MBOは「相当気合を入れてやる」証ーーLayerXが独立、その決断の背景を聞く【福島氏・竹谷氏インタビュー】

by Takeshi Hirano Takeshi Hirano on 2019.7.13

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ニュースサマリ:Gunosyは7月12日、連結子会社「LayerX」の一部株式譲渡の合意を公表した。Gunosyが保有する同社株式の5000株の内4500株をGunosy創業者で取締役の福島良典氏に譲渡するもの。1株あたりの価格は3万円で、GunosyによるLayerXの株式保有率は50%から5%に引き下げられる。譲渡契約締結日は2019年8月23日付を予定し、LayerXは2020年5月期から連結対象外となる。

ブロックチェーン開発・コンサルティングを手がけるLayerXの設立は2018年8月。GunosyとAnyPayによる合弁会社で、両社が50%ずつを出資し福島氏が代表取締役社長に就任していた。今回の譲渡は福島氏によるMBO(マネジメント・バイアウト、経営陣による買収)で残りのAnyPay保有株式についてもLayerX経営陣による買取を予定している。

なお、福島氏は2019年8月に開催予定の定時株主総会でGunosyの取締役を退任し、特別技術顧問に就任する予定。LayerXの2019年3月期決算状況は売上高1億400万円で営業利益100万円、純利益は0円となっている。

話題のポイント:Gunosyという挑戦のストーリーが始まったのは2012年。学生起業、エンジェル投資、人工知能、ニュースキュレーション。2010年以降に勃興した日本におけるスタートアップ・エコシステムそのものを体現してきたような、そんな存在です。

<参考記事>

そのGunosyが上場以降で最も大きく動いたのがLayerXの合弁設立です。ブロックチェーン技術をベースとした「新しい権利と承認」による経済圏づくりは、ビットコインの熱狂と共にこのまま大きく幕開けするかに思われました。

<参考記事>

しかし現実はその逆で、一時200万円以上もの値がついてしまった市場は大きく崩れ、相次ぐ取引所への不正アクセスなど、人々の期待は急速に冷めていくことになります。

本稿ではLayerX代表取締役社長で、今回MBOすることになった福島氏と、Gunosy代表取締役の竹谷祐哉氏にインタビューを実施し、今後のGunosyとの関係やLayerXの展望、MBOとなったその背景などについて伺ってきました(太字の質問は全て筆者)。

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MBOを発表した。まず、合弁で設立したAnyPay側の保有株式の扱いはどのようになる

福島:AnyPayからも株式を買い取る予定ですが、ともに設立したパートナーで、設立時からオフィスや人の派遣、事業のサポートなどお世話になったので大変感謝してます。引き続き提携できる領域や事業があれば、一緒に取り組みたいと考えています(※)。

※記事初出時に福島さんのコメントの一部に記載漏れがありました。修正してお詫び申し上げます。

合弁創業から約1年、早々の独立となった。検討を開始したのは

福島:現経営陣に相談し始めたのは、今年に入ってからくらいです。

合弁創業から相当早い段階で話を開始しているが、改めて独立の背景について聞きたい

福島:昨年8月にGunosyは代表交代をし、私は将来の主力事業になるべくブロックチェーン事業に集中するようになりました。1年間ブロックチェーン事業をやって率直に思った感想は『これは相当時間が掛かるな』というものです。

LayerX社は比較的ビジネスの見込みが立ちやすいコンサルティング業から入った。3月期決算も売上1億円ながら赤字にはしなかった。それでも見通し不良と判断した

福島:(創業)当初はブロックチェーン市場が盛り上がってましたが、この一年間淘汰が進み、簡単には稼げない領域になっています。

一方、Gunosyは本業の再成長のためにしっかりと踏み込み、より大きな会社になろうというチャレンジをしています。そういった状況の中で、周囲の競合企業は大胆なリスクテイクなどの機動的に柔軟な意思決定をして劇的な市場変化へ対応しようとしています。会社として成長させていくためには、LayerXもMBOを通じて機動的に柔軟な意思決定ができる体制にしていくべきだと考えるようになった、というのが経緯です。

昨日開示となったGunosyの決算、手応えについて聞きたい

竹谷:Gunosyのメディア再成長は2019年5月期下期で確認することができた、というのがまずあります。広告宣伝費を積極的に投入したことにより、前年Q4との比較では営業利益は減益となりましたが、通期比較では増収増益を達成することができました。計画に対してもQ4の売上は約2.5億円、営業利益も約2億円の上振れとなります。また、全メディアでのアクティブユーザーも昨年比で30%以上成長するなど、事業として大きな成長を達成している状況です。

要因は

竹谷:Gunosy Adsのアルゴリズム改善、動画等の新規コンテンツ拡充とクーポン訴求のユーザー獲得が奏功したことが一点あります。またグノシーメディアにおけるMAUはQ4で過去最高値を記録し、またGunosy Adsの売上も過去最高値を記録しています。

Gunosy本体としては引き続きメディア中心の成長戦略を続ける

竹谷:そうなります。2020年5月期はさらなる成長に向けた投資フェーズと位置づけ、主力メディアの「グノシー」に積極的に投資を実施し、一時的な減益を見込むものの、2021年5月期で大幅な増収増益を見込んでいます。「ニュースパス」「LUCRA」などの既存メディアも順調に成長していますし、引き続きメディア事業を中心とした成長戦略を続ける予定です。

Gunosyのこういった見通しの中で、LayerXをどのように位置付ける

竹谷:福島も指摘した通り、ブロックチェーン領域の市場環境はわずか1年足らずの間に劇的に変化し、厳しさと不透明さが増しました。ここには時間が必要です。

ブロックチェーン領域とGunosy本業とのシナジーを短期的に見出すのが難しい中で、Gunosyとしても今回のMBOにより、LayerXがブロックチェーン領域のリーディングカンパニーとしての地位を確立することがより中長期的に期待される事業シナジーの実現と、保有する対象会社の株式価値の最大化につながると考えています。

Gunosyは引き続き株を保有し続ける

福島:はい。開示の通り、一部の株についてはGunosyには引き続き保有してもらうことになってますので、将来LayerX社が大きくなった時のために、Gunosyとは引き続き関係性は続いていくことになります。

竹谷:将来的なブロックチェーン領域には可能性を感じているので、引き続きLayerXとの協業の可能性などは福島と模索し続けます。

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お二人は共に時折立場を入れ替えてGunosyの成長を支えてきた。福島さんがGunosyの取締役を降りるのは不透明な先行きの中で、LayerXへの強いコミットが必要になったからという認識だが

福島:実は、現取締役陣からは引き続き取締役として残る形はありえないかという相談を受けていました。私の方でそれも熟慮したのですが、今回は特別技術顧問という形でサポートする形にして欲しいと。

Gunosyは自分でつくった会社ですし、現取締役陣や社員の皆とは苦楽を共にし、大好きな尊敬できる仲間であるという思いは変わりません。Gunosyへの思いは一切薄れていないので何かしら引き続き貢献できる形はないかという相談をしていました。

なるほど

福島:一方、今回のMBOに際して、LayerXの事業自体決して順風満帆というわけではなく、相当気合を入れてやらないといけないのは間違いないと思っています。

中途半端なコミットメントはすべきでない一方で、Gunosyのテクノロジーカンパニーとしての意思決定や文化づくりに関してはまだ役に立てると思う部分もあり、いろいろ悩んだ結果、このような形で関わらせてもらうことになりました。

竹谷:個人としては共に過ごしてきた仲間ですので正直寂しさはあります。ただ、Gunosyとしても福島のチャレンジをこのような形で応援しようと。

ありがとうございました

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