株式会社 魚喜は1971年創業、半世紀以上続く歴史のある鮮魚専門店です。
創業者の有吉喜文氏(故人)は、デパートに出店する際に「毛皮のコートを着てハイヒールを履いた人でも買いに来ることが出来る鮮魚店」を目指し、お客様に魚屋独特の臭いを感じられないよう工夫を凝らした店作りを行いました。それから今日に至るまで、常にお客様目線に立ち、経営信条でもある「時代の先取り」を意識し進化を続けています。
魚喜は2023年、世間のトレンドでもあるSDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」の達成を目指し自社指定米の用途の拡大に取り組み、食用米を使った日本酒の開発を行いました。
このストーリーでは、魚喜指定米から作られた魚喜初のオリジナル日本酒『喜和(きわ)』の開発から誕生の裏側についてお届けします。
◆自社指定の寿司米「てんたかく」への理解を深めるための米作り研修を2008年から実施
現在魚喜で使用しているお米「てんたかく」は、魚喜指定米として店頭販売の寿司や
飲食店でお客様に提供しております。
「てんたかく」は粒ぞろいが良く、ツヤもあり、さっぱりとした口当たりの良さと程良い甘さがあるため、寿司米として最適であり、嬉しいことにお客様から大変好評をいただいております。
当社では「てんたかく」がどのようにして作られているか、また、魚喜指定米が「てんたかく」である意味を生産者様との交流を経て理解し、従業員がお客様に自信をもって商品を提供することを可能にするため、毎年社員による「てんたかく」の田植え・稲刈り研修を実施しています。
田植え・稲刈り研修の始まりは2008年。以降コロナ禍の2019年から2022年を除いた毎年、社員数名が富山県にある「てんたかく」栽培の現地に赴き米作りを体験します。年毎に違うメンバーで研修を行うことにより、1人でも多くの社員が米作りを体験し「てんたかく」への思いが深まるよう取り組んでおります。
◆お米の消費量と店舗数減少の課題を起点に、辿り着いた日本酒の生産
そんな自社指定米ですが、育てたお米を全て自社店舗で消費することができないこともあり、余ってしまったお米に関しては、JAあいち経済連様に販売していただくことで廃棄が出ないようにしておりました。
また、昨今の売り上げ低迷により自社飲食店舗が閉店したこともあり、自社での消費量はますます減少の傾向に陥りました。このままではSDGs目標の「つくる責任、つかう責任」の達成が難しいと感じ、炊飯提供以外に「てんたかく」を消費する良い方法はないかと考えました。
そこで辿り着いたのが、「てんたかく」を使った日本酒の製造です。
◆食用米を使った日本酒作りのハードル。苦労した蔵元探し
初めての日本酒造りは当社にとってわからないことだらけ。
まずはJAあいち経済連様ご協力のもと、愛知県内で蔵元探しを始めました。
愛知県内の蔵元に募ったところいくつか興味を示す蔵元はあり、とんとん拍子で話が進むかと思われました。しかし、“食用米を使った日本酒の製造”という課題がクリアできず、交渉を進めていた全ての蔵元から断られてしまい、蔵元探しはすぐに振り出しの状態に戻ってしまったのです。
どうにかできないかと思い愛知県のみならず様々な蔵元を調べていると、醸造量としては少ないものの「てんたかく」を使用し本醸造を醸造している蔵元が富山県で見つかりました。
その蔵元が現在『喜和』を製造している銀盤酒造様でした。
◆味の調整に試行錯誤を重ね、「マグロに合う」フルーティな日本酒が完成
ようやく共に日本酒を造ることが出来る銀盤酒造様と巡り合うことができ、「てんたかく」を使用した日本酒造りがスタートしました。
日本酒は通常日本酒造りを目的として作られた”酒造適合米”を使用して造られるため、味の調整はある程度調整しやすいのですが、「てんたかく」は”食用米”。日本酒造りを目的として作られたお米ではないため、味の調整が通常より難しいです。そのため、納得のいく味の日本酒を造る過程はとてつもなく難航しました。
しかし、私達は鮮魚店が本業。“創業50年の鮮魚店がこだわりを持って作る 魚料理に合う日本酒”というコンセプトのもと、どうしても魚に合う、特に“マグロに合う”フルーティーな日本酒をお客様に提供したいという一心で、何度も何度も試作を重ねました。
銀盤酒造様にも尽力いただきたくさんの試行錯誤を重ね、2023年、今年やっと納得のできる味の日本酒が完成しました。
それが純米大吟醸『喜和』の誕生です。
◆『喜和』の命名と、名前に託した思い
『喜和』という名前は、魚喜の初めてのお酒であり、代表作でもあることから、創業者とその妻の名前の漢字を1文字ずつ取りました。さらに、創業者の有吉喜文(故人)から現在の社長 有吉美和に事業が引き継がれていることもあり、「魚喜という会社が未来永劫継続するように」という思いを込めて命名されました。
また『喜』という漢字は、私達魚喜のミッション(私達の役割)として社内で掲げている『お客様が喜ぶ』『従業員が喜ぶ』『魚が喜ぶ』に通じております。『喜和』を通し、当社から世界の全てへ『喜び』を提供できるようにという熱い思いも込められております。
◆これからの課題と取り組みについて
純米大吟醸『喜和』は、自社が運営する神奈川県・岐阜県・広島県の飲食店舗や自社ECサイト、楽天市場で購入できます。さらに、株式会社テクニカン様と提携して、液体凍結機「凍眠(とうみん)」で凍らせた食品専門のECサイト『TŌMIN FROZEN』様でも、冷凍版の『喜和』が販売されています。
しかし、未だ世間には『喜和』が浸透していない状態であることも事実です。
そのため、今後は自社のみならず百貨店や他社飲食店、ECモールでの取り扱いによる販路の拡大を予定しております。
魚喜としては、日本酒以外にもプライベートブランドの商品を開発・販売し、より一層世間に「魚喜」の名を広めるため、進化し続けます。
私達は、「魚喜」のブランドを日本だけでなく世界にも知られるようにすることを目指しています。
◆「さかなでよろこぶ さかながよろこぶ」
《魚喜オリジナル日本酒 EC取扱店》
UOKIオンラインショップ https://shop.uoki.co.jp/
UOKIオンラインショップ楽天市場店 https://www.rakuten.co.jp/uoki-onlineshop/
【冷凍食品セレクトショップ】TŌMIN FROZEN https://tominfoods.base.shop/