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GAFAが恐れる欧州委員会の旗手ベステアー氏「今はテック大手に分割を迫る段階ではない」〜WebSummit 2019から

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本稿は、WebSummit 2019 の取材の一部である。 欧州委員会の競争政策担当委員 Margrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、社会における技術の役割については楽観的であったが、テック大手は虐待的な行動を抑制するべきで、そうでなければ、厳しい規制に直面するだろうと述べた。しかし、彼女はこのようなテック大手を分割させる呼びかけを支持することに消極的であり、そのような動…

欧州委員会の競争政策担当委員 Margrethe Vestager 氏。
デジタル時代に向けた〝ヨーロッパ順応〟について WebSummit 2019 で語った。
Image credit: WebSummit

本稿は、WebSummit 2019 の取材の一部である。

欧州委員会の競争政策担当委員 Margrethe Vestager(マルグレーテ・ベステアー)氏は、社会における技術の役割については楽観的であったが、テック大手は虐待的な行動を抑制するべきで、そうでなければ、厳しい規制に直面するだろうと述べた。しかし、彼女はこのようなテック大手を分割させる呼びかけを支持することに消極的であり、そのような動きが大きな問題を解決する可能性は低いと主張した。

新しい欧州委員会の下で拡大する役割を担う Margrethe Vestager 氏は次のように語った。

競争の観点からすると、会社を分割させるのが違法行為の唯一の解決策である場で、何かをしなければならないことになるだろう。

現在直ちに、そのようなケースは存在しない。私はそれが起こる可能性を決して排除しないが、これまでのところ、会社を分割させることが解決策となるような大きな問題は存在しない。

Vestager 氏はリスボンで開催された WebSummit に登壇し、Laurie Segall 氏のインタビューを受けた。Segall 氏は自身のメディアスタートアップ Dot Dot Dot Media を立ち上げるまで、約10年間に渡 CNN のテクノロジー担当記者を務めた人物だ。Segall 氏は Vestager 氏のことを、シリコンバレーで最も恐れられる人物の一人だと紹介した。

実際のところ、過去5年間二渡 Vestager 氏がテック大手に対する厳しい批評家の一人であり、Apple が145億米ドル超もの税支払を免れようとしていたことを明らかにした、アイルランドでの税控除調査をはじめとして改革活動家らを率いてきた。彼女は規制当局に嘘をついて WhatsApp を買収したとして、Facebook をも追及している

彼女はこれまでに Google に対して、比較ショッピングサービスの利用を高めるため検索での優位性を乱用したとして27億2,000万ドルの罰金、モバイル OS の Android の支配的地位を乱用したとして50億ドルの罰金、競合を排除する一方で支配的地位を乱用しサードパーティのサイトが自社アドネットワークを優先するように強制を試みたとして16億9,000万ドルの罰金を課した。さらに、Google の AI を使った仕事探しプラットフォームが現在、精査中であることを示す兆候が見られる。

ロイターによれば、Vestager 氏はこの日行われた記者会見で、ApplyPay に関する独占禁止法違反の苦情が多いことを確認しており、どうサービスの調査に着手したことを明らかにした。

テック大手が新しいスタートを切ろうと考えたとき、新しい欧州委員会は Vestager 氏をさらに5年の任期に再任命し、彼女の守備範囲を独占禁止法に加えテクノロジー政策を含めるまでに拡大した。

近年、彼女がテック大手の狙撃手として浮上したことを考えると、これらの会社を分割するよう呼びかける政府の動きに彼女が参加する準備ができていなかったのは少し驚きだった。アメリカでは、Elizabeth Warren 氏のような大統領候補は、力を制限するために Apple、Google、Facebook、Amazon などの企業を分割する必要性について声高に語っている。

Vestager 氏は一方で、規制と執行の必要性についに目覚めたアメリカに拍手を送った。

私が感じるのは、非常に刷新されたものだ。関心だけでなく、質問を開始し、関与を開始し、調査を開始することで、「ここにも、私たち法の番人の役割があるかもしれない」と言って、アメリカ当局の関与が得られるようになった。それは歓迎すべきことだ。

しかし、Vestager 氏は対処すべき多くの大きな問題があることを固く主張している一方で、テック大手の小型化が実行可能なソリューションであるとはまだ確信していない。

その議論の問題は、それを主張する人々がこれを行う方法についてのモデルを持っていないことだ。そして(古代の)ある種の生き物についての話を知っているなら、頭を一つ切り落としても、また一つ、二つ、七つと出て来る。つまり、問題が解決しないリスクがある。もっと多くの問題が生まれることになる。……そのように問題が大きくなることを考えると、特別な責任を負うことになるだろう。

彼女はまた、トランプ大統領や他の人が主張しているように、これらの企業に立ち向かう意欲は反アメリカの偏見から外れていないと説明した。むしろ、これらの企業に蓄積された力は、小さなライバルが競争して新しいイノベーションを推進する能力を制限していると考えている。

多くの興味深い(小規模)企業が競合する可能性がないというリスクがある。テクノロジーが大手にしか組み込まれていないものになるとしたら、それは私たちの限界を超えている。そうなると、テクノロジーに対する信頼が失われると思う。そして、私の使命の一部は、私たちが潜在能力に到達できるようにすることで、テクノロジーに対する信頼を築くことだ。

彼女が見たいのは、企業が彼らの言葉に合致したより多くの行動を取ることだ。 政治広告の場合、Twitter がそのような広告を終わらせるといった最近の発表を彼女は称賛し、Facebook が同じことをするのになぜ苦労しているのか不思議に思ったという。さらに、なぜ多くのプラットフォームがこれほど虐待的な振る舞いを許容しようとしているのかと尋ねた。

すべての結論として言えることは、我々は新しいテクノロジーを手にしているかもしれないが、そこに新しい価値は無いということだ。

我々はリアルの世界では、何を受け入れたくて、何を受け入れたくないか、長く深く議論してきた。それがデジタルの世界では同じようにしない理由がよくわからない。リスクは民主主義を完全に弱体化させることだから、オンラインでより議論を重ねるべきでだろう。

具体的には、彼女は Facebook CEO の Mark Zuckerberg 氏に、虐待に対処するためのさらなる取り組みを呼びかけ。

彼自身が言葉通りに行動を起こせば、急速に変化するだろう。そして、それは大歓迎だ…私は Facebook の CEOではない。…しかし、彼らは彼らの言葉通りに行動を起こすべき時が来たと思う。

彼女は新しい役割のもと、人工知能(AI)に関する規制を作成する責任を負っている。これはヘルスケアや気候変動のような大きな問題を解決するための計り知れない可能性があると信じている分野だと彼女は述べた。しかし、AI を規制してもルールがすぐに時代遅れになるリスクがあるため、「非常に注意が必要だ」と彼女は述べた。

AI は進化の途上にある。AI が人間のやりたいことをどう支援するかには制限が無く、これは素晴らしいことだ。

しかし、我々は AI を信頼できるよう礎石をコントロールする必要がある。偏見を受け入れ、我々が今持っている世界を取り込んで AI に移すのなら、そういった問題が固定化されてしまう。

このような警戒は今後大きなものになるだろう。なぜなら、最大手のテック企業らは野心をさらに大きくすることを明確に設定しているからだ。

ローンチする新しい Google のサービス、Facebook Libra の計画、Apple のストリーミングサービスを見ると、さらに大きな野望が見られる。

テクノロジーの役割とハイテク大手の影響について悲観論が高まっているにもかかわらず、Vestager 氏は、規制当局が問題を管理し、市民と生活を変えつつある製品との間の信頼確保を支援できるとの希望を持っている、と述べた。

もし私が楽観主義者なら、それは道徳的義務だと思うからだ。悲観論者は本当に何も成し遂げることができない。明日はもっと悪くなると思うから。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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#WebSummit 2019のピッチ・コンペティション「PITCH」は、歯に貼ったバイオセンサーで血糖値を測定する「Nutrix」が優勝

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本稿は、WebSummit 2019 の取材の一部である。 リスボンで開催されていた WebSummit 2019 で、4日間に及ぶイベントのクライマックスとなるピッチ・コンペティションで、歯に貼るバイオセンサーで血糖値を測定する「Nutrix」が優勝した。本稿では優勝した Nutrix を含む、ファイナリスト3チームを紹介する。 コンペティションには、世界中からスタートアップ1万社以上がエントリ…

Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、WebSummit 2019 の取材の一部である。

リスボンで開催されていた WebSummit 2019 で、4日間に及ぶイベントのクライマックスとなるピッチ・コンペティションで、歯に貼るバイオセンサーで血糖値を測定する「Nutrix」が優勝した。本稿では優勝した Nutrix を含む、ファイナリスト3チームを紹介する。

コンペティションには、世界中からスタートアップ1万社以上がエントリし、WebSummit 開催期間中に会場内で断続的に予選が繰り広げられた。準決勝では16社から3社へ、決勝ではその3社がガチンコで戦いを挑んだ。奇しくも、決勝に残った3社中の2社が イギリスのスタートアップでサブスクリプションサービスを提供するスタートアップとなった。

審査員の皆さん
Image credit: Masaru Ikeda

ピッチの審査条件は、プロダクトの可能性、ディスラプティブかどうか、財務面での評価、チーム構成、ピッチの品質の5点。決勝は、Mada Seghete 氏(Branch)、Bradley Twohig 氏(Lightspeed Venture Partners)、Tony Zappala 氏(Highland Europe)が審査員を務めた。

Nutrix(スイス)

前列左から:Maria Hahn, CEO of Nutrix、プレゼンターの Pedro Miranda, CEO of Siemens Portugal
Image credit: Masaru Ikeda

世界中で糖尿病に苦しむ人は4億2,500万人に上る。実に世界人口の11人に1人は糖尿病で苦しんでいる計算になり、患者の数は2045年までに6億2,500万人にまで増加する見込みで、これを防ぐことは世界的な急務になりつつある。Nutrix は、ステッカータイプのウエアラブルなバイオセンサーを使った血糖値モニタリングシステムを開発した。

Nutrix
Image credit: Masaru Ikeda

血液を採取することなく、歯の表面にステッカーのように貼り付けたセンサーで血糖値を測定できる。Nutrix は病後のケアよりは罹患を防ぐ(未病)ことに特化しているが、将来は人工膵臓(マイクロニードル型のインスリン投与)など連携した糖尿病患者の QoL 向上への応用も考えられる。

BeRightBack(イギリス)

Gregory Geny, CEO of BeRightBack
Image credit: Masaru Ikeda

旅を計画・準備するのには、非常に手間と時間がかかってしまう。BeRightBack は旅のサブススクリプションサービスで、月額50ユーロ(約6,000円)を支払うだけで、年間3回旅に出られるサービス。行きたい場所と行きたい時間を入力するだけで、60秒間でフライトや宿泊先の予約が完了する。

BeRightBack
Image credit: Masaru Ikeda

宿泊先は、目的地に所在する空室のあるホテルから BeRightBack が選ぶので、ホテルにとっては空室率を減らせるメリットがあり、BeRightBack にとっては空室の多いホテルへの送客で利益率を高められるメリットがある。現在、世界50都市に対応。10ヶ月前にローンチ、現在の MoM 成長率は27%。97%の顧客が BeRightBack での体験を「非常に良い」または「良い」と答えている。

Banjo Robinson(イギリス)

Kate Boyle, CEO of Banjo Robinson
Image credit: Masaru Ikeda

Banjo Robinson は、同名のネコのキャラクタが幼少期の子供に手紙を送ってくれるサービス。キャラクタが世界中を旅しながら、そこでの出来事を伝えたり子供からの問いかけに手紙で答えてくれる。子供にとっては読み書きが上達するのに加え、地理に詳しくなり、スマートフォンやタブレットに依存しなくなるなどのメリットがある。回答内容については、両親がカスタマイズできる。

Banjo Robinson
Image credit: Masaru Ikeda

イギリスでサービスを展開しているが、アジア、ヨーロッパ、南アメリカでは、子供が手紙を通じて英語を学ぶコンテンツの提供も始めた。Techstars に参加後、以前に比べ220%の成長を遂げているとのこと。セサミストリートで知られる NPO セサミワークショップの投資部門 Sesame Ventures と Collaborative Fund からプレシードラウンドで数百万ドルを調達している。

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WebSummit 2019がリスボンで開幕——〝アンチ米国政府〟のキーノートスピーカーらの登壇で幕を開ける

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本稿は、WebSummit 2019 の取材の一部である。 世界最大規模のスタートアップ・カンファレンス「WebSummit 2019」がポルトガルの首都・リスボンで開幕した。イベントはまだ続いているため正確な参加者数は発表されていないが、関係者の話によれば7万人に達する見込み。これは3日間ののべ人数であるため、実質的な参加者数は2万人〜3万人の間と推測される。 今年のイベントでオープニングのゲス…

Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、WebSummit 2019 の取材の一部である。

世界最大規模のスタートアップ・カンファレンス「WebSummit 2019」がポルトガルの首都・リスボンで開幕した。イベントはまだ続いているため正確な参加者数は発表されていないが、関係者の話によれば7万人に達する見込みこれは3日間ののべ人数であるため、実質的な参加者数は2万人〜3万人の間と推測される。

今年のイベントでオープニングのゲストキーノートを務めたのは、Edward Snowden 氏と、5G 技術で世界を席巻する Huawei(華為)会長の Guo Ping(郭平)氏という、ある意味、アメリカ政府から睨まれる存在にある象徴的な二人だった。WebSummit の姉妹イベント Collision がニューオーリンズからトロントに移ったことから、WebSummit 的には必要以上にアメリカ政府に気を遣う必要がなくなったのかもしれない。

(2016年、リスボンで初開催された WebSummit のタイミングが、ちょうど Donald Trump 氏がアメリカ大統領に選ばれた日だった。Dave McClure 氏がステージで発狂していた記憶も蘇るが、WebSummit やそのスピーカーは何かとアメリカ政府と距離を取る傾向にあるのかもしれない。)

Image credit: Masaru Ikeda

Snowden 氏は、ヨーロッパで GDPR が導入されたことについて好意的な意見を述べたが、「悪用されるのはデータではなく人々だ」とし、「すべてのブラウザ、すべてのインターネットサービスプロバイダは、政府によって制御される可能性があり、人々が信頼すべきではない権力組織の一部になり得る」と主張した(Snowden 氏はロシアからの中継による登壇)。

最近、海外のスタートアップが集まるカンファレンスに来ると、必ずと言っていいほど話題に上るのが気候問題、水・食糧問題だ。今回の WebSummit でもペットボトルやカップを再利用し、なるべくプラスチックゴミを減らそうという試みが始まっている。ペットボトル入りのミネラルウォーターを買わず、マイボトルを持参してミネラルウォーターをフィルしてもらう「Just Water」の Jaden Smith 氏や、映画俳優の Matt Damon が共同創業者を務めることで知られる「安全な水へのアクセスを可能にする活動」を展開する NPO Water.org/WaterEquity の CEO Gary White 氏もキーノートを務めた。

Image credit: Masaru Ikeda

WebSummit のオープニングにあたって記者会見に臨んだ WebSummit の CEO Paddy Cosgrave 氏は、自身もアイルランドの農場で育った生い立ちから、水・土壌・食糧には人一倍関心を持っていると話し、今回、WebSummit でもプラスチックゴミを減らそうという努力をしていることに理解を求めた。

2010年にダブリンで始まった WebSummit だが、2016年にリスボンに移り、通算で10回目、ポルトガルでは4回目の開催となる。ダブリンに本拠を置く WebSummit の運営会社 Ci では、社内で250人以上の人々が WebSummit の3日間のために日夜努力している。無論、イベント当日は、場内警備やコンテンツプロダクションなど契約ベンダーのスタッフが数多く働き、ボランティアや地元警察なども含めれば、総勢数千人以上が従事していると見られる(ボランティアの数だけで2,702人)。

Image credit: Masaru Ikeda

Cosgrave 氏によれば、今年の WebSummit 参加者のうち女性の比率は46%で、昨年の45%に比べるとやや値は上がり2人に1人は女性という、他のスタートアップカンファレンスでは考えにくいジェンダー・ダイバーシティが実現している。今回で10回目を迎える WebSummit だが、ステージの進行からサイネージのデザイン細部に至るまで、改善すべき点はまだまだ残っていて、常に満足はしていないと述べた。

今回、展示エリアには、経済産業省や JETRO(日本貿易振興機構)が主導する J-Startup から日本のスタートアップ16社を、Plug and Play Japan は「Batch 2」デモデイ優勝の No New Folk Studio、Orange Fab Asia は直近シーズンのデモデイで優勝した meleap を提供する HADO をそれぞれ招聘し展示ブースを開設。このほか、日本からは昨日2億円の資金調達を発表した mui Lab のほか、Stroly、Axelspace などがグローススタートアップとして参加している。創業の日から世界市場で競うことが宿命となる宇宙スタートアップの参加が目立つようだ。

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#WebSummit 2018のピッチ・コンペティション、英国発・自動運転のためのフルスタックソフトウェアを開発するWayve(ウェイヴ)が優勝

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本稿は、WebSummit 2018 の取材の一部である。 リスボンで開催されていた WebSummit 2018 で、4日間に及ぶイベントのクライマックスとなるピッチ・コンペティションで、イギリスの Wayve が優勝した。本稿では優勝した Wayve を含む、ファイナリスト3チームを紹介する。 コンペティションには、世界中からスタートアップ1万社がエントリし、WebSummit 開催期間中に会…

優勝した Wave の共同創業者で CTO の Alex Kendall 氏
Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、WebSummit 2018 の取材の一部である。

リスボンで開催されていた WebSummit 2018 で、4日間に及ぶイベントのクライマックスとなるピッチ・コンペティションで、イギリスの Wayve が優勝した。本稿では優勝した Wayve を含む、ファイナリスト3チームを紹介する。

コンペティションには、世界中からスタートアップ1万社がエントリし、WebSummit 開催期間中に会場内で断続的に予選が繰り広げられた。準決勝では8社から3社へ、決勝ではその3社がガチンコで戦いを挑んだ。奇しくも、決勝に残った3社中の2社が自動運転に関するスタートアップで、また全チームとも AI を提供サービスの柱に据えるスタートアップとなった。

WebSummit CEO でホストの Paddy Cosgrave 氏(最左)と審査員の皆さん
Image credit: Masaru Ikeda

ピッチの審査条件は、プロダクトの可能性、ディスラプティブかどうか、財務面での評価、チーム構成、ピッチの品質の5点。決勝は、Bedy Yang 氏(500 Startups)、Tom Stafford 氏(ST Global)、Holly Liu 氏(Y Combinator)が審査員を務めた。

Wayve(イギリス)

Alex Kendall, Co-founder and CTO of Wayve
Image credit: Masaru Ikeda

Wayve(ウェイヴ)は、自動運転のためのソフトウェアを開発している。自動運転のために地図、ルール、センサーを開発するプレーヤーがそれぞれ独自の進展をしてきた。これは非効率であり、費用の高くつくと考えた Wayve は、すべてのレイヤーでデータドリブンに機能する自動運転のためのソフトウェアを、フルスタックで開発することにした。これにより、それぞれのセンサー単体が何かを検知しているのではなく、自動運転車そのものが何を検知しているかを判断できるようになる。

Wayve
Image credit: Masaru Ikeda

自動運転のための地図がまだ無い場所についても、従来の方法よりも少ない最低限のデータと地図だけで、正確で安全な自動運転が可能になることが、これまでの試験で確認されている。手書きコーディングされたルールや高画質の地図だけ依存しすぎない自動運転技術でスケールを目指す。Wayve のチームはロボティクスと機械学習の専門家で構成されており、これまでに数々の論文も発表している。

lvl5(アメリカ)

lvl5
Image credit: Masaru Ikeda

lvl5(レベルファイブ)は、自動運転用の映像分析ソフトウェアを開発するスタートアップだ。自動運転を実現するための地図製作車には LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging、光検出と測距)装置が搭載されるケースが多いが、これは平均8万ドルと効果で、スケーラビリティには適さない。lvl5 は数十ドル程度のカメラでも適切な映像分析をすることによって自動運転に利用できるソフトウェア技術を開発した。

Andrew Kouri, Founder and CEO of lvl5
Image credit: Masaru Ikeda

5年前の iPhone でも十分に機能し(計測誤差20センチ未満)、一般自動車による自動運転のための地図製作対応の大量生産が可能になる。同社では映像分析ソフトウェアそのものはコモディテイ化するので無料で提供し、毎日変化するマップデータを車1台あたり1ヶ月10ドルのサブスクリプションモデルで提供する。現在、世界最大の自動車会社と試験中で、道路品質モニタリングの分野で Rubicon Global と提携している。

FACTMATA(アメリカ)

Dhruv Ghulati, Founder and COO of Factmata
Image credit: Masaru Ikeda

フェイクニュースは、政府や PR 業界のみならず、社会全般にとって大きな恐怖となっている。FACTMATA(ファクタマター)は、コミュニティを使って、報じられた記事やプレスリリースの内容について、事実かどうかを判断する手立てを提供する。政策提言グループ、科学者、研究者、調査報道専門のジャーナリストをネットワーク化し、課題となった記事について、彼らの評価を仰ぐ。スコアリング合計により、その記事がフェイクニュースか事実かを評価する。

Factmata
Image credit: Masaru Ikeda

自然言語解析に加え、人工知能エンジンが過去の評価データを学習することで、リアルタイムに評価結果を出せるシステムも開発している。独自アルゴリズムにより、判断の正確度は現時点で93%を達している。報道機関などにが記事化や報道を急ぐ際に、時間をかけずに半自動でファクトチェックができる環境を提供できる。今年2月、FACTMATA はシードラウンドで100万米ドルを調達している。

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WebSummit、VCファンド設立を計画——巨大カンファレンスで取得したスタートアップのデータを活用

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本稿は、WebSummit 2018 の取材の一部である。 WebSummit は当初の立ち上がりから、主催者は洗練されたデータ運用を活用して世界最大のテクノロジーイベントを作り上げてきた。カンファレンスを運営するこの会社は現在、シードステージのベンチャーファンドのローンチに向け、同様の基盤を持つ情報を利用する計画を持っている。 フィナンシャルタイムズの11月5日の記事によると、同社は Amara…

WebSummit 2018
Image credit: WebSummit

本稿は、WebSummit 2018 の取材の一部である。

WebSummit は当初の立ち上がりから、主催者は洗練されたデータ運用を活用して世界最大のテクノロジーイベントを作り上げてきた。カンファレンスを運営するこの会社は現在、シードステージのベンチャーファンドのローンチに向け、同様の基盤を持つ情報を利用する計画を持っている。

フィナンシャルタイムズの11月5日の記事によると、同社は Amaranthine という5,000万米ドル規模のベンチャーキャピタルファンド創設を証券取引委員会(SEC)に申請した。

WebSummit の CEO、Paddy Cosgrave 氏は同紙に対しこのように語っている。

3日間、とてつもない大がかりな方法で、私たちは企業の手助けをしています。では、残りの362日はどうでしょうか?

この記事によると、WebSummit はイベントを訪れた何千というスタートアップや参加者について集めた大量のデータを活用していくという。イベントは本日(11月5日)、ポルトガルのリスボンで開始された。イベント主催者は最近、今後10年にわたりリスボンでカンファレンスを開催する契約に署名した。

始まりはダブリンだったが、その地で発展したのち2016年にリスボンに会場を移した。2011年当時の参加者は400人ほどの静かなスタートだったが、2014年には2万2,000人まで急速に増加、今週(11月第2週)のリスボンでは6万人以上の来場が予定されている。

WebSummit の設立者は当初、データサイエンスのチーム構築に出資し、商談アルゴリズムや動画キャプチャシステムを開発して、イベントの動向を追跡していた。

それにより、新たなベンチャーファンドがホットなスタートアップを見分けられるような情報の宝ができたと、フィナンシャルタイムズ紙は報じている。

ファンド創設の申請書はもともと、5月の時点で作成されていた。ジェネラルパートナーの名前には、以前 Goldman Sachs にいたPatrick Murphy 氏のほか、WebSummit 共同設立者 David Kelly 氏の名前があった。サンフランシスコを本拠とする Amaranthine の存在は以前にも知られていたが、WebSummit との関係はあまり知られていなかった。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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WebSummit 2018がリスボンで開幕、国連事務総長も演説——〝50/50 Moment〟、環境問題、女性参画などをテーマにオープニングを迎える

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本稿は、WebSummit 2018 の取材の一部である。 今年もポルトガル・リスボンで WebSummit が開幕した。159カ国からのべ7万人あまりが参加する。女性起業家の数も史上最高の人数を記録したようで、開幕の辞が述べられる前夜イベントにも多数の女性スピーカーが登壇した。場所柄ヨーロッパ勢の参加が多いのは毎年のことだが、今年はドイツから600名近い起業家が参加しているとのことで、これはベル…

WebSummit 2018
Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、WebSummit 2018 の取材の一部である。

今年もポルトガル・リスボンで WebSummit が開幕した。159カ国からのべ7万人あまりが参加する。女性起業家の数も史上最高の人数を記録したようで、開幕の辞が述べられる前夜イベントにも多数の女性スピーカーが登壇した。場所柄ヨーロッパ勢の参加が多いのは毎年のことだが、今年はドイツから600名近い起業家が参加しているとのことで、これはベルリンを中心とした、ドイツのスタートアップエコシステムの盛り上がりを反映しているのかもしれない。

<関連記事>

Tim Berners-Lee 氏
Image credit: WebSummit

開幕セッションで最初に登壇したのは Web 発明の父である Tim Berners-Lee 氏。彼は自身が2009年に立ち上げた The Web Foundation が取り組む 50/50 Moment というテーマについて語った。50/50 Moment とは、2019年に世界人口の半分がインターネットにつながる中、まだつながっていない人たちも今後つながればいいというわけではなく、フェイクニュース、データプライバシーなどインターネットの負の側面も問題視される中で、どうつながればいいかを考えるべきという活動だ。

Lisa Jackson 氏
Image credit: WebSummit

Apple の環境担当 VP である Lisa Jackson 氏は、同社がクリーンエネルギーのサプライチェーンの構築を推し進めていることや、最近、中国で3億米ドルのクリーンエネルギーファンドを立ち上げたことなどを紹介した。また、(主にアメリカ国内と思われるが)古くなった Apple 商品を Apple Store に持ち込むか、オンラインストアに送ると、新しい Apple プロダクトの材料に使われる Giveback プログラムも立ち上げたとのこと。

Darren Aronofsky 氏
Image credit: WebSummit

映画「ブラックスワン」の監督で知られる Darren Aronofsky 氏は、VR でストーリーを伝えるというテーマで登壇。彼は今年発表した VR シリーズ「Spheres」で数億ドルを資金調達したことを明らかにしているが、VR が通常の映画を置き換えていくこと、あるいは、通常の映画を部分的にバーチャル表現が置き換えたりしていくことの可能性について語った。

António Guterres 氏
Image credit: WebSummit

国連事務総長の António Guterres 氏は、ポルトガル出身ということもあって、ニューヨークから WebSummit に駆けつけた。ポピュリズムやトライバリズムが台頭する中で、新しい世代のセーフティネットが必要であり、それが国際間の紛争を防ぐことになると強調。政府同士が規制を設けても、この変化が激しい社会においてもあまり意味をなさず、むしろ、各国政府、アカデミア、企業、市民らが一箇所に集まり、サイバースペース、デジタル技術、人工知能などを社会をよくするためにどう使えばいいか、議論することが世界の融和に繋がると語った。

WebSummit 2018 は、現地時間で5日から8日まで開催されている。

Image credit: WebSummit
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世界最大級のテックカンファレンス「WebSummit」、ポルトガル政府との1億2,800万米ドルの契約に合意——2028年までリスボン開催が確定

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世界最大のテックカンファレンスの一つ「WebSummit」は3日、ポルトガル政府との新しい契約に基づき、最低でも向こう10年間はリスボンにとどまることになると発表した。 この契約は、11月初めに次の回に向けて準備が進む WebSummit を前にもたらされた。ダブリンで生まれた WebSummit は、リスボンに開催地を移して3年目となる。WebSummit は急成長し、2015年にはダブリンのイ…

websummit-lisbon

世界最大のテックカンファレンスの一つ「WebSummit」は3日、ポルトガル政府との新しい契約に基づき、最低でも向こう10年間はリスボンにとどまることになると発表した

この契約は、11月初めに次の回に向けて準備が進む WebSummit を前にもたらされた。ダブリンで生まれた WebSummit は、リスボンに開催地を移して3年目となる。WebSummit は急成長し、2015年にはダブリンのインフラに切迫され、よりよい環境を提供できる新天地を求めてダブリンを離れた。

2016年リスボンに場所を変えて以降、WebSummit は勢いを増し続けている。新契約のもと、ポルトガル政府は WebSummit の成長を後押しすべく、会場や他のインフラに多額の資金を投資することになるだろう。

<関連記事>

WebSummit CEO の Paddy Cosgrave 氏は、声明で次のようにコメントしている。

ポルトガルに留まることができて、大変うれしく思っている。大規模な会場がなければ、WebSummit を開催するのは不可能だ。数ヶ月前まで、こんなことが可能だとは思ってもみなかった。計画は信じられないほど素晴らしいもので、計画の実現に奔走してくれたすべての人々に感謝を申し上げたい。

WebSummit の来訪以来、リスボンのスタートアップ界における存在感は急速に増し続けている。しかし再び、WebSummit は(ダブリンに引き続き)開催都市の限界を試していた。プレスリリースによれば、元契約が満了を迎えるにあたり、WebSummit の主催者は再び他所への移転を念頭に、各都市からのオファーを模索していたのだ。

しかし、リスボンは WebSummit に年間1,270万米ドルを支払うことで合意するなど、20もの競合都市を打ち負かした。加えて、ポルトガル政府は WebSummit が拡大を続けられるよう、会場である Altice Arena と Feira Internacional de Lisboa の規模を倍増することにも合意した。目標では、2019年までに工事が実施される。

その見返りとして、WebSummit の経営陣は35億米ドルのバイアウト条項に合意した。これは10年以上にわたりポルトガルに影響をもたらすもので、契約満了前に WebSummit がリスボンから去った場合は、差分が清算されることになる。

リスボン市長の Fernando Medina 氏は、声明で次のようにコメントしている。

WebSummit との10年間にわたる契約合意により、リスボンは間違いなく、イノベーション、起業精神、人材の中心地となるだろう。向こう数年のうちに、リスボンの IT 投資と雇用が著しく上昇すると自信を持っている。この物語を WebSummit と共に綴っていけることをうれしく思っている。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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世界最大のスタートアップ・カンファレンス「Web Summit」が開幕——今年の参加者はのべ6万人超、AI・ロボティクス・シンギュラリティなど各分野のリーダーがリスボンに集結

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本稿は、WebSummit 2017 の取材の一部である。 WebSummit 2017 がリスボンで開幕した。今年もここに来られたことをうれしく思う。今年の来場者は昨年の5.1万人を上回り、6万人を超えるそうだ。文字通り世界最大のスタートアップ・カンファレンスとなった WebSummit はこの3日間、市内に4本しか走っていないリスボンの地下鉄に普段は起きないラッシュアワーを引き起こし、地元市民…

Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、WebSummit 2017 の取材の一部である。

WebSummit 2017 がリスボンで開幕した。今年もここに来られたことをうれしく思う。今年の来場者は昨年の5.1万人を上回り、6万人を超えるそうだ。文字通り世界最大のスタートアップ・カンファレンスとなった WebSummit はこの3日間、市内に4本しか走っていないリスボンの地下鉄に普段は起きないラッシュアワーを引き起こし、地元市民に不便を強いているかもしれない。

2010年にローンチした WebSummit は2015年までの5年間をダブリンで、そして、ポルトガル政府が毎年130万ユーロ(1.7億円相当)を WebSummit に支払う3年間の契約で、昨年からリスボンで開催されている。ニューオーリンズの Collision、バンガロールの Surge、香港の RISE など姉妹イベントの成長も好調で、このイベントを切り盛りする WebSummit のチームメンバーは160人にまで増え、今年にはリスボンにオフィスも開設した。

ちなみに、ポルトガルで買い物をしてレシートを見てみると、何を買っても軽減税率で13%か通常税率で23%が課税されている(生鮮食料品や日用必需品は8%)。WebSummit の参加者数6万人はのべ人数なので、3日間にわけて1日あたり平均2万人。この2万人が1日平均100ユーロを消費したとしたら、3日間で少なく見積もっても約78万ユーロ(約1億円)の税収入があることになり、単純計算でも出費した額の半分を政府はすでに回収できたことになる。

リスボンの起業家のグローバルコネクション率比較
Image credit: Startup Genome

WebSummit の一連のイベントを見てみると、スタートアップの活動がさほど盛んでない場所に、新たなエコシステムを作るという戦略が功を奏しているようだ。リスボンにしても、他のヨーロッパの都市に比べ、スタートアップの数が突出しているというわけではないし、香港も東京やシンガポールに比べ極めてスタートアップが多いわけでもない。

しかし、今年からリスボンをモニタリングし始めた Startup Genome によれば、リスボンの起業家がグローバルなコネクションを持っている比率は、ヨーロッパの平均に比べて約2倍、世界平均に比べ約3.5倍になっており、少なからず WebSummit はこのトレンドに大きく貢献しているようだ。2011〜2012年のヨーロッパ経済危機で高い失業率を経験した若者の中には、就職を嫌って起業家を目指す人が増えつつもある。

Ecosystem Summit で。James Stafford 氏(Event & Project Manager, WebSummit)と Anne Driscoll 氏(Collision)
Image credit: Masaru Ikeda

今回は WebSummit に先立ち、Ecosystem Summit、Corporate Summit、Innovation Summit など、ラウンドテーブルを中心とした3つのサブカンファレンスが開催された。Ecosystem Summit は文字通り世界中のエコシステムリーダーやコミュニティビルダーが集まり、Corporate Summit はオープンイノベーションをはじめとしたスタートアップと付き合いたい大企業の水先案内、イノベーションサミットはテックに近いアカデミアの人々が顔を揃える、といった具合だ。

筆者はしばしば、WebSummit や RISE にスピーカーとして参加しているのだが、今回は Ecosystem Summit でいくつかのラウンドテーブルのモデレータを担当させてもらった。昨年の WebSummit でも、前日に世界中から20人ほどのエコシステムリーダーが集まり、「WebSummit Global Rising Startup Ecosystem Roundtable」という集まりで、世界がつながることの意義と今後の課題について議論したのだが、Ecosystem Summit はそれがバージョンアップしたもので、世界中から約100人ほどのスピーカーが参加した。

偶然にも Ecosystem Summit で Startup Genome の CEO と会話する機会を得られたのだが、Startup Compass として生まれ、Startup Genome に名を変え、現在に至るまでの過程でピボットし、最近では地元のスタートアップ・エコシステムを成長させたい地域政府などと提携することで、起業やスタートアップに関わるベンチマークのためのメトリクスを提供する形をとっている模様。Startup Genome が毎年発表するエコシステム・ランキングに東京が含まれないのは、言語障壁が理由というわけではないようだ。

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WebSummit 2017 Day 0 の夜には Opening Night イベントが開催された。初めて、奥さんと生まれたばかりの息子を連れて訪れたという WebSummit CEO Paddy Cosgrave 氏の開会の辞に続き、ポルトガルの詐欺防止 AI スタートアップ Feedzai の創業者 Nuno Sebastião 氏に紹介される形で、スペシャルゲストとして物理学者スティーブン・ホーキング氏のスピーチビデオが上映された。ホーキング氏は4月に北京で開かれた GMIC のキーノートにもビデオ出演したが、スタートアップ界隈でも AI にフォーカスした文脈が増えると、彼の言葉に耳を傾けようとする人が増えるようだ。

AI は人類最高の発明になるかもしれないし、最悪の脅威にもなるかもしれない。我々は AI の危険を認識し、それを特定し、ベストプラクティスと管理する方法を取り入れ、AI がもたらす結果に対して、十分な進歩でもって準備をする必要がある。(中略)

AI をもってすれば、ついに病気や貧困の根絶も期待できる。生活のあらゆる側面は変容するだろう。これからの世代は AI がもたらす機会だけでなく、その可能性を広げ、全人類にとってよりよい世界を創造できるレベルに達するべく、科学研究にコミットするという決意を持つべきだ。

ホーキング氏の言葉に、会場は大きな拍手で包まれた。

Opening Night 2017 は、ポルトガル首相の António Costa 氏、前国連事務総長の António Guterres 氏、リスボン市長の Fernando Medina 氏によって、開会の宣言がなされ終了した。Web Summit 2017 は10日(金)までリスボンで開催される。THE BRIDGE では Day 1 以降の情報も追ってお伝えする。

EU コミッショナー Margrethe Vestager 氏(右)にインタビューする、Recode の共同創業者兼編集長 Kara Swisher 氏(左)
Image credit: Masaru Ikeda
中央に開会宣言をする Paddy Cosgrave 氏(WebSummit 創業者兼 CEO)、そこから左へ António Costa 氏(ポルトガル首相)、Fernando Medina 氏(リスボン市長)
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AI業界のハンドルは中国が握っているのか?(WebSummit創業者Paddy Cosgrave氏による寄稿)

Paddy Cosgrave 氏は、Web Summit、RISE、Collision、Surge、Moneyconf、f.ounders の設立者である。 技術革新の競争が洋の東西を問わず繰り広げられているが、こと人工知能(AI)はその最前線だと言える。そしてこの分野では、中国の影響が高まっている。 ビッグデータと IoT(モノのインターネット)の力を最大限に引き出す上で、AI は鍵を握ると見ら…

Image credit: tai11 / 123RF

Paddy Cosgrave 氏は、Web Summit、RISE、Collision、Surge、Moneyconf、f.ounders の設立者である。

技術革新の競争が洋の東西を問わず繰り広げられているが、こと人工知能(AI)はその最前線だと言える。そしてこの分野では、中国の影響が高まっている。

ビッグデータと IoT(モノのインターネット)の力を最大限に引き出す上で、AI は鍵を握ると見られている。AI の力を借りることで的確な判断を素早く下せるようになり、IT を活用したスマートシティ、自動運転車、パーソナライズされた医薬などをはじめ、様々な商業用途での利用がまもなく可能になるだろう。AI は地球規模で多様な問題を解決する能力を秘めている。

現在 AI 分野は急成長期の真っ只中で、プロセッサの設計改良のほか、マシンラーニング、ディープラーニング、自然言語処理といった技術が日々進歩している。2013年以降、中国は AI の研究に多額の投資を行っており、努力が報われる形で素晴らしい成果が生まれている。AI のコア分野において、中国のパイオニア AI 企業らはすでに著しい発展を見せている。

ほんの一例を挙げよう。中国の大手テック企業(Baidu、Didi、Tencent)は、各社独自の AI リサーチラボを立ち上げている。とりわけ Baidu は、ディープラーニングにおいて世界レベルでの指導的影響力を持つよう努めており、その地位を確固たるものにすべく、歩を進めているところだ。Baidu はシリコンバレーに AI ラボを持ち、そこでは200人の開発者がライバルとなるアメリカ企業各社に対抗すべく、自動運転車、物体認識のライブラリ、表情や自然言語の認識ソフトなど先駆的な開発を行っている。

Tencent も似た形で、いくつかの中国トップレベルの科学技術大学に対して奨学金を提供している。学生らが WeChat の膨大なデータベースにアクセスできる一方で、Tencent 側としても優れた研究成果や優秀な卒業生らを確保できるメリットがある。

政府レベルでさえ、研究への投資額は年を追うごとに倍増している。中国は数十億米ドル規模のイニシアチブを準備していると言われており、壮大なプロジェクト、スタートアップの資金調達、そして学術的な研究の分野において、国産 AI の優位性を高める狙いがある。例として、中国湖南省のあまり名の知られていない湘潭市という市は、AI に20億米ドルを支出すると宣言した。蘇州と深セン市は、合計で最大100万米ドルとなる AI の助成金を共催している。こうした投資を含め、AI 開発の奨励の目的で数十億米ドルが投じられている。

失墜するアメリカ

初期の AI 研究の大部分をリードしてきたアメリカだが、こうした事態の進展に無知だったわけではない。オバマ政権もあと数ヶ月という時期に、アメリカ政府は2つのレポートを発行した。アメリカの AI 革命の世界的リーダーとしての地位に揺らぎが出ているとし、この領域で中国が一大勢力として台頭しつつあることを憂慮する内容だ。

AI のポテンシャルを解き放つべく、これらのレポートではマシンラーニングの研究費用を増補し、同時にアメリカ政府とテック業界の代表企業らとのコラボレーションを拡充するよう提言している。だが、こうした努力も虚しく、2017年5月にニューオーリンズで開催されたテックカンファレンス Collision で、会議に出席したテック企業設立者、CEO、投資家、そして開発者ら1,268人を対象として行われたアンケートでは、アメリカのエコシステムに広がる AI の影響について、政府が「致命的に準備不足」だとした人は91%に上った。

トランプ政権は2018年度予算で、米国科学財団からの AI 開発プログラムへの出資について、10%の削減を盛り込んだ。前政権が支出額の増大を約束したにも関わらずだ。

対照的に中国ではアメリカの AI スタートアップへの興味が高まっている。リサーチ企業の CB Insights の調査では、アメリカのスタートアップの投資ラウンドに対して中国国内から拠出される額は、2016年には100億米ドルに迫る数字になっている。AI 分野でも、最近の調査は中国企業は51社ものアメリカの AI 企業に投資しており、合計額は7億米ドルに及ぶ。

東洋と西洋が出会う場所

海外からの投資はアメリカ企業への信任票と受け取ることもできるだろう。しかし、テック業界をアメリカが独占しているという自信は明らかに揺らぎを見せている。

今月香港で開催された RISE 2017 に先駆け、我々は投資家を対象にアンケートを実施した。アメリカのテック業界への対抗馬を尋ねたところ、中国だとする回答が28%に上った。これは注目に値する割合であり、中国の影響力が継続的に高まっていることを示している。さらに驚くべきことに、回答者の50%は、テック業界におけるアメリカの独占的な地位がたった5年以内に中国によって覆されるだろうと答えた。

ともあれ中期的には、アメリカで起こるイノベーションに対しては用心するのが賢明であろう。アメリカが歴史上強みを見せてきたのは、彼らが軌道修正に長けているからだ。私個人としても、彼らが新しい進路を見つけると信じている。しかし現在のところ、ハンドルを握っているのは中国なのだ。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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#WebSummit 2016のピッチ・コンペティションで、子供向け教育用ロボットを開発するデンマークのKuboが優勝

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本稿は、WebSummit 2016 の取材の一部である。 リスボンで開催されていた WebSummit 2016 で、4日間に及ぶイベントのクライマックスとなるピッチ・コンペティションで、デンマークのロボット・スタートアップ Kubo が優勝した。Kubo には、ポルトガル政府が出資する Portugal Ventures から、副賞として10万ユーロ(約1,160万円相当)の投資を受ける。同社…

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左から:WebSummit CEO Paddy Cosgrave 氏、Kubo CEO Tommy Otzen 氏、Aspect Ventures 設立パートナーの Theresia Gouw 氏
Image credit: WebSummit

本稿は、WebSummit 2016 の取材の一部である。

リスボンで開催されていた WebSummit 2016 で、4日間に及ぶイベントのクライマックスとなるピッチ・コンペティションで、デンマークのロボット・スタートアップ Kubo が優勝した。Kubo には、ポルトガル政府が出資する Portugal Ventures から、副賞として10万ユーロ(約1,160万円相当)の投資を受ける。同社では、ロボットを2017年に出荷する予定で、投資金をロボット製造費用に充てたいとしている。

ピッチ・コンペティションには、世界中からスタートアップ200社がエントリし、WebSummit 開催期間中に会場内で断続的に予選が繰り広げられた。決勝は、Aspect Ventures の設立パートナー Theresia Gouw 氏、Baseline Ventures の設立者 Steve Anderson 氏、Y Combinator のパートタイムパートナー Marcus Segal 氏が審査員を務めた。

Kubo はアメリカの学校市場への参入を意図して、来週にもシリコンバレーを訪問する計画で、来年に1台220ドルのロボットを、学校用と一般用に5,000台生産すべくクラウドファンディングを1月に開始する予定だ。南デンマーク大学のソーシャル・テクノロジーラボからスピンオフして設立された同社は、ゲーム通じて、子供にプログラミングやロボットとの対話方法を教えることを目指すスタートアップだ。EU 加盟15カ国の学校では、プログラミングが既に授業の一部に採用されており、テクノロジーの需要が高まり、また、テクノロジーの発達で現存する職種の47%は将来消滅するとされる中、子供達のプログラミング学習を支援するのが狙いだ。

現在、8年生から10年生で教えられるプログラミングの事業は、コンピュータやラップトップを使ったもの。しかし、将来のことを考えれば、子供達が(コンピュータではなく)人工知能やロボットを使いこなすスキルの方が、重要な役目を担うことになるだろう。(CEO 兼共同創業者の Tommy Otzen 氏)

(プログラミングを覚えるのに)コンピュータやタブレットを使うのではなく、(ロボットのような)形あるものが使われるようになるのだ。」(CTO 兼共同創業者の Daniel Friis Lindegaard 氏)

WebSummit では2017年のピッチ・コンペティションにエントリできる ALPHA、および、WebSummit のアジア版である RISE の2017年のピッチ・コンペティションにエントリできる ALPHA の応募受付を開始している。

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Kubo CEO Tommy Otzen 氏
Image credit: WebSummit
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