「チャレンジを楽しめる人で溢れる世界にしたい」ーーU25「起業・新基準」/b-monster代表、塚田さん

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2020年1月から共同で代表取締役に就任した塚田眞琴さん

本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のPlott代表取締役、奥野翔太さんに続いては、話題のボクシング・フィットネススタジオ「b-monster」創業者で代表取締役社長の塚田眞琴さんに登場いただきます。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

塚田眞琴さん:1994年生まれ。駒澤大学在学中、ニューヨーク旅行で暗闇ボクシングに出会い帰りのフライトで事業計画を立て、帰国後に事業化。取締役副社長として姉の美樹さんと共にフィットネスジム「b-monster」を創業。2019年12月現在、海外含め13店舗を運営中

もう数多くのインタビュー記事でお話されてますが、改めて2016年2月にニューヨーク旅行でアイデア着想、3月に会社設立して6月に銀座店オープン。それから3年、今はどれぐらいに拡大したんですか?

塚田:13店舗あって、合計で180人程度の社員がおり、ほとんどが正社員です。本社はうち15人程度です。

爆速ですね(笑。

塚田:先に体が動いていました。ニューヨークに行ったのが2月で、3月には会社を設立して、それと同時に大学を辞めました。カッコ良くて、通うことがステータスになるようなジムを作りたいという認識が姉との間で共有されていたので、行動は早かったかなと思います。とにかく早く形にして多くの人に体験して欲しいというのと、フィットネスなので夏前には絶対オープンしたいという気持ちがありました。

にしても、ジムって3カ月でできるんですね。

塚田:色んな企業に断られました(笑。法人の登記には1カ月くらいかかっていたので、会社が設立される前から店舗オープンに向けて急ピッチで動いていました。それこそ、場所が決まっていない中で求人を出して、求人媒体には銀座になると思います、みたいに書いていました(笑。

2億円ほどの最初の資金は経営者のご両親が工面してくれた、というお話ですが

塚田:最初、いくらかかるのか分からない状態でこういう事業を作ろうと思っているので、応援してもらえるかという話を両親にしたところ、かなり乗り気で応援すると言ってもらったので、その後ちゃんとした事業計画書を作って出資してもらいました。両親は元々、私たちを経営者にしたいと考えていたので、待ってましたみたいな感じもあって。姉が元々大学生の時にやっていたマッチング系のビジネスには厳しい評価だったのですが、この事業に関しては両親も評価してくれていました。

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長く経営されており勘が働いたとかあったんでしょうね。ところで資金の使いどころで注目していたのが初期の踏み込みなんです。あれはどういう意図があったのですか

塚田:これは父の教えが大きいです。初期ゆっくり時間をかけてお金をかけずにプロモーションをしていくというやり方もあるが、初期にガッツリ会員を集めるというイメージを持てば、差分の資金は最初のプロモーションに使えるよね、ていう。それを聞いていたので、今回は特に月額会員制のモデルなので初動に成功すれば安定するだろうな、という考えで記者会見を打ったりしていました。

ジムというビジネスモデルや会員獲得までのリードタイムのことを考えると、確かに最初の踏み込みは理にかなってますね。けど、相当自信がないと怖そうです

塚田:基本的には自分たちの感覚を信じて実行しています。自分たちが良いと思ったところは反映させるし、良くないと思ったところは改善していきました。例えばニューヨークのジムはロッカーが少なく、シャワーも1つしかなかったのでそこは快適に使って頂けるよう改善しています 。その他のところでも、どれだけ気軽に通ってもらえるかは常に意識していますね。

それにしても、事業仮説がしっかりしていないと、そこまで自信を持てないと思います

塚田:創業する前から、日本でのボクシングでダイエットしたいという需要は高まっているように感じていました。ただ既存のボクシングジムは女性がダイエット目的で通うにはハードルが高い。例えば鏡に向かって型を練習する恥ずかしさや、衛生面にあまり気を使っていないなど、です。

こういった課題をNYにある暗闇ボクシングはクリアしていたんですね

塚田:加えて立てた仮説は「ジムに通う煩わしさ」です。日本はアメリカよりフィットネスに対する煩わしさのような感覚が強いため、シャワールームやアメニティに気を使い、レンタル用品を充実させ、運動靴も不要にするなどなるべく持ち物を減らす工夫をしたんです。

なるほど、確かにありますね

塚田:経緯は自分が実際にダイエットでボクシングを始めようと思い、近所のボクシングジムを体験して感じたことをベースに考えました。事業を始めてから感じたギャップは、ダイエット目的ではなくストレス発散で通われる方が思ったよりも多かったことです。

ところで事業運営の面で、ご両親の影響が大きいとは思いますが、それ以外に事業のメンター的な存在は

塚田:全体を通してのメンターのような人はおらず、やはり基本的に自分たちの感覚を信じています。ただ、各論の部分は外部の人を入れていました。例えばホームページとかは「ホームページ 制作 かっこいい」とGoogleで調べて出てきた人に連絡して作ってもらいました(笑。本当にカッコよく作って頂いたので感謝しています。

逆に新鮮です(笑。

塚田:私も姉も、経営のスタイルはほとんど両親を参考にしたものでした。ただ最近は、性格も経営スタイルも違うと感じてきており、もっと視野を広く持っていろいろな経営スタイルを吸収して、その上で自分に合ったものを取り入れていきたいと思うようになってきています。なので、最近はビジネス書を読んだり、セミナーに行ったり、経営者の会に足を運ぶようになったのはあるかもしれません。

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少し話を変えて。今後どういう会社にしたい、というイメージはありますか

塚田:b-monsterのvisionでもあるのですが、自分に自信を持って前向きに色んなチャレンジを楽しめる人で溢れる世界にしたいという思いがあります。フィットネスには身体だけじゃなくて心も変えることができる力があると思っているからです。

多くの方がダイエットに挫折して自分を卑下した経験があると思いますが、自分も何度もダイエットに失敗し同じような気持ちになったことがあります。失敗するとつい自分を責めてしまいますが、そもそもつらい運動は続かないので、b-monsterではつらいけど楽しいエンターテイメントを作り出すことに注力しています。そうすることで、ハードなワークアウトを乗り越えられ、身体が変わり精神面も変わることで、自己肯定感を高めてもらえたらと考えています。

具体的に目指したい企業像とかありますか

塚田:ブランディング面においては、Appleやスターバックスなど、多くの人が使っても、ブランドが確立されている会社に憧れを持っています。

なるほど。単なる暗闇ボクシング、というアイデアからSTREAM MONSTER、プロジェクションマッピング、スタジオ照明やPOLAR、EMSスーツの導入など、打ち手の数が半端ないですよね。塚田さん自身はどこに今注力しているのですか

塚田:組織の構築の部分と、新規企画の部分がほとんどです。なんでも新しいものをやっていきたいし、b-monsterにくると新しいものに触れられるよねっていう価値提供をしたいと考えているのが大きいかもしれません。飽きてしまう前に、どんどん新しいことを導入していきたいですし。

また、私も姉も新しいものを調べるのが好きで、探して面白いものを見つけたらまずはすぐに導入してみて、やってダメだったら止めれば良いので、トライアンドエラーでやってみようと考えています。

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じゃあ次の展開も考えてる

塚田:今後は、ライブ配信事業に力を入れていきたいと思っています。もう1つは、まだ具体化はしていないのですが、別のジムを作る構想はあります。

ただ、ここまで短期で事業自体も組織自体もグロースすると、組織のバランスは崩れたりしませんか

塚田:10人から200人までの成長があっという間だったので、10人の時と同じ経営を80人近くなった時も変わらずしてしまっていて、問題が多発したことはあります。当時は、全社員から私たち2人に細かい連絡がきてパンクしてしまうこともありました。

難しい問題ですね

塚田:はい、今後の組織について考えるために、外部の研修を導入したり、店長の教育を再構築したりしました。今では、ちゃんと店長を通して、マネージャーを通してから自分たちのところに意見が上がってくるようにコミュニケーションラインを整えています。

あと、パフォーマーの育成に関しては今も試行錯誤を繰り返しています。一定基準まで育成した後、そこからさらに伸びるのはどのようにすれば良いのかは結構考えてます。今だと、毎年順番にニューヨークなどの海外研修に行ってもらったり、指定映画を設定して、エンターテイメントに触れる機会を作っています。

最後に、最近はスタートアップ・コミュニティにも近い場所で活動されていますが、こういった起業のエコシステムで期待したいことってありますか

塚田:創業以来、横や上下のつながりを持たずにやってきたのですが、今年ForbesでU30の賞を頂いた時に同じく受賞された方々とお話をしてとても良い影響を受けましたし、モチベーションに繋がっています。

また、起業家や起業家志望を繋げるコミュニティはたくさんあるのですが、起業前にその他のCxOと繋がれる場所が少ないように感じます。自分は姉と一緒に起業したので、特に困らなかったのですが、起業家と同じくらい立ち上げメンバーは大事だと思うので、同じビジョンを持った人同士が繋がれる環境があったらいいかなと思います。

大変楽しい時間でした。ありがとうございます!

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