話題のポイント:先日、無事に上場を迎えたAirbnb。初日で、トラベル市場の代表格Booking.comやExpediaなどOTA企業の時価総額を上回り、好調な滑り出しを見せています。今回、同社が公開したNPOは以前より進めていた「Airbnb Open Homes」を新しい形で正式に非営利組織化したものです。2012年にNYを襲ったハリケーン・サンディーの被災者に向けてホストが自宅を無償で解放したのが始まりだと言われています。
ピックアップ:Airbnb Hosts Ring Our Opening Bell | Airbnb ニュースサマリー:Airbnbは10日、NASDAQへの上場を無事完了した。初日の取引開始額は1株当たり146ドルとなり、IPO時の価格68ドルを大幅に上回る結果となった。現段階におけるAirbnb時価総額は約865億ドルとなり、IPO時の評価額から約2倍にまで膨れ上がっている。ティッカーシンボル…
そうした終わりの見えない膨大な額のキャンセル手続きや実質的な移動制限が続く中でも、Airbnbは社会貢献活動を忘れず取り組んでいました。一例を挙げると、以前から災害時や難民の「一時避難場所」として無償で住宅を提供していたプログラムOpen Homes PlatformをCOVID-19に携わる医療従事者向けに数万件の無償開放を実施したのです。
ピックアップ:GetYourGuide Announces €114 Million In Convertible Note Financing ニュースサマリー:ドイツ・ベルリン発のトラベルユニコーン「GetYourGuide」は10月29日、新株予約権付ローンにて約1億3,400万ドルの資金調達を発表している。リード投資家にはプライベート投資ファンドのSearchlight Capital P…
ピックアップ:Airbnb is getting ripped apart for asking guests to donate money to hosts ニュースサマリー:Airbnbは新しいCOVID-19対応策「Kindness Card」を開始している。この取り組みは、ゲストが過去に宿泊したことのあるホストに寄付(ドネーション)ができるというもの。対象となるゲストには、メールで通知が…
そうした意味では、今回の新施策「Kineness Card」は将来的なゲストの再来へ繋げる目的が大きかったのではないかと思います。Airbnbからのメールにも「We hope these cards will make hosts smile, and bring a little joy your way」と記載のあるように、あくまで過去に宿泊したホストとゲストとのコミュニケーションの入り口を提供するというスタンスで、ホストの損失をゲストへ負担の強要しているわけでは全くありません。
ピックアップ:Interview with Brian Chesky ニュースサマリー:Airbnbの共同創業者Brian Chesky氏は4月下旬、トラベルスタートアップメディアSkiftとのオンラインインタビューに臨んだ。この中で同氏はCOVID-19対策で同社が講じている施策や、トラベル市場の今後の展望を中心に今後の展望を語っている。 ※こちらの記事の内容はPodcastで聞くことも可能です…
インタビューは冒頭の、「(COVID-19による)危機によってビジョンが縮小(contract)しましたか?それとも逆に拡大(expand)しましたか?」という質問で、同社創業時の「human connection」を大事にするビジョン「Travel like a human(人間らしく旅をしよう)」が今後どう変化していくのか?について問われるところから始まります。
Crisis gives you clarity why you do what you do.「危機に直面すると、いったい自分が何に向かって今この取り組みをしているのか、改めて気づかせてくれます」(Chesky氏)。
In a recession, people are gonna be looking for new ways to make money.
(不況時、人間は新しい稼ぎ方を見つけ出す)
In a recession, you are gonna see many major shifts – multi decades transition is gonna happen in weeks.
(不況時、数十年・数百年の単位で変化を遂げるはずだった事柄が、たったの数週間で変化してしまう)
smaller city, smaller community. smaller cowed, but more intimate. NOT BAD THING.(小さな都市へ、小さなコミュニティーとの関わり合いに。そして、より混んでいない場所が理想となるが、今までより一つ一つの出逢いが親密なものとなっていくだろう。そんな世界も悪くはないさ)。
The more you stay home, the more you desire to leave home… People started to think I don’t need to live in this city to do this job, I can live any city to do this job. (StayHomeすればするほど、人間は家を離れたくなる(中略)そして人は、ある特定の場所に定住する必要性を問いだすのだ)。
ピックアップ:A Message from Co-Founder and CEO Brian Chesky ニュースサマリー:Airbnbは5日、COVID-19による先行き不透明な経営状況のため約25%規模のレイオフを実施することを明らかにした。現従業員7500名の内、約1900名が対象となる。人員削減により、今後の主要事業転換に向け体制を整える狙いがある。 COVID-19以降、Airbnb…
We have great people leaving Airbnb, and I think other companies will love them as much as I do. If you are hiring, reach out to me at brian.chesky@airbnb.com and our team will connect you. https://t.co/lXrza2Ssg8
さて、レターではBrian Chesky氏がAirbnbを創業した当初のキーワードを「belonging and connection(帰属と繋がり)」と表現しています。
Airbnb創業当初、同社の名前が「Air Bed and Breakfast」であったことは有名です。これは、エアベットと朝食が提供される簡易宿泊施設という意味で、まさにショートステイという「誰かとのちょっとした共同生活」を通し、人との繋がりを持つことが意図されていました。そして最終的には、現在の民泊という形へたどり着きます。
現在のAirbnbはショートステイをプライオリティーから外し、ロングターム型民泊へとコンセプトを切り替え始めていました。もちろん。#StayHome が叫ばれる世の中でショートステイの需要がない分、ビジネス的に選ばざるえない選択だったのは明らかです。しかしこれは、創業当初に思い描いていた「人」を中心とした「belonging and connection」とは限りなく違う方向性へAirbnbが歩みだした瞬間だったのではと感じてしまいます。
This crisis has sharpened our focus to get back to our roots, back to the basics, back to what is truly special about Airbnb — everyday people who host their homes and offer experiences. (日々、自宅を提供し特別な体験を提供するーー今回の危機は、Airbnbが真に特別としていたもの、そもそもの原体験に我々を引き戻させてくれた)
これは、レターにて述べられていた今後のAirbnbを形作っていくことになる一文です。「旅の形は変わりゆくある。しかしhuman connectionを求める人間本来の性質は変わらない。だからこそ、私たちは、原点に戻って『Travel like a human(人間らしく旅をしよう)』を応援していく」、そういった思いが込められていると感じます。
Airbnb本体にも、Airbnb for Workと称し、ビジネストラベラーに特化したサービスの展開を進めていました。しかし、今回のパンデミックで一気に「ビジネストラベラー」の需要は減り(物理的な移動を要するビジネストラベラー)、逆に緊急で中長期にわたり居場所を確保する必要が伴う層からの需要が増したことが伺えます。
また、ビジネストラベラーは減少傾向にあるものの、AirbnbをWork From Home環境としてロングターム利用する需要が高まっている気配を感じます。例えば東京の物件では「リモートワーク向け」といった文言が強調され始めているなど、そうした需要の可能性をコミュニティーが感じ始めているのだと思います。