BRIDGE

タグ Airbnb

Airbnbが正式にIPO申請へーー生まれ変わったエアビーの強さ

SHARE:

ピックアップ:Airbnb Announces Confidential Submission of Draft Registration Statement ニュースサマリー:Airbnbは現地時間19日、SECに対しIPO申請に必要な手続きを開始したと発表した。同社は今までもIPOが近いと噂されていたが、パンデミックへの対応に追われ、時期が不明瞭なままであった。具体的な株式発行数や公募価格は公…

Capture
Brian Chesky氏はTwitterで創業した際の取材記事をTweetしていた(8月12日)

ピックアップ:Airbnb Announces Confidential Submission of Draft Registration Statement

ニュースサマリー:Airbnbは現地時間19日、SECに対しIPO申請に必要な手続きを開始したと発表した。同社は今までもIPOが近いと噂されていたが、パンデミックへの対応に追われ、時期が不明瞭なままであった。具体的な株式発行数や公募価格は公表されていない。

話題のポイント:まだSECへ申請を開始した段階ではあるものの、昨年から噂され続けていたAirbnbがついにIPOに関して正式リリースを出しました

Airbnb創業者でCEOのBrian Chesky氏が先日同社の創業12周年を迎えた11日にエモーショナルなツイートをし、IPOの発表が近いことを匂わせていました。それから約1週間後、正式にIPO申請の発表となったわけです。

パンデミックの深刻さがわかり始めた3月頃より、Airbnbを含めUberなどのシェアエコはその特質上逆風を受け続けてきました。

関連記事:COVID-19で逆風にさらされるAirbnb

Airbnbも予約されていた旅の多くがキャンセルとなり、ユーザーへの全額返金対応を強いられていました。また、キャンセル続きによって収入源となったホストへ向け総額1700万ドル規模の救済基金を立ち上げるなど、旅が回復するまでエコシステムを存続させるため、あらゆる施策を講じてきています。

そうした中、7月中旬には4カ月ぶりに100万以上の宿泊予約を記録。「人の移動」に伴うAirbnbの利用シーン復活の兆しが見えつつあり、また、ホームページの仕様も長期滞在のオプションを前面に出すなど、能動的な利用機会の増加にも努めています。新機能「Kindness Card」のように、今まで泊ったことのあるホストとの結びつきを強めプラットフォーム内で「再来訪」が生まれるフローを作り出そうとする動きもそういった活動のひとつです。

3月時点でAirbnbはキャッシュフローの観点や将来的な不安定要素が多く、IPOに踏み込めない状況でしたが、なんとか盛り返したようで何よりです。無事、株式が公開されることを祈ります。

Airbnbはいまどうなっている?ーー新施策「Kindness Card」は、ゲスト再来へのきっかけになるか

SHARE:

ピックアップ:Airbnb is getting ripped apart for asking guests to donate money to hosts ニュースサマリー:Airbnbは新しいCOVID-19対応策「Kindness Card」を開始している。この取り組みは、ゲストが過去に宿泊したことのあるホストに寄付(ドネーション)ができるというもの。対象となるゲストには、メールで通知が…

pexels-photo-211290.jpeg
Photo by John-Mark Smith on Pexels.com

ピックアップ:Airbnb is getting ripped apart for asking guests to donate money to hosts

ニュースサマリー:Airbnbは新しいCOVID-19対応策「Kindness Card」を開始している。この取り組みは、ゲストが過去に宿泊したことのあるホストに寄付(ドネーション)ができるというもの。対象となるゲストには、メールで通知が届いて寄付に参加できる仕組みを取る。過去に4つ星・5つ星のレビューをしたホストにのみ「Kindness Card」を送ることが可能だ。

話題のポイント:COVID-19対応で、Airbnbはあらゆる対応をホスト・ゲスト両者に向けて施してきました。今年3月には、医療従事者向けに無償で宿泊先を提供し、合計2万件以上のホストが協力を申し出る結果となりました。また、ホストの救済を目的とした「スーパーホスト救援基金」では創業者であるBrian Chesky氏を含む従業員が中心となり総額1700万ドルを寄付金として用意し話題となりました。

さて、新たな施策「Kindness Card」はホストの金銭的・精神的な手助けを目的として始まっています。しかしSNSでは、高評価を出したゲストですら「なぜゲストがホストに寄付しなければいけないのか?」という批判も出ている状況です。

実際のところ「寄付」の部分はオプショナル(メッセージのみでホストへ送れる)なため、お金を添えなくても構いません。また、「Kindness Card」という名前からもわかる様に、どちらかといえば「感謝と応援」を直接メッセージで送れる機能がメインだと言えるでしょう。

AirbnbはCOVID-19に関わる理由に限り、ゲストへキャンセル料を課さない対応を提供してきました。そのため、ホスト側にとっては本来予定されていた収益が完全になくなる日が続いているのが現実でしょう。

そうした意味では、今回の新施策「Kineness Card」は将来的なゲストの再来へ繋げる目的が大きかったのではないかと思います。Airbnbからのメールにも「We hope these cards will make hosts smile, and bring a little joy your way」と記載のあるように、あくまで過去に宿泊したホストとゲストとのコミュニケーションの入り口を提供するというスタンスで、ホストの損失をゲストへ負担の強要しているわけでは全くありません。

さて、今月14日にAirbnbは4カ月ぶりに100万泊以上の宿泊予約を記録したことを公開しています。そうした予約の特徴には「都会以外」が多いことを挙げており、ソーシャルディスタンスを意識した新しいAirbnbの形が生まれ始めていることが分かります。

つまり、今までのAirbnbは「~という街を観光するからAirbnbを利用する」というユーザー行動が一般的でした。しかし現在はむしろ、「このAirbnbの家に泊まりたいから、~という街に行ってみよう」と逆のフロー化しているケースが増えてきているように感じます。

そうなると、今まで以上に気に入ったAirbnb施設があれば積極的にホストとコミュニケーションを取り、また訪れたいという気持ちが強くなることは間違いありません。だからこそ、遠く離れたホストとフランクに繋がれる「Kindness Card」は経済的援助という側面以外で役に立つことが想定されます。

確かに、考え方次第ではお金を送れる機能が備わったことでゲストがホストを助けることを強要しているような誤解が生まれてしまいました。しかし、Airbnbが向かいつつある方向性からも分かるように「Kindness Card」はあくまで「再来訪」の入り口としての役割を期待した施策なのだと思います。

トラベル業界の回復はいつ?ーーホテル事業は苦境続き、2023年まで復活見込めず【Cowen調査】

SHARE:

ピックアップ:TRAVEL UPDATE: MORE RECOVERY DATA POINTS; VACATION RENTAL SURGE CONTINUES ニュースサマリー:投資銀行のCowenは8日、COVID-19パンデミック以降におけるトラベル市場推移に関するレポートを公開した。同資料によれば、Expedia傘下のバケーションレンタル「Vrbo」の検索ボリュームはYoYで昨年を上回る数…

pexels-photo-1008155
Photo by VisionPic .net on Pexels.com

ピックアップTRAVEL UPDATE: MORE RECOVERY DATA POINTS; VACATION RENTAL SURGE CONTINUES

ニュースサマリー:投資銀行のCowenは8日、COVID-19パンデミック以降におけるトラベル市場推移に関するレポートを公開した。同資料によれば、Expedia傘下のバケーションレンタル「Vrbo」の検索ボリュームはYoYで昨年を上回る数値を記録したことを報告し、市場が好調な兆しをみせているとしている。

話題のポイント:夏の訪れが、バケーションレンタルを救うのでしょうか。Cowenが発表した資料では、バケーションレンタルプラットフォーマーの回復傾向が示されており、AirbnbもYoY検索ボリュームでみれば10%減ほどに抑えられているとしています。

先月Vrboを子会社に持つExpediaは、Q1決算報告書にてバケーションレンタルの大幅な失速が減損損失に大きく影響したと指摘していました。しかし、上述したようにVrboは収益とは直接関係ない検索ボリュームとはいえ、YoYで成長増を示しておりCOVID-19以降においてもバケーションレンタルの需要は変わらず安定成長の兆しがみえはじめています。

また、Bloombergによれば5月17日から6月3日の期間において、Airbnbの宿泊予約件数がYoY比較で上回ったことを明らかにしています。同社CEOのBrian Chesky氏も「StayHomeが長かった分、その反動がはっきり見え始めている」と述べており、夏の休暇も重なることで「近場」かつ、家族など少数のプライベートで時間を過ごせるバケーションレンタルに焦点が集まった形のようです。

しかし、ブランドホテルやExpediaなどのOTAはYoY検索ボリューム比が依然と60%減となっており、需要の回復はまだまだ先のようです。

同資料では、2020年におけるホテル売上高がYoY比でマイナス56%に落ち着くだろうと予想しており、徐々に回復傾向へ向かうものの2019年度のホテル売上高(部屋代のみ)への回帰には3年ほどかかると予想しています。

ホスピタリティー業界のデータ解析を行うSTRによれば、米国におけるホテル部屋稼働率はメモリアルデーが重なった5月下旬には35.4%を記録し、4月度の平均稼働率21%と比較すれば徐々に回復していることが分かります。とはいえ、彼らの中心顧客であったビジネストラベラーや団体旅行客が見込めない現状では、先行きは不透明と言わざるを得ません。

またポストCOVID-19の世界において、移動を最小限にしてローカルの魅力を探る「マイクロツアリズム」に注目が集まりつつあります。日本でいえば、個人経営の旅館などストーリー性の伴う宿泊施設はこの文脈に最適です。そうした意味でもやはり、上述したようなランダムな大衆を顧客としてきたチェーンベースのホテルは利用する意味が見いだせず、苦境に立たされる可能性は大です。

Expedia等のOTAはいくらでも市場に合わせ、その事業エコシステムを変化させられるのでしょう。しかし、不動産を抱えるホテルにとっては、ポストCOVID-19での新しい専属顧客を探る必要が出てきます。そのため、Cowenの予想に反して最速で回復の出口へ向かうには、「マイクロツアリズム」のような新しいアイデアが求められそうです。

Airbnb創業者の言葉で辿る「旅の新たな価値創造」

SHARE:

ピックアップ:Interview with Brian Chesky ニュースサマリー:Airbnbの共同創業者Brian Chesky氏は4月下旬、トラベルスタートアップメディアSkiftとのオンラインインタビューに臨んだ。この中で同氏はCOVID-19対策で同社が講じている施策や、トラベル市場の今後の展望を中心に今後の展望を語っている。 ※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です…

airbnb_skift.png
オンラインインタビュー(左からAirbnbのBrian Chesky氏・Skift創業者のRafat Ali氏)

ピックアップ:Interview with Brian Chesky

ニュースサマリー:Airbnbの共同創業者Brian Chesky氏は4月下旬、トラベルスタートアップメディアSkiftとのオンラインインタビューに臨んだ。この中で同氏はCOVID-19対策で同社が講じている施策や、トラベル市場の今後の展望を中心に今後の展望を語っている。

※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です。

話題のポイント:Airbnbは5月5日、全従業員の25%を占める1900人程度のレイオフを実施することを発表しました。同社ブログにChesky氏が従業員へ送った「レター」を公開するという形で話題になっています。

今回取り上げたインタビューは、同社がレイオフ実施を発表するより約2週間ほど前のものです。5日に公開されたレターでは当初、Airbnbとしてはレイオフを議論にしていなかったという記述がありますが、インタビューを通して聞くと、Chesky氏はこの時点である程度レイオフの決断を決めていたのだろうなと思わせる回答が続いていました。

原点回帰

インタビューは冒頭の、「(COVID-19による)危機によってビジョンが縮小(contract)しましたか?それとも逆に拡大(expand)しましたか?」という質問で、同社創業時の「human connection」を大事にするビジョン「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」が今後どう変化していくのか?について問われるところから始まります。

Crisis gives you clarity why you do what you do.「危機に直面すると、いったい自分が何に向かって今この取り組みをしているのか、改めて気づかせてくれます」(Chesky氏)。

彼は今現在の「成功」していたと思われるAirbnbは順調すぎたことで、自由に選べる選択肢を持ちすぎていたと語っています。「Airbnbはそもそも、不動産やトラベル市場の開拓や問題解決をするために始まった会社ではなく、『human connection』を満たす何かを探した結果である」と、創業時のストーリーを示し、今回の危機を機に、改めて始まりの頃のスタンスへ目線を向きなおすといった覚悟のメッセージを示していました。

つまり、多岐に渡っていた同社のプロジェクトを一度縮小し、改めて創業時ベースの想いに沿った事業へ原点回帰を考えているのだろうなと個人的には感じました。当然ですが、それに伴うレイオフは避けられないということです。

禁じられた「Human Connection」から見えるもの

Chesky氏はコロナ後・共存の世界だからこそ、「Human Connection」を感じられる環境価値は高くなるだろうという考えを示しています。そもそも、この言葉はいわゆるサブスクやD2Cなどのトレンドワードではなく、人間が生まれながらにして持っている性質であり、禁じられれば禁じられるほど、求めることが意欲的になっていくと話しています。

もちろん、今現段階においてはソーシャルディスタンスを取ることが重要なため、今まで私たちが定義してきたような「human connection」の欲求を満たすことは避けるべきです。だからこそ彼は「人類史上初めて禁じられたその欲求を満たすためにあらゆる手段を考え、その解決策を講じる時間を与えられている」と考えるべきだとしています。

確かに、私たちがCOVID-19によって他者との接触がネガティブなものであるとレッテルを張られた結果、例えばZoomを通して会話をしたり、なんとかして誰かと繋がっていたい欲求を満たすソリューションを考えに考え続けた約2カ月間を過ごしています。

しかし、彼はそうしたオンライン上のみの「human connection」はこれから先もずっと続くとは思わないという見解を示しています。だからこそ、「human connection」の本質を考え、本当に大切なものは何だったのか?という問いを世界的に考えるタイミングであるといえるのです。ちなみにChesky氏は本当に大切なものは、家族、友達、恋人など他者と自身の関わり合いと示しています。

airbnb.png
Airbnbが開始したオンラインアクティビティ

Air bed and Breakfast、変わりゆく「旅」のリーダー

Chesky氏は2008年、投資家に向けてAirbnbの前身となる「Air bed and Breakfast」のピッチをする際、必ず言われた言葉があると語っています。

「Hey Brian!経済がこんなにも落ち込んでいて、成功するのが確実なスタートアップにも投資できないこの状況で、どこの誰がAir bed and breakfastに投資すると思っているんだい?!」。

そして彼らの言葉は全く間違ってないとしながらも、「不況」だからこそ忘れてはいけないポイントが2つある、そう述べています。

  • In a recession, people are gonna be looking for new ways to make money.
    (不況時、人間は新しい稼ぎ方を見つけ出す)
  • In a recession, you are gonna see many major shifts – multi decades transition is gonna happen in weeks.
    (不況時、数十年・数百年の単位で変化を遂げるはずだった事柄が、たったの数週間で変化してしまう)

では、COVID-19による不況はどのように世界がラディカルに変容を遂げるポイントとなるのでしょうか。 まず、彼は次世代の旅における価値観は以下のように変化を遂げるとしています。

smaller city, smaller community. smaller cowed, but more intimate. NOT BAD THING.(小さな都市へ、小さなコミュニティーとの関わり合いに。そして、より混んでいない場所が理想となるが、今までより一つ一つの出逢いが親密なものとなっていくだろう。そんな世界も悪くはないさ)。

また、旅という概念は常に変化を遂げてきたものだったと歴史を振り返っています。第二次世界大戦後、旅というものは当初ラグジュアリーなカテゴリーでした。しかし、ひとたび世界経済が発展するとビジネストラベルが旅行業界の重要なセクターへと変化を遂げました。

確かに、昔から旅という考えはあれど、その都度市場を牽引するドメインは変わっていたのです。Airbnb自体も、同社の法人向け事業は大きなビジネスドメインとなっていました。今後の流れとしては、全員に当てはまらないとしながらも以下のような考えを示しています。

The more you stay home, the more you desire to leave home… People started to think I don’t need to live in this city to do this job,  I can live any city to do this job. (StayHomeすればするほど、人間は家を離れたくなる(中略)そして人は、ある特定の場所に定住する必要性を問いだすのだ)。

現在のAirbnbはCOVID-19以降、30日以降のロングタームステイにプラットフォーム構造を切り替えています。

ショートステイ中心だったAirbnbにとって、ロングステイへの変換は大きな出来事です。私は当初、彼らが創業当初に思い描いていた「人」を中心とした「belonging and connection」とは限りなく違う方向性へ歩みだしたのではないかと考えたことがあります。

しかしインタビューを聞く限り、彼にとってはそんな「ズレ」などなく、これも歴史が辿ってきた「旅の変化」のひとつなのかもしれません。

オンラインエクスペリエンスが成功した理由

Airbnbは「#StayHome」が世界的に始まってから、同社のホストによるアクティビティー事業を完全にオンライン限定の方向へとシフトしました。Chesky氏によれば、このアイデアはそもそもホスト側からの提案であったことを明かしています。このオンラインエクスペリエンス事業は同社プロダクトの中で最も成長スピードが早いプロダクトとなったことも明かしています。

要因として、価格とそのシンプルな内容が釣り合ったことを挙げています。そもそも、トラベルは「High-consideration purchase(高価な買い物)」で、旅の予定を立てフライトやホテルを取り、当日まで幾多の準備期間を経てやっと体験できるものでした。

しかし、オンラインエクスペリエンスは「Lower-consideration purchase」に該当するものです。精神的な決断に加え、価格的にもフィジカルなエクスペリエンスが平均50ドルほどだったものが、オンライン化することで平均17ドルほどまでに抑えられたことが成長の要因だとしています。

この点に関しても、彼が思い描くこれからの旅の形と辻褄があっていると感じました。Chesky氏は今後、ミレニアル世代やそれ以降の世代による、「Budgetトラベル」が主流になるだろうという考えを示しています。そのため、旅行体験がさらに身近なものとして広がるには、価格面で今までの水準を大きく破壊する必要があったのです。

ということで彼のインタビューからいくつかポイントを整理してみました。私はここ数日のAirbnbの動きで、今後の旅の形というものの輪郭がはっきりしてきたように感じています。

Airbnbのビジョン「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」と、コロナ後・共存の私たちの生き方を考えることはおそらく、同じ道筋にあるのだと思います。

以前の記事「旅が復活しても、もう違うものになるーーAirbnb「共同創業者からの手紙」が大切にしたもの」でも、今後の旅は自然と調和した「オフロード」となっていくとしました。ここからさらに踏み込んで、私たちの生活様式と旅の境界線は薄くなり、最終的には融合された形となって再び私たちの目の前に現れてくれるのではないかと信じています。

旅が復活しても、もう違うものになるーーAirbnb「共同創業者からの手紙」が大切にしたもの

SHARE:

ピックアップ:A Message from Co-Founder and CEO Brian Chesky  ニュースサマリー:Airbnbは5日、COVID-19による先行き不透明な経営状況のため約25%規模のレイオフを実施することを明らかにした。現従業員7500名の内、約1900名が対象となる。人員削減により、今後の主要事業転換に向け体制を整える狙いがある。 COVID-19以降、Airbnb…

Capture

ピックアップ:A Message from Co-Founder and CEO Brian Chesky 

ニュースサマリー:Airbnbは5日、COVID-19による先行き不透明な経営状況のため約25%規模のレイオフを実施することを明らかにした。現従業員7500名の内、約1900名が対象となる。人員削減により、今後の主要事業転換に向け体制を整える狙いがある。

COVID-19以降、Airbnbは医療従事者向けに住居の無償提供や旅行キャンセル者への100%の返金など対応に追われてきた。先月には10億ドルをデッドファイナンスにより調達したが、主要事業の絶対的利益減少によりレイオフが避けられない状況となった。

同社の今年度収益は2019年度の半分以下になると予想されている。

※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です。

話題のポイント:AirbnbはCOVID-19以降、シェアリング事業者の中でも迅速に各方面への対応を進めている印象がありました。過去にも自然災害や人道支援の観点で取り組んできた住居の無償提供に始まり、急激なキャンセルにより経済的な困難に直面するホストへ向けた救済基金の設立、長期化を見据えた10億ドルの調達などできる限りの対応を進めていたと思います。

特に最大で5000万ドルの支援を実施するスーパーホスト救援基金は「Airbnbらしさ」を顕著に表した取り組みでした。総額1700万ドルの内100万ドルをAirbnb従業員、900万ドルを共同創業者で負担し、残りの700万ドルを投資家の寄付で用意。自社負担のホスト基金2億5000万ドルとは別で、Airbnbエコシステムに関わる全員が「寄付」という形で手を差し伸べたのがAirbnbらしさを物語っています。

Capture
エコシステムをステークホルダー全員で支える基金

みなさんはご存知でしょうか?

Airbnb立ち上げ当初のキャッチフレーズは「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」といったものでした。

今回公開されたBrian Chesky氏のレターでも言及されているように、Airbnbはもちろん旅に関わるプラットフォームですが、それ以上に、常に「人」を中心とした考えを持ち続けてきました。だからこそ「ビジネスライクにホストを救済する」と発表するだけでなく、繋がりを持つ全員が一丸となって助けようという姿を示したのだと思います。

加えて、今回のレイオフに際してもAirbnbは「完全な透明性」をベースに意思決定と情報伝達をしていくと強調しています。レイオフの詳細と仮定は公開可能な状態になる段階で隠すことなく全て公開するとしており、「部分的な透明性」は状況を悪化させるだけだという認識を示しています。

レイオフされる従業員へのアフターケアに関しても全てレター上にて明確に公開されています。簡単にまとめると以下の通りです。アフターケアを大事にする「人」を中心とした企業カルチャーがにじみ出ていることがわかります。

  • 退職金
    – 米国における従業員は14週間の基本給に加え、Airbnb勤務年数ごとに1週間の追加
    – 米国外における従業員は割いてでも14週間の基本給、加えて各国ごとに準じた追加金
  • 持ち株(ストックオプション)
    – 公平性担保のため過去1年間に雇用された従業員の株式行使期間(1年)の取り下げ
    – 退職者は全員5月25日に権利が付与される
  • ヘルスケア(健康保険)
    – 米国ではCOBRAを通じた12か月間の健康保険のカバー
    – 米国外では2020年内における健康保険のカバー
    – KonTerraを通じた4か月間のメンタルヘルスケアサポート
  • ジョブサポート
    – 退職者に向けウェブサイトを通じた新しい職場と出会う機会のサポート
    – 2020年度におけるAirbnb採用担当者の実質的退職者の新規職場探しサポート
    – 「RiseSmart」転職活動に特化したサービスを4カ月間にわたりサポート
    –  残り続ける社員による、退職者の新規職場探しサポートプログラム
    – 貸与していたラップトップPCの譲渡

さて、レターではBrian Chesky氏がAirbnbを創業した当初のキーワードを「belonging and connection(帰属と繋がり)」と表現しています。

Airbnb創業当初、同社の名前が「Air Bed and Breakfast」であったことは有名です。これは、エアベットと朝食が提供される簡易宿泊施設という意味で、まさにショートステイという「誰かとのちょっとした共同生活」を通し、人との繋がりを持つことが意図されていました。そして最終的には、現在の民泊という形へたどり着きます。

Capture
創業期のAirbnbサイトより

しかしまさに、COVID-19による世界的なソーシャルディスタンスでランダムな「人」との繋がりが実質的マイナスであるという概念が生まれてしまったのです。しかも、世界同時に。

現在のAirbnbはショートステイをプライオリティーから外し、ロングターム型民泊へとコンセプトを切り替え始めていました。もちろん。#StayHome が叫ばれる世の中でショートステイの需要がない分、ビジネス的に選ばざるえない選択だったのは明らかです。しかしこれは、創業当初に思い描いていた「人」を中心とした「belonging and connection」とは限りなく違う方向性へAirbnbが歩みだした瞬間だったのではと感じてしまいます。

Airbnbがその「らしさ」を捨てて全く違う企業へ生まれ変わってしまうのかといえば答えはNOでしょう。

同社も述べている通り、新型コロナショックによる売り上げは年次比較で50%以下が見込まれており、おそらく旅行業界をマクロ的に見ればそれ以上のマイナス成長となることは避けられません。だからこそ、まずはその時代を戦い抜くための、新しいビジネス構造をいち早く創り上げようとしているのは正しい選択です。

では実際どこまで、旅行市場は危機を迎えているのでしょうか。レターでは今までのような旅を取り戻すことはできないとまで言及してます。以下がその抜粋部分です。

  • We don’t know exactly when travel will return. (旅がいつ、ごく日常のものとして帰ってくるのかはハッキリしない)
  • When travel does return, it will look different. (仮に旅が復活しても、今までのそれとは違うものとなるだろう)

私もですが、みなさんも今までの日常はいつか帰ってきて、当たり前のように飛行機に乗り、全く違う文化の国へ旅をすることができるだろう、そうした思いがどこかにあったかもしれません。しかし、ホスピタリティー・トラベル業界をけん引してきたAirbnbがこうした考えを持っているとなると、やはり事態は難しい状況にあるのだと再認識させられます。

では、今後Airbnbはどのような形へシフトしていくのでしょうか。

上述したように、ロングタームへのシフトやオンライン型のエクスペリエンスなどコロナ後・共存の世界観に対応させた仕組みを作りを目指しているのは明らかです。しかしこの世界経済混沌な中、まだ具体的な方向性は定まっていないのが実情なのでしょう。そのため、人員削減はどうしても避けられない意思決定だったのです。

This crisis has sharpened our focus to get back to our roots, back to the basics, back to what is truly special about Airbnb — everyday people who host their homes and offer experiences. (日々、自宅を提供し特別な体験を提供するーー今回の危機は、Airbnbが真に特別としていたもの、そもそもの原体験に我々を引き戻させてくれた)

これは、レターにて述べられていた今後のAirbnbを形作っていくことになる一文です。「旅の形は変わりゆくある。しかしhuman connectionを求める人間本来の性質は変わらない。だからこそ、私たちは、原点に戻って『Travel like a human(人間らしく旅をしよう)』を応援していく」、そういった思いが込められていると感じます。

COVID-19により、あらゆる分野で常識と思われていたことが変化を遂げつつあります。

例えば、オフィスの必要性や都会に住むことの必要性が問われるなどが挙げられるでしょう。逆に言えば、東京など人が多く集まる場所にフィジカルに生活する意味合いを取り戻すことはもはやできないかもしれません。つまり、これから田舎や人の少ない過疎地域を中心に自然との共同生活様式が望ましいとする世界観へと変化していく可能性も大いにあります。

そうした意味では「Travel like a human (人間らしく旅をしよう)」というフレーズの最終地点は、自然との共同生活様式でライフスタイルを創り上げる(旅をする)と繋がっていくのかもしれません。

人間らしく旅をするーー。

観光地をバスで詰めに詰めたスケジュールで回りきることでしょうか。おそらく、その正解は上述した「自然」と共に生活しながら、忘れられない経験を見つけ出していくことにあるのだと考えます。

今までのメジャーな旅は、アスファルトで補正された「オンロード」な旅でした。

しかし、これからの世界では何も補整されていない自然な「オフロード」な中で、人間らしく旅をすることが日常に溶け込んでいくのではと思っています。

Airbnb共同創業者であるBrian Chesky氏が同様な考えを持っているかは定かではありません。しかし、適度に人とのつながりがあり、自然と現代社会が上図に調和された中で生きていくことは少なからず訪れる世界のフォーマットであると思います。

少なくとも、キャッチフレーズ「Travel like a human (人間らしく旅をしよう)」を基に、あのBrian Chesky氏らがAirbnbを率いている限り、同社はコロナ後・共存の世界でも「人」を中心として新たな生活様式を創り上げる中心にいることは間違いないと、信じています。

長期滞在にリモートワーク利用、Airbnbに起こる劇的変化ーー資金はさらに10億ドルを調達

SHARE:

ピックアップ:Airbnb Announces $1 Billion Term Loan ニュースサマリー:Airbnbは14日、COVID-19に向けた対策の一環としてシンジケートローンを利用した10億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はプライベートエクイティーファンドのSilver Lakeが務め、BlackRock、Eaton Vance Corp、Fidelity Inves…

airnbnb.png
Image Credit : Airbnb

ピックアップ:Airbnb Announces $1 Billion Term Loan

ニュースサマリー:Airbnbは14日、COVID-19に向けた対策の一環としてシンジケートローンを利用した10億ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はプライベートエクイティーファンドのSilver Lakeが務め、BlackRock、Eaton Vance Corp、Fidelity Investment、T.Rowe Price Group Incも参加している(総勢20以上)。

同調達はファースト・リーン(第一順位の抵当権付ローン)で実施される。つい先日には、今回のラウンドにも参加するSilver Lake、またSixth Street Partnersから同額の10億ドルを調達していた。このラウンドはセカンド・リーン(第二順位の抵当権付ローン)と株式で構成されている。

話題のポイント:Airbnbは今月始め、COVID-19に応じて長期滞在を受け入れるホストの割合が増加していることを同社ブログにて公表していました。それによれば、全体の80%以上がロングタームでの貸し出しを許可し、その内50%が長期滞在ディスカウントを提供しています。

今まで民泊のロングターム利用といえば、ビジネストラベラーを中心とした利用者層が割合を多く占めていました。「ビジネストラベラー版Airbnb」と称される2nd Addressや、Lyricなどは急激な成長を遂げ、また、ホテルの空き部屋等をマンスリーベースで貸し出すプラットフォームAnyplaceの成長も著しく、フレキシブルにワークベースを創り出す手段として注目されている状況です。

Airbnb本体にも、Airbnb for Workと称し、ビジネストラベラーに特化したサービスの展開を進めていました。しかし、今回のパンデミックで一気に「ビジネストラベラー」の需要は減り(物理的な移動を要するビジネストラベラー)、逆に緊急で中長期にわたり居場所を確保する必要が伴う層からの需要が増したことが伺えます。

Airbnb product screenshot showing a modal window that introduces host to a tool that that helps them set up their listing(s) for longer term stays.
長期滞在を促すポップアップ

さて、同社が医療従事者向けに住居の提供を始めていることに加え、例えば米国では、大学のオンライン授業への移行で寮が一時封鎖されるケースが目立ち始めています。それに伴った一時滞在の場所として賃貸契約が生じない民泊、Airbnbのロングターム利用へのシフトが大きく始まっています。

また、ビジネストラベラーは減少傾向にあるものの、AirbnbをWork From Home環境としてロングターム利用する需要が高まっている気配を感じます。例えば東京の物件では「リモートワーク向け」といった文言が強調され始めているなど、そうした需要の可能性をコミュニティーが感じ始めているのだと思います。

元々同社は「C2C型・ショートステイ」として目まぐるしい成長を遂げてきました。そのため、全てのステイをロングステイベースと変化を遂げていくには、企業・ホスト両社にとってカルチャーが大きく変わるターニングポイントとなりそうです。

同社は先日、今までホストがフィジカルに提供してきた「Airbnb Experience」を完全オンライン型にするなど、#StayHome の流れに積極的な貢献姿勢を見せています。

同社共同創業者であるBrian Chesky氏は「冒険し、だれかと繋がり、新しい経験をし、「家」という心地よい場所を持ちたいという欲求は何があろうと普遍的かつ永続的なものです。私たちが進むべき道はこれからも変わりません」とリリースで述べており、彼らの信念は何があろうと簡単には変わらないことが伝わります。

ホスピタリティー・トラベル業界が苦しんでいる中でも、総額20億ドルの資金を集めることができる強さはこの辺りにあると感じます。

Airbnbが医療従事者に宿泊先を無償提供、2万件のホストが提供を申し出

SHARE:

ピックアップ:Airbnb Hosts to Help Provide Housing to 100,000 COVID-19 Responders ニュースサマリー:Airbnbは26日、新型コロナウイルス(COVID-19)対策に従事する医療関係者向けに宿泊先を無償にて提供するプログラムを発表した。これは国際赤十字、国際救済委員会、国際医療隊と協力で実施される。同プログラムは同社が2012年よ…

Capture
Image Credit : Airbnb

ピックアップ:Airbnb Hosts to Help Provide Housing to 100,000 COVID-19 Responders

ニュースサマリー:Airbnbは26日、新型コロナウイルス(COVID-19)対策に従事する医療関係者向けに宿泊先を無償にて提供するプログラムを発表した。これは国際赤十字、国際救済委員会、国際医療隊と協力で実施される。同プログラムは同社が2012年より開始した、Open Homes Platformの一環として実施される。

話題のポイント:AirbnbのOpen Homes Platformはこれまで、災害や難民の「一時避難場所」としてサービス提供してきました。「ホストが無償で自宅を提供する」という概念が提唱されたのは、2012年にニューヨークを襲ったハリケーン・サンディーの際に同社ホストが被災者の避難所として無償提供したのが始まりだと言われています。

同社共同創業者でCEOのBrian Chesky氏によれば、27日(アメリカ時間)朝にて約2万を超えるホストが医療従事者に向けて自宅の提供に名乗り出ていると報告しています。

上述通り、同社は今まで難民のみを対象に同プログラムを提供していたため、医療関係に伴うこうした動きは初の試みとなります。そのため、どれだけのホスト側賛同者を得られるか不明でしたが、約24時間で2万人・2万宅のスペースを確保できたことになります。

しかし仮に、COVID-19問題が長期化(1年以上)するとなると一体どこまで同プログラムを継続し続けるのかの選択は難しい問題に発展しそうです。

確かに、現状は最低でも2万の自宅を確保しているものの、実際に参加しているホストはホスティングにて”それなりの”収入があった層であることが想定できます。これは、同プログラム参加条件である「Entire Home (まるまる貸切)」や清掃体制が整っている必要性があるからです。

同社は今月14日にCOVID-19に伴う宿泊予約のキャンセルを一定ポリシーに基づき無料としました。筆者も同期間内にキューバのAirbnbに宿泊予定でしたが、驚くほど迅速にキャンセル手続きをすることが出来ました。手続きの際には、こちらから連絡するよりも前にホスト側からキャンセルポリシーに関して詳細な連絡が届くなど、おそらくAirbnb側からホスト側へ何かしらのアクションがあったのかと感じています。

Capture
Image Credit : Airbnb

同社は今年にもダイレクトリスティング(直接上場)されるのではないかと言われていたほど順調な経営状態でしたが、上述のようなキャンセル続出により「ホスピタリティ業界の牽引企業」として大打撃を受けるのは避けられないでしょう。

しかし、企業は事業に需要があれば資金は集まるため内部崩壊の心配はさほど大きくありません。どちらといえば、ホスト側がどこまで耐えられるか、つまり自宅をホスティングすることで大部分の生計を立てていた層のサポートをAirbnbは積極的に実施することが求められるかもしれません。

Reutersの報道によれば、米国におけるホストは失業保険を受けられる可能性が高いとしており、こうした面からの資金サポートが受けられるかは民泊事業者の重要なターニングポイントであると感じます。(「Airbnbのホスト」が職業として公に認められるという意味でも)。

同社最大の売りでもある「ネットワーク効果」が一気に没落することは考えにくいですが、一時的なストップな状態へと突入するのは仕方なさそうです。

どうなるAirbnbの上場

SHARE:

ピックアップ:Airbnb is listening to investment pitches despite a large cash pile and down market ニュースサマリ:新型コロナウィルスの猛威に晒され、大きな痛手を負っているのが旅行業界だ。中でも2020年に上場が噂されていたAirbnbにとってこのトレンドはどのようなものになるのだろうか? 米CNBCの報道によればA…

pexels-photo-414247
Photo by Pixabay on Pexels.com

ピックアップ:Airbnb is listening to investment pitches despite a large cash pile and down market

ニュースサマリ:新型コロナウィルスの猛威に晒され、大きな痛手を負っているのが旅行業界だ。中でも2020年に上場が噂されていたAirbnbにとってこのトレンドはどのようなものになるのだろうか?

米CNBCの報道によればAirbnbは新たな資金調達に動いているという。同社が保有する現金は30億ドル、また信用保証枠として10億ドルを確保している。Pitchbookに記載されている累計の調達額は44億ドル。これまで同社は株式公開にあたり、新たな資金調達を伴わない、既存株の直接上場もしくはIPOとの組み合わせを検討していると言われていた。

話題のポイント:2011年という、日本では未曾有の震災のタイミングで創業したのがAirbnbです。Andreessen HorowitzやGeneral Catalyst Partnersなど著名VCが出資し、現在の評価額は350億ドル。日本でも東京オリンピックでのインバウンド需要を見込んで「エアビー」旋風に期待していた方も多かったのではないでしょうか。本当に一寸先は闇です。

Airbnbが最後にVCに株式を売却したのは2017年後半のこと。310億ドルの評価額で、その後、HotelTonightの買収を通じて明らかになった株価が350億ドル。税務関連の資料から2019年初頭には内部評価額として380億ドルという数字も出ているみたいです(Axiosより)。

元々、Airbnbは手元資金が潤沢で、上場に関しても直接上場(ダイレクトリスティング)を選択するのではと言われていました。既存株だけを売り出すので新株による資金調達はありません。つまり、上場自体は従業員に手渡したストックオプションなどの還元があるものの、新たな資金需要はありません、という考え方だったのですね。

ところがどっこいの新型コロナです。

世界的に移動・旅行が制限されたのが2020年2月頃から。決算などに現れてくるのはもうちょっと先ですが、ほぼ間違いなく大きな打撃を受けることになるはずです。AxiosのインタビューでAirbnbには手元資金があるので、まだ授業員を解雇する段階にないと語ったようですが、それでも旅行そのものがストップするというのは未曾有です。

あとはこの状況がいつ改善するか。手元資金(通帳)とのにらめっこはスタートアップあるあるですが、Airbnbクラスでやるのは痺れそうです。短期であればデットで乗り越えられるかもしれませんが、長期になると耐え抜くための方法が必要です。

CNBCの報道では初期投資家で著名エンジェルのロン・コンウェイ氏がコメントしているんですが、彼に電話をかけてきている投資家は2000年前後のドットコムクラッシュを経験している人たちで、そのタイミングで投資したAmazonやApple、Googleの成長はご存知の通りです。

特にAirbnbはネットワーク効果が抜群のプラットフォーマーです。確かに現在、貸し出ししているプレーヤー自体は苦境に立たされているので、中には退場を余儀なくされる人もでてくるかもしれませんが、本体そのものは長期で考えて盤石とみているんでしょうね。

事実は小説よりも奇なり、という言葉を実感する毎日が続きます。

今、起こる「Airbnb of Storage」の衝撃

SHARE:

ピックアップ:Utah’s Neighbor.com Raises $10M In A16z-Led Series A To Be The ‘Airbnb Of Storage’ ニュースサマリー:米ユタに本拠地を置く「Neighbor」は、シリーズAにて1000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資はAndressen Horowitz(以下a16z)が務めた。また、元Khosla V…

Capture

ピックアップ:Utah’s Neighbor.com Raises $10M In A16z-Led Series A To Be The ‘Airbnb Of Storage’

ニュースサマリー:米ユタに本拠地を置く「Neighbor」は、シリーズAにて1000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資はAndressen Horowitz(以下a16z)が務めた。また、元Khosla VenturesパートナーNate Bosshard氏と、Uberのグローバルオペレーション担当であったRyan Graves氏も同ラウンドに参加している。

NeighborはP2P型のストレージマーケットプライスを展開するスタートアップ。ホストは利用していないガレージや駐車場などのスペースを掲載することで、ストレージ場所として貸し出すことが可能。同社によれば、一般的なセルフストレージより50%程低い価格帯で利用可能だという。

話題のポイント:a16zのパートナーであるJeff Jordan氏のNeighborに対して出資を決めた想いに興味深い点がいくつかありました。

同氏のブログ内では、NeighborをAirbnbやUberとP2Pエコノミー文脈で比較しています。また、過去に同様のサービスを試みたスタートアップも数多く存在したものの、ストレージのP2Pマーケットプレイスのタイミングが「今」であることを強調していました。

Capture

Jordan氏の投資理念の中心には「businesses that provide economic empowerment as part of their business model. (経済の仕組みをガラッと変えて、エンパワーメントするきっかけを与えられる企業)」が据えられています。

過去のeBayやAirbnbがそれにあたると述べています。また、同モデルを実現するためには確かな時代背景のタイミングが求められているとし、今成長しているIT企業と同じコンセプトを持ったスタートアップは数多く存在していたことにも触れています。

さて、同氏はNeighborを「Airbnb for Storage」と表現しており、Airbnbと類似する性質を持っていると考えています。では、彼がAirbnbへ投資を決めた2011年、なぜそのタイミングが「今」と確信できたのでしょうか。

Airbnbへの投資を決めた際に執筆されたJordan氏の過去ブログを振り返ってみましょう。そこでは、Airbnbへの投資理由が以下のようにまとめられていました。

  • Marketplace models, connecting buyers and sellers(買い手と売り手を繋げることが出来るマーケットプレイスモデル)
  • Community-driven, populated with passionate users who evangelize the service(サービスのエバンジェリストが生まれてくるようなコミュニティードリブンなエコシステム)
  • Providing economic opportunity and empowerment to their sellers/hosts, enabling them to earn meaningful income(売り手/ホスト側が、実質ではなく意味のある収入が得られるエコシステム)
  • Platforms upon which their community of users continually expands into new verticals(プラットフォームのユーザーが継続的に拡大し続けるコミュニティーの仕組み)
  • Helping to make inefficient commerce efficient(非効率なマーケットに効率性をもたらす仕組み)

今でこそP2P型プラットフォームは一般的な用語ですが、上記はまさにP2Pエコシステムが軸となっていることが分かります。

以下はa16zがAirbnbに出資した際のコメントです。「Eコマースに新たなカテゴリーとして”スペース”を持ち込みマーケットプレイスを作り上げている」と表現されています。同時にアコモデーション(宿泊施設)の新しい概念をとなるだろうと話しています。

“We’re thrilled to have led this investment round in Airbnb. The company is defining a completely new category in e-commerce – a marketplace for all kinds of spaces, from homes and apartments to tree houses and yachts,” said Jeff Jordan, general partner, Andreessen Horowitz. “Airbnb’s explosive growth and passionate community of users reinforce the uniqueness of what they’re doing, and in the same way eBay redefined online shopping, Airbnb is redefining the way the world thinks about accommodations.”(a16zによるAirbnb出資に際するTechCrunchへの取材コメント

民泊という新たな宿泊施設が登場するまで「アコモデーション=ホテル」が成立していました。ただ、当時から旅人とローカル住居を結び無料で宿泊施設を提供する「Couchsurfing(カウチサーフィン)」はプラットフォームとして成立しており、民泊浸透の片鱗が徐々に見え始めていた段階だったといえます。

Airbnbのピッチ資料はとても有名ですが、そちらにもCouchsurfingは競合として記載されており、66万人のユーザー数とされています。また、ローカルの宿検索できるプラットフォームとしてCraiglsistも挙げられており、データによれば週に5万件の自宅貸し出し募集のリスティングがあると示されています。

Capture
Airbnb Pitch Deck From 2008

こうした市場背景から、住宅の一部または全てをホテルのように貸し出す需要・供給は増え、「アコモデーション=ホテル」の固定概念が変わるきっかけとなりました。

上記の理由が 「民泊 × テクノロジー」のタイミングが「今」であると確信した根拠だったのではと考えます。ではなぜ、ストレージ × テクノロジーのタイミングがこれだけP2Pが発展した中で「今」なのでしょうか。

まず第一に、ストレージ市場全般が抱えている問題点に関しては以下のようにまとめられています。

  • 急速に発展を続けているが、供給量に限界があり価格破壊が起きづらい。
  • 供給量を増やすため、新しくストレージの場所の建設を目指すが、費用を抑えようとするとどうしても利便性に欠けた場所となる
  • 無人となるため完全な安全性を確保するのが難しい

P2P型ストレージマーケットプレイスであるNeighborであれば、これら諸問題に対して最適なソリューションをもたらすことができます。加えて、Airbnbが成功すると考えたプラットフォームにおけるコミュニティードリブンな性質を同社は充分に兼ね備えています。

下図はNeighborのウェブサイトに記された同社のミッションです。プラットフォームを受動的なものとして捉えておらず、「we bring people and neighborhoods closer together」にあるように、ユーザー参加型な設計をすることで新たなコミュニティー形成にも狙いがあることが受け取れます。

Capture

今まで荷物を誰かの自宅スペースに預けるとなれば、既に交流のある知り合い宅が選択肢となりました。しかし、Neighborを利用することで、ローカル内で今までは交流を持つきっかけがなかった新たなコミュニティーと接点を持つことができます。

Airbnbにおけるホストとユーザーがそうであるように、同じ空間をシェアすることで一人一人に当事者意識が生まれます。これは、セルフストレージのように顧客とユーザー間では生まれない特殊な関係性で、単なるご近所つながりから一気に違った関係性へと導くこととなります。

Capture

この関係性が成り立つと、プラットフォームに対する帰属意識が生まれ、そこから自然とサービスのエバンジェリストが生まれてきたことはAirbnbが証明してくれています。

AirbnbやNeighborでは、従来は考えられないような低価格でスペースをそれぞれの目的ごとに利用できるマーケットプレイスを作り、市場に価格破壊をもたらしました。さらに、ユーザーが主体となって新しいコミュニティーを作り上げていく流れもうまく構築しブランドの確立がなされました。この点をみると、やはりJordan氏が触れている「サービスのエバンジェリスト」が両者が急速に発展するキーとなっていると言えるでしょう。

Neighborはサービスが必要とされる背景とサービスのエバンジェリストが生まれるコミュニティードリブンな設計が初期段階から施されています。

他人の家に荷物を置くという概念もAirbnbが発展した今であれば容易に受け入れられるコンセプトです。もし仮に、彼らのサービスがAirbnb一般化以前に登場していたのなら状況は違っていたのかもしれませんが、既に時代はシェアリングエコノミーが当たり前となっているため、同社にとって挑戦するタイミングは今しかないといえるでしょう。

Capture

Neighborは既に自社を「Airbnb of Storage」と自社サイトに打ち出し、Airbnbと同じ層を狙っていることに間違いはなさそうです。しかし、これは単に○○版Airbnbの延長線上というわけではなく、Airbnbが急速に発展したエコシステムをしっかりとハックし、ストレージ領域の変革に応用しているという意味合いが強いのだと感じています。

「自分は出社、お部屋はフリーランスに貸して稼ぐ」、この発想はマイクロステイの概念を変えるぞ

SHARE:

ピックアップ:By-the-hour hotel booking site ByHours adds €8M to launch U.S. operations ニュースサマリー:ホテルブッキングを運営する「ByHours」はベンチャーラウンドにて880万ドル(800万ユーロ)の資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはメキシコに本拠地を置くAngel Venturesが参加している。 同社は…

Screen Shot 2020-01-28 at 12.51.38 AM

ピックアップ:By-the-hour hotel booking site ByHours adds €8M to launch U.S. operations

ニュースサマリー:ホテルブッキングを運営する「ByHours」はベンチャーラウンドにて880万ドル(800万ユーロ)の資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはメキシコに本拠地を置くAngel Venturesが参加している。

同社はビジネス旅行者向けに、短時間の利用を目的とした宿泊施設の予約プラットフォームを提供。最低利用時間は3時間から。最大12時間まで利用することが出来る。

ByHoursによれば、2012年のサービスローンチ以降、合計100万時間を超える貸し出しに成功し、2,200万ドルの利益をもたらしたと述べている。

話題のポイント:ByHoursの本拠地はスペイン・バルセロナですが、既にヨーロッパ各国のみならず、メキシコや中東にまでサービス展開を進めています。同社によれば、今回のラウンドで調達した資金を用いて米国に進出するとしています。ヨーロッパ発のホスピタリティ-系スタートアップが、EU圏を足掛かりにグローバル展開することは珍しくないですが、南米と中東を経由しているのはとても特徴的です。

さて、Airbnbの台頭でホテル業界は変革を迫られているといわれますが、絶対数的なマーケットシェアを見れば、当然ですが圧倒的に伝統的なホテルがシェアの多くを占めています。

Infographic: Airbnb Is Making a Dent in Sales for Major Hotel Chains | Statista
Statista

こちらのデータによれば、2018年の主要ホテルの市場シェアを合算すると70%程のシェアを誇っています。ただ、2013年頃の94%と比較すると、いかにAirbnbが市場を飲み込みだしているかが分かります。昨年にはマリオットが民泊事業の初手として「Homes and Villas by Marriott International」をローンチし、ハイエンド向けのバケーションレンタルとして話題になりました。

Annotation 2020-01-26 180553
Homes and Villas by Marriot International

ByHoursによる短時間滞在「マイクロステイ」の提供は、ホテルを「カフェ化」させているともいえます。たとえば、高級ホテルのロビーにはアフタヌーンティーを楽しめるカフェがあったりしますが、通常短くても1時間、長くて3時間ほど過ごすことも珍しくないでしょう。これをホテルの室内として提供することで、時間価格を上げつつも満足度高い環境を提供できているといえます。

ところで、ホテルの1室をカフェとして提供が可能であるのであれば、個人の部屋も貸し出せるのではと考えるスタートアップがY Combinator卒業生の「Recharge(現Globe)」です。彼らは分単位で個人の部屋を仮眠用やパソコン作業向けに貸し出せるマーケットプレイスを運営しています。

Annotation 2020-01-26 232234

自宅にいないときに気軽に部屋を貸し出せるというコンセプトでは、以前紹介した「Leavy.co」と類似しています。同社では、旅に出ている期間のみ自室を誰かに貸し出せるエコシステムを形成していました。

<参考記事>

対して「Globe」は、オフィスワーカーが毎日フリーランスへ自宅を作業場として貸し出すといった視点を元にコンセプトが作られています。日常的に利用してないスペースを簡単に「マイクロステイ化」させることを目指しています。

Airbnbが一般化されたことで自宅に家族でも友人でもない「誰か」が滞在することが特に不思議でなくなりました。ByHoursのようにホテルのような既存宿泊施設を時間単位で貸し出すことや、Globeのように個人の空間を貸し出せる環境が整えば、新しい概念の「民泊」が誕生するのではと思います。