「1番楽しんで、1番楽しませる会社を創る」ーーU25「起業・新基準」/テイコウペンギン・Plott代表、奥野さん

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家向けの勉強会を定期的に開催中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、前回登場のライブチケット見逃し防止「Freax(フリークス)」を運営するSpectra代表取締役の浅香直紀さんに続いて、今回はPlott(プロット)代表取締役、奥野翔太さんに登場いただきます。同社はYouTubeアニメチャンネルで「テイコウペンギン」などのコンテンツ制作を手掛けるスタートアップです。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらい、お話をうかがってきました(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

奥野翔太さん:1995年生まれ。筑波大学在籍中からネット関連の事業ディレクションやメディア運営などに携わり、その後、ARコンテンツ制作のGraffityにて勤務。2017年にPlottの前身となる会社を起業。YouTubeアニメ「テイコウペンギン」は2019年1月の公開から約半年でチャンネル登録者数35万人を記録。

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このインタビュー連載にはバーチャルYouTuber(VTuber)「ミライアカリ」所属のZIZAI代表取締役、塚本大地さん、「にじさんじ」を運営するいちから代表取締役の田角陸さんに登場いただいてますが、今度はアニメですね。

奥野:もうですね、YouTubeチャンネルを一緒に作ってくれるディレクター人材やクリエイター人材を絶賛募集中なので、Wantedlyからビシバシ連絡ください!Twitter DMもガンガン待ってます!(笑。

勢いありますね。このテーマ(笑。ただ、奥野さんの場合アニメですよね。最初からここ狙ってたんですか?

奥野:元々コンテンツはずっと作ってました。その前はVTuber事業をやってたんですが、僕らは簡単にいうとVTuber市場でボロ負けしました。同世代の田角さんがめちゃくちゃ数字伸ばしているのを見て心底悔しかったし、TXS(Tokyo XR Startups)のデモデーでも他の同期の会社と比べて圧倒的に結果を出せてなかった。負けない事業を作りたいと思ったんですよね。

TXSにはActiv8も参加してる

奥野:はい。当時はキズナアイのチャンネル登録がデイリーで4000人増加してる一方、自分たちは100人増えたら良い方。ただその時、さらに伸ばしていたのがフェルミ研究所だったんです。誰も注目していなかったのに、一番ブームだったときのミライアカリやキズナアイと同じくらい伸ばしていた。それに加えて僕たちは、最終的にマスに届くようなキャラクターを作りたいと思っていたので、今のテイコウペンギンの事業に落ち着いた感じです。

それでもアニメも乱立市場ですよね。テイコウペンギンが一気に今のポジションを獲れたのはなぜ

奥野:コンテンツに対するこだわりは他社とはかなり違っていると思っています。僕自身、3年間くらいずっとコンテンツを作っては壊し、ということをやってきているので圧倒的にナレッジが溜まってるんです。またVTuber事業で強いプロデューサーの人たちと話す機会がとても多かったこと、またエグゼキューションの部分で他社の「YouTubeハック」はまだまだ弱いのではないかということが挙げられるかもしれません。

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その中でも、奥野さんが大切にしてるエグゼキューションのポイントってどこにあります

奥野:「需給の歪みを掴む」「1つだけ外す」ということです。新しすぎること、古すぎることはビジネスとして成立しないと思っています。顕在化している需給の歪み、みたいなものですね。今やってる事業もYouTubeを毎日見ていて気づいた歪みにコンテンツを当てたものです。だから需給の歪みを掴むために市場のインサイダーになれるくらい研究することが大事かなと。

ただ、需給の歪みが生じていたとしても他と同じものをリリースしたら突き抜けることはできません。そこで差分を作るわけですが、それも違いすぎることはNGで「1つだけ」差分を作るくらいが市場に受け入られやすいのかなと思っています。

少し話を変えて。奥野さんの究極のゴールや結果ってどこなんですか

奥野:会社というプロダクトを作りきりたい、という思いがあります。Plott自体も数年でどうこうという話ではなく、数十年、世紀といった視点で続く会社作りや組織づくりをしています。そのためには長く続くIPを作らないといけませんし、その第一目標としてまずはYouTubeで市場を取り切り、その後はここ以外でも展開可能なIPを生み出していきたい。最終的にはエンタメ企業として、この世代で日本を牽引できる存在になりたいですね。

下支えするモチベーションみたいなの、奥野さんを駆り立てるものってなんなんでしょう

奥野:元々は「一番面白いことしたい!」という思いですね。よく文化祭で漫才したりするような人っているじゃないですか。自分はそういう感じの人間で。学生時代に大学近くの会社で働く中でビジネスや経営者というものに触れて「世の中に対してハッピーを届けて、社員にもハッピーを届ける」って最高じゃん!と思って起業に至っています。

さらに同世代の存在というのも刺激ですよね

奥野:僕の高校の同期が大学に行かずにそのまま芸人になったんですけど、当時それに誘われていて断ったんですよ。

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え、奥野さん芸人に誘われてたんですか

奥野:はい(笑。彼が個人としてのエンターテイナーとして突き抜けるなら、僕はそれよりももっと組織を作って、その組織でしかできない規模のエンターテイメントを創り出してNo.1になりたいというモチベーションがその時生まれたと思います。

あと突き抜けたい存在になりたいというのが根底にあります。僕が大学一年生の時に南野くんがA代表でワールドカップに出ていたのですが、僕彼と同い年なんですよね。僕は大学の寮で試合を見てるのに、彼らは日本の代表としてめちゃくちゃ頑張っていて、それが悔しかった。後は、根拠のない自信ですね(笑。それを証明してやるぞ、と。

エンタメ系のコンテンツが多いのはそこが原点なんですね

奥野:今までチャレンジした事業もゲームやドラマや動画メディアやライバーマネジメント、VTuberなどエンタメ系の事業だけです。事業をやっていく中で元々持っていた思いがさらに鋭くなっていって、今は「1番楽しんで、1番楽しませる会社を創る」という思いで会社をやっています。

学生起業ということで、当時からいろいろ事業に興味あったっていうことなんですが、どんな学生時代だったんですか

奥野:エンジニアか文系か迷っていました。学科の9割くらいが大学院に行くような情報系の学科だったので、周りはエンジニアが多かったです。ただ、自分はもっと全体を見たくって。そのためにビジネスをかじりたいと思い、短期の海外インターンシップに参加したのが始まりですね。

お店の事業課題を解決するというインターンだったんですけど、その時に、ビジネスって人に良いことをしてお金をもらって、自分たちもハッピーになるという素晴らしい仕組みだと気づいて。

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なるほど、それで路線が決まった

奥野:帰国後にすぐ筑波にあるベンチャーでインターンを始めました。当時は大学の授業にも行きながら、週6通ってほとんどフルコミで働いてました。事業としては、筑波大生向けの就職あっせんや仲介、バイトの仲介、アパートの仲介などです。チラシを作ったりディレクションしたり、採用、営業などなんでもやってましたね。経営陣直下で働くことで偉大な経営者になることが人生目標にセットされました。

起業したくなった

奥野:ビジネスに興味を持つ大学2年の頃は大学のサークルを自分で立ち上げて150人くらいの組織にした一方、サークルなのでやっぱり組織として完成しきれなくて悔しい思いをしました。そこをビジネスの領域でやりたいと思ったのもきっかけとしてはあります。

そこからテイコウペンギンまでしばらく時間ありますけど何をされていたんですか

奥野:大学4年で休学し、最初はARゲーム事業を始めたんです。ただ、この開発って数億円くらいかかるんですよね。それに気付いて撤退しました。それで動画メディアにピボットし、コント動画やエンタメ領域の分散型動画メディアを始めました。この時にPlottの前身の法人を設立してます。

ただ動画メディア自体もそこまで伸びず、その後は関わったライバーさんをマネジメントする事務所的なことをしていたり、インフルエンサー向けメディアを作ってみたり。

その頃ですね、Vtuber領域に興味を持つようになったのは。腐女子向けのVtuber検討したのですが、一方でもうちょっとスタートアップ村に入らなければいけないし、最先端のエンタメコンテンツに触れたいということもあり、そこでGraffityにジョインしました。

で、Graffityを卒業して独立

奥野:TXSに参加したのがその頃です。そこでの参加者や國光さんらとディスカッションする上で、自分たちしかできないVTuber領域があるんじゃないかと。元々ゲーム作っていたのでUnityも使えるし、動画メディアもやっていたのでスキルセット的にもぴったりじゃん。感情的にも、エンタメ領域で大きい会社を作りたいと思っていたので、そこもフィットしていました。

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奥野さんのメンターってどなたなんですか

奥野:メンターでいうと圧倒的に國光(宏尚)さんです。ソシャゲ・動画メディア・SEOメディアなどのコンテンツ領域の知見だけでなく、コンテンツから見る世の潮流のようなマクロな知見も相当に勉強させてもらっています。それ以外にもGraffityのトシ(森本俊亨)さんや、17kgの秋山(洋晃)さんにも相談してます。トシさんには起業家の先輩として起業家マインドを定期的に叩き直してもらっていて、秋山さんには経営者として組織面をご相談することが多いですね。

奥野さん組織づくりすごいこだわりありそうですよね。すごくワードが出てくる

奥野:誰かの課題を解決したいという外的要因で起業しているというよりは、面白いことをしたいっていうモチベーションと、めちゃくちゃ良い組織を作りたいというモチベーションが二大要因なんです。

今って何人ぐらいで事業運営されてるんですか

奥野:現状組織は全体で20人ほどです。20代の若いクリエイターがほとんどの会社で、オープンな組織、IQよりEQ、多様なクリエイティブを重視するなど、かなり組織における雰囲気やコミュニケーションを意識してます。元々、ユーザーを楽しませるのはもちろんですがそれ以上に働いている人たちが楽しんでいる会社にしたいと思っていました。

最後に。スタートアップの周りの環境はいかがですか

奥野:エンジェルや先輩・同世代起業家がたくさんいて非常に起業には優しい環境です。とはいえこのスタートアップ村に入っていないとリファレンスが取れなくて、まともな投資家やエンジェルからのサポートがもらえなかったりすることがあるのも事実です。自分は起業を志してから上京した地方勢なんですが、地方から上京してスタートアップする人たちも多いので、その辺りは何かあるといいかなと思ったりしますね。

今後の活躍期待しています。ありがとうございました。

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