
ニュースサマリー:VISAは27日、送金大手のTransferWiseとの戦略的パートナーシップを発表した。これにより、TransferWiseはVISAのCloud Connectインフラストラクチャーを利用し、マルチ通貨に対応するデビットカードプログラムの拡大をスムーズに遂行できるようになる。
話題のポイント:VISAが金融APIを提供するPlaidの買収をアンチトラスト法に阻まれてからまだ数週間ですが、次のステップが明らかになってきました。今回新たにパートナーシップを発表したのは、国際送金の分野をリードするTransferWiseです。今回の提携では、VISAがクラウドの決済サービスをTransferWiseに対して提供することで、彼らがパブリッククラウド経由でVISAの決済処理ネットワーク「VisaNet」にアクセスすることができるようになります。これにより、TransferWiseは2018年頃より進めていた複数通貨に対応するデビットカード口座の市場拡大を進めやすくなるなる思惑があるようです。
TransferWiseは国内だけで生活しているとあまりその利便性にピンとこないかもしれませんが、複数通貨に対応する口座の破壊力はすさまじく、例えば日本から米国に初めて移住する場合、実際に現地に行くまで米ドルの口座を開設することは実質不可能でした。しかし、TransferWiseを介すことで事前に米ドルベースの口座、かつ送金をするのに必要な番号(ACHなど)もすべて割り振られます。そのため、Bank of AmericaやChaseなどと、実店舗があるかどうかの違いはあれどほぼ同等の機能を気軽に持てる利点が特徴でした。
加えて、デビットカードの発行にも国ごとに徐々に対応しており、つい先日には小規模であるものの日本においてもサービス開始の発表がありました。
今までは各国通貨の安定的な決済やセキュリティーに対応させるため、各国におけるローカルでのデータセンター設置や通信インフラ、決済ハードウェアなど、多くの投資が必要でした。そのため、日本へのマルチ通貨アカウントの提供もロールアウトまである程度の時間を要していた背景があります。そのウィークポイントを、VISAのCloud Connetを通したクラウドベースへ切り替えることで、安定性と迅速性を達成することができるようになります。つまり、各国への対応が大幅にスピードアップする、ということです。
TransferWiseの利便性を考えるととにかく1枚・1口座は所有しておくことが世界の常識となる日も近い気がします。
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