FacebookのLibraはインドの規制下では運営が困難ーーインド中央銀行(RBI)という高い壁

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ピックアップFacebook may abort Libra launch in India

 

ニュースサマリー:2020年に発行が開始される予定のLibra(Facebookが主導するブロックチェーンプロジェクト「Libra」上で発行されるステーブルコイン)は、インド市場で流通できないかもしれない。

THE ECONOMIC TIMESがインドの暗号通貨規制に精通している関係者の話として6月20日に伝えているもので、現在のインドでは、銀行取引に該当するようなビジネスをブロックチェーン事業者が実施することはできないという内容になる。

具体的には、もしLibraが法定通貨と自由に交換可能になると、実体経済と大きく互換性をもち、AML(アンチマネーロンダリング)や税制上のリスクが高まってしまう。そのため当局がライセンスを与える可能性は低いという。

話題のポイント:この報道がポストされたのはLibraプロジェクトの公式情報発表の2日後である6月20日です。こちらの記事でも触れましたが、Libraは現在米国議会より開発停止要求を受け、かつ7月中に当局に対し公の場でプロジェクトに関しての質疑・応答を行うことになっています。

風向きは、国を変えても大して変わらないということです。ただでさえ、インド中央銀行(RBI)は2018年4月に、国内の暗号通貨取り扱い業者に大して、一斉に業務停止声明を発表し、国内の取引所などのスタートアップの多くはサービス停止又は廃業に追い込まれています。まだ公式にインド規制当局がLibraについて発言したという報告はありませんが、そのような規制環境のなかで、インド政府又はRBIがLibraの業務開始を簡単に受け入れるとは思えません。

Libraの参加企業の一つに、Calibraという、Facebook子会社のカストディ企業があります。仮にFacebookがインドで大きなシェアを誇るチャットアプリWhatsAppやMessengerでLibraの流通を試みる場合、ユーザーはCalibraに登録する必要があります。しかし現時点でCalibraが認可をもらえる確率は低いでしょう。

WhatsAppに関しては現在ペイメント機能の実証実験をスタートさせていますが、現時点では、WhatsAppのペイメント機能もRBIには認可をとっていない状態です。もしCalibraを導入した場合、上述した規制環境のもとでは、その認可をもらうハードルはさらに高まると推測できます。

さらに言及するのであれば、Libraの設計上、LIbra発行のためにユーザーから預かった法定通貨は各国中央銀行の預金あるいは政府短期国債に投資されるため、業務形態上はマネー・マーケット・ファンドに該当し、これにより証券業の認可も必要となる確率が高いです。ちなみに、もちろん他のLibra Association企業(VisaやUber)も同じく同様の要件を求められることになります。

 

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