#WebSummit 2022のピッチ・コンペティションは、APIの仕様書・説明書を自動作成するTheneoが優勝

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Image credit: Masaru Ikeda

本稿は、WebSummit 2022 の取材の一部である。

リスボンで開催されていた WebSummit 2022 で、3日間に及ぶイベントのクライマックスとなるピッチ・コンペティション「PITCH」で、APIの仕様書・説明書を自動作成するジョージアのスタートアップ  Theneo が優勝した。本稿では優勝した Theneo を含む、ファイナリスト3チームを紹介する。

コンペティションには、世界中から千社に及ぶスタートアップがエントリし110社が参加を許され、や準決勝を経て決勝では勝ち残った3社が戦いに挑んだ。ピッチの審査条件は、プロダクトの可能性、ディスラプティブかどうか、財務面での評価、チーム構成、ピッチの品質の5点。聴衆の投票も25%の割合で(つまり4人目の審査員として)加算された。決勝の審査員を務めたのは次の方々だ。

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  • Geoff Ralston 氏 —— President, Y Combinator
  • Barr Moses 氏 —— Co-founder & CEO, Monte Carlo
  • Christine Tsai 氏 —— Founding Partner & CEO, 500 Global

Theneo(ジョージア)

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あらゆるアプリやインターネットサービスは、API を連携することで実現されている。そのアプリやサービスを自らのみで実現することは難しくなってきているが、スクラッチで全機能を自ら開発する代わりに、API 経由でサードパーティのサービスを連携することで、開発プロセスを効率化することもできる。ここで課題となるのは、API はただ作るだけでは不十分で、その特徴や機能、導入手順を記録し、分かりやすい形で提示する必要がある点だ。そして、往々にして、開発者はドキュメンテーションに慣れていない。

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これは、開発者が必ずしもテクニカルライターではないことから生まれる問題だ。特に、社内環境用に作られた API はドキュメンテーションが無く、最新化のメンテナンスがされていないことも多い。開発者が入れ替われば、この API の存在は忘れられてしまう。Theneo は、美しく、わかりやすく、明確な API ドキュメントを作成するためのプラットフォームだ。プラットフォームを活用し、美しいドキュメントをわずかなコストで作成することができる。Y Combinator の2022年冬バッチから輩出された。

Biome Diagnostics(オーストリア・ウィーン)

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Biome Diagnostics(BiomeDx) は、ヒトの腸内マイクロバイオームの解析と解釈を専門としているスタートアップだ。現在、同社は、個々の患者の腸内マイクロバイオームのシグネチャーに基づき、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)に対する反応/非反応の診断分析の開発に注力している。これにより、がん専門医は、がん免疫療法の効果や副作用の可能性を治療開始前に予測することが可能になる。同時に、この解析により、より多くの患者が効果的で安全な免疫チェックポイント阻害剤治療を受けられるようになる。

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同社もともと、myBioma という名前で腸内細菌解析をライフスタイル製品としてスタートしたが、その後、腸内細菌を解析することで、特定のがん治療が患者に効くかどうかを予測する、がん治療における医療製品の開発へとピボットした。2022年までに、すでに2万件以上の腸内細菌プロファイルのデータセットを解析しており。がん免疫療法に対する奏効・非奏効の確率に関するデータの解析精度は、現在81%以上だ。1回の検便だけで、予定されている免疫療法への反応性が判断できる手軽さから、注目を集めている。

GATACA(スペイン・マドリード)

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分散型金融サービス(DeFi)の効率を最大化し、オンライン詐欺やテロを減らすためには KYC が必要だが、多くの仮想通貨取引所が採用している方法は、住所証明や個人識別書類など、非常に機密性の高いデータを要求し、そのデータは彼らのデータベースに保存されている。この課題を解決するのに必要なのは、自己主権型(self-sovereign) ID 技術を用いた分散型 KYC モデルだ。GATACA は MIT 生まれのサイバーセキュリティ企業で、高速でコンプライアンスに優れた安全な分散型 ID 管理技術を開発した。

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インターネット標準とポスト量子暗号を分散型アーキテクチャで組み合わせ、パスワードが無くても、安全にプライバシー保護されたデジタルサービスへのアクセスを可能にする。また、ID 詐欺のリスクを軽減し、KYC や GDPR への準拠コストを削減可能な、ユーザフレンドリーな ID ソリューションを提供する。同社の分散型アイデンティティプラットフォームには、消費者向けモバイル ID ウォレット、Trusted Authority 向けクレデンシャル発行ツール、企業向けシングルサインオン認証ツールなどがある。

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