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なぜAirbnbは強く、Uberは弱いのか?ーー起業家が知っておくべき4つのネットワークエフェクト

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ピックアップ記事: Why Some Platforms Thrive and Others Don’t 最近、SNSで「起業家が投資家へ事業戦略をピッチする際、答えるべき型がある」というやり取りをしばしば目にするようになりました。結論から言うと「ネットワークエフェクト」「規模のメリット」「ブランド」「高いスイッチコスト」の4つが答えになります。サービスが成長するために、何を武器に戦っていくかはこ…

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ピックアップ記事: Why Some Platforms Thrive and Others Don’t

最近、SNSで「起業家が投資家へ事業戦略をピッチする際、答えるべき型がある」というやり取りをしばしば目にするようになりました。結論から言うと「ネットワークエフェクト」「規模のメリット」「ブランド」「高いスイッチコスト」の4つが答えになります。サービスが成長するために、何を武器に戦っていくかはこのどれかを説明すれば片付くというものです。

しかしリサーチをしているなか、強固な「ネットワークエフェクト」を作り上げる4つの公式を押さえておけば、先ほどの全ての回答モデルを満たす筋道が見えると感じました。言い換えればネットワークエフェクト構築戦略さえ誤らなければ、あらゆる競合シチュエーションにおいても他社を負かせる“ディフェンス力”を獲得できると考えます。

そもそもネットワークエフェクトとは何でしょうか?最も簡単な答えとして挙げられるのが「使えば使うほど価値が増すシステム」です。

たとえばFacebookは友人同士のやり取りを活発化させることでネットワークを構築。現在は大問題になっていますが、個人データを膨大に集めて広告収益事業を成長させました。同様にAmazonもレビュー機能を通じて買い手と売り手を繋ぐマーケットプレイスを初期に構築。購買データからレコメンド機能の精度を上げて、さらにマーケットプレイスの価値を高めました。

それではGAFAに代表されるような巨大なネットワークを構築するにはどうすればよいのか。2つほど考えがあります。1つは強固なネットワークを構築できる領域から選択することです。

下記に記した13の領域は番号順にネットワーク効果の高い事業領域といわれています。事業アイデアを0から考えている起業家予備軍の方は高いランクのものから事業選定すれば強固なネットワークエフェクト構築の確率を上げられるかもしれません。本記事では2つ目の考えを中心に説明していくため、詳細説明は元記事『The Network Effects Manual: 13 Different Network Effects (and counting)』に譲ります。

  1. フィジカル(道路・電話・鉄道)
  2. プロトコル(Bitcoin・Ethereum)
  3. パーソナル・ユーティリティ(Facebook Messenger・Slack・Skype)
  4. パーソナル(Facebook・Instagram・Twitter)
  5. マーケット(AngelList・Houzz・TravelJoy)
  6. 2サイド・マーケットプレイス(eBay・Albibaba・Amazon)
  7. プラットフォーム(Microsoft OS・iOS・Android)
  8. アシンプトニック・プラットフォーム(Uber・Lyft)
  9. データネットワーク(Google・Yelp・Waze)
  10. テックパフォーマンス(VPN・BitTorrent)
  11. 言語(Google・若者言葉)
  12. 信念(宗教・イデオロギー)
  13. バンドワゴン – 人気や熱狂(Apple・Google・Stripe)
uber smartphone iphone app
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さて、2つ目の考えは本題にもある、4つのネットワークエフェクト戦略を考察し、過去の事例から踏襲することです。前述したように次の4つの戦略を事業に取り入れることは「規模のメリット」「ブランド」「高いスイッチコスト」を含む全てのディフェンス力に繋がると考えています。

1. ネットワーク・クラスター

長期的に見て、単にユーザーを集めるだけでは強いネットワークエフェクトは誕生しません。なかでもローカルネットワークを積み重なって作る構築方法は注意が必要です。

たとえばUberのユーザー体験を考えてみましょう。東京に住むユーザーがニューヨークやサンフランシスコの配車状況を見ることはありません。つまり、ユーザーが利用するサービス都市毎にネットワーク構築がなされ、サービス展開都市数を増加させることで巨大なネットワーク網を作り上げているのがUberというわけです。

巨大なUberネットワークを因数分解するとバラバラのネットワークの積み重なりによって構成されている点を指して「クラスター」と呼びます。

他方、Airbnbは全く違うネットワークを保有します。ユーザーが最初に行うのは旅行先選択。東京に住んでいるユーザーが東京へ民泊するローカルな体験は想定していません。つまり旅行先に該当する都市数が多くなければそもそも成り立たないのがAirbnb。言い換えれば展開数が多いからこそ民泊市場を牽引できているのです。

brown wooden center table
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2つの事例を比較すると、タイトルにある通りAirbnbにはUberにはない強みがあります。それは参入障壁の高さです。

Uberは都市ベースで勝負をしているため、たとえば日本市場へ参入した場合、「日本交通」などのローカル企業と競合する形になります。ユーザー体験をベースにするとUberの競合数は数え切れないほど世界中に点在する構図ができあがってしまいます。

一方、Airbnbはグローバル規模でネットワークを広げて初めて成り立つモデルを採用。中小規模の競合他社を持つことはありません。いかに世界中にネットワークを持つかが競合力を測る物差しになるため、一度ネットワーク構築してしまえば後追いされる危険性が減るのです。

このように、仮に巨大なネットワーク構築ができた場合、どのような競合を迎え討たなければならないのかをユーザー体験視点で考える必要があるでしょう。「ローカル」vs「グローバル」ネットワークの視点から、後者の考えの方が長期戦略を語る際には説得力があるように思えます。

しかし、Uberのようにローカル都市ベースでネットワーク構築をしていく方向性の方が成長スピードが早い場合もあります。こうしたPro/Con比較をしっかりとした上で、最終的にどちらのネットワーク傾向を目指すのかを説明できるようになるとよいでしょう。

woman in the kitchen preparing to cook
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2. 仲介業者の排除と引き抜き

UberやLyft、TaskRabbitの台頭により、一時期ギグワーカー向けサービスが多数登場した時期がありました。そのなかでも注目されたのが家事手伝いサービス「Homejoy」。2010年にサンフランシスコで創業し、2015年に倒産にまで追いやられました。累計調達額が6,500万ドルにも及ぶ大型スタートアップです。

当初、家事手伝いサービス提供者にホームレスを雇用していたり、ちゃんとした契約書(W-2フォーム)を結んでいないなどの雇用形態が問題視されていたことでブランド低下を招いたことが倒産の原因だと叫ばれていました。しかしネットワークエフェクトの側面から見ると違った見方が浮かび上がってきます。それが「引き抜き」です。

Homejoyは家事手伝いマッチングが成立した時点で手数料を徴収するマーケットプレイスモデル。しかしサービス提供者がユーザーから直接「毎週同じ値段で家事手伝いに来てくれないか」と誘われてしまえばマーケットプレイスから引き抜かれてしまう危険性があります。手数料を徴収されないため、ユーザーからしたら損はなく、サービス提供者から見れば通常より15-20%多く稼ぐことができます。仲介業者に該当するサービスプラットフォームを排除し、引き抜く具合です。

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上記の事例は個人が引き抜く想定事例ですが、企業レベルで行われてしまっては後発企業がユーザー獲得コストを削減することでき有利に立つことができます。実際、Uberと競合のLyft間ではこうした引き抜き合いが行われたことが容易に想像できます。手数料キャンペーンを張り続けた方が引き抜きの勝者になるため、共倒れリスクも考えられるでしょう。

この点、Airbnbのディフェンス思考は一歩先に行っています。サービスを実際に使われた方であればわかる通り、予約が完了するまで民泊先の連絡先・住所は公開されません。ユーザー視点から考えるとプライバシーを守るための導線であるように思えますが、実は引き抜き予防線になっているのです。

Airbnbでは一泊少なくとも50-100ドル以上を支払わないとサービス提供者へリーチすることができません。競合他社からすればそこまでの費用を払って連絡先を入手できたとしても、必ずしも自社民泊プラットフォームへ引き抜けるわけではないため断念せざるを得ません。

一方、HomejoyやUberなどの単価の安いサービスや、引き抜き策を講じていないサービスはどんどんネットワークを奪われてしまう可能性があります。いまでは規約に「ユーザー間の個人情報のやり取りを禁止する」と明言することで法的に守る手法が一般的ですが、あくまでも性善説に基づくため限界があるのです。

ちなみに初期のAirbnbは類似サービス「Craigslist」に掲載されている物件情報をさらいながらマーケットプレイス拡大を狙いました。今では徹底的に自社ネットワークを守っているAirbnbが、初期にはその逆手を突いた戦略を採用していた点は頭が切れるといえます。

引き抜きをする戦略は評価されますが、成長すれば引き抜かれるリスクを背負うことを意味します。最も優秀なプランはAirbnbのように“引き抜きはするが、成長フェーズでは引き抜きはさせない”ことを、取引額の高さやユーザー導線に組み込んだディフェンシビリティーの観点からを胸を張って言えるようなサービスでしょう。

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3. マルチホーミング

シリコンバレーでは複数のアプリを同時に立ち上げながら仕事をする人を頻繁に見かけます。

たとえばUberとLyftを立ち上げたスマホ2台を運転席に立て替えておいて、リクエストが入ってきた順、もしくは高い運賃を稼げるほうを承認するという使い方をするユーザーです。買い物代行サービス市場において同様の現象が起きており、「Instacart」「Postmates」の両方をうまく駆使しながら隙間時間を作らずにお金を稼ぐわけです。

このように競合サービスをリアルタイムで同時に使う現象を「マルチホーミング」と呼びます。先述した引き抜きにも似ていますが、文脈上では「共存」というのが適切でしょう。

日本でもキャッシュレスブームが起きてから「Paypay」「メルペイ」「LINE Pay」のどれを使うか迷い、とりあえず全てインストールして持っている方は少なくないのではないでしょうか?フリマアプリにおいても「メルカリ」と「ラクマ」の併用が想定できます。

このようなアプリ複数持ちの現象が続くと、競合優位性を高く保てないネットワーク構築に終始してしまいます。実際にサービス利用されるまで選択肢が残り続けるため、ネットワークに長く留まってくれるコアファンの獲得に繋がらず、安定的な収益化に走ることが困難になります。まさにレッドオーシャン市場の様相で、最終的に競合から逃げ切るには、マーケティングコストをかけてユーザーを多く獲得して逃げるという手法が最有力になるかもしれません。

長期的に見て、ユーザーに選択肢を与えないようなサービス像を描くことができれば競合と戦う必要がなくなり、こうした説明を投資家に向かってできれば非常に魅力的で考えられた事業プランと呼べるはずです。著名投資家Peter Thiel氏が述べる「競争せずに市場を独占しろ」という名言にも繋がる考えでしょう。

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4. ネットワークブリッジ

多角化戦略をしながら他市場でもネットワークを構築、ユーザーとの接点を増やすことで様々なデータを獲得してネットワークエフェクトを最大化するのが「ネットワークブリッジ」です。

中国のEコマース企業「Alibaba」が好例です。自社傘下Eコマース事業「Taobao」「Tmall」と決済サービス「Alipay」を連携させることで相乗効果的にデータ獲得。取引データから信用情報を弾き出して金融事業にも攻勢をかけることを可能とし、「Ant Financial」の立ち上げを通じてデフォルト率の低いローンサービスを始めました。競合「Tencent」が「WeChat Pay」を通じた決済サービスの提供を始めたとしても、Eコマースを軸にした巨大な経済圏ネットワークを武器に独自のポジションを築き続けられています。

このように複数のネットワーク環境を構築することでプラットフォーム・オーナーであるAlibabaに大量のデータ資産が収集されます。ビックデータを活かすことでどのサービスチャネルにおいてもパーソナライズ・ユーザー体験を提供できるようになる、というわけです。

ネットワークブリッジの考えを起業初期から話したとしても絵に描いた餅の感じを持たれてしまうかもしれませんが、バーティカル特化で他市場へ参入できるポテンシャルを示せれば非常に良い説得力を与えられるでしょう。

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最後に簡単に内容をまとめます。

ネットワーク要素が大きく絡む事業を考える場合、起業家は自社ネットワークの特徴を長期戦略の視点から分析し、ネットワークエフェクトを強化する手法を検討、投資家へ説明する必要があります。

具体的には「グローバルネットワークの構築」「引き抜き戦略対策」「脱マルチホーミング」「ネットワークブリッジによる規模拡大」の4つを提示する公式が浮かび上がります。そして冒頭に説明した残り3つのディフェンビリティーもこの公式に紐づきます。

「ネットワークブリッジ」と「規模のメリット」は同意、「グローバルネットワーク構築」と「脱マルチホーミング」を成すためには「ブランド力」が鍵となってくるため、必然的に検討すべき条件に上がってきます。そして「グローバルネットワーク構築」ができる事業であれば「スイッチコスト」は自ずと高くなるでしょう。こうして、ネットワークエフェクトに関する4つの公式を考えることで、投資家が起業家に求めるディフェンビリティーの説明を一挙に行うことができます。

タイトルに記したAirbnbの強さは、この4つの公式をほぼ全て満たせていることが要因と推測できます。唯一ネットワークブリッジが弱いように思えますが、最近ではビジネス旅行市場へ積極的に攻勢をかけていたり、P2Pクラウドファンディングサービスを買収していることから多角化戦略に舵を切るタイミングはじきに来るでしょう。

一方、Uberはネットワークブリッジを除く3つの点において決定的な弱点を抱えています。せっかく成長させたネットワークが縮小するリスクを多々含んでおり、競合他社の動向を気にしながらネットワークエフェクトを維持できるか常に気を配る必要があります。

みなさんの事業では今回紹介した4つのネットワークエフェクトの特徴を何個抑えられていたでしょうか?仮にいくつか考えの抜けている点があれば、しっかりと公式に沿ってテンプレート回答を用意しておくと無駄な説明準備コストをかけずに済むため、実際にチーム内で議論してみるとよいかもしれません。

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【Airbnbハック】 ECブランドが仕掛ける“体験する宿泊事業”ーー 新コンセプト「Airbnb as a Service」とは?

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ピックアップ記事: Why your eCommerce store should open an Airbnb ECブランドによるチャネルハックが起きています。顧客へ商品・サービスを届ける媒体の費用対効果を圧倒的に効率化させる手法が一般化し始めている印象です。 小売ブランドが大きなメリットを受けるチャネルハックの分野は往々にして不動産。たとえば2015年にサンフランシスコで創業した「b8ta」の…

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ピックアップ記事: Why your eCommerce store should open an Airbnb

ECブランドによるチャネルハックが起きています。顧客へ商品・サービスを届ける媒体の費用対効果を圧倒的に効率化させる手法が一般化し始めている印象です。

小売ブランドが大きなメリットを受けるチャネルハックの分野は往々にして不動産。たとえば2015年にサンフランシスコで創業した「b8ta」の例が挙げられるでしょう。累計調達額は3,850万ドルに及ぶ大型スタートアップです。

b8taは月額2,000〜3,000ドルで店舗の一画を各ブランドの販売商品の展示スペースとして割り当てる不動産事業を展開しています。自社で不動産を購入することはないため、いわゆる又貸しのビジネスモデル。EC事業者が手軽に一等地店舗に商品を並べる機会提供をおこなっています。

月額サブスクリプションモデルのためb8ta側は一定売上が担保されます。従来、店舗ビジネスを展開する事業者が収益をあげるには商品を売りさばく必要がありました。しかし、販売売上に左右されずに一定の売上予測が可能になったのです。出店ブランド側も多額の出店費用リスクを負う必要がなくなるWin-Winの関係構築ができました。

さて、b8taの事例は「店舗チャネル」のハッキングです。店舗を持てなかったECブランドが柔軟な料金体制と出退店契約を通じて手軽に顧客へ商品体験を届けられるようになりました。

そして昨今、ECブランドがAirbnbを通じた「宿泊チャネル」のハッキングを行なっている傾向にあります。

ホスピタリティをマーケティング戦略の武器にする

brown wooden center table
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Airbnbに「出店」するECブランドたちが徐々に登場してきました。ここから簡単に4社ほど事例をピックアップ記事から引用する形で挙げたいと思います。

  • Casa Mami: デザイナーズECブランド「Casa Mami」はAirbnb宿泊事業を戦略の主軸に据えている企業。特別にリノベーションされたデザイナーズハウスにAirbnb経由で宿泊ができます。ハウス内に置かれている全ての家具や日用品はECサイト上で購入できる導線ができています。
  • Utility Canvas: 日用品ECブランド「Utility Canvas」は都市部で宿泊場所を探している人ではなく、バケーション客をターゲットに宿泊箇所を提供。1泊85ドルから滞在が可能。最大6人が宿泊でき、ビーチすぐ側でゆったりと過ごせるそう。部屋には同ブランド商品が置かれており、滞在中に自由に使えるとのこと。
  • Floyd: Eコマース事業者である家具ブランド「Floyd」。 本記事執筆時には14拠点の宿泊部屋を展開。ピックアップ記事によると、Airbnbを利用している旨を前面に推し出しているとのこと。
  • Marine Layer: 衣料品ブランド「Marine Layer」はAirbnbに3つのアパートルームを展開。実店舗を持っており、宿泊部屋は全て同ブランドが主要都市で展開する小売店の上階にあります。 部屋の内装や雰囲気はMarine Layerが展開する服のラインアップに合うように調整されています。 また、Airbnbsに滞在する人は、店舗で15%の割引を受けられる特典付き。 Marine LayerはAirbnbと公式のパートナーシップを結んでいませんが、サイト上ではまるで自社運営の宿泊事業のようにサービスを展開しているのが特徴です。
woman in the kitchen preparing to cook
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ここまで紹介した4つのブランド達は「ホスピタリティ・ブランディング」を戦略軸に置いている企業です。

ホスピタリティマーケティングの利点は、単に製品だけを売るのではなく、“ライフスタイル全体を売る”ことに重きを置いています。配置する全ての生活用品のキュレーンレベルを高め、ブランド商品を通じてどのような生活を送れるのかを体験させます。

なぜホスピタリティ・ブランディングを重視しているのかという理由に次のデータが挙げられます。冒頭に紹介した記事よると、ミレニアル世代の84%が一般に認知されているブランディング手法を好まない/信用しないと回答しているそうです。一方、自分たちの価値観と一致し、個々のアイデンティティに適合する「本物のブランド」に魅了される傾向にあるとのこと。

単調な商品機能の説明ではなく、「体験」を求める時代になってきたことが上記のデータから伺い知れます。こうした時代のソリューションの1つが「店舗」であり、最近登場したのがECブランドによる宿泊事業といえるでしょう(Marine Layerのみ実店舗所有)。

ソフトウェア化するAirbnb

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Image Credit : © Airbnb, Inc.

ブランドがAirbnbを活用する強みは「ハコ」がすでに用意されている点でしょう。不動産を購入することなく、ホスト宅を一度内装を加えて、生活環境を整えるだけで宿泊事業として展開が可能となります。

こうした既存ハードウェア(ここではホストが持つ不動産)にSaaSの概念を持ち込み、宿泊 × ブランドの流れに最適化した業態を「Airbnb as a Service」と筆者は呼んでいます。

ビジネスモデルの観点からでもWin-Win-Winの3方良しの関係を築けます。

ホスト側からすれば、信頼できるブランドが部屋をデザインしてくれるため、高品質な滞在環境を実現できるでしょう。滞在客からの評価も高くなる傾向になるでしょうから、必然的に検索結果上位に選ばれ、平均流入客も比較的高くなると予想されます。

Airbnb側にとっては、ブランドが出店してくれることから、さらなるサービス認知度の向上、先述したホスト側のメリット増大が見込めます。また、ブランド監修の滞在体験は単価を多少高く設定することで、収益増加が狙えるかもしれません。

white fabric sofa set with coffee table
Photo by Milly Eaton on Pexels.com

ブランド側からすれば、初期投資に当たる部屋のデザイン費用さえ負担すれば世界中のあらゆるAirbnbネットワーク上に商品体験できる拠点を構えることができます。なお、初めから自社ブランドと雰囲気の合う部屋を持つホストにリーチすれば、内装コストも省き、宿泊施設に置く商品コストのみでで宿泊事業へと進出できるでしょう。

ちなみに先述したデザイナーブランド「Casa Mami」のように家を丸ごとリノベーションすることを除き、部屋の内装変更は中堅ブランドにとってみれば巨額の支出にはならないでしょうし、事実上ブランド商品を適切に配置するだけで事業展開できそうです。

また、Walmartに買収された小売ブランド「Bobonos」が展開するガイドショップ機能を持つような拠点として働くことも考えられます。Bonobosは店舗にほとんど在庫を持たず、顧客が店舗で商品を体験・購入の決定をしたあとはECサイト経由で購入プロセスを踏んでもらい、購入品は後日の自宅配送される仕組みを採用。

こうした店舗戦略を模倣し、在庫スペースを確保しなくてはならない店舗の代わりにAirbnbを使う活用法が確立されているのです。ミレニアル世代が望まないマーケティングへ莫大な費用をかけるのではなく、1ライン1商品を各滞在拠点に設置するだけでマーケティングチャネルを確立できます。

加えて、暮らしの中で商品体験をおこなうため、定量データでは測れない多大なインプレッション率を弾き出せるのも魅力です。どのような商品に興味を持ち、どのような生活をしているのかを定性的な視点から測ることができるはずです。

このように、宿泊施設の流動性はAirbnbの登場以来、世界中で高まっています。日本参入を果たしたOYOなども、こうした文脈のなかでECブランドの宿泊事業として利用される可能性は高いかもしれません。Yahoo!や楽天、BASE、ZOZOに出店するオーナーさん達が手軽に自社ブランド商品を生活体験できる場所として、様々な宿泊事業者と提携する未来はちょっと楽しそうです。

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Airbnbが出張滞在特化の「Urbandoor」買収ーー法人需要と不動産事業者でエコシステムづくり狙う

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ピックアップ:How Can Airbnb Guests Live Like Locals if Hosts Are, Well, Corporations? ニュースサマリー:Airbnbは6日、ビジネストラベラー向けに滞在場所を提供する「Urbandoor」を買収したと発表した。金額は公表されていない。同社は2015年創業で、60以上の国、1500以上の街で法人出張者を対象に長期・家具付きのア…

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ピックアップHow Can Airbnb Guests Live Like Locals if Hosts Are, Well, Corporations?

ニュースサマリー:Airbnbは6日、ビジネストラベラー向けに滞在場所を提供する「Urbandoor」を買収したと発表した。金額は公表されていない。同社は2015年創業で、60以上の国、1500以上の街で法人出張者を対象に長期・家具付きのアパートメントを運営するホスピタリティースタートアップ。

Airbnbのプレスリリースによれば、Urbandoorの特徴にはその契約形態にある。同社は部屋の貸主ではなく、それを保有する不動産屋や集合住宅の地主、ビルオーナーと直接交渉し、法人向け長期滞在スペースの魅力や金銭的リターンを伝えていた。

話題のポイント:Urbandoor買収の背景には「Airbnb for Real Estate(Airbnb-friendly building)」というプログラムが大きくかかわっていそうです。同プログラムは、不動産会社や土地所有者と協創を目指すもの。実は2016年から始まっている同社のプログラムの中ではかなり早い段階のものです。

参加する不動産会社や土地所有者、ビルオーナーは住居のマネジメントに関わるサービスを受けることが可能になります。以下はサービスの一例。Airbnbを通して部屋を貸し出すことを許可制にすることで、「いつの間にか貸し出されている」という状況を避けることが可能となります。また、全ての住居の内幾つの部屋が貸し出し中かなどの分析ツールも提供され、リアルタイムで管理することが可能。

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加えて、オーナーには固定のサポートチームが付くことで毎度同じ説明をすることなくハイレベルな援助を受けることができるため、「マネジメント」という観点でコンサルティングサービスに近いともいえるでしょう。今回買収したUrbandoorは、Airbnb Friendly Buildingsがターゲットとしている層とのコミュニケーションに優れている、いわばコネクションが強い企業であるといえます。

民泊と不動産保有者はしばしば対立関係で表されますが、Airbnbは当然仲良くするのが得策です。2者間の関係性に、さらに透明性が増していけば市場として新たな動きが起こっていくのだと思います。

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スタンフォード大のチーム、AIでAirbnbの価格を69%の精度で予測するシステムを発表

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Airbnb の価格予測を人間がやる必要はない — ユーザレビューやレンタル機能などの情報がインプットされた人工知能が予測してくれる。それがスタンフォード大学の院生からなるチームが出した結論だ。彼らは Arxiv.org 上で、機械学習と自然言語処理を活用して将来の Airbnb での価格を予測するシステム「機械学習とセンチメント分析を使った Airbnb の価格予測」に関する論文を発表した。 今…

Image credit: baloon111 / 123RF

Airbnb の価格予測を人間がやる必要はない — ユーザレビューやレンタル機能などの情報がインプットされた人工知能が予測してくれる。それがスタンフォード大学の院生からなるチームが出した結論だ。彼らは Arxiv.org 上で、機械学習と自然言語処理を活用して将来の Airbnb での価格を予測するシステム「機械学習とセンチメント分析を使った Airbnb の価格予測」に関する論文を発表した。

今回の論文と並行して、研究者たちは最適化したモデルを GitHub にも公開している。

共同執筆者らは以下のように述べている。

来客数にも影響するため、物件のオーナーが Airbnb の宿泊価格を設定するのは簡単ではありません。一方で、利用者側は物件の最適値に関して最小限の知識しかないまま価格が適正なのか判断しなければなりません。

今回の論文の目的は、機械学習やディープラーニング、自然言語処理といった技術を使って、信頼性の高い価格予測モデルを開発することです。そうすることで物件のオーナーと利用者の双方が、物件に関して最小限の情報しかなくても適切な価格判断ができるようになるのです。

価格予測システムをトレーニングするために、研究者たちは公開されているニューヨーク市の Airbnb のデータセットを利用した。これは、それぞれ96の特徴をもつ50,221の物件からなるものだ。彼らは特徴をひとつずつ調べ上げて、頻出する回復不可能な破損フィールドを取り除き、ブール値をバイナリに変換した。さらに、重複を取り除いて、ホスト画像の URL などの役に立たない特徴を削除した(これによって特徴は22まで減った)。チームは元データの90%(39,980のサンプル)をトレーニングに使い、5%(9,996のサンプル)を検証とテスト用に残した。

トレーニングの前に、チームはオープンソースの TextBlob コーパスを使ってユーザレビューのセンチメントを解析し、それぞれに-1(非常にネガティブなセンチメント)から1(非常にポジティブなセンチメント)のスコアを付けた。リスティングごとに関連するすべてのレビューのスコアの平均値を求め、それをトレーニングデータセットに特徴の1つとして追加した。

このチームは線形回帰やツリーモデル、サポートベクター回帰、ニューラルネットワークなどの複数の価格予測用機械学習技術をテストした。しかし、彼らのレポートによると、最も成績が良かったのはサポートベクター回帰で、テストデータに対して69%の R2スコア(現実のデータポイントをどれくらい正確に近似できるかを示す指標)を達成した。

彼らは次のように述べている。

データセットが不均一で、考慮するのが不可能な物件所有者の性格などといった隠れた要因や相互作用があることを考えると、これくらいのレベルの精度は今後に期待が持てると言えます。

彼らは、トレーニングサンプルのさらなる収集や、新たなニューラルネットワークアーキテクチャの実験は将来の研究に委ねるとしている。

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【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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Airbnbがホテルでもエアビーでもない「Lyric」に1億6000万ドル出資、その提携の背景を考察する

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ニュースサマリー:サンフランシスコ発の不動産・ホスピタリティー系スタートアップ「Lyric」は4月17日、1億6000万ドルの資金調達を公表している。出資したのはAirbnbで調達ラウンドはシリーズB。

賃貸経営者がラグジュアリーアパートメントの貸し出し可能なプラットフォームを運営。特にビジネストラベラー向けに一室丸ごと貸し出すのが特徴で、出張時の生産性向上やホスピタリティーの面を売りにしている。

話題のポイント:Airbnbにも「一室丸ごと貸し出し」な物件はありますが、Lyricはそのエリアのみに特化したサービス。競合には、以前「ユニコーン企業」にてお伝えしたSonderなどが類似サービスとなっています。

Lyricの特徴に関して、同社共同創業者のJoe Fraiman氏はSkiftにて以下のようにコメントしています。

「We’re not a hotel. We’re not an Airbnb. We basically design and operate what we call ‘creative suites,’」(Lyricはホテルでも、Airbnbでもありません。’クリエイティブスイート’と私たちは呼んでいますが、そんな空間をデザインして、作り出しているんです)。

アメニティーは高級で使い心地の良いものを用意し、現代的なビジネストラベラーが必要とする高速Wi-Fiなどを揃えた「クリエイティブスイート」という環境を作り出しています。

では、なぜ今回AirbnbがLyricへの出資を決めたのでしょうか。CB Insightが公開したデータによれば、現在Airbnbは500万件以上もの物件が掲載されています。その反面、Sonderは2万件ほど、そしてLyricも1000件ほどと公表しています。

Credit: CB Insights

ただ、Airbnbの物件は基本的に家主がそのままリスティングするためLyricやSonderのようなこだわり抜いたデザイン設計がされているわけではありません。

Lyricのサイトには企業パッションである3つのコアが掲載されています。これによると、Lyricという会社は「Design」,「Community」,「Technology」を組み合わせたコンセプトを持っています。

同社はインハウスで、部屋のデザインを担当しており現代的かつ目的に合わせることを心掛けているとしています。またデザインと同じく、インハウスのデータサイエンティストやエンジニアが「シームレスな経験」をキーワードにサービス設計を施します。ここに最後のパーツであるコミュニティーを組み合わせ、街のスペシャリティーを理解したうえで、Lyricの物件が一緒に成長していけるようなコミュニティー形成を心掛けているとしています。

つまり、AirbnbのLyricへの出資は「こだわりのある」部屋のリスティングを差別化して増やす目的意識があるのでしょう。

Airbnbがディスラプトしているホテル業界ですが、伝統的なホテルも対抗策を講じてきています。例えば、「Marriott(マリオット)」は高級ホテルとして有名ですが、Washington Postによれば、「Homes & Villas by Marriott International」と呼ばれるAirbnbライクな取り組みを開始しているようです。今のところ、米国、ヨーロッパ、カリビアン、ラテンアメリカのマリオット系列において、住居としての利用が可能としています。

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乱立する「○○版Airbnb」モデルーー出張向けの「Mint House」が150万ドル調達、勝負ポイントは”テックフレンドリー”さ

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ピックアップ:Mint House Gets $15M To Enhance Your Business Travel Experience  ニュースサマリー:ビジネス旅行者向けホスピタリティーサービスを提供する「Mint House」は9日、シリーズAにて150万ドルの資金調達を実施したと発表した。調達元はRevolution Ventures。また、NextView Ventures、Nel…

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ピックアップMint House Gets $15M To Enhance Your Business Travel Experience 

ニュースサマリー:ビジネス旅行者向けホスピタリティーサービスを提供する「Mint House」は9日、シリーズAにて150万ドルの資金調達を実施したと発表した。調達元はRevolution Ventures。また、NextView Ventures、Nelstone Ventures、Ingleside Investors前Starwood Hotels CEOのTom Mangas氏も同ラウンドに参加している。

同社はビジネストラベラー向けにハイエンドな宿泊施設を提供しているスタートアップ。米国内のみの運営で、主にデトロイト、ナッシュビル、インディアナポリス、デンバー、マイアミなどを中心に計200の施設を提供し、今夏までに新たに200施設を追加するとしている。

アプリ一つでチェックイン・チェックアウトなどの諸手続き、またコンシェルジュサービスをシームレスに実行できるのが特徴。テクノロジーに順応させ、ストレスフリーな旅を実現できる。

話題のポイント:以前ご紹介したように、「○○版Airbnb」のビジネスモデルが乱立している状態です。

<参考記事>

今回ご紹介するMint Houseも、ある意味ではこの枠組みに入るものです。Airbnbでは、多くのケースでホスト側とやり取りを行い、入居時間や退去時間、鍵の場所などコミュニケーションを取らなければなりません。同社のサービスではそれらを一切排除し、シームレスな宿泊体験を提供しています。

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Nashvilleの家。1泊225ドル

特に、時間的制限の多いビジネストラベラーをターゲットとすることで特定の市場確保を目指している印象を受けます。ビジネストラベラーに関わる市場はグロース段階で、今後も大きく成長が見込まれる分野です。

Allied Market Researchのレポートによると、2023年までにビジネストラベルの市場規模は約165億ドルにまで膨れ上がると予想しています。特にアジア太平洋地域における2017年から2023年までの年平均成長率は5.5%とエリア別で最も高くなっているんです。

Business travel market by geography
Credit:Allied Market Report

とはいえ、Airbnbとの差が「テックフレンドリー」や「シームレス」のみだと今後淘汰されてしまう可能性は多く残されています。また、Airbnbは「Airbnb for Work」といった取り組みも積極的に始めており、法人利用の加速を進めているのは明らかです。

では、どう差別化を図ればいいか。逆に言えば、Airbnbには存在しない何に対して今後の需要を予測し、同市場周りの新サービスを打ち出せるかがカギになってきそうです。また、Selinaの際も書きましたが、ローカルにブランディングを進めていく戦略もAirbnbに打ち勝てる大きな一歩になるのではと考えています。

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ノマドワーカー版Airbnbの「Selina」が1億ドル調達、南米で目指すノマド民の聖地

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ピックアップ:Airbnb Competitor Selina Secures $100M In Series C, Relying On Real Estate As Part Of Business Model ニュースサマリー:トラベルスタートアップの「Selina」が4月26日、シリーズCにて1億ドルの資金調達を実施したと発表した。Accel Industriesがこのラウンドをリードし、…

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ピックアップAirbnb Competitor Selina Secures $100M In Series C, Relying On Real Estate As Part Of Business Model

ニュースサマリー:トラベルスタートアップの「Selina」が4月26日、シリーズCにて1億ドルの資金調達を実施したと発表した。Accel Industriesがこのラウンドをリードし、Colony Latam PartnersとGrupo Wieseも参加している。

同社はノマドワーカー向けに短期宿泊兼コワーキングスペースを提供している。プラットフォーム自体はAirbnbと似ている設計だが、ノマドワーカーが快適に過ごせるような施設やローケーションが多いのが特徴。

話題のポイント:「○○版Airbnb」といったビジネス形態が増えつつある印象です。例えば、つい先日Airbnbが1億6000万ドルを出資した「ビジネストラベラー版Airbnb」のLyric。正直、ビジネストラベラーもノマドワーカーもほぼ変化はありませんが、確かに部屋の特徴を見ていくと多少の違いはあるのかな、といった印象です。

Lyricの部屋が、都市部のラグジュアリーアパートメントの一室ならば、Selinaは「避暑地のリゾート地」の一室のようなイメージです。彼らが多く拠点を保有する南米という特徴からか、提供サービスの中にはサーフィンのオプションもあり、比較的自由度の高いフリーランスノマドワーカーに特化しているように思えます。

また同社は、プログラミングのブートキャンピングも自社にて主催。南米という地の利を生かし、まさに「健康」な日々を過ごせるプランなども提供しています。

まだ空いてるスペースがありそうな「○○版Airbnb」ですが、当然のことながらAirbnb自体もサービスの拡大をしてくるはずです。そう考えると、各社にとってどれだけローカルにブランドとして根付けるかも大きな生き残り要素となってくるかもしれません。

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難民や被災者に「住む」手助けをーーAirbnbが開始した投げ銭機能「Airbnb Donations」の可能性

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ピックアップ:Airbnb now allows hosts to donate their profits to help displaced people find housing ニュースサマリー:Airbnbは1日、同社プラットフォームのオーナーユーザー向けにNPOへの寄付が可能な機能「Airbnb Donations」をローンチしたことを発表した。 同機能を用いることで、同社プラットフォ…

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ピックアップAirbnb now allows hosts to donate their profits to help displaced people find housing

ニュースサマリー:Airbnbは1日、同社プラットフォームのオーナーユーザー向けにNPOへの寄付が可能な機能「Airbnb Donations」をローンチしたことを発表した。

同機能を用いることで、同社プラットフォームを通した収益を宿泊施設の提供のため活動しているNPO団体(International Rescue CommitteeAll Hands and Hearts Smart ResponseMake-A-Wish FoundationMercy Corps.)へ100%寄付することが可能になる。現段階では、米国ユーザーのみに同機能を開放している。また、ドネーション可能な金額は収益全体の2%、5%、10%にて設定可能(スクリーンショットより)。

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Airbnbは2017年より、難民や自然災害により安定した住居を維持できない層向けのサービス「Open Homes Platform」を開始している。同社はこのような取り組みにより、10万人の住居を持ち合わせない難民に対し短期的な宿泊施設を提供可能な場を近い将来提供する目標を掲げている。

話題のポイント:Airbnbの難民に対する取り組み「Open Homes Platform」。その一環で始まった募金活動の「Airbnb Donations」ですが、仮に米国におけるホストが収益の1%をドネーションに回した場合、200万人の難民を救済できる”価値”に達する見込みだとしています。これは、シンプルにすごいことですよね。

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UNHCR(国連難民高等弁務官事務所:The Office of the United Nations High Commissioner for Refugees)のデータによれば、全世界における難民の数は6850万人にものぼるとされています。そのため、Airbnbという1企業のみで全体の3%ほどを救える可能性を秘めている取り組みになります。

国内では「Open Homes Platform」の取り組みがAirbnbと紐づいて一般に認知されているとは言えない状況ですが、もちろん同プログラムには日本のホストも参加可能になっています。いわゆるCSR活動ですが、今後、ドネーションプログラムが全世界向けに開放されるとともに、同社の”ポジティブ”なブランド価値も並行的に全世界に浸透していくことになりそうです。

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キュレーションの行き先は明るい? 「民泊版ミシュランガイド」を謳うThe Plum Guideが1,850万ドルの調達

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ピックアップ: The Plum Guide raises $18.5M to expand its ‘vacation homes for the elite’ service ニュースサマリー: 3月22日、英国ロンドン拠点の不動産スタートアップ「The Plum Guide」がシリーズBラウンドで1,850万ドルの資金調達をしたと発表。2015年に創業、累計調達額は2…

ピックアップ: The Plum Guide raises $18.5M to expand its ‘vacation homes for the elite’ service

ニュースサマリー: 3月22日、英国ロンドン拠点の不動産スタートアップ「The Plum Guide」がシリーズBラウンドで1,850万ドルの資金調達をしたと発表。2015年に創業、累計調達額は2,890万ドルの民泊キュレートサイトを運営するスタートアップ。

Airbnbに代表される25以上の短期バケーションレンタルプラットフォームに掲載されている物件の中から、特に質の高い物件のみを選び出している。ユーザーは数多ある民泊物件の中から1%の厳しい査定をクリアした物件を閲覧・滞在予約ができる。

査定基準項目は150以上に上り、専属のレビュワーが各物件を訪問してWifi速度や寝室の静けさ(睡眠の質を担保)、シャワーの出力具合など細かな点を検査。物件へのアクセスのしやすさなどオンラインで獲得できるデータだけでなく、定性レポートに重点を置いている点が特徴。

現在欧米6都市で展開をしているが、2019年度内には12都市へと拡大、1万2000物件の掲載を予定。公式サイトによると累計26万件の物件をレビューし、掲載を許されたのは4,000物件のみであったことから、年内に掲載数を3倍にまで増やすことになる。TechCrunchの記事によると年間収益成長率は3倍、リピード予約率は27%であるという。

話題のポイント:ここ5年以内に急成長を遂げているスタートアップ及び周辺市場に目をつけ、キュレーションサイトを展開する事業が徐々にトレンドになっていると感じます。

きっかけとなったのは2016年。The New York Timesが「キュレート版Amazon」を標語していた「Wirecutter」を約3,000万ドルで買収しています。Amazonで販売されている商品を専門家が実際に体験し、5,000文字以上の長文レポートとしてデジタル記事化。記事内商品リンクアフィリエイトで収益化をするのがWirecutterです。

あえてスケールしづらい人力要素を入れることで競合優位性を保ち、大手プラットフォームと連携することでコンテンツ量を確保している点が特徴的な座組です。ここで注目すべきは「体験しないとわからない商材」を扱っていることです。

The Plum Guideの場合は滞在体験に特化しています。そして専属キュレーターを派遣してレポーティングさせ、コンテンツは既存民泊予約プラットフォームから引っ張ってくることで常にレビュープロセスを回せる仕組みを確立。

以前ご紹介した月額サブスク型の配車サービス「Alto」もキュレートトレンドの一環に乗っていると言えるでしょう。選び抜かれたドライバーしか配車を展開できないAltoでは、実際に乗ってみないとわからない配車体験をキュレートしています。キュレート版Uberと呼べるかもしれません。

日本でキュレート事業を展開しようとした際、不動産関連であればリクルート系列、小売関連であれば楽天との事業シナジーが生まれるかもしれません。

ちなみに先述の視点から新たな市場を見つけようとすると製薬市場などが狙えそうです。ビタミンや薬剤のキュレート事業であれば大塚製薬や武田薬品などと連携できるかもしれませんね。

少し視点を広げてデジタルコンテンツにまで市場を広げると様々なサービスが登場しています。

たとえば専属リサーチャーがGoogle検索を通じて市場レポート作成の代行をする「Wonder」は情報キュレート版Googleのポジションを目指しています。編み物市場に特化して動画コンテンツと小売事業を展開する「bluprint(旧Craftsy)」は編み物版YouTubeとして特定分野の質の高いコンテンツのみを垂直統合的に展開します。

従来、各パブリッシャーがリリースするオンライン記事を自動で選び出す「Gunosy」や「SmartNews」のようなサービスがキュレート事業であるという認識が強かったように感じます。しかし今となっては民泊から小売、配車サービスにまでキュレートの概念が浸透しています。

日本では依然大きく花開いてる分野ではないため、こうした新業態キュレート事業に目をつけておくと大きな商機を得られるかもしれません。日本版Vox Mediaとも言うべき、各分野に特化したキュレートサービスを束ねるメディア企業も生まれると感じます。

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世界で拡大する「ビジネス版Airbnb」を紐解くーー”Corporate Housing”を掲げる2nd Addressの挑戦

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ピックアップ:2nd Address picks up $10M from GV, Foundation to take on Airbnb in business travel ニュースサマリー:ビジネス旅行向けAirbnb「2nd Address」は2月4日、GV(旧名称:Google Ventures)をリードとする1000万ドルの資金調達に成功した。同じく投資ラウンドに参加したのは既存投資…

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Photo by bruce mars on Pexels.com

ピックアップ2nd Address picks up $10M from GV, Foundation to take on Airbnb in business travel

ニュースサマリー:ビジネス旅行向けAirbnb「2nd Address」は2月4日、GV(旧名称:Google Ventures)をリードとする1000万ドルの資金調達に成功した。同じく投資ラウンドに参加したのは既存投資家のFoundation Capital、Amicus Capital、Pierre Lamondなど。

30日以上の長期出張ビジネスパーソンを対象に、ホテルと比較して4割程度安い価格で利用できる物件紹介プラットフォームを運営する。ロサンゼルス、ニューヨーク、シカゴ、ワシントンDCで3200件以上の宿泊場所を提供し、650人のホストが登録されている。

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話題のポイント:2nd Addressは一言で表すとAirbnb版「ビジネス・ウィークリーマンション」です。コスト面においてもメリットが高く、ホテルなどに長期宿泊した際より4割程安くなるといいます。現在は米国4都市(サンフランシスコ、ロサンジェルス、ワシントンDC、ニューヨーク)で運営しており650人のホストがプラットフォームを通して3200以上もの住居を提供しています。法人向けプランも展開しており、今回投資をリードしたGoogleやSAP、FacebookなどIT企業が中心となって利用を開始しています。

同社は以前、HomeSuiteという新しい都市に引っ越してきた人向けの、短期間の物件賃貸サービスを提供していました。しかしユーザーの伸びが見込めず、現在のビジネストラベル事業へとピボットしたようです。

同市場はグロース段階で今後も大きく成長が見込まれる分野です。Allied Market Researchのレポートによると、2023年までにビジネストラベルの市場規模は約165億ドルにまで膨れ上がると予想しています。特にアジア太平洋地域における2017年から2023年までの年平均成長率は5.5%とエリア別で最も高くなっています。

Business travel market by geography
Credit:Allied Market Report

競合であるAirbnbも同様のターゲットに絞ったサービス「Airbnb for Work」に力を入れ始めています。同社が昨年8月に公開したブログでは、サービス利用者の内15%はビジネス旅行目的の予約で、出張時における民泊利用ニーズが顕在化していることがわかります。

そんな市場の盛り上がりに反して、国や地域によってはAirbnbのような短期民泊プラットフォームを規制管理下に置こうとする動きも強まっています。このような状況を理解した上で同社は支払いや予約など全て賃貸規則に準拠させるなど、法的問題にひっかからない工夫を凝らしているようです。

では、上記で触れたAirbnbのビジネストラベラー向け「Airbnb for Work」と2nd Addressの具体的な違いはあるのでしょうか。2nd Addressの説明では「体験の違い」にポイントがあるようです。

同社のブログによれば、Airbnbは旅行者が旅先を楽しめるローカル体験にフォーカスした物件が多いそうです。確かに国内でも古民家などに人気があると聞くので、現地に実際に住んでいるような体験が重要になるのは理解できます。

一方、同社のサービスは、宿泊者の生産性向上にフォーカスした物件に力を入れています。例えば、2nd Addressはアメニティーに関してはAirbnbの平均的な物件より質の高いものを取り入れているそうです。これにより、ビジネストラベラーが宿泊先で何か作業をする際、効率的に物事が進むことが期待できます。こういった物件を同社は「Corporate Housing」と呼び、これが法人利用における大きな利点となっているのでしょう。

ただ、Airbnbも順調に法人利用やビジネストラベラーの利用が増加傾向にあります。同社が昨年12月に発表したレポートには国別出張利用の増加率が示されています。南米ではアルゼンチン、ブラジル、メキシコが極めて高く、アジアでは韓国が、そしてアフリカ大陸では南アフリカが顕著な増加を見せています。

またAirbnb for Workでは、チームビルディング・エンゲージメント向上のためのグループ参加型の体験を提供することで、ビジネス利用者の満足度向上を目指しています。さらに2017年より始まったコワーキングスペース「WeWork」とのパートナーシップでは、宿泊者には低額で1日利用パスが購入ができるようになりました。

つまりAirbnbは「宿泊場所+αな場所・体験」を提供することで利用満足度に繋げようとする一方、2nd Addressは「宿泊場所で全て完結」を目指していることが伺えます。

2nd Addressのようなサービスは増え始めており、米国では累計で1億3000万ドルを調達しているSonderやDomio、EUではフランスのMagicStay, AtHomeHotelやドイツのHomelikeなどが生まれています。シリコンバレーで挑戦している日本人起業家、内藤聡氏のAnyPlaceも同じ領域になるでしょう。国内ではどのプレーヤーがこの領域に挑戦するのでしょうか。(編集:増渕大志)

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