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ライドシェア保険から紐解くインシュアテックの今(2/2)

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Directorの皆川朋子氏が共同執筆した。 コラボレーションの必要性 (前回からのつづき)ではこういった業界の大きな変化は誰が担うべきなのだろうか。 事例で挙げたBuckleはライドシェアに目をつけ、大手プラッ…

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Directorの皆川朋子氏が共同執筆した。

コラボレーションの必要性

「Insure as a Service」を展開するドイツのELEMENT

(前回からのつづき)ではこういった業界の大きな変化は誰が担うべきなのだろうか。

事例で挙げたBuckleはライドシェアに目をつけ、大手プラットフォームと保険企業も巻き込み事業拡大を目指している。大手はなぜここを総取りできなかったのか。

実は国内でも大手保険会社はすでにシェアリング向けのサービスを展開している。東京海上日動火災保険は2017年にいち早くシェアリング関連の自動車保険の販売を開始している。

他方、オンデマンドのような新しい業態の到来や、査定の自動化などにおけるビッグデータのリアルタイム活用には、従来の保険システムでは対応しきれない場合がほとんどだ。かといって重厚長大な既存システムを大幅に変更するには年単位の時間とコストがかかり、大手は機敏に動けない。例えば「スマホ対応」と言っても、簡単にできるようなものではないのだ。

こういった足回りの問題で単独での展開が難しい場合、やはり候補として挙がるのはコラボレーションの方向性になる。

例えば、グローバル・ブレインが支援するドイツの「ELEMENT」は保険サービスに必要な機能をモジュールのようにして提供する「Insure as a Service」を展開しているのだが、先頃、三井住友海上火災保険と提携したことを公表している。これにより今後、多様化する保険商品の開発を加速させる効果が期待されている。

今後を占うP2P保険

ライドシェア保険をきっかけに、インシュアテックにまつわる領域を説明してきた。最後にP2P保険についても言及しておきたい。

グローバルでは米Lemonade、中国アリババグループの相互宝、日本ではjustInCaseが展開している新しい保険のスキームだ。加入者の誰かが被保険者となった場合、加入者でそのリスクを分担する仕組みで、justInCaseのわりかん保険では、加入者の誰かががんになった時、契約者全員でその保険金を「わりかん」する。

justincaseの提供する「わりかん保険」

「わりかん保険」では、一般的な保険料の毎月・前払いではなく、前月にがんになった人の数で支払う金額がきまる仕組みで、対象者がいなければ保険料を支払う必要はない。今後もP2P保険のように、全く新しい形の保険サービスは増えてくるだろう。

ライドシェア保険から紐解くインシュアテックの今(1/2)

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Directorの皆川朋子氏が共同執筆した。 2019年にMcKinseyが発表したレポートによると、2012年以降のインシュアテック(保険テクノロジー領域)への合計投資額は100億ドルに上るという。また、Acc…

Photo by Andrea Piacquadio from Pexels

本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載。Universe編集部と同社のInvestment Group、Directorの皆川朋子氏が共同執筆した。

2019年にMcKinseyが発表したレポートによると、2012年以降のインシュアテック(保険テクノロジー領域)への合計投資額は100億ドルに上るという。また、Accentureの別レポートでは、86%の保険会社が競争力を維持するためにイノベーションを加速させる必要があると答え、87%がもはや業界は直線的ではなく指数関数的な成長を見せていると回答している。

保険業界を大きく変えるインシュアテックで今、何が起こっているのか。グローバル・ブレインでは国内P2P保険を手掛けるjustInCaseに昨年投資をしているが、この領域での知見をいくつかのポイントに整理してみたいと思う。

オンデマンド経済が変えた保険のあり方

昨今の保険業界に大きな影響をもたらすキーワードとして「オンデマンド経済」と「ビッグデータ」が挙げられる。まずはオンデマンド経済と保険の関係性から紐解いていきたい。

日本でUberEatsのようなオンデマンド配達サービスが流行っているように、スポットで短時間だけ働ける環境が整いつつある。すると、従来の保険とは違うスキームが必要とされてくる。世界的にはライドシェアが最たる例であろう。

8月に3,100万ドルの調達を発表した「Buckle」というスタートアップは、ライドシェアを利用するドライバー向けに保険を提供している。従来の保険会社が年齢や運転歴などの要素を考慮するのに対し、Buckleはライドシェアの評価なども考慮に入れて柔軟な保険プランを提案しているのが特徴だ。

シェアリング市場は日本でも様々な領域で広がっている。多数拠点の居住サービスや留学生向けの民泊、キャンピングカーやヨットといったものまでシェアの考えは浸透し始めている。

これは何を意味するのか。シェアは所有に比較して稼働する時間が少ない。一方、不特定多数が利用することのリスクも高まる。また、シェアというのはオンデマンドとセットになっている。つまり「より細分化された柔軟な保険」に対するニーズが高まっていた、ということが市場背景として考えられる。

ちなみに国内では、2006年に施行された少額短期保険(いわゆるミニ保険)によって、こういった新しい経済圏に対して保険が対応しやすくなったことも付け加えておく。

ビッグデータで変わる保険業界

justInCaseの「スマホ保険」はセンサーデータからスコアを算出

もうひとつの視点で重要なのがビッグデータの存在だ。保険とデータは相性がよい。

自動運転車に対して保険サービスを提供する「Avinew」もこのトレンドに合致するだろう。自動運転技術はデータの宝庫だ。どの道をどんな天候で選ぶのかによって事故の発生率が事前予測しやすくなった現代では、データで保険料を変動させることができる。

スマートフォンの保険を展開するjustInCaseの場合、スマホの各種センサーを活用したデータスコアリング(安全スコア)を計測している。ユーザーがどのような使い方をしているのかをデータから割り出し、より個人に最適化されたカタチの保険提案を実現している例だ。

また、医療・ヘルスケアデータの活用も注目される領域だ。従来の医療保険では基礎疾患や過去の疾病履歴により加入できない場合があるが、例えばウェアラブルデバイスを装着することで生体データを取得したり、食事内容をモニタリング・記録するなど、疾患を予防できる日々のエビデンスを得ることにより加入対象を拡大できる可能性が広がる。

もう一点、ビッグデータの活用と並び、保険業務そのもののデジタル化の影響も大きい。

例えば昨今発生した感染症拡大の問題で、変わらざるをえなかったのが対面契約のあり方だ。非対面での営業活動が長期化する中、テレビ電話やLINEなどのチャットで保険の説明を完結させる流れが徐々に生まれつつある。

海外の事例では火災保険なども、書類提出プロセスがデジタル化されていたり、衛星写真から家の写真を撮影して、その場で保険料を自動計算できたりと効率化が進んでいる例もある。

こういったプロセス自体の効率化においても、スタートアップ参入の間口が広がることもインシュアテックを語る上で重要な視点になろう。(次につづく)

 

PKSHA Technology Capital、アルゴリズムの設計や実装で投資先を支援する「​I​GNITE​」をローンチ

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<15日13時更新> 文中、「PKSHA SPARX アルゴリズム 1号」は、「PKSHA SPARX Asia Algorithm Fund 1号」をリブランドした同一のファンドであることが判明したため、該当箇所を修正。 アルゴリズムライセンス事業大手 PKSHA Technology (東証:3993)の投資子会社 PKSHA Technology Capital は15日、投資先のスタートア…

<15日13時更新> 文中、「PKSHA SPARX アルゴリズム 1号」は、「PKSHA SPARX Asia Algorithm Fund 1号」をリブランドした同一のファンドであることが判明したため、該当箇所を修正。

アルゴリズムライセンス事業大手 PKSHA Technology (東証:3993)の投資子会社 PKSHA Technology Capital は15日、投資先のスタートアップに対し、支援プログラム「IGNITE(イグナイト)」の提供を開始すると発表した。

PKSHA Technology では、現在のソフトウェアの大部分が帰納的推論能力をもつアルゴリズムを具備し知能化されたソフトウェアに置き換わっていくと考え、この流れをソフトウェアの AX 化(​Algorithm Transformation)と呼んでいる。IGNITE では、この AX 化支援を投資先のスタートアップに対して提供する。

具体的には、1. Algorithm の設計支援・技術アドバイス、2. PKSHA Algorithm Module(PKSHA Technology が技術開発・事業展開する Algorithm Module 群の総称)の提供、3. エンジニア出向による実装支援から、投資先スタートアップが求める形に応じて支援内容を構成する。

AX(​Algorithm Transformation)の概念
Image credit: PKSHA Technology Capital

なお、これら支援内容のうち、PKSHA Technology のアルゴリズムの IP(知的所有権)については PKSHA Technology が保持し続け、設計支援・技術アドバイス・実装支援などの役務については、実費・提供原価のみ投資先スタートアップの負担となる。PKSHA Technology Capital では利益の発生は考えておらず、費用については相手先企業によりケースバイケースで対応するとした。

PKSHA Technology はスパークス・グループ(東証:8739)と、ファンド「PKSHA SPARX Asia Algorithm Fund 1号」PKSHA SPARX アルゴリズム 1号」をそれぞれ2018年と2019年に設立(設立当時は PKSHA SPARX Asia Algorithm Fund 1号)、PKSHA Technology Capital と スパークス・AI & テクノロジーズ・インベストメントが運用している。公開されているポートフォリオ(投資先スタートアップ)は日本内外で21社。

IGNITE が開始する前ではあるが、PKSHA Technology Capital ではこれまでに投資先スタートアップに AX 化支援が提供された事例として、理系学生人材DB「LabBase(ラボベース)」を運営する POL に知能化技術の活用推進、M&A プラットフォーム運営のM&A 総合研究所にはマッチングやオペレーション面でのアルゴリズムやテクノロジーの活用、就活クチコミサイト運営のワンキャリアには行動データ蓄積・解析による最適なマッチングなどを挙げている。

PKSHA Technology Capital の投資チーム。左から:海老原秀幸氏、板谷俊輔氏、胡騰騏氏。
Image credit: PKSHA Technology Capital

IGNITE は、PKSHA Technology Capital 投資チームの3人や、PKSHA Technology の社員らを中心に提供される予定。IGNITE がどのように活用されることを期待しているかとの問いに、PKSHA Technology Capital パートナーの海老原秀幸氏は次のように答えてくれた。

スタートアップでは、アルゴリズム設計や実装のエンジニアは常時必要とは限らない。フロントエンドやバックエンドのエンジニアは常に必要かもしれないが、例えば、サービスの立ち上げ期やバージョンアップをするときに、オンデマンド的に PKSHA が手伝う、という形が期待できる。

アルゴリズム設計や実装ができるエンジニアは市場における人数も限られ、雇用コストも安くないことから、全てのスタートアップが容易に確保できるとは限らない。スタートアップが社内に置けないリソースを、必要に応じて PKSHA Technology が他の知財アセットと共に投資先に貸し出す、というスキームを標準化したのは興味深い。

PKSHA Technology Capital が運用するファンドは、PKSHA Technology からのみならず、外部 LP からの資金も運用している点で CVC よりも VC に近い位置づけにあるが、一方で、PKSHA Technology のリソースやアセットも活用できる点で、LP にも投資先スタートアップにもメリットがある。VC や CVC 各社では、特徴的なスタートアップ支援の提供が顕在化しつつある。

台湾発のビッグデータ企業Vpon(威朋)、シリーズCで42億円相当を調達——クールジャパン、韓国STIC、BEENOS、香港Triplabsから

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<ピックアップ> 獲12億元C輪融資!Vpon如何打造日港韓爭搶的數據技術?  台湾発のビッグデータ企業 Vpon(威朋)は9日、シリーズ C ラウンドで12億ニュー台湾ドル(約42億円)を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、日本政府系のクールジャパン機構、韓国政府系の STIC Investments、日本の BEENOS(東証:3328)、香港の WWPKG(縱橫遊、香港証…

Vpon(威朋)の皆さん
Image credit: Vpon(威朋)

<ピックアップ> 獲12億元C輪融資!Vpon如何打造日港韓爭搶的數據技術? 

台湾発のビッグデータ企業 Vpon(威朋)は9日、シリーズ C ラウンドで12億ニュー台湾ドル(約42億円)を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、日本政府系のクールジャパン機構、韓国政府系の STIC Investments、日本の BEENOS(東証:3328)、香港の WWPKG(縱橫遊、香港証取:8069)および CTEH(加達、香港証取:1620)が出資する旅行関連投資会社 Triplabs。

これは、Vpon にとって、2011年6月に実施したシリーズ A ラウンド(700万米ドルを調達)、2014年7月に実施したシリーズ B ラウンド(1,000万米ドルを調達)に続くものだ。今回のラウンドを受けて、累積調達金額は60億円相当以上に達したとみられる。また同社は今年7月、元台湾国家発展委員会大臣の陳美齢氏をビジネスアドバイザーに迎えている。

Vpon はデータマイニングとデータ分析のソリューションに特化。創業からの12年間でアジア太平洋地域の7つの主要都市進出し、現地企業や多国籍企業、政府機関など1,500社以上を顧客に擁する。2018年に日本政府観光局との戦略的提携を発表、2020年の東京オリンピック(発表当時のスケジュール)までに4,000万人、2030年までにインバウンド観光客を6,000万人を目指す同局を支援している。

Vpon は今回のラウンドにより、世界トップレベルの AI 人材の採用や研究開発を含めたデータ事業のさらなる拡大、そしてアジアを代表する世界標準のデータ企業を目指すとしている。

via BNext(数位時代)

農作物の生育状況はAIで予測、アグリテック「Taranis」に日本企業も注目

ピックアップ:Taranis eyes Asia expansion after raising $30m from Vertex, others ニュースサマリー:アグリテック・スタートアップのTaranisは8月4日、シリーズCラウンドで3,000万米ドルを調達したと発表している。リード投資家はシンガポールのK3 Venturesで、Vertex GrowthやKuokグループのOrion F…

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Taranisウェブサイト

ピックアップ:Taranis eyes Asia expansion after raising $30m from Vertex, others

ニュースサマリー:アグリテック・スタートアップのTaranisは8月4日、シリーズCラウンドで3,000万米ドルを調達したと発表している。リード投資家はシンガポールのK3 Venturesで、Vertex GrowthやKuokグループのOrion Fund、日立製作所のCVC子会社「ヒタチベンチャーズ」や三菱UFJキャピタルなども同ラウンドに参加している。

同社はイスラエルのテルアビブを拠点とし、すでに南北アメリカやオーストラリアなどでサービスを展開している。調達した資金は今アジアでの事業展開などに利用されるという。

重要なポイント:アジアは世界の農地面積において約23%を占めており、食糧生産量の60%を生産している。

詳細情報:Taranisは航空写真とAIを組み合わせ、対象となる農地と作物の高精細画像を元に診断を行うのが特徴。農作物の生育状況や農地の状態などを監視し分析、収穫量に影響が出ないよう農作業についてのアドバイスやトラブルへの対処法などを提供している。

  • Taranisはシードラウンドで200万米ドル、シリーズAラウンドで750万米ドル、シリーズBラウンドで2,000万米ドルの資金を調達しており、今回の調達により資金調達の合計額は6,000万ドル近くとなった。
  • 同社は既に北米・南米アメリカ、ロシア、ウクライナ、オーストラリアでサービスを展開し、約1万9,000人の顧客を抱えている。現在は主要な作物としてトウモロコシ、大豆、サトウキビ、綿花畑へのサービスを提供している。アジア展開に合わせ今後は米、小麦などの作物も積極的に取り扱っていく予定。
  • アジア参入の第一歩として既にインドネシアではサトウキビ畑でのパイロットテストを完了している。また、タイ、フィリピンへの進出も計画しているほか、パプアニューギニアなどオセアニア地域への事業展開の可能性も示唆している。
  • 同社サービスは、UHRとAI2と呼ばれる軍事光学と機械学習を組み合わせた高精細画像に関する独自技術をサービスの核としている。
  • UHR(ULTRA-HIGH RESOLUTION)は、樹木単位で注意が必要な箇所を特定するための8cmサイズのフィールド全体画像。いくつかに分割して撮影された農地の画像をアルゴリズムを使用してつなぎ合わせ、1枚のフィールド画像を生成する。
  • AI2は、1ピクセルあたり0.3〜0.5 mmの画像解像度で、農作物の葉一枚一枚や葉の上にいる虫を識別可能な画像を航空機とドローンを使用して撮影する。モーション補正技術を駆使し、航空機から低高度(約10〜30m)に焦点の合った画像の撮影が可能。100エーカー(約40ヘクタール)分の画像を6分間で撮影する。
  • UHRによるフィールド全体の画像とAI2による細部の画像データを使い、60名以上の農学者が100万例以上の学習データを用いてAIの最適化を図る。作物の生育状態における異常性や害虫の検知、農地の状態把握などを行う。また、気象情報や大気環境状況などのモニタリングデータも活用し、各農作業に最適なタイミングをアドバイスすることが可能。収穫減に繋がる予兆を検知した際には注意や対処法などの情報も提供される。
  • これらの情報は全てウェブ上にあるダッシュボードにまとめられており、ユーザーはいつでも確認することができる。その他、農学者への作物に関する相談やカスタマーサービスへの問い合わせも24時間対応で受け付けている。

執筆:椛澤かおり/編集:岩切絹代・増渕大志

東京大発・生産現場の自動化に挑戦するDeepXが16億円調達

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AI技術開発のDeepXは7月31日、スパークス・グループ(未来創生2号ファンド)、フジタ、SBIインベストメント、経営共創基盤を引受先とする第三者割当増資を公表している。調達した資金は16億円で、出資比率や払込日などの詳細は非公開。 同社は東京大学松尾研究室を出自とするスタートアップで、2016年4月に創業。「あらゆる機械位の自動化」の実現を目標に、各業界ごとに適したソリューションを開発・提供。…

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DeepXウェブサイト

AI技術開発のDeepXは7月31日、スパークス・グループ(未来創生2号ファンド)、フジタ、SBIインベストメント、経営共創基盤を引受先とする第三者割当増資を公表している。調達した資金は16億円で、出資比率や払込日などの詳細は非公開。

同社は東京大学松尾研究室を出自とするスタートアップで、2016年4月に創業。「あらゆる機械位の自動化」の実現を目標に、各業界ごとに適したソリューションを開発・提供。さまざまな機械や現場作業の自動化に向け、汎用的なAI技術の開発を手掛けてきた。具体的な領域テーマとしては土木建設、食品加工、製造、港湾、農業等があり、これら産業の現場課題を個々に分析し産業用ロボットから重機までの自動化に取り組んでいる。

今回調達した資金は、建機自動化や工場内作業自動化、自動化モジュール提供等の事業化加速、エンジニアや計算資源に用いられる。特に、認識技術や制御技術の少数データでの開発可能性や実空間での頑健性、汎用性、説明可能性等を追求していくとしている。

現在進行形のユースケースには、今回出資したゼネコンのフジタと協業する「油圧ショベル自動化AIプロジェクト」や、組み合わせ計量システムの食品生産ライン機械メーカーのイシダと手掛ける「パスタを定量で盛りつけるロボット」などがある

via PR TIMES

陸上養殖の普及と共に増す、IT活用の「スマート漁業」の可能性

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ピックアップ:AKVA group ASA: Potential new land based project ニュースサマリー:ノルウェー拠点のAquacon社は、米国における陸上養殖事業の展開にあたり養殖機器の総合サプライヤーAKVAグループとのパートナシップを発表した。養殖機器や開発リソースの提供面での協業が期待されており、メリーランド州にて1万5000トンのサーモン陸上養殖が計画されている…

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Photo by mali maeder on Pexels.com

ピックアップ:AKVA group ASA: Potential new land based project

ニュースサマリー:ノルウェー拠点のAquacon社は、米国における陸上養殖事業の展開にあたり養殖機器の総合サプライヤーAKVAグループとのパートナシップを発表した。養殖機器や開発リソースの提供面での協業が期待されており、メリーランド州にて1万5000トンのサーモン陸上養殖が計画されている。

重要なポイント:日本の養殖産業が1990年代を境に横ばいになりここ10年は落ち込む一方、ノルウェーでは1980年代から毎年2桁を超える高い成長率で成長し2011年には日本の生産量を上回っている。これを支えるのがスマート漁業テクノロジーだ。スマート漁業のリーディングカンパニーのひとつであるAKVAグループとAquaconが、陸上養殖の大型施設設置を共同で推進することにより、陸上養殖を始めとした次世代型の養殖技術の社会実装を推進する起爆剤となりうる。

詳細情報:急成長するノルウェーの養殖産業を支えるAKVAグループは、自社内にソフトウェア部門を抱えているのが特徴。給餌システムのようなハードウェアに加え、養殖魚の管理や養殖施設の管理を行うソフトウェアの開発と販売を行う養殖機器の総合サプライヤーとしての活躍も見受けられる。

  • 主なプロダクトには、データに基づいた最適な給餌量の提案や環境調査データの管理を行うFishtalk Control、養殖生産現場の機器を制御するためのAKVA connectなどが挙げられる。
  • 国内にも、IT技術を活用したスマート漁業のプレイヤーは年々登場している。KDDIやNTTドコモのような大手通信事業者を始め、ウミトロンFRDジャパンオプティムなどのスタートアップが挙げられ、流通面での企業としてはUUUOなどが挙げられる。
  • KDDIでは、IoTセンサーを活用し、水温・酸素濃度、塩分などの環境データを自動測定することで、無線通信回線を活用しクラウド上にデータを可視化&蓄積させ鯖の養殖事業効率化を目指す取り組みを行っている。また、ドローンを活用した早期の赤潮検知でマグロ養殖漁業者の負担と作業効率化を目指す取り組みなどが推進されている。
  • NTTドコモでは、ITスタートアップのアンデックスと協業し、カキ養殖における水温センサ付きブイを設置し、アプリ開発はアンデックス、通信モジュール部とクラウドサーバー管理はドコモが行うプロジェクトを実施。双日やISIDとのマグロ養殖事業におけるIoTやAI活用の実証実験を行うなど、他社との協業を積極的に進めている。
  • 一方、スタートアップのウミトロンでは、スマート給餌機や世界初のリアルタイム魚群食欲判定などの海中におけるスマート漁業ソリューションを提供する。また、小型衛星を2022年度に打ち上げ、養殖業における衛星データ活用を推進していくことも発表するなど、地上と宇宙の両方からのビジネスを推進している点で注目を集める。
  • 陸上養殖の国内企業としてはFRDジャパンが挙げられ、同社の閉鎖循環式陸上養殖システムでは、天然海水や地下水を使用せず、水道水を100%循環させながら水産養殖を行うことが可能。

背景:国内の養殖産業が停滞する一方で、スマート水産や陸上養殖を含めた次世代型養殖技術の市場規模は右肩上がりの成長の予測がなされており、今後より一層活況となっていくとみられる。

執筆:國生啓佑/編集:増渕大志

位置情報をAIで解析、Location AI Platform開発に東京理科大学が2.2億円出資

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位置情報ビッグデータをAIが解析するプラットフォーム「 Location AI Platform(LAP)」を開発・提供するクロスロケーションズは7月14日、東京理科大学ベンチャーファンドを引受先とした第三者割当増資で2億2000万円を調達したことを公表している。調達した資金は位置情報データ解析技術LAPの高度化や、市場投入の資金に充てる。 合わせて、LAPの位置情報ビッグデータ解析機能である「人…

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クロスロケーションズ・ウェブサイト

位置情報ビッグデータをAIが解析するプラットフォーム「 Location AI Platform(LAP)」を開発・提供するクロスロケーションズは7月14日、東京理科大学ベンチャーファンドを引受先とした第三者割当増資で2億2000万円を調達したことを公表している。調達した資金は位置情報データ解析技術LAPの高度化や、市場投入の資金に充てる。

合わせて、LAPの位置情報ビッグデータ解析機能である「人流モニタリング」や「商圏分析」などの各機能のウィジェット化と、それらを自由に組み合わせて1つのユーザーインターフェースとして把握できる「LAP ダッシュボード」機能の公開も伝えている。さらに、LAPの各機能の解析結果をすぐにマーケティング活動にて活用できる「XL ロケーションベースアンケート」やSNS広告も出稿可能な「XL ロケーションベース広告」の提供も開始している。

同社の開発するLAPは、AIが位置情報ビッグデータから消費者行動の分析・見える化を行った上で、エリアマーケティングの実施と効果測定を一気通貫で実行できるプラットフォーム。毎日更新される位置情報ビッグデータから読み取れる市場変化および消費者行動変化を捉え、部門ごと・業務ごとに1つのユーザーインターフェースで把握・確認できる。

via PR TIMES

ドローンとAIで建物診断、ドローンパイロットエージェンシーがCACなどから1億円調達

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ドローンを活用した画像分析サービスを提供するドローンパイロットエージェンシーは7月14日、カクイチとサイバーエージェント・キャピタルを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は1億円で出資比率などの詳細は非公開。調達した資金で人材の採用およびサービスの機能強化を進める。また、出資したカクイチとはAI画像分析技術を活用した新事業の検討も開始する。 ドローンパイロットエージェンシー…

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ドローンパイロットエージェンシーウェブサイト

ドローンを活用した画像分析サービスを提供するドローンパイロットエージェンシーは7月14日、カクイチとサイバーエージェント・キャピタルを引受先とする第三者割当増資の実施を公表している。調達した資金は1億円で出資比率などの詳細は非公開。調達した資金で人材の採用およびサービスの機能強化を進める。また、出資したカクイチとはAI画像分析技術を活用した新事業の検討も開始する。

ドローンパイロットエージェンシーが開発する「AI建物劣化診断サービス」は、建物の外壁をドローンで撮影し、その動画よ読み込むことで亀裂箇所を自動で検出してくれる。今後開発を進めて、外壁の浮きなどの状況にも対応する予定。同社の設立は2018年11月。これまでにも同様の方法で、人が検査しにくい高所や狭所にある構造物の劣化箇所を特定するサービスを提供している。

via PR TIMES

米空軍も注目、広がる「宇宙データビジネス」

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  ピックアップ:US Air Force Selects Orbital Insight as Big Bet and Awards Strategic Financing SBIR Phase II Contract ニュースサマリー:宇宙AIスタートアップOrbital Insightは今年4月、米空軍(USAF)と衛星画像やIoTデバイスなどの複数地理空間データソースを活用したビ…

 

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Photo by Rakicevic Nenad on Pexels.com

ピックアップ:US Air Force Selects Orbital Insight as Big Bet and Awards Strategic Financing SBIR Phase II Contract

ニュースサマリー:宇宙AIスタートアップOrbital Insightは今年4月、米空軍(USAF)と衛星画像やIoTデバイスなどの複数地理空間データソースを活用したビッグデータ解析を共同で実施することを発表している。今回実施されるプログラムでは、Orbital Insightを含む21社の小規模事業者に約5億5000万米ドルの契約が締結されることになる。

今回Orbital Insightが参加するプログラムは、米空軍の「中小企業イノベーション研究プログラム&中小企業技術移転プログラム(SBIR/STTR)」「社内インキュベーター(AFWERX)」「M&A部門」の共同事業であり、インキュベーション活動の一環である。

重要なポイント:衛星画像データの活用による、今までになかった視点でのインサイトが今後の宇宙データビジネスでは期待されている。特にAIを活用した分析を実施するOrbital Insightのような事業者は、政府機関とのパートナーシップも盛んになるかもしれない。

詳細情報:宇宙データビジネスとは、衛星画像などのリモートセンシング(遠く離れたところから対象物に触れることなく、対象物の種類や形状、性質等の情報を得る技術)データを活用したビジネスを指す。

  • Orbital Insightは、衛星画像を活用して原油の埋蔵量の予測や経済成長の予測といった、新たな視点での地理空間データ分析のサービスを提供している。日本にも支社を置き、東京海上日動火災保険などにサービスを提供している。
  • その他の主要プレーヤーには、米国を拠点とするSpaceKnowが挙げられる。同社は、中国サテライト製造業指数(SMI)を立ち上げ、複数の商用衛星が撮影した写真を分析することで中国経済の実態に迫る取り組みを行っている。

背景:この宇宙データビジネスの背景には、インターステラテクノロジズアクセルスペースのような超小型衛星周りのプレイヤー増加が挙げられる。基幹ロケットH-IIAの開発費が1500億円、ひまわりのような大型の人工衛星は数百億円という額に対して、NECが開発した小型地球衛星ASNAROは50億円と、大幅にコストを抑えられることから急速に商用利用が進む可能性がある。

さくらインターネットのように、商用の衛星画像プラットフォームを無償で提供し、日本における宇宙データビジネスを後押しするような企業も市場に大きく貢献している。

宇宙データビジネスの一部である商用の衛星画像市場だけを見ても、2019年の23億7500万米ドルから2025年にかけて45億6200万米ドルへと成長する予測もある。日本国内でも宇宙機器産業が2030年代初期で6000〜7000億円の市場規模の予測であるのに対して、宇宙データビジネスが1兆7000億円~1兆8000億円となると予測される、非常に大きなマーケットでもある。

執筆:國生啓佑/編集:増渕大志