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「接触8割減」が求められる日本に、MaaSスタートアップや大企業が支援する新たな動き

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新型コロナウイルスの早期収束に必要とされる「人と人との接触8割減」。テクノロジードリブンなビジネスが多いスタートアップは、一時的あるいは恒久的にテレワークに切り替えたところも多いと思うが、ラッシュアワーにターミナル駅を往来する人々の群れを見ると、依然としてオフィスへの通勤を余儀なくされる人は少なくない。医療現場の状況も逼迫している。 厚生労働省クラスター班のメンバーで北海道大学教授の西浦博氏は、「…

品川駅コンコース(2017年12月撮影)
CC BY-SA 4.0: 江戸村のとくぞう / Wikimedia

新型コロナウイルスの早期収束に必要とされる「人と人との接触8割減」。テクノロジードリブンなビジネスが多いスタートアップは、一時的あるいは恒久的にテレワークに切り替えたところも多いと思うが、ラッシュアワーにターミナル駅を往来する人々の群れを見ると、依然としてオフィスへの通勤を余儀なくされる人は少なくない。医療現場の状況も逼迫している。

厚生労働省クラスター班のメンバーで北海道大学教授の西浦博氏は、「今、電車に乗ることは、よいはずがありません」と断言している。理想はもちろんテレワークだが、そうはいかない人たちもいる。世の中のペインを解決しようとするのが、スタートアップのレゾンデートルでもありミッションでもある。本稿ではそういった人々を支援するスタートアップ、企業、サービスをまとめてみた。

銀河鉄道の無料通勤バス(東村山→新宿→東京駅)

Image credit: Gintetsu

東村山を拠点に自らを「バス馬鹿」と呼ぶ社長が率いる銀河鉄道は、12日から都心へ通う通勤客向けに無料の通勤バスを走行している。大型バスを使った観光バス事業を運営する同社だが、新型コロナウイルスの影響で客が減ってしまい、空いたリソースを使ってこのサービスを始めた。

運行は当面、事前予約制で朝6時発の一本のみで運行。予約状況に応じてバスは増発され、最大で180名を送り届けることができる。近隣在住の通勤客は、西武新宿線や JR 中央線などの混雑を迂回できるわけだ。現在は無料運用のため、銀河鉄道としては走らせれば走らせるほど赤字だが、平常時の都市部の通勤混雑の緩和手段としての可能性も期待したい。

このほか、東急は以前から、田園都市線の一部区間のラッシュアワーの混雑緩和のため、電車の定期でバスに乗れるサービスを恒常的に提供している。田園都市線のたまプラーザ駅周辺で郊外型 SaaS の実証実験を展開したり、傘下の伊豆急行沿線で観光型 MaaS「Izuko」を展開するなど、東急は以前から MaaS 開発に積極的な交通会社として有名だ。

<参考文献>

nearMe. のオンデマンド型の通勤乗合タクシー(東京都内15区)

Image credit: nearMe.

フォードが立ち上げた Chariott(昨年サービスを終了)、Y Combinator 輩出でシリコンバレーで事業展開する MagicBus、ニューヨークの OurBus、ロンドンの Zeelo、インドの Shuttl など、オンデマンド型通勤バスサービスを提供するスタートアップいくつか存在する。Uber、Lyft、Grab、Ola など従来からの配車サービスは一時中断を余儀なくされる中で、通勤特化型の乗合バスサービスはサービスを継続し、混雑する他の公共交通機関よりも安全な代替ルートとして重宝されているものが少なくない。

そんな中、首都圏を中心に空港やゴルフ場送迎のオンデマンド型乗合タクシーを運営してきた nearMe. は、16日から乗合型のドアツードア通勤支援サービスを開始した。nearMe. のモデルでは自社ではドライバーや車を持たないが、空港やゴルフ場送迎の需要が減っている分、タクシー会社に対してその穴埋めをしつつ、安全な通勤を臨むユーザ需要を新規開拓できる点で一石二鳥と言えるだろう。

料金は個別相談となるが、nearMe. では企業からの送迎の注文に応じて、企画旅行の契約を成立させ、タクシーやハイヤーを借りきる形をとることで実現していると推測される。これとは対照的に、似たようなモデルでオンデマンド型の乗合タクシーを展開していたアイビーアイは、車やドライバーといったリソースを自前で抱えている業態の違いから、あまりにも急な社会変化に対応する上でサービス停止を余儀なくされた

医療従事者、仕事などで移動を余儀なくされる人のための無償サービス

Image credit: Carstay

昨年の Incubate Camp 12th でも注目を集めたバンを宿泊のツールとして活用する、オーナーとユーザを繋ぐマッチングプラットフォーム「Carstay」は、医療機関向けにキャンピングカーを病床や休憩所として提供するプロジェクトを展開するようだ。プロジェクト内容については web サイトに告知が出ているが、医療従事者に「VAN SHELTER」を無償提供するためのクラウドファンディングが近日公開されると見られる。

一方、中古車事業「Gulliver(ガリバー)」を運営する IDOM は、医療従事者をはじめ全ての人の移動のために、所有するクルマの最大3ヶ月間の無償提供を開始した。 医療従事者、移動が必要なワーカー、配送が必要な飲食店および小売店、開業することのできない飲食店、配達業務の必要がありクルマがない業者、移動が必要な一般生活者などの利用を想定しているという。ガリバーもまた、クルマのサブスク「NOREL(ノレル)」などを展開している。

<関連記事>

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MaaSで注目したい13のケーススタディー

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2018年、日本政府によって閣議決定された「未来投資戦略2018」。 同戦略では、インターネットの発展によって生じたあらゆるデータやAIを効率的に活用し、生活の最適化を推し進めていく考え「Society5.0」が語られています。具体的には、Society5.0の定義は次のようなものになります。 「サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立…

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Image Credit: Finnish Ministry of Transport &di Communications, 2016 

2018年、日本政府によって閣議決定された「未来投資戦略2018」。

同戦略では、インターネットの発展によって生じたあらゆるデータやAIを効率的に活用し、生活の最適化を推し進めていく考え「Society5.0」が語られています。具体的には、Society5.0の定義は次のようなものになります。

「サイバー空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」- Society 5.0とは – 内閣府

Society5.0を目指していくうえで重要となるセクターは以下の5つに分解されます。

  1. フィンテック/金融分野
  2. モビリティー
  3. コーポレート・ガバナンス
  4. スマート公共サービス
  5. 次世代インフラ

最もイメージしやすいのはフィンテックの分野でしょう。QRコードによるモバイルペイメント合戦など、日本においても金融文脈から実際に手に触れる機会が年々増えてきています。

一方、“モビリティー”と聞いても、日本では具体的なイメージは湧かないのではないしょうか。

海外に目を向ければ、たとえばUberやLyftによるタクシー市場のP2Pマーケットプレイス化、LimeやJUMPなどによるドッグレス型電動スクーターが街に浸透し始め、目に見えた変化でトレンドを負いやすい環境にあると思います。

また、「自動運転」技術に関してもこれからのモビリティーを大きく先導していくのは間違いないでしょう。最大手ともいえるテスラは今年末にCybertruckを発表したことで話題になりましたが、2020年度からは自動運転の配車サービス「robotaxi」にも着手することが既に発表されています。

自動運転タクシーに関して言えば、Google発のWaymoが今年末にセーフティードライバー無しの実証実験へ着手し始めるなど、2020年がターニングポイントとなることが予想できます。

ただ、Society5.0を前提としたモビリティーサービスはライドシェア、スクーター、自動運転以外にも数多く存在し、大きなインパクトを社会にもたらす可能性を秘めています。

今回は2019年に筆者がピックアップしたスタートアップの中でも、2020年以降盛り上がるだろうと考える「MaaS × 〇〇」のエリアに取り組むスタートアップを振り返っていきたいと思います。

海外

1. Miles

参考記事:排気ガスを出さない「理由」を作るMilesーー環境と「移動に価値を付ける」そのアイデアとは

  • Miles」は環境問題とモビリティーを融合させたリワード型アプリケーションを提供。ユーザーは様々な移動手段の中で徒歩や自転車など、CO2削減に貢献するほどリワードとして「マイル(ポイント)」を還元率高く獲得することが可能。たとえば徒歩移動をした際は実際の距離の10倍、自転車であれば5倍、Uberであれば2倍のポイントを獲得できる。

Milesは移動手段を利用して、環境問題への寄与を上手にわかりやすく価値化できていると思います。同社では積極的に市町村と共同でCO2削減プロジェクトを立ち上げ、街を挙げて「移動」のあり方をユーザーに訴求しています。

移動に対するインセンティブ設計をどう施すかが最大の難点でしたが、環境問題の解決につながるMilesのサービスを市町村にプログラムとして提供し、補助金として資金を得ることでエコシステムを作り出そうとしています。

2. Swiftly

参考記事:街の渋滞をビッグデータで解決、公共交通機関向けMaaS「Swiftly」が1000万ドル調達

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  • Swiftly」はバスや電車などの公共交通機関向けにMaaSプラットフォームを提供。位置情報ビッグデータを利用し、渋滞改善に対するルート改善策を企業・団体へ提供する。

Swiftlyは個人の「位置情報」に目を付け、街の流れを根本的に改善することを目指しています。特筆すべき点は、ロケーションデータを分析・可視化し、なぜ特定の場所で渋滞が起きているのかを探れる点にあるでしょう。

たとえば同社のプラットフォームを利用し、ある公共交通機関の停車駅と信号の位置が効率よく配列されていないことから渋滞が起きていることを突き止め、実際に解消させることも可能です。

3. Lilium

参考記事:2025年に空飛ぶタクシー実現目指す「Lilium」が描く“街と大自然を20分でつなぐ”生活

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  • Lilium」は飛行型で電気自動運転車の開発・研究を実施。いわゆる「空飛ぶタクシー」を開発する同社は価格帯を重要視しており、誰でも利用できる料金設定で2025年を目途に商用利用を目指す。

空飛ぶタクシーの最大の魅力は、都市問題・人口集中問題解決へ向けたソリューションを期待できる点にあります。同社CEOの発言にもある様に、低価格な空飛ぶタクシーが当たり前となれば、森に囲まれた家を持ちながら都会で働くことが実現できます。また、新たな交通手段が増えることで都心で深刻化する渋滞問題の解消も期待できるでしょう。

空飛ぶタクシーはUberもUberAirプロジェクトで実証実験段階に入るなど、市場全体では5年を目途に実用段階へ入る雰囲気を見せています。2025年ごろには今の私たちがUberを使うような感覚で(金額的にも)空を移動手段に利用できるのも夢でないかもしれません。

4. Blackbird

参考記事:プライベートジェットを民主化するBlackBird、「空のシェアエコ」はどのような経済圏を生み出すか

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  • BlackBird」はプライベートジェットやパイロットをユーザーとマッチングさせ、航空機のシェアリングプラットフォームを提供。短中距離の移動手段に特化しており、低価格かつ短時間の空移動の体験の実現を目指している。

BlackBirdも空の移動に目を付けたスタートアップです。参考記事のタイトルにもある様に、プライベートジェットの民主化を図るため「空のシェアエコ」の概念を作り出した先駆けと言えます。たとえばアメリカのように、距離としてはそこまで遠くないが、山越えがあり車だと時間がどうしてもかかってしまう際の、最適な移動ソリューションとなる、といった具合です。

5. Aero

参考記事:オンデマンドプライベートジェット「Aero」が1,600万ドル調達ーーBlackJetの失敗を教訓に、空路のシェアエコ再挑戦

  • Aero」はミレニアル世代やジェネレーションZ世代をターゲットとしたオンデマンド型プライベートジェットのマッチングプラットフォームを提供。同社は飛行機を管理せず、プライベートジェット運用企業とパートナシップを組む。利用者は大手エアライン利用者に使われる空港ではなく、プライベート空港から飛行機に搭乗する。

Aeroは一見上述したBlackBirdと類似しています。しかし、BlackBirdでは移動がメインのため航空機もヘリコプター型に近いものが多いですが、Aeroでは私たちがイメージする通りの「プライベートジェット」を提供しています。

Blackbirdが2〜4人ほどの航空機であるのに対し、Aeroでは飛行機型で数十人搭乗できる設計となっています。インテリアもBlackBirdが簡易的であるのに対し、Aeroでは内装を重視し「空の移動+体験」な空間を作り出していると言えます。

価格帯はカリフォルニア州オークランドから、コロラド州テルライドまで2時間のフライトを予約した場合一人当たり約900ドルとなっており、通常フライト価格の3〜4倍となってます。

国内

1. Whill

参考記事:WHILLが仕掛ける「歩道版Uber」、50億円を調達して新たなMaaSビジネスを開始へ

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  • Whill」は高齢者や障害を持った、移動に問題を抱える層をターゲットとしたモビリティー製品を提供。年齢や障害を理由に「移動」が制限されない世の中を目指す。

Whillでは電動車いすを開発します。加えて、MaaSプラットフォームとして公共交通機関とタッグを組み、利用者がシームレスな移動を経験できる仕組みを作り上げているのが特徴的といえます。同社HPでは、MaaSプラットフォームとのコラボレーション先として病院、空港、ミュージアム、ショッピングモール、歩道(サイドウォーク)、テーマパークを挙げており実用化が期待されています。

2. LUUP

参考記事:人口減少時代を「移動」で救え!C2Cサービスの移動インフラを目指す「LUUP」ーー電動キックボードのシェアリング事業で5自治体が連携

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  • LUUP」は日本で電動キックボードのシェアリングサービスを展開。2019年末には、沖縄のリゾート施設にて初の実証実験を開始し、国内マイクロモビリティーをリードしている。

電動キックボードの規制が未だ厳しい国内市場です。LUUPは着実に実証実験の回数を重ね、自治体や観光に目を付けて同社プロダクトの浸透を進めています。マイクロモビリティーに関する国内動向を追う上で欠かせないスタートアップであることは間違いないでしょう。

3. Maas Tech Japan

参考記事:Beyond MaaSを見据えた「理想的な移動社会」への挑戦ーービジネス効率化の旗手たち/MasS Tech Japan代表取締役CEO 日高 洋祐氏

  • MaaS Tech Japan」は、MaaSに関わるデータプラットフォームを各公共交通機関や企業に提供する。経済産業省・国土交通省が進めるスマートモビリティチャレンジにおける実証実験に参加するなど数多くのPoCを進めている。

MaaS Tech Japanでは、総合MaaSソリューションを提供するため、数多くの実証実験からビッグデータを収集・解析している段階にあります。日本においては、MaaSのビッグデータを収集解析する企業は耳にすることが少なく、エンタープライズとMaaSスタートアップの貴重な架け橋になることを目指しています。

4. Carstay

参考記事:新進気鋭の起業家が大物キャピタリストとアイデアを磨きあげる合宿イベント「Incubate Camp 12th」が開催

  • Carstay」はバンライフ実現のためのバンシェアプラットフォームを提供。新しい移動の形を宿泊と結びつけている。インバウンド観光客が増える中で大きな問題となっている宿不足の問題を、移動可能な宿としてバンを共有し、車中泊体験の提供で解決しようとするスタートアップ。

モビリティーとトラベルを繋ぎ合わせる比較的珍しいスタートアップです。移動の概念を宿泊の観点を盛り込むことで根本的に変えることを目指しています。同社が参入する領域はラストワンマイルのようにMaaSにとって重要なセクターとなると思います。

番外編

JR東日本

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JR東日本」はモビリティー変革コンソーシアムを結成するなど、主体的に移動の新たなコンセプト構築に取り組んでいます。身近な取り組みでいえば、朝の通勤時間帯の混雑を緩和する対策として有楽町線での「S-Train」の導入や、SUICAを中心としたモビリティーとその他観光業との融合などが挙げられます。

小田急電鉄

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小田急電鉄」では中期長期計画に「モビリティ × 安心・快適」とした施策を挙げるなど、JR東日本と同様にMaaSに取り組んでいます。

MaaSの先駆けと言えるフィンランド・ヘルシンキにてWhimを運営するMaaS Globalともデータの連携やサービスのパートナシップを結んだことも今年10月には発表しました。小田急は通勤通学に多用されていますが、箱根のように東京から少し離れた観光地へアクセスす手段も提供します。そのため、外国人観光客とMaaSを組み合わせた事業も今後オリンピックを機に増えていくと考えます。

トヨタ自動車

多様な仕様のe-Palette Concept
TOYOTA

「TOYOTA」は言わずと知れたモビリティー企業ですが、自動運転の発展のためにMaaS文脈は不可欠と捉え研究開発を進めています。昨日のCESでは大きな発表もありました。

<参考記事>

昨年には、e-Palette Conceptを発表し、自動運転×MaaSをトヨタなりに提示しUberとパートナシップを結んでいます。また、2019年にはソフトバンクとの共同出資にて新会社「MONET Technologies」を設立し、人の流れや人口分布、交通渋滞や車両の走行ログなどを統合的に絡めたデータプラットフォームを活用していくことを公開しています。

MOBI (Mobility Open Blockchain Initiative)

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MOBI」はブロックチェーンをMaaSで活用することを目指し設立した団体です。メンバーには既存モビリティー企業であるHONDAやFord、GMなどが参加し、IBMやアクセンチュアその他ブロックチェーンスタートアップ企業がコラボレーション可能な環境となっています。

なかでもV2X(Vehicle to Everything)文脈とブロックチェーンをうまく掛け合わせ、ビッグデータルートからモビリティー問題解決を目指すMaaSプラットフォームとは一線を画し、MaaSソリューションの最先鋒となると考えています。

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月額固定でバス・タクシーが使えるサブスクMaaS、フィンランド発「Whim」のインパクト

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ピックアップ:MaaS Global Completes €29.5M Funding Round ニュースサマリ:フィンランドを拠点とするMaaSスタートアップ「MaaS Global」は7日、総額3300万ドルの資金調達を完了したと発表した。シリーズは公開されていない。新規の投資家にはBP Ventures、三井不動産、三菱、Nordic Ninjaが参加し、既存投資家も同ラウンドに引き続き参…

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ピックアップ:MaaS Global Completes €29.5M Funding Round

ニュースサマリ:フィンランドを拠点とするMaaSスタートアップ「MaaS Global」は7日、総額3300万ドルの資金調達を完了したと発表した。シリーズは公開されていない。新規の投資家にはBP Ventures、三井不動産、三菱、Nordic Ninjaが参加し、既存投資家も同ラウンドに引き続き参加している。

同社はフィンランドの首都ヘルシンキにて2015年に創業。MaaSアプリ「Whim」を開発・運営している。同アプリではルート検索・プランニングから、チケットの予約・管理・支払いまですべてを一括に管理できるサービスを提供。2017年にはヨーロッパ市場へ進出し、2020年には日本、シンガポール、北米にも進出予定だ。

話題のポイント:フィンランドといえばMaaSが思い浮かぶほど、同領域においては先進的な取り組みが数多く実施されている印象です。特に同社の印象的な取り組みは、国を挙げたモビリティーサブスクリプションモデルでしょう。

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月額定額で、公共交通機関、自転車、タクシー、レンタカーを利用でき、さらにはアプリ内で移動検索をかけれることでベストかつ金額にとらわれない移動手段を提供しています。(月額ごとのプランは上図通り)

以前サンフランシスコにおける「シェアサイクルの悪夢」で取り上げたように、EU圏においてモビリティー市場が肯定的に受け入れられているにもかかわらず、米国では少なくとも現段階でネガティブな見解が多いです。

<参考記事>

Whimがフィンランド市場に与えた「影響(必ずともポジティブとは述べていない)」を分析した資料「WHIMPACT」によれば、意外にも31-40代の利用者が24%とその多くを占めていることが分かります。もちろんフィンランド人の人口分布と比較すれば若い順で最も割合が多い16%を占めていますが、それでも30代が最もユーザー分布を占めているというのは着目すべき点でしょう。

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WHIMPACT

米国でいうモビリティーシェアサービスは、若い人ほど利用する傾向にあったといえます。アメリカ合衆国国勢調査(U.S. Census Bureau)が2013年から2017年までの通勤・通学に伴うシェアリング自転車利用者データを利用して作成した資料によれば、明らかに若い世代からシェアエコに参加していることがわかります。

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Whimは今後ヨーロッパ圏に加え、北米・日本に進出を目指しています。北米は既にシェア自転車やUber、Lyftが一般的な移動手段となっているため、交通機関とのパートナシップがうまく結べれば同サービスの浸透も早いでしょう。

では、日本はどうでしょうか。例えばシェアスクーターの利用などもまだ法的整備されているとは言えない状況ではあるものの、世界ナンバーワンといわれる公共交通機関網を誇っているのは揺るぎない事実です。

それらのインフラストラクチャーを最大限に生かすためにも、Whimのようなサービスを先に導入することで、「ラストワンマイル」の選択肢を日本に増やしていければ同社にとっても、日本にとってもポジティブな結果となるのではないでしょうか。

 

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拡大間違いなしのドッグレス型電動スクーター市場、今後の生き残り策は

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ピックアップ:Wind Mobility Raised $50 Million in Series A ニュースサマリー:ベルリン・バルセロナに本拠地を置くマイクロモビリティースタートアップ「Wind Mobility」がシリーズAにて5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。主要投資家にはSource Code Capital並びにHV Holotzbringck Venturesが参加して…

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CB Insights: The Micromobility Revolution

ピックアップWind Mobility Raised $50 Million in Series A

ニュースサマリー:ベルリン・バルセロナに本拠地を置くマイクロモビリティースタートアップ「Wind Mobility」がシリーズAにて5000万ドルの資金調達を実施したと発表した。主要投資家にはSource Code Capital並びにHV Holotzbringck Venturesが参加している。

同社はヨーロッパ諸国、イスラエルまたアジアにてシェアリング型eスクーターを提供している。2017年創業で、初期にはバイクと電動スクーターのレンタルをしていたがピボットして現在のモデルにたどり着いた。

現在同社のサービスはドイツ、フランス、スペイン、イスラエル、オーストリア、ポルトガル、デンマーク、韓国、日本にてサービス展開している。

話題のポイント:Wind Mobilityは今回の調達ラウンドと同時に、スクーター本体のリニューアルも発表しています。シェアリングのサービスをコンスタントに提供するための、バッテリー性能の向上、また利用が場所によって制限されないように防水性能を追加させるなどの実装を施しています。

ハードウェアのアップデート競争が進む電動スクーター市場ですが、特に北米ではスクーターの州ごとにおける権力争いも勃発しています。例えば先月、カリフォルニア州サンフランシスコにて電動スクーターのライセンスを獲得していた「Scoot」は同業でライバル企業であった「Bird」に買収されました

さて、この電動スクーターシェアの市場には2大勢力「BirdとLime」があります。

CB Insightsが公開した「The Micromobility Revolution: How Bikes and Scooters Are Shaking Up Urban Transport Worldwide」のレポートによれば、ほぼ同時期にサービスローンチした2社は2019年現在でほぼ同じ20億ドルほどに企業評価を伸ばしました。もちろんこの他にも、Uberが進めるJumpやLyftも自社で電動スクーターの開発に着手しています。

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CB Insights: The Micromobility Revolution

キックボード・ドッグレス型のコンセプトのスクーターは今回ご紹介したWind Mobilityのように欧州でも増えつつある現状です。同コンセプトが初めて社会に導入されたのは2017年のLimeで、サンタモニカでの実証実験がスタートです。

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CB Insights: The Micromobility Revolution

そのため欧州やアジアでもメジャーになりつつつあるとはいえ、やはり米国における電動スクーターの受け入れ態勢は他国と比べても非常に高い数値を残しています。上図は同じくCB Insightsが公開したアメリカにおける市町村ごとの電動スクーター導入は賛成か反対かを示したもの。激戦区のサンフランシスコでネガティブ意見が半数近くになるものの、平均すると70%ほどのポジティブな意見を得ていることが分かります。

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今回取り上げたWind Mobilityのように、欧州を中心に勢力拡大を目指している「VOI」や「Circ」「Tier」など多岐に渡るマイクロモビリティー企業が点々としています。筆者がアフリカ・モロッコに行った際も都市部ではQRコードを利用してラストワンマイルな経験をすることがメジャーになっていました。

今後、時が経つごとに需要・認知ともに拡大し、市場が大きくなるにつれ競争も激化していくことになるでしょう。Windのようにハードウェアのアップデートによる利用体験の向上は各社当然のこととして、さらにロイヤリティー付加などの差別化が進むことも予想されます。

例えばちょっと視点は変わりますが、電動スクーターとはまた少し新しい移動価値を提供しているのがスウェーデン発の「Cangoroo」です。カンガルーのように飛び跳ねて移動する乗り物をドッグレスで利用することが出来ます。もちろん、単なる既存スクーターとの差別化なのでしょうが、このようなアイデアが一気に市場を変えることもあるかもしれません。

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街の渋滞をビッグデータで解決、公共交通機関向けMaaS「Swiftly」が1000万ドル調達

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ピックアップ:Swiftly Raises $10 Million in Series A Funding to Scale a Mobility Operating System for Cities ニュースサマリー:公共交通機関を対象としたビッグデータ解析企業「Swiftly」は8日、シリーズAにて1000万ドルの資金調達を実施したと発表した。同ラウンドに参加したのはVia ID、Aster…

スクリーンショット 0001-06-14 9.56.11.png

ピックアップSwiftly Raises $10 Million in Series A Funding to Scale a Mobility Operating System for Cities

ニュースサマリー:公共交通機関を対象としたビッグデータ解析企業「Swiftly」は8日、シリーズAにて1000万ドルの資金調達を実施したと発表した。同ラウンドに参加したのはVia ID、Aster Capital、 Renewal Funds、 Total Energy Ventures、 Samsung NEXT、 RATP Dev、 Wind Capital、 1776、 Plug and Play Group、 Elemental Excelerator and Stanford StartX-Fund。同社はブログにて、意図的に伝統的なVCファームでなくモビリティー領域に特化したファンドを選択したと強調している。

同社は電車やバスなどの公共交通機関向けに、位置情報ビッグデータを利用したシステム運用や、根本的なルート改善策などを提供している。位置情報から機関に悪影響を及ぼしている箇所や場所を特定しやすくする。

また同社は、カスタマーサービスセンターなど向けにロケーションビッグデータを生かした、リアルタイムにおけるバスや電車の「遅延」を正確に分析可能なサービスを提供している。同社によれば既存のサービスに比べ30%以上の正確性を誇るとしている。

話題のポイント:公共交通機関向けMaaS(Mobility as a Service)を提供しているのがSwiftlyです。今までも、例えば渋滞でバスが10分遅れるという事実を伝えてくれるアプリなりサービスは存在していました。Swiftlyはその「情報」をより正確に伝えることに加え、それをビッグデータとして生かすことで根本的な渋滞原因を突き止めることを最終的な目的においています。

同社のミッションはアルファベット4文字「Make Cities More Efficiecncy(街を、もっと、効率よく)」で表現されています。同社はこのミッション達成のため、公共交通機関を運営する市と連携し、現段階において55の都市・2500の交通機関とパートナシップを結んでいます。

また、同社が提携を結んでいる市内であればGoogle Maps上においてもSwiftlyの恩恵を受けることが可能です。以下のように、リアルタイムの交通機関の条件・情報を参照しベストルートやスケジューラーを利用できます。

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上記でも述べたように同社の最終的な目的は市内公共機関の根本的な改善にあります。

例えば、同社のプラットフォームを用いればバスの停車駅の場所を微妙に調整することで渋滞を解消へ向かわせることも可能です。パブリックトランスポーテーションといえば、「遅れることは避けられない」という考えが一般的でした。インターネットによって、「遅れている」という情報にアクセスすることは誰でも出来るようになりました。

Swiftlyが目指す次のステップはその情報を利用した根本的な改善にあり、まさにMaaSの活用例のひとつと言えるでしょう。

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