仮想通貨取引所の流出を防ぐLibraメンバー「Anchorage」の可能性ーーVISA・a16zから4000万ドル調達

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ピックアップVisa Pours Millions into Cryptocurrency Startup Anchorage

ニュースサマリー:ブロックチェーンスタートアップ「Anchorage」は11日、シリーズBにて4000万ドルの資金調達を実施したと発表した。リード投資家はBlockchain Capitalが務めている。また、既存投資家のVISAとAndreessen Horowitz(a16z) も同ラウンドに参加している。

同社は機関投資家向けに暗号通貨のカストディーサービスを提供する、ブロックチェーン領域に特化したスタートアップ。Anchorageのカストディーモデルは生体認証を元に構築されており、一般的なコールドストレージ(コールドウォレット:オフライン状態)による保管より安全性・流動性に優れていることが特徴だ。

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同社および彼らの投資家でもあるVISA・a16zは、先月Facebookより発表があった世界共通通貨を作り出すプロジェクト「Libra」の創設メンバーでもある。

話題のポイント:暗号通貨を語る上で常に話が付きまとうセキュリティーの話。つい先日も、日本の暗号通貨取引所が管理していたホットウォレット(オンライン上のウォレット)が不正に流出するなど、機関投資家向けに限らず、暗号通貨を扱うためのセキュリティー改善が必須な状態です。

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ではLibraメンバーでもあるAnchorageが提供するカストディーサービスは、なぜ既存システムより「安全」な設計と主張しているのでしょうか。同社のサービスは「Smart Strage(スマートストレージ)」と呼ばれており、ホットウォレット・コールドウォレットのメリットはそのままに、デメリットの観点のみを排除した設計をしていると同社は説明しています。

Anchorage Official Medium

つまり、ホットウォレットのデメリットであるセキュリティーの脆弱性、またコールドウォレットの流動性の低さをカバーすることで「セキュアで流動性の高い」サービス設計を達成しているというわけです。同社のサービス根幹には、「Hardware Security Modules (HSMs)」というシステムが存在しています。

このシステムを深堀する前に注目すべきなのは、Anchorageのシステムがコールドウォレットよりも安全性が高い位置(右側)となっている点。これは、インターネットに繋がっていないコールドウォレットでも組織内部によるオペレーションミスで流出に繋がる不安があることを意味しています。

つまり、同社サービスの根幹にあるHSMsは内部オペレーションミスによる脆弱性対策を施したものというわけです。ただ、同社によれば一般的なカストディー機関では既にHSMsが導入されているとしており、同システムがAnchorageの優れている点であるというわけではなさそうです。

Anchorage Official Medium

同社は既存HSMsの問題点を上図で指摘しています。①~③のフローが示している通り、一度ハッカーがサーバーのアクセス権限を獲得しビジネスロジックを変更してしまうと、HSMsが完全に乗っ取られてしまい資産が容易に引き出されるということになります。では、Anchorageはこの問題をどう解決しているのか。下図がその仕組みです。

Anchorage Official Medium

同社のHSMsでは、事前にクライアントごとにquorumと呼ばれる、分散システムにおいてトランザクションを実行するために必要な人物を決定しておきます。つまり、トランザクションを実行するためには上図の②と③のフロー間において、事前に定めたquorumによる認証が必須となるわけです。

誰が認証権限を持つかは、資産を預けるクライアント側が最初の段階で決めることが可能で人数などもフレキシブルに設定できるそう。認証権限を持つユーザーは、各自がプライベートキーを所持し、並行して生体認証のステップを導入することでセキュリティーを二重に堅実なものとしているとしています。このフローに加え、Anchorageでは同社が独自に開発したトランザクションレビューを導入しています。仮にプライベートキー・生体認証を通したアクセスでも不正と判断されると、この段階でトランザクションは停止されられるというわけです。

同社はこのフローを構築することで、ホットウォレット・コールドウォレットを組み合わせたともいえる環境を作り上げています。現状、基本的には機関投資家に向けてサービスを展開していますが、FacebookのLibraプロジェクトの創設メンバーということも考えれば、Libraにおけるトークンとコラボレーションを進めることは明白です。

もはや、暗号通貨取引所がハッカーに資産を盗まれるニュースも「またか」となってきた今、Facebook・Libraがこの危機的状態を根本から変えられるのか、そういう視点でも注目しています。

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