新興国の送金をチャンスに「Thunes」が狙う4つの送金ニーズ

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ピックアップ:Thunes raises $60 million for cross-border payments in emerging markets

ニュースサマリ:シンガポールを拠点とするBtoB向け国際送金・決済サービスを手掛けるThunesは9月、シリーズBにて6000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家にはアフリカ事業向けのファンドを運営する英国のプライベート・エクイティHelios Investment Partnersが参加し、Checkout.comおよび既存投資家のGGV CapitalとFuture Shapeも同ラウンドへ参加した。昨年5月にはシリーズAで1000万ドルの資金調達を行っており、これまでの資金調達額は総額で7000万ドルとなる。

同社は今回調達した資金を用いて新興国市場への参入を拡大し、銀行口座を持たない新興国の人たちでも利用しやすいサービスの開発に力を入れていく

詳細な情報:銀行、デジタルウォレットプロバイダー、送金サービス事業者などの金融会社を対象としたAPIなどを開発している同社は、既に100カ国で事業を展開し、ロンドン・上海・ニューヨーク・ドバイ・ナイロビにもオフィスを構えている。

  • 今回の資金調達を受けてアフリカ・アジア・ラテンアメリカ全土でのサービス展開を目指すほか、一部資金は、ケニア・タンザニア・ジンバブエ・エチオピアといった本格的に事業の参入や拡大を検討しているアフリカ新興国でのチームの雇用にもあてられる。
  • 同社では世界各国の金融市場を4つに分け、これまで分断されていたぞれぞれの異なるニーズ間での送金を実現しようとしている(1)現金による支払いが現在でも好まれている国(2)主要なキャッシュレス決済サービスのある国(ケニアのM-PESAなど)(3)キャッシュレス決済サービスの乱立している国(インドネシアなど)(3)銀行
  • 銀行などの既存金融機関にはSWIFTと呼ばれる標準化された金融機関を繋ぐ送金システムがあり、同システムを介すことで国際送金業務は古くから円滑に行なわれてきている。ThunesはAPIを利用して上記4つの市場間を繋ぎ、銀行口座を持たない新興国の人々も利用できるSWIFTに代わる新たな送金網システム構築を目指している。
  • 競合になり得るサービスにはTransferWise が挙げられるが、Thunesは参入障壁の高い新興国市場に特化することで差別化を図ろうとしている。そのため、TransferWiseがサービスを提供していない新興国ではThunesにとっての潜在的なクライアントにもなり得ると考えている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

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