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「1番楽しんで、1番楽しませる会社を創る」ーーU25「起業・新基準」/テイコウペンギン・Plott代表、奥野さん

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに続いて、今回はPlott(プロット)代表取締役、奥野翔太さ…

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに続いて、今回はPlott(プロット)代表取締役、奥野翔太さんに登場いただきます。同社はYouTubeアニメチャンネルで「テイコウペンギン」などのコンテンツ制作を手掛けるスタートアップです。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

奥野翔太さん:1995年生まれ。筑波大学在籍中からネット関連の事業ディレクションやメディア運営などに携わり、その後、ARコンテンツ制作のGraffityにて勤務。2017年にPlottの前身となる会社を起業。YouTubeアニメ「テイコウペンギン」は2019年1月の公開から約半年でチャンネル登録者数35万人を記録。

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このインタビュー連載にはバーチャルYouTuber(VTuber)「ミライアカリ」所属のZIZAI代表取締役、塚本大地さん、「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんに登場いただいてますが、今度はアニメですね。

奥野:もうですね、YouTubeチャンネルを一緒に作ってくれるディレクター人材やクリエイター人材を絶賛募集中なので、Wantedlyからビシバシ連絡ください!Twitter DMもガンガン待ってます!(笑。

勢いありますね。このテーマ(笑。ただ、奥野さんの場合アニメですよね。最初からここ狙ってたんですか?

奥野:元々コンテンツはずっと作ってました。その前はVTuber事業をやってたんですが、僕らは簡単にいうとVTuber市場でボロ負けしました。同世代の田角さんがめちゃくちゃ数字伸ばしているのを見て心底悔しかったし、TXS(Tokyo XR Startups)のデモデーでも他の同期の会社と比べて圧倒的に結果を出せてなかった。負けない事業を作りたいと思ったんですよね。

TXSにはActiv8も参加してる

奥野:はい。当時はキズナアイのチャンネル登録がデイリーで4000人増加してる一方、自分たちは100人増えたら良い方。ただその時、さらに伸ばしていたのがフェルミ研究所だったんです。誰も注目していなかったのに、一番ブームだったときのミライアカリやキズナアイと同じくらい伸ばしていた。それに加えて僕たちは、最終的にマスに届くようなキャラクターを作りたいと思っていたので、今のテイコウペンギンの事業に落ち着いた感じです。

それでもアニメも乱立市場ですよね。テイコウペンギンが一気に今のポジションを獲れたのはなぜ

奥野:コンテンツに対するこだわりは他社とはかなり違っていると思っています。僕自身、3年間くらいずっとコンテンツを作っては壊し、ということをやってきているので圧倒的にナレッジが溜まってるんです。またVTuber事業で強いプロデューサーの人たちと話す機会がとても多かったこと、またエグゼキューションの部分で他社の「YouTubeハック」はまだまだ弱いのではないかということが挙げられるかもしれません。

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その中でも、奥野さんが大切にしてるエグゼキューションのポイントってどこにあります

奥野:「需給の歪みを掴む」「1つだけ外す」ということです。新しすぎること、古すぎることはビジネスとして成立しないと思っています。顕在化している需給の歪み、みたいなものですね。今やってる事業もYouTubeを毎日見ていて気づいた歪みにコンテンツを当てたものです。だから需給の歪みを掴むために市場のインサイダーになれるくらい研究することが大事かなと。

ただ、需給の歪みが生じていたとしても他と同じものをリリースしたら突き抜けることはできません。そこで差分を作るわけですが、それも違いすぎることはNGで「1つだけ」差分を作るくらいが市場に受け入られやすいのかなと思っています。

少し話を変えて。奥野さんの究極のゴールや結果ってどこなんですか

奥野:会社というプロダクトを作りきりたい、という思いがあります。Plott自体も数年でどうこうという話ではなく、数十年、世紀といった視点で続く会社作りや組織づくりをしています。そのためには長く続くIPを作らないといけませんし、その第一目標としてまずはYouTubeで市場を取り切り、その後はここ以外でも展開可能なIPを生み出していきたい。最終的にはエンタメ企業として、この世代で日本を牽引できる存在になりたいですね。

下支えするモチベーションみたいなの、奥野さんを駆り立てるものってなんなんでしょう

奥野:元々は「一番面白いことしたい!」という思いですね。よく文化祭で漫才したりするような人っているじゃないですか。自分はそういう感じの人間で。学生時代に大学近くの会社で働く中でビジネスや経営者というものに触れて「世の中に対してハッピーを届けて、社員にもハッピーを届ける」って最高じゃん!と思って起業に至っています。

さらに同世代の存在というのも刺激ですよね

奥野:僕の高校の同期が大学に行かずにそのまま芸人になったんですけど、当時それに誘われていて断ったんですよ。

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え、奥野さん芸人に誘われてたんですか

奥野:はい(笑。彼が個人としてのエンターテイナーとして突き抜けるなら、僕はそれよりももっと組織を作って、その組織でしかできない規模のエンターテイメントを創り出してNo.1になりたいというモチベーションがその時生まれたと思います。

あと突き抜けたい存在になりたいというのが根底にあります。僕が大学一年生の時に南野くんがA代表でワールドカップに出ていたのですが、僕彼と同い年なんですよね。僕は大学の寮で試合を見てるのに、彼らは日本の代表としてめちゃくちゃ頑張っていて、それが悔しかった。後は、根拠のない自信ですね(笑。それを証明してやるぞ、と。

エンタメ系のコンテンツが多いのはそこが原点なんですね

奥野:今までチャレンジした事業もゲームやドラマや動画メディアやライバーマネジメント、VTuberなどエンタメ系の事業だけです。事業をやっていく中で元々持っていた思いがさらに鋭くなっていって、今は「1番楽しんで、1番楽しませる会社を創る」という思いで会社をやっています。

学生起業ということで、当時からいろいろ事業に興味あったっていうことなんですが、どんな学生時代だったんですか

奥野:エンジニアか文系か迷っていました。学科の9割くらいが大学院に行くような情報系の学科だったので、周りはエンジニアが多かったです。ただ、自分はもっと全体を見たくって。そのためにビジネスをかじりたいと思い、短期の海外インターンシップに参加したのが始まりですね。

お店の事業課題を解決するというインターンだったんですけど、その時に、ビジネスって人に良いことをしてお金をもらって、自分たちもハッピーになるという素晴らしい仕組みだと気づいて。

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なるほど、それで路線が決まった

奥野:帰国後にすぐ筑波にあるベンチャーでインターンを始めました。当時は大学の授業にも行きながら、週6通ってほとんどフルコミで働いてました。事業としては、筑波大生向けの就職あっせんや仲介、バイトの仲介、アパートの仲介などです。チラシを作ったりディレクションしたり、採用、営業などなんでもやってましたね。経営陣直下で働くことで偉大な経営者になることが人生目標にセットされました。

起業したくなった

奥野:ビジネスに興味を持つ大学2年の頃は大学のサークルを自分で立ち上げて150人くらいの組織にした一方、サークルなのでやっぱり組織として完成しきれなくて悔しい思いをしました。そこをビジネスの領域でやりたいと思ったのもきっかけとしてはあります。

そこからテイコウペンギンまでしばらく時間ありますけど何をされていたんですか

奥野:大学4年で休学し、最初はARゲーム事業を始めたんです。ただ、この開発って数億円くらいかかるんですよね。それに気付いて撤退しました。それで動画メディアにピボットし、コント動画やエンタメ領域の分散型動画メディアを始めました。この時にPlottの前身の法人を設立してます。

ただ動画メディア自体もそこまで伸びず、その後は関わったライバーさんをマネジメントする事務所的なことをしていたり、インフルエンサー向けメディアを作ってみたり。

その頃ですね、Vtuber領域に興味を持つようになったのは。腐女子向けのVtuber検討したのですが、一方でもうちょっとスタートアップ村に入らなければいけないし、最先端のエンタメコンテンツに触れたいということもあり、そこでGraffityにジョインしました。

で、Graffityを卒業して独立

奥野:TXSに参加したのがその頃です。そこでの参加者や國光さんらとディスカッションする上で、自分たちしかできないVTuber領域があるんじゃないかと。元々ゲーム作っていたのでUnityも使えるし、動画メディアもやっていたのでスキルセット的にもぴったりじゃん。感情的にも、エンタメ領域で大きい会社を作りたいと思っていたので、そこもフィットしていました。

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奥野さんのメンターってどなたなんですか

奥野:メンターでいうと圧倒的に國光(宏尚)さんです。ソシャゲ・動画メディア・SEOメディアなどのコンテンツ領域の知見だけでなく、コンテンツから見る世の潮流のようなマクロな知見も相当に勉強させてもらっています。それ以外にもGraffityのトシ(森本俊亨)さんや、17kgの秋山(洋晃)さんにも相談してます。トシさんには起業家の先輩として起業家マインドを定期的に叩き直してもらっていて、秋山さんには経営者として組織面をご相談することが多いですね。

奥野さん組織づくりすごいこだわりありそうですよね。すごくワードが出てくる

奥野:誰かの課題を解決したいという外的要因で起業しているというよりは、面白いことをしたいっていうモチベーションと、めちゃくちゃ良い組織を作りたいというモチベーションが二大要因なんです。

今って何人ぐらいで事業運営されてるんですか

奥野:現状組織は全体で20人ほどです。20代の若いクリエイターがほとんどの会社で、オープンな組織、IQよりEQ、多様なクリエイティブを重視するなど、かなり組織における雰囲気やコミュニケーションを意識してます。元々、ユーザーを楽しませるのはもちろんですがそれ以上に働いている人たちが楽しんでいる会社にしたいと思っていました。

最後に。スタートアップの周りの環境はいかがですか

奥野:エンジェルや先輩・同世代起業家がたくさんいて非常に起業には優しい環境です。とはいえこのスタートアップ村に入っていないとリファレンスが取れなくて、まともな投資家やエンジェルからのサポートがもらえなかったりすることがあるのも事実です。自分は起業を志してから上京した地方勢なんですが、地方から上京してスタートアップする人たちも多いので、その辺りは何かあるといいかなと思ったりしますね。

今後の活躍期待しています。ありがとうございました。

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継続的にエンタメコンテンツが生まれる社会にしたいーーU25「起業・新基準」/「Freax(フリークス)」運営・Spectra代表、浅香さん

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のバーチャルYouTuber(VTuber)「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんに続いてはライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を…

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写真左から:Upstart Ventures上杉修平さん・Spectra代表取締役の浅香直紀さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のバーチャルYouTuber(VTuber)「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんに続いてはライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに登場いただきます。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

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浅香直紀さん:1993年生まれ。中央大学卒。学生時代にTechouseでJEEKのマーケティング・新規事業開発を経てメルカリに入社。メルカリJPのグロースとソウゾウの立ち上げメンバーとしてメルカリ アッテの開発を担当。大学卒業後に新卒1期としてメルカリに入社し、メルカリ アッテのグロース・メルカリ メゾンズの立ち上げを経験。2018年3月にSpectraを創業し代表に就任

5月のiOSアプリ公開から4カ月、ジェネシア・ベンチャーズからの出資も公表されました

浅香:おかげさまでプロダクトに力を入れていくフェーズになったこともあり、絶賛採用中です(笑。特にクライアントエンジニアやマーケター、デザイナーを募集しています。またFreaxにとどまらず、音楽業界のデジタル化のサポートについては積極的に推進したいので、アーティストや事務所、レコード会社の方とはいろいろお話したいですね。

アーリーなステージの資金調達でどのあたりを意識されましたか

浅香:特にこのステージの株主はお金を出してくれるだけではなく、何かしらの価値を提供してくれる人がよかったと思っていました。C向けのプロダクトを作ることは決めていたので、株主としては、お世話になっていた人か、C向けのサービスの経験がある方。

中でもロジックでサービスを作って展開していくタイプの人、感性や直感でサービスを作るタイプの人の二種類の人を入れようと考えていました。

結構細かく考えられたんですね・・・。ところでSpectraでは当初、別の事業を並行していたそうですが

浅香:3つやっていたんですが、全てアイドル領域のウェブメディアでした。2018年4月、6月、8月に一個ずつ立ち上げており、トラフィックはそれぞれちゃんと出ていましたね。

なぜそれを捨てることに

浅香:SEOのメディアをやっていたのもあり人手も必要になって来て、共同創業者の露木(修斗氏・取締役)と次第にコミュニケーションが少なくなってきて、意思決定の軸がズレ始めたんです。それぞれが持ってる事業に対する意思決定で精一杯で、会社に対する意思決定ができなくなって。

11月にオフサイトして、今後どうするかを話し合おうという話になり、事業ドメインの再選定になりました。より大きい戦いをするために必要な意思決定は何か、というテーマです。

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好調だったらなおさらズルズルいってしまいそうな状況ですね

浅香:SEOでフックするサービスだとライトなファンから広告でお金を取るビジネスモデルになってしまいます。一方で自分たちがやりたいのは、アイドル業界や音楽業界に良い影響を産むために、熱量の大きなファンの人を相手にしつつ、事業者側も幸せにするということだったんですよね。

お互いの考えが言語化できた

浅香:はい。音楽領域を選んだのはCDからストリーミングやライブといった収益構造の転換や、インディペンデントアーティストなど海外を中心としたアーティスト活動の形の変化などのタイミングが重なったことも大きいです。

昨今の情報の絶対量・収集チャネルの増加に対して課題感を感じていて、一貫して「情報を最適に届ける」ことで機会損失をなくすこと・機会を最大化することにフォーカスしよう、と決めました。

具体的にどういうフローで検討を進めたのでしょうか

浅香:サービス自体は情報のマッチングが適切でないことによる機会損失から検討しました。具体的には「自分たちのアーティスト時代に継続的な周知・集客が難しかったという原体験」「1ファンとしても情報を追いきれてない」という状況をベースに、過去の事業で「自分の好きなものの情報を受動的に網羅的に受け取る」というニーズを掛け合わせた感じです。

ライブチケットの見逃しを防ぐ、というピンポイントなテーマですが、どのような展開・拡大イメージがあるんでしょうか

浅香:足元では熱量の高いファンを中心に「ファン活動をするならFreax」といった純粋想起をとることですね。対応チケットサイトの増加や正しいイベント情報の表示といったデータ量・質の担保、ライブにいったログをストックで残せるようにする機能など、ファン活動を面で抑えられるようなサービスにしていく、というのが当面の予定です。

一方、中長期の視点では、Freaxが使われることで溜まる「事務所やレコード会社などの縛りがない横軸のファンの行動データ・嗜好性データ」を使って音楽業界のデータマーケティングのようなプレイヤーがデジタル化することで恩恵がある部分のサポートを計画しています。

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ちょっと話題を変えてスタートアップする前の浅香さんについて。大学在学中はTechouseでインターンされてたそうで

浅香:大学2年生の夏休み、英語ならできると思って留学したんですが思ったようにコミュニケーションが取れず歯がゆい思いをしまして(笑。英語よりももっと汎用的な、ビジネススキルを身につけようと「インターン」で検索して一番上にヒットしたのがJEEKだったんです。

すごい。検索で人生が変わった(笑。その後、2016年の新卒一号社員でメルカリに

浅香:大学在学中にインターンでジョインしました。ソウゾウを立ち上げる前の松本(龍祐)さん直下で新規事業を作るという内容でした。その流れですね。

業務としてはどんな経験を

浅香:アッテの時は40人くらいの組織だったので、結構分業してやっていました。その後に携わったメゾンズは市場調査から入り、そのデータからどのジャンルのどの課題にフォーカスするのか、そのためにどんなサービスを作るべきかなど、基本的にサービスを作ることに関しては全部やっていました。

サービスをどう作るか、アジャイル開発、MVPの作り方などはメルカリで相当学ばせていただいたので、その経験は創業にかなり活きていると思います。

ソウゾウも新規事業がメインだった思いますが、社内の新規事業ではなく、自分で企業をスタートアップさせる時にどのようなギャップを感じましたか

浅香:メルカリで働いていた頃にいた自分の他のメンバーは、自分が採用したわけではなかったのですが、自社を創業した時は当然ですが自分で採用しなければなりません。ただメルカリの時のような強いメンバーを採用できるかと言われるとそれは相当難しい。一方でプロダクトは同じレベルのものを作りたいという葛藤はありました。

インターンの採用はかなりうまくできていて、採用媒体経由だと最高で週に100人以上の応募をいただけるぐらいにはなっています。ただ中途となるとまた話は別で、今いる組織を抜けて別の組織に入らなければいけないので、かなり難易度が高いですね。

逆にメルカリに残って新規事業を立ち上げる、という選択肢はなかったんですか

浅香:メルカリって何か新しいことをやる時、例えば青柳(直樹)さんを引っ張ってこれるような組織なんです。今後のキャリアを考えた時に、裁量権という観点で不安が残ったのは正直ありました。あと、メルカリにとってメリットがある形かどうかが肝であって、自分がどういうサービスをやりたいかとの折り合いをつけるのも難しかったですね。

で、自分たちで創業と

浅香:2017年の年末に会社を作る意思決定はしてたので、2018年頭からお世話になった人たちへの挨拶回りから開始しました。(イーストベンチャーズの松山)太河さんと松本さんには近況報告してすぐに出資するよとの言葉をいただいたり、その後、10Xの矢本(真丈)さんに堀井さん(Fablic創業者の堀井翔太氏)と大湯さん(コネヒト創業者の大湯俊介氏)をご紹介していただいたりして、2018年3月には会社設立、という流れです。

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浅香さんを突き動かしてるものってなんですか

浅香:そもそも自身の成長意欲自体が強い方なんです。

良い意味でも悪い意味でも自分が好きな自分とか、自分が理想としている自分でありたいとか。昔から自分にできないものがあるのは好きじゃなくてなるべく多くのものをできるようになりたかったし、中長期でみて成長できないとか停滞しているとかは好きじゃないと思います。

なるほど。定性的で曖昧だけど大切な要素

浅香:自分の視野に入っているもので、良くできるものは少なからず良くしたいというのが、今のドメインを選んでいる理由の主要因だとも思います。

あとはバンドで曲をつくっていたこともあって、なにかを作っている行為自体もモチベーションになるかなと思っています。ものを作るのは苦しみも多いけどその分楽しいし、人が増えればよりクオリティやスピードも追求できるようになるというのは昔からもっている感覚です。

外的な要因でモチベートされることは

浅香:ユーザー数やKPIみたいな話ですよね。定量的な結果は嬉しいですが、より生々しさという意味ではやはり関係者からのフィードバックですね。それがあるから何かができるようになったとか、選択肢が増えるようになったとか。正の方向への差分が生まれるような体験が作れているかどうかを重要視していると思います。

事業の作り方について。事業のエグゼキューションで重要なポイントはどこにありますか

浅香:大きく二つあって、まず「合議しないこと」ですね。経営陣同士で意見が割れて絶対的な正解がない場合に、相手が責任を持ってやるといったことは信頼して任せる。

次に「本当に自分がやってレバレッジがかかるのか」。これはドメインに対する知識・経験や優先度・緊急度を鑑みて自分がやるべきかを常に考えることです。

専門家に意見を聞きに行くなり、副業として手伝ってもらうなり、採用するなり、会社が大きくなるための選択肢を常に持っておく必要があると感じます。

この二点に留意して、不可逆でなければ意思決定をし、そこにフルベットして結果をみることを意識しています。

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すっきりした意思決定フレームワークですね。浅香さんにとって結果とは

浅香:結果というと、その明瞭さから定量的なものがよくあげられる気がするのですが、意外と自分たちが納得いくのって定性的とか曖昧な指標なんじゃないかなとは思っています。こういう立ち位置になったらとか、こういう価値が提供できるようになったらとか。

例えば音源CDからストリーミングに音源のタッチポイントが変化し、マーケットが転換点を迎える中で、アーティストも事務所もレコード会社も、多数の選択肢が考えられるようになったじゃないですか。

その中で、アーティスト・事務所・レコード会社など音楽業界の先達と一緒に、デジタルとリアルの境界線を溶かすのが音楽とITの間にいる僕らの役目だと思っています。結果、継続的に音楽を中心としたエンタメコンテンツが生まれてくる社会にしたいですよね。

インタビューも終盤ですが、実際にスタートアップしてみての感想をお聞きしたいです。いまってどのような方がメンターなんですか

浅香:株主については堀井さんや大湯さんには経営相談を定期的にさせていただいています。事業の細かいところというよりは、組織・採用や戦略レイヤーの相談が多いですね。起業家としての過去の経験と投資家としての視点をベースにフィードバックをもらっています。

サービスについては10X矢本さんです。メルカリ時代からサービス作りの相談をしていて、事業の仮説や戦術レイヤーなどの相談をさせていただいています。

他にはプロダクトづくりに関してはYCombinatorやポールグレアムの文献を参考にすることも多いです。また、ユーザーの巻き込み方やプロダクトの思想や広報は勝手にアル社を参考にさせてもらっています。

参考にしたいスタートアップが多くなりましたよね

浅香:同世代だとFOWDの久保田(涼矢)さんやBABELの杉山(大幹)さんは相談することが多いです。資金調達や資本政策の相談・情報共有から、組織づくりやプロダクトづくりのTipsレベルの共有まで色々です。

もちろん仕事以外の話もしています(笑。

起業のエコシステム全体で足りないなと思うことってありましたか

浅香:成功体験やメソッドは昔に比べて体系的にアウトプットされているように感じますが、失敗体験についてはまだ表に出てこないことが多いですよね。出しにくい部分も多そうですが、同じ轍を踏まないためにも狭い範囲でも良いので公開されるとエコシステムとか業界全体の底上げ的な意味では必要じゃないかなと。

あとは資本政策や採用は一回の重みが大きいということもあり、リファレンスについては投資家に対しても採用候補者に対してもフェアな形でもっととれるといいなとは思います。

長時間ありがとうございました!

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「自分がハッピーなこと」と「人をハッピーにさせること」だけの世界を作るーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/にじさんじ「いちから」代表、田角さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のバーチャルYouTuber(VTuber)「ミライアカリ」所属のZIZAI代表取締役、塚本大地さんに続いてこちらもVTuber「にじさんじ」を運営するいちから代…

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いちから代表取締役の田角陸さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のバーチャルYouTuber(VTuber)「ミライアカリ」所属のZIZAI代表取締役、塚本大地さんに続いてこちらもVTuber「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんです。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

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田角陸さん:1996年生まれ。早稲田大学基幹理工学部表現工学科卒業。ガイアックスで長期のマーケティングインターンに従事した後、すぐに大学を休学し2017年5月にいちからを創業。VTuber/バーチャルライバー事業、にじさんじプロジェクトを運営するほか、VRを活用したバーチャル世界キャラクターとの双方向コミュニケーションサービス「ユメノグラフィア」などの新規事業も手がける

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8月末に大型増資の公表されましたね。グローバル展開に新規事業と盛りだくさん

田角:世界中に「魔法のような、新体験を」届ける、グローバル×エンタメテック企業を目指して、日本のVTuber業界を次のフェーズへレベルアップさせたいですね。新規事業の「ユメノグラフィア」もこれから一気に加速させるつもりで積極採用中です!

事業の証明ができたらどこも次の課題は採用ですもんね。ところでこの連載ではU25の起業家の方を中心に新しい経営のスタイルをお聞きしています。田角さんはいつ頃から起業とかスタートアップに興味を持ち始めたんですか?

田角:高校生の時からですかね。会社の代表になりたいな、という考えみたいなのは漠然とはありましたね。あと、私、早慶志望だったんですけど、そこ出身の有名人を見ると、例えば村上太一さんなど、起業家がとても多かったんです。それでさらに興味や憧れを掻き立てられましたね。

早稲田時代にはインターンや起業家養成講座とかも参加されていたとか

田角:ガイアックス子会社の新規事業部で、田舎体験をしたい若者と田舎に住む人たちのマッチングサービス「TABICA」というサービスに参加していました。そのインターンではマーケティングを主に担当し、新規ユーザーのリピート率を向上するための施策を考えていました。

一方、大学進学後にインターンで色々なことを経験していくと、この状況を続けても社長業を学ぶことは難しいなと感じるようにもなりました。じゃあ、自分が社長になることが一番の学びになるんじゃないか、と。

なるほど、実践的だ

田角:あと、早稲田の起業家講座で当時すでに自分で会社をやっている人たちと自分との差を感じたっていうのもありました。もうこれはやらないとダメだと思って起業に踏み切ることとなりました。

周囲の影響・環境ってやっぱり大事ですよね。会う人を変えないと自分って変わらないというか。当時はどのような事業を展開していましたか?

田角:そうですね、事業を作っていたというよりは、プロダクトモックを作って投資家にピッチしたり、実際にβ版をローンチしていたりしました。

具体的にどういうテーマだったんですか

田角:動画やAR広告、スキルシェアなどの領域ですね。

そこからVTuber事業にピボットするわけですが、何をきっかけにそこに進んだんですか

田角:何回か投資家のみなさんにフィードバックをもらったんですね。プロダクトを作るというPDCAをまわす中で、「風が吹いたら豚でも飛べる」ではないですけど、トレンドに乗っていることの重要性は結構感じていました。瞬間最大風速がデカイ領域は、やっぱりアップサイドも伸びの速さも違ってきます。その中ですね、VTuber系の事業を検討するようになったのは。

トレンドをうまく掴んだ

田角:ただ、トレンドに乗る中にもロジックがあります。ここに乗りやすいのは、大企業の大きな動きでトレンドの波が作られたり、そのスキマができたりする瞬間なんです。この隙間を狙っていくことが大切だと思っています。

元々ここに興味があった?

田角:最初はこの領域に特に詳しいというほどではありませんでしたが、やはり大きな可能性は感じていました。そんなある日、モックぐらいの状態でプレスを出したんです。そしたらそれが結構世の中のみなさんに受け入れられて、評判がとても良かったんです。

それに「VTuber」という存在が世の中に出てきて積極的に発信し始めるタイミングが重なったのも大きかったです。よし、もうこの事業でいこうと思いました。

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ちょっと話を変えて。田角さんは事業仮説に関して何かフレームワーク的なものをお持ちですか

田角:エグゼキューションしたいけど、トライ数が増やせない(後戻りできないもの)はしっかりと情報収集や思考した後に命中率をあげるべきですね。逆に、エグゼキューションしたいけど、情報や確証性が少なく、命中率が低いものはトライ数を増やす仕組みを作り、徐々に命中率を上げる(仮説検証の蓋を開ける)これに限ると思います。

トライ数×命中率=エグゼキューションというのは、田角さん自身の打ち手の多さからきているものなのでしょうか?

田角:そうです。トライ数を上げて、投資家の方々から適切なフィードバックを受け、それを元にヒット率をあげるということをしてきました。トライ数をあげると、きちんとしたフィードバックのもとでは命中率も自ずと上がる、その中からヒットが生まれると思っています。

ちなみにVTuber事業ではどういう事業仮説を立てたんですか

田角:「人を魅力し、人を集められるのは、人の力」です。VTuber事業をやるにあたって、プラットホーム(VTuberのライブ配信PF)として事業を伸ばすのではなく、個人の力を性善説的に信じた仕組み(VTuberマネジメント)にしたところ、PFを問わず活躍するVTuberをマネジメントすることができました。

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なるほど、ところで田角さんってこの連載にも出てくれたZIZAIの塚本大地さんとも同世代ですよね。こういった横のつながりや意識とかってあるんですか

田角:あまりつるんだりはしないですし、同世代を意識というのはないですね。ただ、エグゼキューションの面で塚本さんやイチナナキログラム(17kg)COO、秋山(洋晃)さんの取り組みは拝見しています。

お二人はトライ数のところが半端ないと思っています。特に秋山さんは命中率が際立っているなと。仮説を立て、その命中率が異常に高く、そのためにエグゼキューションを徹底しているところをとても尊敬しています。それぞれ得意分野は違いますが、かなり色々と学ばせてもらっています。

田角さんが事業をやってる源泉ってどこにあるんですか

田角:近い将来、AI(人工知能)や関連するテクノロジーによる自動化が急速に普及し、今、人間がしている仕事がどんどん減っていくと思っています。そんな未来で人間がすべき仕事は、「人を楽しませること」なんですよね。

つまりはエンタメこそが人間の仕事だと思っています。僕らはいちからに関わるメンバーで「自分がハッピーなこと」と「人をハッピーにさせること」だけをする世界を作りたい。これが僕のモチベーションです。

いつぐらいからそういう考えになったんですか

田角:エンタメの領域に参入した時からです。今いる社員やメンバー、ユーザーの中で自分たちが作った事業に励まされているという声を聞いた時に、幸福を感じたんです。

それをきっかけに、人をハッピーさせることとそれによって自分がハッピーなことを会社では追求したいと徐々に思うようになりました。

最後に一点、田角さん自身の、今後の目指す方向や、どうありたいかなどについてお話を聞かせてください

田角:自分の幸せって変化率だと基本的には思っています。それは、昨日より今日、去年より今年の自分の方がすごかった、成長していたという変化方を無限に続けていくことでしか幸せになれないのかなと思っています。だからこそ、常にその変化率を意識したいですね。

ありがとうございました!

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死んだ後も価値を永続的に生み出し続ける会社を作るーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/研究者と企業をつなぐ「LabBase」POL代表取締役、加茂さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のZIZAI代表取締役、塚本大地さんに続いて登場いただくのは理系学生のキャリアプラットフォーム「LabBase」を展開するPOL代表取締役の加茂倫明さん。 今回も…

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のZIZAI代表取締役、塚本大地さんに続いて登場いただくのは理系学生のキャリアプラットフォーム「LabBase」を展開するPOL代表取締役の加茂倫明さん。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

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加茂倫明さん:1994年生まれ。東京大学在学中にスタートアップのインターン経験を経て、2016年にPOLを創業。翌年に研究内容をもとに優秀な理系学生をスカウトできる新卒採用サービス「LabBase」を公開し事業拡大中。2019年3月には新規事業として、産学連携を加速するプラットフォーム「LabBase X」をリリース

POLは研究者の採用やマッチングなど、研究に関わる人たちを通じたビジネスを展開されてますが、全体像としてはどのような事業を考えているんですか

加茂:今後の展開にもなるんですが、全体構想としては大きく3つあります。まずはプラットフォーム化で、現行のLabBaseとLabBase Xに加え、研究者や学生が日々の研究生活で使える機能をどんどん増やしていきます。研究室のインフラとなる「LabTech事業群」の構築です。研究関連市場は約3.5兆円とかなり大きく、そこでNo.1となる事業群を創ろうと。

次が「科学技術版のY Combinator」構想です。既存の2事業やプラットフォーム化を進める中で、POLには研究に関する膨大な情報が集まってきます。それぞれの研究者の最近の発明、保有技術、応用可能性、パートナーシップを組みたい企業といった具合で、あらゆる情報が集積される中、研究室発の事業シーズを、どこよりも早く認知できるようになります。そのシーズに投資し、インキュベートしていくという構想です。

壮大ですね

加茂:最後がグローバル化なんですが、研究に国境はあまり関係ないので、必然的にグローバルで戦わないといけないと考えています。実際にLabBase Xを運営する中でも、日本企業が「海外の研究者の情報を知りたい」というニーズが顕在化していることを目の当たりにすることも多く、逆に海外企業が日本の研究者の情報を求めるケースも少なくないです。

世界で一番、研究者や科学者にまつわる課題を解決できる会社になり、彼らが真にポテンシャルを発揮できるようになれば、科学や社会の発展スピードを数倍加速させられるのではないかと思っています。

研究者というフォーカスはややもするとニッチと判断されそうですよね

加茂:ですね。ただ、先ほどお話しした「科学技術版のY Combinator」構想などが実現できると、もはやニッチではなく研究関連市場を超えて全領域に対象市場が広がるなと思っています。LabTechプラットフォームで得た研究データやネットワークをもとに、ディープテック系の事業をどんどん立ち上げていく。無限の可能性が広がっていると思います。

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LabBaseの立ち上げってどういう戦略だったんですか

加茂:肝だったと思っているのが2つあります。1つが、ニワトリ卵問題の突破策として、泥臭く研究室まで学生に会いに行ったこと。もう1つが、プレスリリース大作戦です。

利用企業がいないと理系学生を集めにくいし、理系学生がいないと企業にも契約してもらいにくい。マッチングビジネスでは必ず当たる問題ですよね。POLはどちらからやったんですか

加茂:僕らの場合は学生からですね。どっちを先に集めるかという意思決定のときに、学生が集まったらそこに絶対企業は集まると考えたのが理由です。理系学生は研究室にいっぱい集まっているじゃないですか。じゃあそこに訪問しようと。獲得したいユーザーがあれだけ集まっている状況って珍しいですし、そこはラッキーだなと思いました。

なるほど、これは特有の状況ですね

加茂:「研究室を通して学生に登録してもらおう」ということで、僕や当時のメンバーで、研究室に訪問して「こういうのをやっています」「フィードバックください」「使ってください」とひたすら言いまくっていました。飛び込み営業みたいな感じですね。理系学生にプロフィールを書いてもらって、ある程度、300人ぐらい集まったタイミングでリリースしたという感じです。

プレスリリースを活用したそうですが、具体的にどんなことをしたんですか

加茂:「こういうLabBaseみたいなサービスがあったらいいな」って思った段階で「LabBaseというサービスがもうすぐリリースされます。事前登録募集開始しました」というプレスリリース打ったんです。

あ、まだサービスがないのに?

加茂:はい(笑。狙いとしては、どれぐらい企業から事前登録がくるかどうかで、ニーズの広さとか深さを測れるというのがありました。あと事前登録してくれたところに営業しに行って、ヒアリングもしながら「ここの仕様どうしたらやりやすいですか」と、聞きながらつくれるので必要とされるものを作りやすいんですよ。

あとは最初からもう「リリースします」「できなかったら返金します」みたいな勢いで契約も取ってました。

すごいアグレッシブな作戦ですね(笑

加茂:必死でしたね(笑。

当時の1号社員として入ってくれたエンジニアと一緒に徹夜しながらやっていました。ただ、数週間で何百社がガッとお問い合わせをくれたのでニーズはあるなって思って、自信を持って取り組めたというのが大きかったです。開発も始まってない段階から、有名な大手企業とかに飛び込んで、「もうすぐできますよ」となんとか契約を取ってきたり。

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明確なニーズと方法がわかっていれば確かに強いですよね。加茂さんは事業選定にあたって何を意識していましたか

加茂:社会的な意義と、自分がやる意味・やりたいと思うかという二軸を考えてました。前者に関しては、身の回りで解決したい課題は何かというのを常に探して、意識して生活していました。後者に関しては、もともと音楽や食が好きだったのもあり、当初はその周辺領域のスタートアップを結構リサーチしていました。

あとは、海外のトップティアのVCの最近の投資先をAngelListやCrunchbaseでずっとウォッチして、それらがなんでこのタイミングで出てきたのか仮説立てて調べたりしていました。

研究者にフォーカスしたのはどういうきっかけで

加茂:現在の事業に関しては、大学の理系の先輩が研究に追われて就活を大変そうにしていたことを課題に感じたのが始まりです。

でもニッチだった

加茂:そうです。理系学生向けの就活サービスというだけでは、そこまで大きくなることは見込めず、また事業内容としてもそれだけを一生やっていたいと思えてはいなかったので、それをもっと大きい文脈で捉え直そうと考えました。

そうしたら、就活以外にも研究領域には課題が多いってことに気が付いて。そこからですね。「LabTech Companyとして、研究関連課題を全て解決し、科学と社会の発展を加速する」という目標を語るようになったのは。

少し話題を起業前の話に変えたいと思います。元々、いくつかのスタートアップでインターンされていたとか

加茂:東大に入学してインターン先を探していて、まず最初に入ったのがホワイトプラスさんでした。当時は社長の近くで働いて、仕事とはどういう感じでやるのか、ベンチャーはどういう雰囲気なのかを知りたかったというのが大きかったです。本当に面倒見の良い方々のところで働くことができ、また井下社長との議論の中で本質とは何かについてかなり考えさせられ、鍛えてもらえる会社でした。

次は海外

加茂:はい。休学して半年間、シンガポールのREAPRAさんというエス・エム・エス創業者の諸藤さんが立ち上げた企業でインターンしました。ここは事業をゼロから作るという経験をさせていただいたので、シンガポールから帰ってすぐ起業しようと思っていたのですが、当時は事業が定まっていなかったので、決まるまでReproさんで働かせていただいていました。

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結構濃密なスタートアップ・インターン生活。事業に興味を持ったのはそこからですか?

加茂:いえ、高校時代に、祖父の死のタイミングで生きる意味について考え、死んだ後にも何か残したいと思ったのが始まりです。また共同創業者の吉田(行宏氏・元ガリバーインターナショナル※現IDOM専務取締役)の影響などもあり、世のため人のために事業をしたいと、そしてやるからには大きなインパクトで意義あることをしたいなと。

モチベーション保つの大変そうですね

加茂:ユーザベース創業者の新野良介さんに、「加茂君はつまり、人生を意義深くしたいんだ」って言われたことがあるんです。

深い

加茂:これはその通りだと思っていて、自分のモチベーションはちょっとした満足ではなく、意義に向いているのと、かつ欲求のタンクが大きいからこそ、大きな意義あることをしたいって方向にあるのだと思います。だからこそ自分が生きている間だけではなく、死んだ後も価値を永続的に生み出し続けられるような会社を作りたいっていう思考に至っているのではないかなと。

スタートアップの組織づくりは最近どこでも話題ですね。採用してもカルチャーフィットしなくてすぐ辞めてしまったり

加茂:特に長い時間軸で考えれば考えるほど組織が重要です。変化の激しい今の時代で永続する事業は存在しないと考えていて、そうなると永続的に価値を生み出し続ける会社を作るためには、時代時代にあった強い事業を生み出し続ける永続する組織を作るしかないと思っています。

今をときめく国内ネット巨人も創業時の事業だけで継続してる例って稀ですよね

加茂:強い価値観/バリューやカルチャーが軸となる、経営者人材が育つような、強い組織を作ることが大事だと思います。アーリーステージの会社ほど事業で精一杯で、組織創りは後回しになりがちだと思いますが、会社のDNAは6〜7割くらいは創業期に決まるので、事業も組織も大きくなったタイミングから組織を強くしようと考えるのは遅いのではないかとも思っています。

どなたかロールモデルはいらっしゃるんですか

加茂:共同創業者の吉田行宏さん(元ガリバー・インターナショナル専務取締役)は最も尊敬する経営者です。また、FiNCの溝口勇児さんも、志の高さや覚悟などの面でとても尊敬しています。当初はロールモデルがいたわけではなく、自分として初めての起業、初めての社会人経験で、色々な人を巻き込まなければいけないというのは感じていました。共同創業者や30代の1号社員・2号社員の方を巻き込んだことをきっかけに、色々なことが加速した感じですね。

確かに溝口さんも多くの方を巻き込みながら体を大きくされていますよね。同世代での起業家とはどのように考えてお付き合いされてます

加茂:自分の経営者としての視座や志を上げていかなければと思っているので、各界の超一流と言われる人たちとの接点を意図的に増やすようにしています。

長時間ありがとうございました!

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「商売で人の心を動かすのが好きなんです」ーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/ミライアカリ「ZIZAI」代表取締役、塚本さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のチャット小説アプリ「Balloon」運営、FOWD代表取締役の久保田涼矢さんに続いてはバーチャルYouTuber「ミライアカリ」がヒットしたZIZAI代表取締役…

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ZIZAI代表取締役、塚本大地氏

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のチャット小説アプリ「Balloon」運営、FOWD代表取締役の久保田涼矢さんに続いてはバーチャルYouTuber「ミライアカリ」がヒットしたZIZAI代表取締役、塚本大地さん。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

塚本大地さん:1993年生まれ。小学生から大学までサッカーに打ち込み続けたサッカー少年で、名古屋大学在学中に部活をする傍ら、アプリ制作などを手がけるDUOを創業。2018年に立ち上がったVR事業でプロデュースした「ミライアカリ」がヒット。バーチャルライブ配信プラットフォーム事業とアミューズメント事業の2事業を展開

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塚本さんはこれまで大きな外部資本入れずに自主独立で会社経営されてるんですよね。立ち上がりってどういう感じだったんですか?

塚本:最初は大学時代に趣味でウェブサイトやメディアを作っていたんですが、ある程度のキャッシュが必要になったので、個人的に1500万円ほどを借りて事業を運営していました。

当時はGunosyが好きだったということもあって何かの領域に特化したバーティカルメディアに可能性を感じていました。そこで広告費をかけていて競合が少ない領域を探してみたらパチンコ業界を見つけたんです。

なるほど、それでエンターテインメント関連のアプリを手がけることに

塚本:パチンコ業界のGunosyのような感じです。ただ、アプリ制作のコストが思ったよりかかってしまい、あっという間に1000万近く溶かしてしまいましたが(笑。

痺れますね(笑。レガシー産業から勝てる領域を探し当てた。重要視していたことってどういう点でしたか

塚本:一発目に関しては既存にあるフォーマットの焼き直しで、なおかつ自分たちが付加価値がつけられるような事業を考えていました。ある一定数の競合が儲かっていて、彼らの50から70%程度でもそれでもまだ儲かるみたいな領域ですね。限りなく確率が高い領域を選ぼうと。

今はミライアカリなどのVTuber事業が好調ですよね。ここに目をつけたきっかけは

塚本:そもそも開始した当時、「ライブ配信×投げ銭」のビジネスモデルはすでに流行っていいました。人って誰もが自己を表現したいはずです。じゃあ、キャラになってライブ配信すればいいじゃんって。そしたらタレントとかモデルじゃなくてもできる。こんな感じで立てた仮説でしたが、今のところ全部あってますね。

それでもこのテーマは多種多様な方々が参入してきてあっという間にレッドオーシャン化しつつあります。事業推進で大事にしていることは

塚本:競合や類似サービスの成功事例、失敗事例はしっかり分析し、良いところは取り入れ、悪いところは同じことをしないようにする。そうしたうえで、少しのオリジナル要素を加える。グロースさせていく過程で失敗要因になりうるものを事前に想定してひとつづつつぶしていく。こんなところでしょうか。あと、プロダクトマネジメントの細部には介入せず、ある程度はみんなに任せるっていうのも大切ですよね。

あと、再現性をもって語れるのは結構重要だと考えています。感覚だけでなくみんなが納得するロジック、他がやっていないロジックやこれをやったらうまくいくというようなロジックは結構必要なんじゃないかなと。

一方でIRIAMは全く逆のアプローチでした。変数も多いし、コストもかけなければいけない難易度は高いものの、未来からの逆算で事業を作ったっていう事例ですね。

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話を少し変えて。塚本さんにメンターみたいな方っていらっしゃるのですか?

塚本:いや、いないですね。敢えて言えばサイバーエージェントの藤田晋さんの「渋谷で働く社長」と「リクルートのDNA」を読んで、こういう会社に入ろうと思った、というのはあります。

ただその後にインターンに行ったんですが、思っていた期待値と違ったんですね。それで就職しないという決断をして…。まあ、あと留年したのと大学院進学に必要なTOEICを受けてないっていうのもあって。起業の道しか残ってなかったっていうか(笑。

でも思想的に影響は残った

塚本:自分たちだけが正しいとは思っていないし、どちらも正解だと思っていますが、意外と今大きくなっている会社も最初は泥臭い事業から始めていたりするじゃないですか。そういう影響はあります。実際サイバーエージェントも広告代理店のような事業から始めていて、僕はイノベーションの基本には、商売が上手いことが前提にあるのではないかと思っています。

元々商売って好きだったんですか?

塚本:そうですね。小さいころから商売というか、人の心を動かすのが好きなんです。価値を提供して人の心を動かした結果、会社に利益が生まれる。社会に与えられるインパクトをどんどん大きくしていって、自分の目で見れる世界を少しでも広げたい。

世の中にこんなニーズがあるんじゃないかっていう仮説を立てて、それを実際プロダクトにして検証するのが楽しすぎるんですよ。結果を残せばより面白い人や世界に触れる権利がもらえるってのが根本にはあります。

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同年代で気になる存在は

塚本:クラシル創業者の堀江(裕介)さんですね。シンプルに悔しいです。事業、組織、ファイナンス、人間性、ビジョン、スピード感、すべて出来ていて意外とバランスいい。しかも慢心せずどんどん前に進もうという姿勢が好きです。と言ってもよくコミュニケーションとるわけじゃないですが。

最後に。最近創業時の社名DUOから「ZIZAI」にコーポレートを変更されましたよね。特に好きなのは「まずリスペクト」「困難を遊べ」です。めちゃめちゃポジティブで前向きな会社なんだなというのがすごい伝わってきます。とはいえ社員数もかなり多い中で、どうやって浸透させているのでしょうか

塚本:ありがとうございます。人間はどっかで良いヤツになりたいってどこかで思っているし、自分も完璧ではないもののそうありたい。だからこそポジティブな、性善説に基づいたミッション・バリューになってるのだと思います。良い人と触れ合っているとみんな良い人になっていくと思うんですよ。誰かがそういう風に振舞っていたら、良い振る舞いは伝播すると思っています。

これからの活躍期待してます

塚本:まずは日本でナンバーワンのバーチャルライブ配信プラットホームになって、世界も取りにいきます。

ありがとうございました。

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テクノロジーとエンタメで大切な人に想いを届けたいーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/チャット小説「Balloon」運営FOWD代表・久保田さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会、次回テーマは「スタートアップのための採用手法(仮)」。参加者の事前登録募集中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場の女性向けインスタメディア「Sucle(シュクレ)」を運営するFinT代表取締役の大槻祐依さんに続く…

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FOWD代表取締役、久保田涼矢さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会、次回テーマは「スタートアップのための採用手法(仮)」。参加者の事前登録募集中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場の女性向けインスタメディア「Sucle(シュクレ)」を運営するFinT代表取締役の大槻祐依さんに続くのはチャット小説アプリ「Balloon」が好調なFOWD代表取締役、久保田涼矢さんです。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

久保田涼矢さん:1995年生まれ。中学時代からサイト制作を経験し、高校卒業後には企業にてウェブマーケティング関連のコンサルティング事業を手がける。2015年からはコロプラの投資事業子会社「コロプラネクスト」にて数十社の投資を実施。インキュベーション施設の運営などを通じてスタートアップの事業成長を支援した。2017年にエンターテインメントを創造するFOWDを創業

FOWD
チャット小説アプリ「Balloon」

この連載ではU25中心の起業家に経営の思想などお聞きしているわけなんですが、久保田さんは実は私と同じく投資サイドだった方です。どうしてこのチャット小説のカテゴリを自身のスタートアップテーマに選んだんですか?

久保田:最初に補足しておきたいのですが、僕らは別に小説アプリを作りたいわけではなくて、新しいエンターテインメントの在り方や届け方をテクノロジーの力で解決していきたい会社なんですよね。自社たちが携われるIPを数多く保持するために、CGMという形式で進めていますが、ゴールは小説アプリの普及ではありません。

FOWDではもっと広いエンタメ領域を選んだ

久保田:「ALWAYS LIGHT FOR YOU-大切な人をいつも笑顔にしよう」が弊社の掲げるミッションです。エンターテインメントはなくても究極死ぬことはありません。ではなぜあるのか、なぜ求められるのか、僕は大切な誰かと思いを共有するための媒体だと考えています。

なるほど

久保田:僕たちはコンテンツを制作するユーザーを多く抱えていますし、タレントなどをプロデュースすることもあります。時には自分たちでコンテンツを制作するクリエイターという側面もあります。そうして制作する際、僕たちは必ず届けたい誰かがいて、その人に届き、笑顔にできることを一貫しようと思いミッションにしました。

人々に喜んでもらいたい、という部分に何か強いこだわりがあったんですか

久保田:いわゆる「evil」なお金の生み出し方をしようと思えばできてしまう業界じゃないですか。そういったことはしない、笑顔になるようなことをしようという意思表示なんですよね。

ではなぜそう思うのかというところですが、個人的な話になりますが、僕は両親とだいぶ疎遠でして、家族がいませんし家族と過ごした記憶も薄いです。働くモチベーションにも繋がっているのですが、大切な人に、僕の場合だと家族に想いを届けたいというのが根底の欲求です。

そうだったんですね

久保田:しかし、今のコンテンツ業界を前職ではCVCという観点から見る中で、日本のエンタメ業界のテクノロジーの後進具合を課題に感じました。

このままでは自分が年老いた時に、子供と、孫と例えば孫のパートナーと、そういったバックグラウンドの違う・遠い人とも楽しみを共有するためにはどうしたらいいかと考えたときに、テクノロジーの力が不可欠だと感じたんです。

日本の、将来的には世界のエンターテイメント業界をテクノロジーの力で発展させたい、というのが僕のモチベーションの源泉です。

そういうバックグラウンドがある人って強いです

久保田:「世界中を〜」や「ディスラプト!」というのはあまり言わないのですが、世界中のみんなが目の前の四畳半を幸せに感じられれば、結果として世界がハッピーになると考えています。

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話をBalloonに戻しますね。そうはいっても色々な仮説検証を投資サイドでみてきたわけじゃないですか。久保田さんがどういう経緯でエンタメ領域からこのチャット小説に至ったのか経緯を知りたいです

久保田:一般的に活字離れだ、若者は文字を読まない、と世の中で言われることが近年多かったですが、一若者として思うのは「果たしてそうだろうか?」と。

結構読んでますよね

久保田:Twitterって画像や動画も入れられますが、基本はテキストコミュニケーションです。みんな使いますよね。あと体感としてあったのは、カップルでも夫婦でもいいんですが、喧嘩したとして、長文のLINEってあるじゃないですか。

確かに

久保田:あの長文LINEって「私はあのときこうした」「あなたはああ言った」のような”伏線”が張り巡らされ、最後に「なのにあなたは浮気した!」みたいな伏線回収されていくんですよね。

めっちゃ作文能力あるやんって思っていて、Twitterの話を蒸し返してしまいますが、140字という制約で物語を作るのも、文芸誌で制限付きの作文は昔からありますが、同じものだなと。

ですので、僕の中の仮説では、「若者、小説読むし書くし(書けるし)、適切なUI/UXで提供されれば使うのでは?」ということでした。

納得感ありますね

久保田:少し前に記事にもなっていましたが、「小説家になろう」や「魔法のiらんど」「エブリスタ」といった小説投稿サイトはいまだにウェブメインにも関わらずとても大きなPVを誇ります。漫画アプリで人気の作品や、映画賞を取るような作品も、さかのぼって調べるとユーザー投稿作品だったりします。

小説投稿サイト自体は10〜20年前に、まだiモード時代に盛り上がった領域ですが、じゃあこの10年くらいにどうだったかというと、スマホシフトして各種サービスがブラッシュアップされていく中で波に乗り切れなかったと思っています。

なるほど

久保田:そこで入れ替わるように盛り上がったのが漫画アプリです。昨年、Amazia社とand factory社が上場しました。事業内容は割愛しますが、出版社はなぜ自社アプリを作れなかったのかと。ここは技術力の差なんですが、「小説投稿サイト」に10年アップデートがなく、結果みんな「若者は読まなくなった」と言っているだけではないかと仮説を立てました。

そこでどういう形式なら今の若者は読むのだろう、書くのだろうと考えた結果、チャット小説に辿り着いた、というわけです。今のところの振り返りとしては、自分の想定よりこの領域に追い風が吹いているなと思っています。

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久保田さんが事業を作る上で大切にしている方程式みたいなものってありますか

久保田:ビジネスは4つに分類できると思っていて、まず、モノ自体に価格がつきそれを販売するものです。例えばコーラ1本だったら大体100円〜150円くらいで、値付けの裏には色々あるのですが、この価格帯を大きく外れたらなかなか売れないと思います。メディアの広告枠も「xPVだといくら」と大体価格はつきます。

次にヒトに価格がつくもの。士業やコンサル、タレントもこれになります。同じ内容、同じ作業でも行うヒトによって価格が異なるビジネスです。

三つ目が効率化により価値を生み出すビジネス。ITが最もとくな部分で、手数料を得るものですね。マッチングビジネスもこれに当たると思っていて、人材紹介もこれです。

ただ、エンタメは上記に当てはまらないと思っていて、4つ目は人によって価格が異なるビジネスです。言い換えると、顧客の中に価格があるビジネスです。

具体的には

久保田:例えばあるタレントのグッズ(ex,Tシャツ)があったとして、ファンからすると「いくらでも買う!」という温度感の人もいれば、興味のない人は通常の相場価格より安くても買わないかもしれません。

ソシャゲもそうで、近年は無料のゲームが当たり前の中で、裏側でリリースまでに開発費は数億円かかっています。数億円かけて開発したゲームを無料で提供して、ユーザーの中にある期待値を超えれば初めて課金されます。

期待値を超える、というと

久保田:投げ銭ビジネスは正にここを切り出した秀逸なビジネスと思っていて、弾き語りなら、路上では通常音楽が聴けない中で、自分の期待値以上の弾き語りを耳にしたから投げ銭されるわけです。

確かにこれなら払っていいや、って思った人とそうでない人に対価の差がありますね。定価が決めにくい

久保田:Balloonの作品は基本的には無料で読めるのですが、ユーザーが「もっと読みたい!」となると収益が発生するように設計されています。ユーザーの持つ価格を超えるように、価値のあるものを提供する、というのを意識しています。もしくは、「この人の書いた作品ならどれだけでも読みたい」というようなスイートスポットを探すことです。

具体的に次の展開で考えてることってどういうストーリーなんですか

久保田:Balloonで生まれた作品のメディアミックスに注力していきます。リアルでのイベントや電子書籍の配信販売、グッズの販売に、TVとの連携も進んでいます。

また、アプリ自体も海外での配信も進んでいるので、海外でのコンテンツの配信販売も近く行うことですね。もう少し長いレンジだと、音声コンテンツの制作は進めていきます。3年目になったので、実績として見せていける部分を増やしていきたいです。

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久保田さんのお話って解像度がすごく高い印象があるんですが、メンターみたいな存在ってどなたかいらっしゃるんですか

久保田:創業時からの株主で、前職の上司でもある千葉功太郎さんです。単純な資金だけでなく、前職から数えて時間ももちろんですし、色々な意味で投資をいただいていて、僕が今ここにいるのも彼の存在がとても大きいです。

現在は株主として支援いただいています。千葉さんの場合は千葉さんからのアドバイスやサポートももちろんですが、千葉道場での先輩・同志と切磋琢磨もあります。

また、ジェネシアベンチャーズの田島(聡一)さんにも相談することが多いです。田島さんは「僕たちの価値ってなんでしたっけ」「僕たちがやりたいことってここですよね」と同じ方向を向いて、時には厳しく接していただけます。なかなか立場的にも怒ってもらえることって少ないので、すごく貴重なメンターであり、信頼するパートナーですね。

怒ってもらえるのは確かに貴重ですね(笑。同世代では

久保田:バベル(代表取締役の)杉山(大幹)くんやAppBrew(代表取締役の)深澤(雄太)くんですね。同級というのもありますが、2人とも尊敬する経営者です。少し歳上だとecboのコナンくん(代表取締役社長の工藤慎一さん)。千葉道場の同志で、家も会社も近く、フランクにいつも相談に乗ってもらっています。

話をFOWDに変えてお聞きします。この会社でみなさんが達成したい未来、ビジョンってどういうものなんですか

久保田:大きく2つの達成したい未来があります。1つは、自分たちの好きが反映されている作品(IP)が支持を集めだんだんと人気になっていく未来です。IPというとイメージつくにくいかもしれないですが、例えばLive配信サービスで人気になった女の子が雑誌モデルになって、イベントに出て、テレビに出て、メジャーになっていく。と言ったらイメージしやすいかもしれません。

YouTuberなどのインフルエンサーで定着した感あります

久保田:じゃあIPでどうかというと、チャット小説の中で人気だった作品がコミックや舞台や映像になり、だんだんとマスになっていく感じです。

2つめは、これは技術的にも、これから様々な会社と取り組んでくことなんですが、個別にアウトプットが変わるコンテンツをノベルでも、コミックでも、音楽でも、映像でも、様々な媒体で表現できる未来です。

同じストーリーをメディアに最適化して配信する、みたいな感じですか

久保田:例えば同じ20代男性でも、エンゲージメントの高い言葉低い言葉というのがあります。若い子ならメールという単語は使う頻度が少ないですし、メッセージングアプリを多種使う都心部の10代だと「LINEする」のようにアプリ名が動詞になることもあります。

つまり、物語を消費する人によって変化させることができれば、バックグラウンドの違う老若男女でもより深く楽しめるのではないかと思っています。

なるほど

久保田:字幕や吹き替えの映画も、様々な国籍の人が、自分の母語で聞くような技術・仕組みを広めていきたいし、その際受ける音声は人によっては暴力的に感じる言葉はオブラートになったりと、変化してもいいなと思います。実家から電話があるシーンで、自分の出身地の方言で話されたら没入感高まりますよね。

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最後に、投資サイドから起業家としてスタートアップしてみて、このエコシステムでまだ足りてないと感じることって何か気づきありましたか

久保田:問題はまだまだ多いと思いますが、個人的に関係があり、関わりが大きい点で言えばキャピタリストの不足と、そのバックグラウンドの偏りですね。

弊社の関係する領域だと、エンタメ系の会社で働いていたキャピタリストにはなかなか会うことはありません。ゲームプロデューサーやデザイナーからVCへというキャリアは聞かないなぁと思っています。他にも、アパレルからや、飲食から、など他業界でも少ない業界はあると思います。

これから目指す未来像に期待してます。チームもまだこれから拡大中なんですよね

久保田:コンテンツの業界って面白くて、例えば編集者ってヒット作を生み出すことで名が売れるんですね。これって年齢や経験ではなくて結果の世界でしかない。

しかも経験で売れる時代は終わったと思っています。逆にいうと、若手はすごくチャンスで、自分の感覚やセンスで戦えて勝てば名があがる。キングダムの世界じゃないですが、武功を上げ、名をあげたい人はぜひコンタクトしてきてもらいたいです。

長時間ありがとうございました!

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起業を通じて「自信を持つ人を増やしたい」ーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/インスタマーケとメディア運営、FinT代表・大槻さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会、次回テーマは「スタートアップのための採用手法(仮)」。参加者の事前登録募集中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のギフトショップ「TANP」運営、Gracia代表取締役・CEO、斎藤拓泰さんに続いて登場してくれる…

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FinT代表取締役の大槻祐依さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会、次回テーマは「スタートアップのための採用手法(仮)」。参加者の事前登録募集中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のギフトショップ「TANP」運営、Gracia代表取締役・CEO、斎藤拓泰さんに続いて登場してくれるのは女性向けメディア「Sucle(シュクレ)」を運営するFinT代表取締役の大槻祐依さんです。メディア運営で培ったInstagram運用代行なども手がけておられます。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

大槻祐依さん:早稲田大学在学中に学内のビジネスプランコンテストなどがきっかけで起業に興味を持ち、2015年からベンチャーキャピタルのEastVenturesでインターンを開始。シンガポールへの交換留学などを経て、Candleで動画メディアのPMを務める。2017年3月に女性向けメディア「Sucle(シュクレ)」を運営するFinTを創業

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大槻さんも前回の斎藤拓泰さんと同じくCandle出身なんですよね。同期というか、同世代での横つながりって今どんな感じですか

大槻:Candle出身の起業家とはやっぱり話しやすいですね。疑問が沸いたらその領域に詳しそうな人にすぐに連絡をして、経験を共有してもらうことが多いです。いろんなフェーズの人がいますし、いろんな分野でやっているので、新規事業を考えている時などはとても頼もしいですね。あと、同じCandle出身といえど、性格やタイプの違いで会社の雰囲気や思想が違うので、おもしろいですね。

この連載ではU25中心に新しい世代の起業家の起業に関する考え方をお聞きしてるんですが、Sucleはどういう事業仮説から始まったのか教えてもらえますか

大槻:Sucleは女性向けメディアとしてスタートし、流入数を増やすために様々なチャネルを探していたのですが、Instagramがフォロワー数・メディアへの流入数ともに伸びていきました。全体流入の30%〜50%がInstagram経由で獲得できていたという点も良かったのですが、特に回遊率が他のチャネルよりも圧倒的に良かったという点も新たな発見でした。

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回遊率高いというのは発見ですね。ユーザーの質が高いということですね

大槻:それでInstagramと相性の良い領域でメディア運用をやっている企業は、Instagramでコミュニティを作ってから、ウェブメディアへ流入させるという一連の流れが今後の王道になっていくだろうなと感じました。会員登録やアフィリエイトの購入にもつながりやすくなるため、Instagram経由の流入だと1PVあたりの価値が高いと実感しています。

なるほど。それでInstagramの運用事業が始まったんですね

大槻:はい。自分たちでメディア・Instagram運用をしている中で気づいたことについて、Twitterなどで発信していったら、かなりたくさんの方にお問い合わせいただき、これはニーズがあるなと感じました。そこからテスト的にInstagramのマーケティング事業を開始したのがきっかけですね。

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SucleでのInstagramアカウント運用実績

現在はどういった依頼が多いんですか

大槻:初期はメディアをやっておられる企業のInstagram運用を中心にやっていたのですが、現在では女性向け消費財のクライアントさんも増えてきています。メディアと同じようにファンを増やして、最終的にその商材・サービスの購買につなげていくというチャレンジも新しい発見が多く、楽しいです。

勝ちパターンみたいな方程式は見つかりましたか。特にInstagramの運用については再現性がありそうなので

大槻:方程式ではないかと思いますが、エグゼキューションする方法として、メンバーのことは完全に信じ切って、ガンガン権限譲渡していくこと、仕組みにしていくこと、この辺りは重要視しています。

あと、仮説検証してよければすべて他の誰でもできるようなマニュアル化やパターン化をすることも心がけています。また、雰囲気でやるのではなく意味を持って、どの数値に効くのか、何に効果があるのかが見えてない施策はやらない。シンプルに進めることを常に話して、意識するようにしています。

今後はこの事業を中心に拡大していく考えですか

大槻:現在は、女性向けメディアとInstagramマーケティングの事業をやっていますが、それ以外にもこれから新しいことに挑戦したいと思っています。

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FinTが現在手がけている他社案件例(Instagram / わたしの節約)

ではちょっと話題を変えてスタートアップのきっかけについて。早稲田の在学中に起業を考え始めたということでしたが、元々起業に興味があった?

大槻:大学1年生の頃、早稲田の起業家講座やビジコンに参加して、起業家と出会ったり触れ合う機会が増えて単純に「かっけー!」と思い、スタートアップに興味を持ち始めたのがきっかけですね。

環境の影響って意外に大きいんですよね…。大槻さんにとって事業を進める上でのモチベーションってどこにありますか

大槻:「自信を持つ人を増やしたい」とずっと思っています。自分は、自信がなかった時に支えてくれたり、背中を押してくれる人がいたから、新しい挑戦ができたり、選択肢が増えました。Sucleの「きょうのわたし、愛しいわたし」もそこから来ています。自分の内心からテンションが上がると、自信を持てる。

私もどんどん背中を押せるような人になりたいと思っています。そしてそれが「起業」である必要はなく、なにか新しいことを始めるきっかけになれたらうれしいです。

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メンターのような存在はいらっしゃいますか

大槻:East Venturesの大柴(貴紀)さんです。EVから投資を受けており、もう1年くらいメンタリングをしてもらっています。新大宗ビルにいる頃は毎週、いまでも隔週お時間をいただき、主に事業計画や事業の方向性などのフィードバックをいただいています。指定の時間以外も、困ったら小部屋(HiveShibuyaにある大柴さんのいる部屋)に行こう…となり、思い出が詰まっています。

大柴さんのメンタリングってどういうスタイルなんですか

大槻:本当に私に寄り添って考えてくれますし、詰めるのではなく考えるべき「問い」をいつも話してくれて、気付かされることが多いです。大柴さんなしに、今の事業も成り立ってないので、本当に感謝しかありません。

よいメンターに出会える機会があるのはこのスタートアップエコシステムの利点ですよね。大槻さんからみてまだこの部分が足りない、というポイントって何がありますか

大槻:失敗のシェアが少ないことでしょうか。成功例が多く取り上げられがちですが、実は失敗例が一番学びになったりします。様々な分野がありますが、分野ごとの経験のシェアが溜まっていくといいなと思います。

ありがとうございます。最後に読者のみなさんにメッセージとかあればぜひ

大槻:弊社は広告やツールを使わずに、投稿とストーリーでファンになるフォロワーを増やすことをモットーにInstagram運用代行をしています。Instagramを運用してみたい/Instagramが伸び悩んでいるという方は、ぜひ弊社にご連絡ください。若年層女子だけでなく、主婦向けや男女向け、メディア、ECなどの企業さんの事例はあります!

がんばってください。時間ありがとうございました

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ギフト領域でナンバーワンプラットフォームになるーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/ギフティング「TANP」提供、Gracia 斎藤氏

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会、次回テーマは「スタートアップのための採用手法(仮)」。参加者の事前登録募集中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のARシューティング「ペチャバト」を提供するGraffity代表取締役、森本俊亨さんに続いて登場して…

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Gracia代表取締役・CEO、斎藤拓泰さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会、次回テーマは「スタートアップのための採用手法(仮)」。参加者の事前登録募集中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のARシューティング「ペチャバト」を提供するGraffity代表取締役、森本俊亨さんに続いて登場してくれたのはギフトショップ「TANP」が成長中のGracia代表取締役・CEO、斎藤拓泰さん。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらいます(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

斎藤拓泰さん:幼少期をアメリカで過ごし、東京大学経済学部を2019年に卒業。在学中からビジネスに興味を持ち、2016年からCandleでマーケティングを担当。2017年6月に創業したGraciaではメールやSNSを通じてギフトを簡単に贈れる「TANP」を手がける。1996年生まれ

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ギフティングプラットフォーム「TANP」

U25中心に新しい世代の起業家の起業に関する考え方を聞いています。斎藤さんはギフティングサービスを手がけられてますが元々、どういう仮説からこの市場を狙おうとされたんですか?

斎藤:ギフトって友達の誕生日とか恋人の記念日とかいろんな場面で買わないといけない場面がある中で、Amazonや楽天で買ってしまうとなんか味気ない、失礼だという後ろめたい気持ちになるじゃないですか。しかも探すのにめちゃくちゃ時間がかかってしまう。リアルショップいくとなるとさらに時間がかかる。

これは確かに経験ありますね

斎藤:どう考えてもネットで済ました方が楽だし、より便益がもたらされる領域なのに、という気づきが始まりですね。そこから実際により市場を調べていく中で、メーカーなどのB(事業)側のニーズとC(消費者)側のニーズが綺麗にフィットしていないという歪みを見つけたんです。

具体的には

斎藤:中堅Bがギフト訴求で売りたいにも関わらず百貨店には陳列できない、自社ECでは集客しきれない。C側ではギフトだから期日までに届いてほしい、商品だけ来ても困る、というものです。この歪みを埋めるために僕たちは自社で倉庫をもちロジスティクスの一旦を担っています。ある面から見ると僕たちは小売ではなく裏側のロジスティクスの再発明をしています。

事業を進める上で見えてきた勝ちパターン、方程式のようなものは何かありますか

斎藤:絶対にここから10年、20年、よりデータの重要性が高まってくると思っています。その時に企業体として価値のあるデータを保有している、またデータを元に判断/意思決定ができる人の価値がこれまで以上に大きくなってくると思います。

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Upstart Ventures上杉修平さんも斎藤さんと同じくCandle出身

なるほど

斎藤:その上で会社として今取り組んでいるのはシンプルに2つです。

1.システムを駆使して価値のあるデータを保管する
2.データをもとに判断、意思決定ができるカルチャーをつくる

データと一口に言っても膨大で、極論すべてのものがデータ化できる。そのなかで真にユーザーに貢献するデータを見極めて貯めることが本質的にやるべきことだと思っています。

カルチャーについては国内外問わずトップが次々と口にするようになりました

斎藤:データにより判断/意思決定の精度を上げる。これって当たり前のことですが、簡単そうに見えて意外とこれができる人は少ないと思っています。データをそもそも見ていないのに判断をしてしまう、データにとらわれすぎて意思決定をしきれない、など。データを駆使して大胆な意思決定ができる会社を作っていきたいです。

少し斎藤さん自身のことについて教えてください。元々、Candleでスタートアップという生態系に触れたわけですが、起業についてはどのような考え方を持っていたのですか

斎藤:小さい頃から世の中に何かしらの生きた証を残したい、というモチベーションがあります。すごい簡単に言うとなんかでっかいことをしたい、という漠然とした考えを持っていました。よくいろんな人から「中高時代からずっと起業したかったの?」と聞かれますが、半分そうで半分違いました。

実は高校時代は外交官になって国を動かしたい!みたいに思ってそれで東大を目指したんです。

外交官目指されてたんですね。風景が大分違う

斎藤:結果として今は起業という道を選びましたが、一見真逆の選択肢に見えて今から考えると「でっかいことをしたい」という軸としてはあまり変わっていないなと思います。

今の事業を始めたのもまだまだネットでのリプレイスがされていなくて、かつ全体で10兆円というマーケットサイズの大きさが理由でギフトという領域に決めました。あとは、わかりやすく人の幸せを作っていくことができるというのもこの事業にした一つの理由だと思います。

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今ってメンターのような方はいらっしゃるんですか

斎藤:ANRIの佐俣アンリさんには創業当初から投資家としてずっと支えていただいています。創業時はGood Morning Buildingに入っていたので、一年間はずっと同じ空間で仕事をしていました。かっちり目のミーティングは本当に数えるほどしかなく、飲み会やお茶や散歩などカジュアルな形でずっと関わっていただいております。アンリさん自身が起業家として志高くされているので、挑戦し続ける姿勢はすごく刺激になります。

同期起業家というか、横つながりの関係は

斎藤:僕がもともとCandleで一年間インターンしていたこともあり、Candle出身の起業家とはよく会います。終活ネットの岩崎(翔太)さんやWizleapの谷川(昌平)さん、Sucleの大槻(祐依)さんは結構な頻度で会ってると思います。

みんな渋谷付近にオフィスを構えているのでお邪魔したりランチ行ったりして情報共有することが多いですね。一緒に仕事した仲間なので、本音でいろんな話をすることができるのはすごくいいです。

投資家やエンジェル、同世代などの横つながりあるといろいろ情報共有できると思うんですが、それでもこのスタートアップエコシステムに足りないものってありますか

斎藤:僕もそうですがやっぱりまだファイナンスに関する情報が一部にしか共有されていないという感覚はあります。資本政策は基本的にシードから始まっていると思うので、シードに関する知識はもちろん、その後のシリーズA、Bとの向き合い方のナレッジが成長のネックになる気がしています。個別の会社によって違う&センシティブな話題だから共有されづらいなどの問題が構造的にあるのかなと思います。

なるほど。情報は結構出ているように見えてまだまだ、本質的な部分は改善の余地がありそうですね。ところで斎藤さんにとっての「結果」ってどういうものでしょうか

斎藤:ギフト領域でナンバーワンプラットフォームになりたいと思っています。ZOZOさんやMonotaroさんがバーティカルな領域でのプラットフォーマーになったように僕たちもギフト領域におけるプラットフォーマーになりたいと思っています。

そうなることによってギフトの機会、およびにギフトの質は今よりも改善されて今より多くの人のコミュニケーションを円滑にすると思っています。結果としてギフト自体のあり方も変わるかなと思います。今よりもカジュアルな形でより相手への思いが優先されるものになる。

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オフィスの中には提供中のギフトアイテムがいっぱい

ありがとうございます。今、まさにチームは拡大中なんですよね

斎藤:はい。事業をさらに拡大するのに向けて絶賛採用中です。今会社にいるメンバーも20台前半から20台中盤の方が多く、若くて本当に優秀な人が集まっていると自負しています。若いメンバーが主体となってチャレンジする機会が揃っている会社はなかなかないと思っています。若いうちに大きなチャレンジをしたいという方をお待ちしております。

こちらに募集の情報あるということで貼っておきます。今回は長時間のインタビューありがとうございました。

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イノベーションで10億人の生活を変えるーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/AR・ペチャバト提供、Graffity,Inc. 森本氏

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家の集まるCxO Night、4月テーマは「イグジット」。参加者の事前登録募集中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、初回のタイミー代表取締役の小川嶺さんに続いて登場してくれたのは、ARシューティング「ペチャバト」が好調のGraffity…

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家の集まるCxO Night、4月テーマは「イグジット」。参加者の事前登録募集中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、初回のタイミー代表取締役の小川嶺さんに続いて登場してくれたのは、ARシューティング「ペチャバト」が好調のGraffity代表取締役、森本俊亨さん。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらいます(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

森本俊亨さん:独自のARCloud技術により空間を複数人で共有する体験を提供するGraffity Inc.代表取締役。スマホひとつで友人たちとARシューティングゲームができる「ペチャバト」をはじめ、ARビデオチャット、ARカメラ、ARアバターなどの拡張現実コミュニケーションサービスを展開中(Twitter:@ok_totti

AR領域でグローバルサービスを作る

U25中心に新しい世代の起業家の起業に関する考え方を聞いています。森本さんが手がけてるARは、ポケモンGOなどの影響もあって次の市場との期待も大きい領域ですよね。ここを選んだきっかけってどういうものだったんですか?

森本:元々AR領域で「2Cプロダクト」をグローバルで作りたいと考えていて、コミュニケーション、ゲーム、EC、検索という大きなテーマの中で検討していました。中でもコミュニケーションが若くて勝ちやすいと考えたのがここを手がけるきっかけですね。

前例が少ない分、事業仮説は難しかったのでは

森本:そうですね。これまで3つほどプロダクトを出しているのですが、当初、ARの共有体験は「対面でスマホをお互いに開きながら行うものではないか」という仮説を立てていたんです。

なるほど、共有だから複数人が参加する必要がある

森本:はい。しかし、友達と会ってる時にスマホをお互い開く時というものは今まであまりなく、強い動機が必要だなと感じたんです。そこで取り入れたのがゲーミフィケーションでした。そこで複数プロトタイプを作り、ユーザーヒアリングを通して「ARシューティングアプリだと対面でスマホをお互い開きながら使ってくれるな」と確信したんです。

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それでペチャバトが生まれた。森本さんはこれで何を実現したいんですか?

森本:今までのゲームってどちらかというと一人で遊べるものが多く、孤立しがちだったと思うんです。しかし、ペチャバトはフットサルのように友達と楽しみ動きながら遊ぶゲームです。同じゲームでも提供している価値が少し違うんですよね。だからこそ人と人と繋がり方に新しい形を作ることができると考えてます。

ARならではの世界観ですよね。現実を拡張して友人とコミュニケーションするきっかけを提供する。ただ、AR領域はまだ市場が立ち上がりの時期ですから、しんどい面もあると思います。森本さんが事業を続けられるモチベーションの源泉ってどこにあります?

森本:シンプルに歴史に名を残したいという思いが原動力です。

わかりやすいですね…。何を信じてやりきってます?

森本:実際に未来はこういう風になっているという確信があるだけです。自分はシンギュラリティが絶対に「くる」ということに人生を張っています。だからこそ、Moblile ARは確信しているし、それに対して今準備しています。

それと自分自身を洗脳する力がとても重要なのかなと。ただ一方で、自分だけを洗脳すればいいわけではなく、チームで一丸となって取り組まなければなりませんし、自分の器みたいなものを大きくして人間的にもっと成長したいと思っています。

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ブレない

森本:ビックバンから現在までの時間の中で、人間の人生は本当にチリみたいだなと思う時が多かったんです。だからこそ、何かに残ることがしたいという思いが強いんだと思います。

名前を残すにしても政治家とか色々選択肢あると思うんですが、何か原体験とかってあるんですか

森本:高校で生徒会長になった時のことです。その時はまさに高校に名前が残るという、ただその理由だけでした。でもですね、特に何もやったわけじゃない「生徒会長」という名前が残ることで逆に「何をやったか」で歴史に名を残したいと思えるようになったんです。

すごいロジックですね

森本:結果として大学に入る前に具体的に考え、ノーベル賞取るか、総理大臣になって日本を変えるか、起業家になり世界を変えるかという選択肢を考えて、一番身近だった起業家という道を選びました。

身近な方が事業されていたとかですか

森本:はい、親や親戚ですね。世界一の起業家になるという強い思いを固めて東京にやってきたのが2013年3月のことです。今でもその決意は変わってないです。

森本さんにはメンターいらっしゃるんですか?

森本:gumiの國光(宏尚)さんの影響は大きいです。常に業界の最前線に立ってゼロイチを立ち上げ続けているのは本当にすごい。最先端のテクノロジーを信じ、それを掛け合わせて2Cのプロダクトを作られてます。テクノロジーxコンシューマーに張っていて、実際に実行するところ、また、人を惹きつけるところ、ビジョナリーなところを本当に尊敬していますし、ロールモデルだと思っています。彼の背中で語るところや、一挙手一投足がとても勉強になっています。

同世代で気になる存在は

森本:志レベルで尊敬しているのはZEALSの清水(正大)さんです。日本をぶち上げると言って、本当にでかいところを目指しているのでよく話させてもらってます。あと、自分がTNK(東京大学の起業サークル)の代表だったこともあり、後輩で志高い人はもっと増やしていければと考えています。

イノベーションで10億人の生活を変える

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少し話を変えます。事業推進にあたってそれぞれロジックを組み立てると思うんですが、森本さんにとってのエグゼキューションの思考はどのようなものですか

森本:会社の理念として「イノベーションで10億人の生活を変える」というものを掲げています。この理念達成のためにはイノベーションを起こせる人が必要なんです。

イノベーターとは

森本:「テクノロジスト×プロデューサー」これが「イノベーター」だと考えています。

我々は馬で移動してた時代に車のようなツールを発明したいと思うのですが、絶対にユーザーにヒアリングしても車は発明できませんよね。

想像できないものは創造できない、という理屈ですね

森本:テクノロジーに詳しいテクノロジストだからこそ、テクノロジーを起点とした発想ではじめて車のようなものがアイディアとして出て、その時代のユーザーのニーズや文化に合った「車」というアイテムができたのだと思います。

我々が生み出した「ペチャバト」もまさにその過程で生まれ、世界で初めてマルチプレイで楽しめるARシューティングアプリという体験を作ったんです。

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本当にゼロイチをやる創造的な集団なんですね

森本:イーロン・マスク氏の言葉が好きで、彼は天才と凡人は紙一重だと言っていました。その中で、彼は二つ重要視しているものがあって、一つ目が原理原則上できるかできないかを判断しきれるかどうか。二つ目がそれを諦めずにできるかどうか。

見極めの方程式

森本:結局原理原則でできるとわかっているのであればそれをやりきることが重要です。SpaceXにあそこまで投資できているのは彼が原理原則城できると思っていて、あとはやりきるだけという状況になっているからです。

まあ、言われるとそうなんですが難しいですよね。。そういう意味で森本さんたちが考える事業の結果ってなんですか?

森本:目指すところとしては、大きく二つあって、一つ目はペチャバトを通して10億人の人に孤独感から解放し繋がりを感じてもらう社会にしていくこと。二つめはARのユースケースとなることで、ARに挑むスタートアップを増やし、ARイノベーションを加速させることです。

ARのユースケースは各社、まだ潜伏しながら事例を作っているような状況ですよね

森本:そうですね。まだAR領域でホームランアプリがない中、一つのユースケースを作っていくことがイノベーションを加速させるために求められると思います。そこにチャレンジする人は今でも少なく、我々がその一躍を担いたいと思っております。

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具体的にどれぐらいのタイミングで市場が見えてくるんですか?

森本:まずそもそもMobile ARというスマホでのAR体験ととスマートグラスなどのwearable ARの二つに分かれると思っています。MobileARがいつ立ち上がるかでいうと多分2020年頃。普及率はスマホユーザーの70%程度がAR使えるようになるのではないかと考えています。

Wearable Glassだと2020年頃に初代版が発表されるんじゃないかという噂が流れていますが、これが実現されるかどうかわかりません。また、みんなが想像するようなスマートグラスよりはGoogle glassの延長線上のようなもの、通知と映像は観れるけどAR体験ではないよねというものが来るのではと考えています。

なるほど

森本:もう一つあるのがヘッドマウントVRと呼ばれるもので、Oculus Questが発売されますが、これのARモードで空間認知ができるのでここの技術もあります。なのでWearable GlassとヘッドマウントARが徐々に普及していくことが予想されますが、これらが主流になるのは2025年くらいになるのではないかと。

ありがとうございます。森本さんたちもチームメンバー探しているんですよね

森本:ARならではの「In-GameやOut-Game」を発明したいなと考えており、共にこのミッションを達成したいUIデザイナーやUnityエンジニアを募集していますので、気軽にご連絡ください!

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人々の時間を豊かにするサービスを作るーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/タイミー小川氏

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家の集まるCxO Night、4月テーマは「イグジット」。参加者の事前登録募集中 20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、最初に登場してくれるのはタイミー代表取締役の小川嶺さんです。2018年8月の公開以降、サービスは急成長しており、今年1月…

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家の集まるCxO Night、4月テーマは「イグジット」。参加者の事前登録募集中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、最初に登場してくれるのはタイミー代表取締役の小川嶺さんです。2018年8月の公開以降、サービスは急成長しており、今年1月には3億円の資金調達も公表しています。

今回からは前回インタビュイーとして登場してくれたUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらいます(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

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小川嶺さん:タイミー代表取締役社長で立教大学経営学部4年生。高校の時からインターンをはじめ、慶応のビジネスコンテストで優勝したことをきっかけにファッションの会社を設立。1年ほど運営してピポットを決意。2019年3月にタイミーの構想を考えつき株式会社タイミーを設立。現在35名のメンバーと共に活動中。リリース7カ月で6万人のユーザー、1000店舗のクライアントを獲得し、2019年8月での全国展開を目指す

人々の時間を豊かにするサービスを作る

お互い学生起業ですが、小川さんは大学生になってから本格的に起業を考えた?

小川:起業したいというモチベーションは高校生の頃です。祖父が実業家だったのですが、僕が18の頃に逝去してしまいました。そのタイミングで、一時は祖父のおかげで名の知れた小川家の名前を復活させたいと思い、起業を志すようになりました。

家系的に起業家一族だったんですね

小川:それがきっかけですね。起業家の本を何冊か読み始め、その中で松下幸之助さんの本を読み、彼のように何年もずっと続くような会社を作りたいと強く思うようになって。

家系的な部分だけで起業のモチベーションを継続させることは難しいと思いますが

小川:タイミーを立ち上げる前に「Recolle」というファッションサービスをやっていたんですが、そこでの失敗がやはり大きいです。当時、共同創業者がいたのですが、とても優秀なみなさんの時間を無駄にしてしまったことをかなり悔やんだんです。

なるほど

小川:そこからです。人々の時間を豊かにするサービスが作りたいと強く思い始めたのは。

死ぬほどのスピード感で突き抜ける

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タイミーをリリースして急拡大していますが、事業をエグゼキューションするにあたって小川さんが大切にしていることって何ですか

小川:タイミーをリリースした時点では競合が三社ほどしかいませんでしたが、現在は十数社になりました。このことで、自分たちの選んだ市場はちゃんと存在しており、市場選択は正しかったと確信を持っています。その上で迷いなく速度感を一気に上げています。

迷いなく走りきることが大切

小川:コーチユナイテッドを創業された有安(伸宏)さんの記事とガイアックスを創業された上田(祐司)さんの言葉の影響が大きいです。

有安さんは「もう一度起業するならVCから調達する?」というトピックの中で「数十年間持ち続ける市場なのか、一気にグロースさせて取りきらなければいけない市場なのかを考え、一気にマーケットシェアを取らないといけない市場なら全力でリスクマネーを調達する」と回答されていて、この意見は自分の背中の後押しになっています。

ガイアックスの上田さんからは極端にいうと「希薄化を気なんか気にするな。成功しないと株なんて紙くずだから。」といったアドバイスを会う度に言っていただいています(笑。

成功してもまだ挑戦し続けて背中で語ってくださる上田社長の言葉は物凄い心に響いています。たぶんスタンスが似てたから響きやすかったんだと思いますが(笑。

株式公開後や事業売却後の成長意欲って参考になりますよね

小川:スタートアップなんて1000社あって1社成功するかどうかの世界です。死ぬほどのスピード感で突き抜けることが重要だと考えています。

もっとクールにできる「課題」を見つける

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タイミーはどういう事業仮説から生まれたのですか

小川:タイミーを始める前にも、ワクラクやショットワークスが存在していて、単発バイトの需要はあったんです。実際に二つのサービスを自分で使って働いてみて、良い部分と悪い部分に気づいたんです。

仮説検証で他社サービス実際に使ったりするの大切ですよね。働いたんだ

小川:働きましたよ(笑。ただ自分のニーズとしては、すぐに働きたくてすぐ着金して欲しいのに、マッチするのに比較的時間がかかる印象がありました。給与の振込自体も比較的時間が必要でした。ここを自分たちならもっとクールにできるんじゃないかと。

なるほど時間軸だ。いつでも働ける、だけじゃなくて「すぐ」の価値観に気が付いた

小川:それでタイミーを創業したんです。プレスを打つようになってからは、予想以上にメディアの方々に反響をいただきました。。人手不足という社会問題と繋げてタイミーがフィーチャーされるようになって。正直、ここまで盛り上がるとは僕自身予想していませんでした。

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難しかった部分は

小川:店舗様はタイミーを何もフォローしなくても使っていただけるわけじゃないんですよね。想像以上にお店の方々への利用方法やユースケースの説明に時間が必要だと理解しました。実際に店舗側のマニュアル作りから一緒にやったりもしましたし。

逆に予想通りドンピシャだったものは

小川:リリース時に作ったペルソナが初期のユーザーとほとんど合っていたことですね。これは自分が欲しいものを作ったからだと思っています。逆にサービスリリース時に不安だったのが、居酒屋でいきなり単発で働きに行くのは、自分だけ知らない環境に飛び込むということです。

確かに、タイミーだと本当に飛び込みみたいな働き方になりますよね

小川:実はここに心理的障壁あるんじゃないかと思っていましたが、これは杞憂に終わりました。実際にタイミーを通してすでに80回以上働いているユーザーもいて、不安は完全に解消されています。あと、転職活動中に使うユーザーもいて、当初とは違ったユーザー層のニーズにも気づきだしてます。

事業仮説で大切なポイントってどこでした

小川:自分が欲しいと思うかどうか、そしてそこに描ける未来がデカイかどうか。この辺りが重要だと思いますね。

社会の課題を解決して、インパクトを最大化する

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先ほどお祖父さんや有安さん、上田さんのお名前が出てましたが、小川さんにとって起業家のロールモデル的存在ってどなたかいらっしゃいますか

小川:サイバーエージェントの藤田(晋)さんです。AbemaTVに1000億円投資し、当時は懐疑的な人もいらっしゃったかもしれませんが、今見てみると当たり始めています。気づいたときには誰も追随できないという状況です。

自分だけが信じている未来を実現しようと思い、実際に実現している姿には本当に憧れます。また、藤田さんは人を惹きつける力がとても強く、その点も魅力に感じています。

今ってメンターみたいな方はいるんですか

小川:BUYMA(エニグモ)の須田(将啓)さんです。世界初と日本初しかやらないという哲学を持っていて、新しいアイデアには怖さもある一方で、それを実行していることは尊敬しています。実はタイミーを始める前、須田さんに3つアイデアを持って行って相談しました。そこでタイミーが一番良いと言われ、後押しされて創業したぐらい、その言葉には背中を押されています。

最後の質問は小川さんにとっての結果です。起業家として今時点でもいいので、結果の考え方を教えてください

小川:人手不足で早稲田近くの老舗の飲食店が閉店した事例があるんです。在学生だけでなく、OBOGからもとても人気だったのにも関わらず、閉店することになってしまい、多くの人が悲しみました。

このような事例はかなり存在します。都内だけでなく高齢化が進む地方はより顕著です。本当にもったいないと思うし、日本の財産が失われていくことに憤りを感じています。

働き方や少子高齢化の問題は随分と解決されずに持ち越しが続いてますからね

小川:はい。タイミーを通じてこの課題を解決したい。それがまず目指す結果ですね。また、会社のことでいうとユニコーン企業を目指したいです。そこまで本気で目指したい。やるからには社会的インパクトを最大化したいと考えています。

ところで今ってチーム絶賛採用中なんでしたっけ

小川:次のユニコーン企業に入りたい方、日本の課題を解決したい方、どんなモチベーションであれタイミーが好きな方は絶賛採用中です。また、20・21年卒向けの就活イベントも開催しますのでそちらも参加いただければ。

長時間ありがとうございました

お知らせ:取材に応じてくれたタイミー小川さんも登壇するイベントを4月25日に開催します。同社にご興味ある方はこちらからご参加ください。

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