WebSummit、参加者は史上最大の7万人超——ウクライナ大統領夫人が開幕を宣言

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開幕宣言の瞬間。ステージ上に、左から、ウクライナ大統領夫人 Olena Zelenska 氏、WebSummit CEO Paddy Cosgrave 氏、ポルトガル経済・海洋大臣 António Costa Silva 氏、リスボン市長 Carlos Moedas 氏。
いつもならステージ上に花火のエフェクトが施されるが、 今回はウクライナでの惨状に思いを馳せてか、演出は控え目。
Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、WebSummit 2022 の取材の一部である。

リスボンで1日(現地時間)、世界最大のスタートアップカンファレンス「WebSummit」が開幕した。新型コロナ後、WebSummit が対面型で開催できたのは、今年が初めてではない。昨年 WebSummit が対面開催できたのは、ヨーロッパでの新型コロナ感染者数がちょうど谷底を打った瞬間に開催時期が重なる、という奇跡的な幸運がもたらした結果だった、ただ、その後、感染の新たな波が来たため、アイルランド・ダブリンに戻った WebSummit の運営スタッフたちは、慰労のために食事会に集まることも叶わなかったという。

そんなこともあってか、今年の WebSummit の参加者数は史上最大の人数になったそうだ。また、WebSummit はすでにブラジルのリオ・デ・ジャネイロに進出しているが、そのブラジルからも参加者数が史上最大人数に達したという。ポルトガル語が公用語のブラジルの人々にとって、距離的に近く多くの影響を受けた、旧宗主国のポルトガルには来やすいのだろう。公式発表はまだだが、主催者は今年のイベントに、参加者7万人超、参加スタートアップ2,100社、投資家1,200人が来訪すると予想している。

例年、本イベント前夜の開幕セレモニー「Opening Night」には、その年のテック業界をにぎわせている人物が招かれる。今回は、世界的な仮想通貨取引所 Binance(幣安)の共同創業者兼 CEO の Changpeng Zhao(趙長鵬)氏、ウクライナ大統領夫人の Olena Zelenska 氏らが招かれた。

Binance(幣安)の共同創業者兼 CEO の Changpeng Zhao(趙長鵬)氏
Image credit: WebSummit

先週、Elon Musk 氏は数ヶ月に及んだ Twitter との買収契約を完了させた。Binance は Twitter に対して、コンソーシアムに参加する形で5億米ドルを拠出することを明らかにしている。この真意について、「今回の投資の目的は、(表現の)自由を守るためのものだ」と述べた。また、Twitter はアカウント検証(信頼マークを獲得できる)に月額20米ドルの課金開始を発表しており、新たな収入源も模索し始めている。Zhao 氏は、Twitter の事業について、短期的な収益性にはこだわらない、とした。

Zhao 氏はまた、今年上半期に起きた仮想通貨の暴落について、この不確実な時代においても「おそらく、唯一の安定した資産だ」と応じた。仮想通貨については、ボラティリティの高さが指摘されるが、どんなものにもボラティリティがあって、ビットコインにおいては、何度か暴落を経験しながらも最終的には価値が上昇していることを強調した。「投資というものは価値が変動するものであり、その現実を投資家に対して啓蒙することが重要だ」とも答えた。

ウクライナ大統領夫人 Olena Zelenska 氏
Image credit: WebSummit

ウクライナ大統領夫人 Olena Zelenska 氏の WebSummit への参加は、開催直前に急遽決まったことのようだ。彼女は、ウクライナの教育・医療施設の復旧を支援する基金として Olena Zelenska Foundation(財団)を組織しており、会場にいる人々に、ウクライナとウクライナ市民、ウクライナ人起業家に対する、さまざまな形での人道的支援を訴えた。彼女が話をしている間、会場内の照明はウクライナ国旗の色となる演出が施されていた。Zelenska 氏の話の抜粋は次のとおりだ。

我々が SF 小説で読んだディストピアや生命破壊の脅威は、皆さんが思っているよりずっと身近にあるのだ。我々がウクライナでそれを実感したのは、ロシアの恐怖のせいだ。ロシアはテクノロジーを恐怖の道具として使っているのだから。

私は、テクノロジーは破壊するためではなく、創造し、人々を救い、助けるために使われるべきだと信じている。そのようなテクノロジーが未来だと信じている。そうでなければ、楽しみのある未来は来ないだろう。

講演するポルトガルの経済・海洋大臣 António Costa Silva 氏(右)と、WebSummit CEO Paddy Cosgrave 氏(左)
Image credit: Masaru Ikeda

ポルトガルの経済・海洋大臣 António Costa Silva 氏や、昨年リスボン市長に就任した Carlos Moedas 氏も登壇した。リスボンに着いてみるとよく見かけるのが「Unicorn Factory」という宣伝文句だ。「Startup Factory」や「Startup City」という言葉はよく聞くが、その上を行っている感はある。ポルトガル政府やリスボン市が、アイルランド・ダブリンで開催されていた WebSummit を誘致したのは2016年のことだ。リーマンショック後の疲弊した経済に活気をもたらそうとする施策の一つだった。

WebSummit だけが理由ではないが、2015年にはポルトガル人起業家が立ち上げたファッションコマース「Farfetch」がユニコーンとなり(現在はロンドンが本社)、その後、6つのユニコーンが生まれた。ポルトガルの GDP は日本の20分の1と経済規模が小さいのは事実だが、これら7つのユニコーンの売上はポルトガル全 GDP の15%に相当する、というのも驚きだ。ポルトガルがユニコーン創出に賭ける理由はそんなところにもある。同国政府は、スタートアップ支援に9,000万ユーロ(約130億円)の拠出を表明した。

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