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航空券をダイナミックプライシングにする「Flyr」が1000万ドル調達ーーピーターティールなどが支援

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ピックアップ:Flyr raises $10 million for AI that helps airlines predict fares  ニュースサマリー:トラベルスタートアップの「Flyr」は6月25日、シリーズBにて1000万ドルの資金調達を実施したと発表した。同ラウンドには、既存投資家のピーターティール氏のほか、JetBlue Technology Ventures、AXA Stra…

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FLYR Co-Founder and CTO Alexander Mans presents in the 2018 ATPCO Bridge Labs Innovation Showcase

ピックアップ:Flyr raises $10 million for AI that helps airlines predict fares 

ニュースサマリー:トラベルスタートアップの「Flyr」は6月25日、シリーズBにて1000万ドルの資金調達を実施したと発表した。同ラウンドには、既存投資家のピーターティール氏のほか、JetBlue Technology Ventures、AXA Strategic Investors、Plug and Play、 Chasm Capital Management、Streamlined Ventures、 Western Technology Investmentが参加している。

同社は航空会社のオンライン予約サイト向けに機械学習を活用したダイナミックプライシングを可能とする「FusionFM」をSaaS型で提供している。同サービスを導入すれば、30以上もの航空会社における運行スケジュール、運賃体系、座席表・空席照会、競合他社の価格設定などのデータを標準化させ相互に関連付けることが可能になる。

また機械学習を利用し、顧客が航空券に合わせて付随する機内食やWi-Fiなどのプロダクト・サービスを購入させやすくなる価格設定やプロモーションなどを動的にバンドリングさせる機能も提供している。

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FLYR Co-Founder and CTO Alexander Mans presents in the 2018 ATPCO Bridge Labs Innovation Showcase

同社は近年まで、航空券をオンラインで販売する代理店(OTA)を対象に、航空券の価格を固定できるFareKeepという機能を提供していた。同サービスすればユーザーは、20ドル以上の手数料を支払うことで航空券の価格を1週間固定することが可能になるもの。仮に手数料以上の価格変動が発生した場合は、その価格で航空券を購入することが可能で、「航空券の保険」と称されていたが、サービスをピボットし、現サービスへとたどり着いた。

<参考記事>
商品選択の必要がない”事前予測時代”をどう生き抜く?ーー「航空券の保険」FLYRが採用する価格固定の方法(前編)

Flyrはこれまでにおよそ2500万ドルの資金を調達しており、社員数は85名に達する。

話題のポイン:機械学習を用いて、航空会社向けにダイナミックプライシングプラットフォームを提供しているFlyr。今回シリーズBにおける調達を最初に報じたトラベルスタートアップメディアKambrによれば、現段階において北米・東南アジア、中東、オーストラリアにおけるLCC・航空会社の計5社と契約を結んでいるとしています。また、2020年までにはこの倍となる10社との契約を目指していると述べています。

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FLYR

上図はFlyrプラットフォーム「FusionRM」におけるUIの一例です。航空会社におけるあらゆるデータを一カ所に収集して購買需要予想、価格の最適化、そして総合的なパフォーマンスレポートとアナリティクスを統合して進めることが可能になっています。

同プラットフォームの大きな特徴はパーソナライズ化が容易な点です。航空券購入の際に収集する個人情報(パスポート番号、氏名や国籍など)と顧客行動を直接的に結び付け価格設定や需要予想へ役立てるという仕組みです。

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FLYR

とはいえ、完全なパーソナライズ化を目指しているわけではないことをKambrのインタビューにて強調していました。

「隣の席に座っている2名同士が、同じ出発地点から目的地までに移動するのに違った価格設定を表示してしまうと航空ブランドとしての信頼を失ってしまう」。

このような事態に対応するべく、Flyrでは同じ条件で検索をかけた(例では20分間の差としていた)ユーザーに対しては事前に購入したユーザーに提示した価格条件をキャッシュとして返す仕組みを取っています。日本においても、日本航空とNECが共同で航空券の購入予想分析自動化に関する実証実験を2017年より開始しています

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商品選択の必要がない”事前予測時代”をどう生き抜く?ーー「航空券の保険」FLYRが採用する価格固定の方法(前編)

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コンサルティングファームAccentureが発表した資料によると、2020年以降に私たちは“ニルバーナ(安息の境地)”の境地に至るといいます。 ここでいうニルバーナとは、消費者が商品選択をする必要がなくなる“事前予測時代”の未来を指します。約5〜10年後にやってくる時代では、私たち消費者はショッピングリストを作る必要がなくなります。顧客が何かしらの商品やサービスを求める前に、欲しいモノが最適なタイ…

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コンサルティングファームAccentureが発表した資料によると、2020年以降に私たちは“ニルバーナ(安息の境地)”の境地に至るといいます。

ここでいうニルバーナとは、消費者が商品選択をする必要がなくなる“事前予測時代”の未来を指します。約5〜10年後にやってくる時代では、私たち消費者はショッピングリストを作る必要がなくなります。顧客が何かしらの商品やサービスを求める前に、欲しいモノが最適なタイミングで提案されるのです。

たとえば洋服レンタルサービスLeToteStitch Fixは、顧客がサービスを利用する度にファッションの趣向を学び、コンテンツを最適化していきます。こうしたパーソナライズ体験は、事前予測時代が到来する証左ともいえるでしょう。

このような事業者は行動と価格の2つの予測を常に考えて戦略を練っています。そこで本記事では、行動と価格予測をおこなっている企業事例を挙げつつ、私たちがこれから迎える事前予測時代について考察していきたいと思います。

事前予測時代で解析すべき2つのことーー行動と価格

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事前予測に対して非常に高い需要を持っているのが航空市場です。この分野で大きく活躍しているのがFLYR。著名投資家ピーター・ティール氏も出資している同社は2013年に創業され、累計資金調達額は1,530万ドルにのぼります。

FLYRは航空券をオンラインで販売する代理店に向けて、航空券の価格を固定できるFareKeepという機能を提供しています。同サービスを導入する代理店を利用する顧客は、20ドル以上の手数料を支払うことで航空券の価格を1週間固定できます。そして仮に手数料以上の価格変動が発生した場合もその価格で航空券を購入することが可能で、「航空券の保険」と称されています。

事業モデルはB2B2C。代理店は従来通り航空券のマージンから、FLYRは価格変動が発生しなかった場合の手数料から収益をあげます。

航空市場の最も厄介な点は、一定数のチケットを限られた時間のなかで、最大数売り切らなければならない点です。たとえばフライト2〜3日前に複数チケットのキャンセルが入り、空席が発生してしまう場合、大幅な値下げをしてでも航空券を売りさばきたいと考えるのが販売側の心理です。

しかし、想定価格より大幅な値下げをしてしまうと、差額分の収益を失う機会損失を抱えることになります。また、従来の手法ではキャンセルが発生することを想定して、定量以上の航空券を販売します。しかしこれではダブルブッキングというリスクも抱えてしまいます。

それでは、こうした売れ残りの課題に対して、FLYRはどのように取り組んでいるのでしょうか?その答えとして挙げられるのが、AIを使ったキャンセルの事前予測なのです。

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TechCrunchの記事によると、FLYRは過去の航空券の販売データだけでなく、顧客がいつ・なぜキャンセルをしたのか、購入後体験の解析にまで手を広げているといいます。

具体的な解析手順は公開されておらずここからは筆者の考察になりますが、代理店で購入する場合にはパスポート情報を含め、かなり詳細な顧客の属性データが収集できます。この顧客データと、キャンセルの発生事例を紐付けることで、どのような顧客がどのくらいの確率で、いつ航空券をキャンセルするのか事前予測できます。こうして、顧客の購入後体験をトラッキングすることでAIの精度を高めるのです。

キャンセル数の事前予測ができれば、仮に一定数以上の航空券を売り出したとしても余分に売り出すチケット数を決めることができ、ダブルブッキングも発生しません。常に需要と供給のバランスが取れた構図を描くことができるのです。後半ではこれからやってくる「事前予測時代」について考察を深めてみます。

via Accenture

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