「Takeoff Tokyo」開催まであと2日、世界中から多くの起業家・投資家が集結する理由をアンティに聞いた

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昨年の Takeoff Tokyo 2023 を運営した、Takeoff Tokyo 運営チームのコアメンバーとボランティアの皆さん。最前列右端から2人目が Antti Sonninen 氏。
Image credit: Takeoff Tokyo

昨年、国際カンファレンス「SLUSH TOKYO(当初は SLUSH ASIA)」の CEO、それ以前は Angry Birds で知られる Rovio Entertainment の日本カントリーマネージャーを務めた Antti Sonninen 氏らが、Takeoff Tokyo なるスタートアップイベント&コミュニティを開催したことはお伝えした

東京で初めての SLUSH ASIA が開催されたのは2015年で、あれからまもなく9年の月日が経過しようとしている。当時の SLUSH ASIA の運営に関わった多くの学生たちは、その後、起業したりスタートアップに就職したりして、それぞれの立場で活躍しているが、その流れを汲む Takeoff Tokyo の運営チームにはまた新たな若い顔ぶれが揃い、Sonninen 氏を含め、11人のチームが出来上がった。

昨年は準備期間が短かったのが課題でしたが、それでも800人が参加してくれました。今年は11人のコアメンバーで1年がかりで準備を進めています。国内外から優秀なスタートアップを招待し、より質の高いプログラムを用意しています。(Sonninen 氏)

このイベントのプログラムの一つが、グローバルなピッチコンテストだ。世界の有力スタートアップがピッチでしのぎを削る。Sonninen 氏 は「世界最高峰のスタートアップにたじろがないよう、日本のスタートアップもそのレベルへとプッシュしたい」と意気込む。全国でスタートアップイベントが増える中、今、なぜ、Takeoff Tokyo なのか。改めて聞いてみた。

100兆円企業はほとんどがアメリカにあります。しかし、なぜ日本に100兆円企業が生まれないのでしょうか。世界市場を席巻する意欲と行動力、そして機会がなければ実現は難しいはずです。Takeoff Tokyo では、世界的野心、タレント、ファンディングが集まる場を作ろうとしていて、特に、その野心を育てる場を作ることに使命感を感じています。(Sonninen 氏)

Sonnninen 氏は、日本のスタートアップがその内向きな姿勢を改める必要があると説く。長らく内需市場に安住してきた企業が多かったが、グローバル化が避けられない現在、世界を視野に入れたビジネスモデルが求められる。そこで重要になるのが、海外の投資家との接点を設けることだ。

Takeoff Tokyo 2024 運営チームのコアメンバー総勢11人。イベント当日は彼らに加え、ボランティアスタッフが運営を支援する。
Image credit: Takeoff Tokyo

今年の Takeoff Tokyo には、ベンチャーキャピタリストだけでなく、年金基金などに代表されるファンドへの資金の出し手であるリミテッドパートナー(LP)も世界中から参加する予定だ。

日本に興味を持つ LP に実際に足を運んでもらえば、間接的にはビジネスチャンスにつながります。彼らとの出会いを通じ、日本のスタートアップに新たな扉が開かれる可能性もあります。(Sonninen 氏)

海外投資家の誘致に加え、多様性の確保にも力を入れている。Sonninen 氏いわく「IT業界は男性が多いが、ダイバーシティはイノベーションを生む源泉」だ。また、昨年の Takeoff Tokyo の参加者は、約3割が海外からだったという。この状況には、米中間のデカップリングによる資金の行き先探しとしての日本、そして、スタートアップにとっては欧米で資金調達が難しくなったことなどが背景にある。

昨今の金融不安の影響で、欧米のスタートアップの資金調達環境が悪化しています。シリコンバレーでは資金調達に苦戦する起業家が増えている一方、日本はそこまでは影響を受けていない。今こそチャンスなのです。起業家同士で支え合い、大谷翔平のようなスーパースターの原石を掘り起こし、育てていくことが私たちの使命なのです。(Sonninen 氏)

Sakana AI に代表されるように、世界的権威が東京で起業し、日本を拠点に叡智を集めるようなケースも出てきた。AI スタートアップに限らず、日本で働くことを希望するビジネスデベロッパやエンジニアは増えていて、そうした動きが加速すれば、日本はイノベーションの中心地となり得るかもしれない。起業家ビザやノマドビザなどを発行するための法整備も急がれるところだ。

Takeoff Tokyo では、起業家や起業を目指す若者がイベント運営に携わることで、実践を通じた学びの機会が生まれている。登壇者の約半数が起業経験者だという点もユニークだ。必ずしも本音が語られるわけではないイベントが多い中、Takeoff Tokyo を起業家による起業家のための場として「登壇者とオーディエンスの間の垣根を取り払いたい」と Sonninen 氏は言う。

2023年11月末から12月上旬にかけ、ヘルシンキでは SLUSH が開催されたが、同じ時期、Takeoff Tokyo のチームはイベントの宣伝を兼ね、ヘルシンキ、ベルリン、パリを訪れ、現地のスタートアップや投資家らを集めたピッチイベントを開催した。昨年は海外などから VC が40社集まったそうだが、今年は海外 LP の来日も多数予定されており、起業家のみならず、日本の投資家とっても好機となるだろう。

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