イノベーションで10億人の生活を変えるーーU25起業家に聞く「起業・新基準」/AR・ペチャバト提供、Graffity,Inc. 森本氏

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本稿は世界のスタートアップシーンを伝える起業家コミュニティFreaks.iD編集部との連動記事。若手起業家の集まるCxO Night、4月テーマは「イグジット」。参加者の事前登録募集中

20代起業家を対象に、彼らが考える新しいスタートアップのあり方を聞き出すインタビューシリーズ、初回のタイミー代表取締役の小川嶺さんに続いて登場してくれたのは、ARシューティング「ペチャバト」が好調のGraffity代表取締役、森本俊亨さん。

今回もUpstart Ventures、上杉修平さんにインタビュワーとして参加してもらいます(太字の質問は全て上杉氏。執筆・編集:平野武士)。

森本俊亨さん:独自のARCloud技術により空間を複数人で共有する体験を提供するGraffity Inc.代表取締役。スマホひとつで友人たちとARシューティングゲームができる「ペチャバト」をはじめ、ARビデオチャット、ARカメラ、ARアバターなどの拡張現実コミュニケーションサービスを展開中(Twitter:@ok_totti

AR領域でグローバルサービスを作る

U25中心に新しい世代の起業家の起業に関する考え方を聞いています。森本さんが手がけてるARは、ポケモンGOなどの影響もあって次の市場との期待も大きい領域ですよね。ここを選んだきっかけってどういうものだったんですか?

森本:元々AR領域で「2Cプロダクト」をグローバルで作りたいと考えていて、コミュニケーション、ゲーム、EC、検索という大きなテーマの中で検討していました。中でもコミュニケーションが若くて勝ちやすいと考えたのがここを手がけるきっかけですね。

前例が少ない分、事業仮説は難しかったのでは

森本:そうですね。これまで3つほどプロダクトを出しているのですが、当初、ARの共有体験は「対面でスマホをお互いに開きながら行うものではないか」という仮説を立てていたんです。

なるほど、共有だから複数人が参加する必要がある

森本:はい。しかし、友達と会ってる時にスマホをお互い開く時というものは今まであまりなく、強い動機が必要だなと感じたんです。そこで取り入れたのがゲーミフィケーションでした。そこで複数プロトタイプを作り、ユーザーヒアリングを通して「ARシューティングアプリだと対面でスマホをお互い開きながら使ってくれるな」と確信したんです。

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それでペチャバトが生まれた。森本さんはこれで何を実現したいんですか?

森本:今までのゲームってどちらかというと一人で遊べるものが多く、孤立しがちだったと思うんです。しかし、ペチャバトはフットサルのように友達と楽しみ動きながら遊ぶゲームです。同じゲームでも提供している価値が少し違うんですよね。だからこそ人と人と繋がり方に新しい形を作ることができると考えてます。

ARならではの世界観ですよね。現実を拡張して友人とコミュニケーションするきっかけを提供する。ただ、AR領域はまだ市場が立ち上がりの時期ですから、しんどい面もあると思います。森本さんが事業を続けられるモチベーションの源泉ってどこにあります?

森本:シンプルに歴史に名を残したいという思いが原動力です。

わかりやすいですね…。何を信じてやりきってます?

森本:実際に未来はこういう風になっているという確信があるだけです。自分はシンギュラリティが絶対に「くる」ということに人生を張っています。だからこそ、Moblile ARは確信しているし、それに対して今準備しています。

それと自分自身を洗脳する力がとても重要なのかなと。ただ一方で、自分だけを洗脳すればいいわけではなく、チームで一丸となって取り組まなければなりませんし、自分の器みたいなものを大きくして人間的にもっと成長したいと思っています。

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ブレない

森本:ビックバンから現在までの時間の中で、人間の人生は本当にチリみたいだなと思う時が多かったんです。だからこそ、何かに残ることがしたいという思いが強いんだと思います。

名前を残すにしても政治家とか色々選択肢あると思うんですが、何か原体験とかってあるんですか

森本:高校で生徒会長になった時のことです。その時はまさに高校に名前が残るという、ただその理由だけでした。でもですね、特に何もやったわけじゃない「生徒会長」という名前が残ることで逆に「何をやったか」で歴史に名を残したいと思えるようになったんです。

すごいロジックですね

森本:結果として大学に入る前に具体的に考え、ノーベル賞取るか、総理大臣になって日本を変えるか、起業家になり世界を変えるかという選択肢を考えて、一番身近だった起業家という道を選びました。

身近な方が事業されていたとかですか

森本:はい、親や親戚ですね。世界一の起業家になるという強い思いを固めて東京にやってきたのが2013年3月のことです。今でもその決意は変わってないです。

森本さんにはメンターいらっしゃるんですか?

森本:gumiの國光(宏尚)さんの影響は大きいです。常に業界の最前線に立ってゼロイチを立ち上げ続けているのは本当にすごい。最先端のテクノロジーを信じ、それを掛け合わせて2Cのプロダクトを作られてます。テクノロジーxコンシューマーに張っていて、実際に実行するところ、また、人を惹きつけるところ、ビジョナリーなところを本当に尊敬していますし、ロールモデルだと思っています。彼の背中で語るところや、一挙手一投足がとても勉強になっています。

同世代で気になる存在は

森本:志レベルで尊敬しているのはZEALSの清水(正大)さんです。日本をぶち上げると言って、本当にでかいところを目指しているのでよく話させてもらってます。あと、自分がTNK(東京大学の起業サークル)の代表だったこともあり、後輩で志高い人はもっと増やしていければと考えています。

イノベーションで10億人の生活を変える

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少し話を変えます。事業推進にあたってそれぞれロジックを組み立てると思うんですが、森本さんにとってのエグゼキューションの思考はどのようなものですか

森本:会社の理念として「イノベーションで10億人の生活を変える」というものを掲げています。この理念達成のためにはイノベーションを起こせる人が必要なんです。

イノベーターとは

森本:「テクノロジスト×プロデューサー」これが「イノベーター」だと考えています。

我々は馬で移動してた時代に車のようなツールを発明したいと思うのですが、絶対にユーザーにヒアリングしても車は発明できませんよね。

想像できないものは創造できない、という理屈ですね

森本:テクノロジーに詳しいテクノロジストだからこそ、テクノロジーを起点とした発想ではじめて車のようなものがアイディアとして出て、その時代のユーザーのニーズや文化に合った「車」というアイテムができたのだと思います。

我々が生み出した「ペチャバト」もまさにその過程で生まれ、世界で初めてマルチプレイで楽しめるARシューティングアプリという体験を作ったんです。

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本当にゼロイチをやる創造的な集団なんですね

森本:イーロン・マスク氏の言葉が好きで、彼は天才と凡人は紙一重だと言っていました。その中で、彼は二つ重要視しているものがあって、一つ目が原理原則上できるかできないかを判断しきれるかどうか。二つ目がそれを諦めずにできるかどうか。

見極めの方程式

森本:結局原理原則でできるとわかっているのであればそれをやりきることが重要です。SpaceXにあそこまで投資できているのは彼が原理原則城できると思っていて、あとはやりきるだけという状況になっているからです。

まあ、言われるとそうなんですが難しいですよね。。そういう意味で森本さんたちが考える事業の結果ってなんですか?

森本:目指すところとしては、大きく二つあって、一つ目はペチャバトを通して10億人の人に孤独感から解放し繋がりを感じてもらう社会にしていくこと。二つめはARのユースケースとなることで、ARに挑むスタートアップを増やし、ARイノベーションを加速させることです。

ARのユースケースは各社、まだ潜伏しながら事例を作っているような状況ですよね

森本:そうですね。まだAR領域でホームランアプリがない中、一つのユースケースを作っていくことがイノベーションを加速させるために求められると思います。そこにチャレンジする人は今でも少なく、我々がその一躍を担いたいと思っております。

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具体的にどれぐらいのタイミングで市場が見えてくるんですか?

森本:まずそもそもMobile ARというスマホでのAR体験ととスマートグラスなどのwearable ARの二つに分かれると思っています。MobileARがいつ立ち上がるかでいうと多分2020年頃。普及率はスマホユーザーの70%程度がAR使えるようになるのではないかと考えています。

Wearable Glassだと2020年頃に初代版が発表されるんじゃないかという噂が流れていますが、これが実現されるかどうかわかりません。また、みんなが想像するようなスマートグラスよりはGoogle glassの延長線上のようなもの、通知と映像は観れるけどAR体験ではないよねというものが来るのではと考えています。

なるほど

森本:もう一つあるのがヘッドマウントVRと呼ばれるもので、Oculus Questが発売されますが、これのARモードで空間認知ができるのでここの技術もあります。なのでWearable GlassとヘッドマウントARが徐々に普及していくことが予想されますが、これらが主流になるのは2025年くらいになるのではないかと。

ありがとうございます。森本さんたちもチームメンバー探しているんですよね

森本:ARならではの「In-GameやOut-Game」を発明したいなと考えており、共にこのミッションを達成したいUIデザイナーやUnityエンジニアを募集していますので、気軽にご連絡ください!

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