。Chimeはまさに、この既存金融機関の「使いにくさ」を解消し、金利以外での価値提供を狙って成功しました。

冒頭で述べたように、既存の銀行では伝統的にかかっていた「手数料」が多く削られています。例えば、今までは仮に残高がマイナスになってしまった場合、利用者は「Overdraft fee」を支払わなければなりませんでした。銀行で異なるものの、支払いがあるまで隔週5ドルを徴収されるような仕組みになっているのです。

個人にとってはそこまで大きな金額ではありませんが、Chimeが示すデータによれば2019年時点で既存金融機関が得ている手数料は約110億ドルにも上るそうです。Chimeでは、最大で100ドルまでとの決まりはありますが、うっかり残高をマイナスにしてしまっても数日中に支払いをすれば全く手数料がかからない設計になっています。

既存金融機関が利益としていたポイント(ユーザーにとっては「使いにくさ」)を捨て去り、体験向上に走っているのがチャレンジャーバンクのひとつの特徴ですが、Chimeには他のサービスもあります。

例えばChimeを給与の振込口座(Direct Deposit)に登録すれば、実際の支払い日より2日前に入金を受け取ることができる先払いサービスも実施しています。また、通常は手数料がかかる最低預入額や海外送金手数料などもかからず、若者の需要やひとり一人の状況に対しフレキシブルなサービス提供を意識しているように思えます。

「貯蓄」という観点では、自動で貯蓄の提案をしてくれる機能も実装されています。例えば4.55ドルでコーヒーを決済すると、キリのいい5ドル分の決済にアプリ上のみで変更し、45セントを貯蓄預金へ移動してくれます。

今までの銀行は、どこを選んでも同じようなUI・UX、そして当然のように「手数料」を各所で徴収していました。もちろん、信頼性高く著名な銀行は、多額の資金の預入場所として最適なのは過去もこれからも変わらないでしょう。しかし、Chimeが台頭してきていることからも分かるように、特に若者を中心とした需要の柔軟さに対応が求められているのです。

そうした意味で、Chimeは既存金融機関が即座には提供できないようなプレミアム機能を兼ね備えており、今後も成長する流れは止まりそうにありません。

共同執筆:「.HUMANS」代表取締役、福家隆氏