誰でも低価格で遊べる、山を丸ごと購入して作ったアドベンチャーリゾート「MOUNTQ」の開発秘話
大阪で飲食店を多店舗展開するクロスグループは2023年5月、和歌山県御坊市にアドベンチャーリゾートMOUNTQをオープンした。遠く離れた地で畑違いのリゾート開発に着手した一番の理由は、グループ代表の中村智が20代の時に体験した小豆島でのリゾート体験の影響が強かったからだ。
初めて体験するジェットスキーや、様々なアクティビティを体験して「世の中にはこんな楽しい遊びがあるのか!」と感動した。
大阪に帰ってからもその体験が忘れられず、色んな困難があった時もその楽しかった時間を思い出して頑張れた。
「人は本当に楽しい体験をするとずっと記憶に残り、苦しい事があってもまたその体験が出来るように頑張れる!」
いつか自分もそんな人の記憶に残るようなリゾートを作りたいと思った。
オープンのきっかけは、スタッフ同士の仲が一気に縮まったプライベート付きの別荘での体験から
2003年より大阪で飲食店を成功させてから、店舗がどんどん増えていき、コミュニケーションのために和歌山の海辺に別荘を買って、夏場は毎月スタッフ達を連れてジェットスキーを楽しんだ。
大阪から離れて一日中一緒に遊ぶことでスタッフ同士の仲は一気に縮まった。
日本の海水浴場はどこも人混みでいっぱいで、海の家は高いし、食事も美味しくないし、トイレやシャワーは汚いし、暑いし疲れる事も多い。
プライベートビーチ付きの別荘は部屋はクーラーが効いて涼しく、BBQなどの料理も出来て、準備や片付けも楽だった。
毎回スタッフ達は目を輝かせて思いっきり遊び、夜になっても帰りたくないと言った。
そんな時に別荘の近くの海沿いの大きな土地が売り出されてるのを見つけ、若い頃からの夢だったリゾートをやる決意をし、2018年5月に和歌山県の印南町にマリンリゾートMARINEQをオープンした。
インスタグラムを活用し、複合リゾートにするこで低価格で誰でも気軽に楽しめる施設が完成した
日本には自然がいっぱいで素晴らしい環境のスポットがたくさんあるのに、日本のリゾート市場をリサーチしたところ流行っているのは沖縄くらいでどこも閑古鳥が鳴いていた。
クロスグループとしても、リゾート開発で初めての県外出店であり、人材もお客様も一から確保しなければならず、大変な事だらけだった。
そこで考えたのが次の3つだった。
1.誰でも気軽に来れる価格
若い頃楽しんだ小豆島のリゾートには一つだけ残念な事があった。
それは一つ一つのコンテンツが高かったこと。
まだ若くて所持金もあまりなく、初日にパックのアクティビティを全部やってしまい、残りの日は人がやっているのをずっと見ていた。
MARINEQは誰でも楽しめるようにするために、価格を下げてランチ、BBQ、ドリンク、アクティビティを一日中堪能して1人1万円以内に抑えるようにした。
2.インスタグラムの活用
田舎で商売をするのに難しいのが宣伝で、わざわざ遠い所に来ていただくにはかなりのお金をかけて効果的な宣伝をしなければならない。
MARINEQは安い料金でお客様に提供するため、広告費をあまり使わない
数年前から流行っていたインスタグラムを上手く使うようにした。
ブランコやどこでもドアなど、おしゃれなスポットをたくさん作って、お客様自ら撮影してインスタに投稿してもらうことでどんどん有名になった。
3.複合リゾートにすること
日本の観光地がどこも寂れている理由の一つが、遊べるスポットがバラバラになっているからだと考えた。
カフェ、宿泊施設、買い物施設、体験施設、すべてが離れてるのでお客様はいちいち検索して探して移動しなければならない。
一つにまとめるとお客様はそこに行けば一日ゆっくり遊べるし、施設側も宣伝もまとめて出来るし、カフェで全ての受付やサービスをまとめてしまえばスタッフも効率よく使える。
その対策が上手くいき、マリンリゾートMARINEQは大成功をおさめた。
コンセプトは若い頃の小豆島の体験から「忘れられない時間をあなたに」にした。
コンテンツを増やすべく、キャンプができたりバギーで山頂を登れるアドベンチャーリゾートをオープンして大盛況に
さらにお客様にたくさん楽しんでいただくために色んなコンテンツを増やそうとした時、MARINEQでは手狭になってきたので近くの土地を探したところ、15分ほど離れた山を購入しないか?と言う話が舞い込んだ。
敷地が2万坪と甲子園球場二つ分の広さで御坊インターからも近く、斜面が緩やかなので使いやすい。
下見に通ううちに、今流行りのキャンプ場やグランピングも出来るし、バギーコースを作って山頂を登れるし、やりたかったコンテンツが全て出来る事が分かりワクワクでいっぱいになった。
地元との折り合いや行政との調整が大変で土地購入までに2年近くかかり、何もない山に一から道を作り開発するのもたくさんのトラブルがあり大変だったが、なんとか2023年5月にアドベンチャーリゾートMOUNTQをオープン出来ることになった。
カフェ、キャンプ場、BBQ施設、グランピング、バギーコース、カヌー、プール、サウナ、お風呂、アニマルふれあい、ドッグラン、星空テラスと山全体を使って一日中思いっきり楽しめるようにした。
キャンプブームということで、毎月のようにあっちこっちにキャンプ場がオープンしてるが、その中でも山全体を使った複合リゾートということで、オープン当初からテレビや新聞の取材が殺到して話題になり予約でいっぱいになった。
MARINEQと同じようにインスタ映えスポットを作ったり、誰でも気軽に来れる価格設定にしたのでお客様がたくさん来てくれた。
MOUNTQを都会でストレスのたまった人がリフレッシュできる避難場所にしたい
大阪で20年間飲食店を経営してきて代表の中村が社会に危機を感じている事がある。
若いスタッフと面談していると、ほとんどの人が目標がない、家で寝ている時が幸せ、自信がないと言う事だ。
ゆとり教育が進み自分らしく生きる事、嫌な事はしなくて良いと育てられ、社会に馴染めずすぐに仕事を辞める人が増えた。
技術が発達し、家にいてもYouTubeやSNS見たりゲームをすれば外に出る必要がなくなった。
生きる目標もなく、家に引きこもり身体を動かさないので鬱病が増えてきた。
今では心療内科はどこもいっぱいで、新規患者の受け入れを中止している。
都会は何もかも揃っていて便利だが、たくさんのストレスがたまるので、鬱病も中々良くならない。
しかし、鬱病で引きこもっているスタッフを和歌山に連れて行くと凄くリフレッシュして優しい顔つきになる。
人間は外に出て自然に触れ合い、身体を動かし、日光を浴びる事が一番なので、都会でストレスがたまり苦しんでいる人がしんどくなったらリフレッシュできる避難場所にしたいという思いで山を開発した。
心療内科に通っている人、障害者、子供、老人、生活保護受給者、がん患者は施設使用料やアニマルふれあいを無料にして周りの人に連れて来てもらいやすいようにした。
日本中の自然あふれる場所に複合リゾートを作っていきたい
来年は和歌山の川沿いにRIVER Qをオープンする予定だ。
クロスグループのリゾート開発部門としてPRJECT Qとしてフランチャイズを募集し、MARINEQ、MOUNTQ、RIVER Q、LAKE Qと日本中の自然の素晴らしい場所に複合リゾートを作り多くの人に心から楽しんで笑顔になってもらう事を目指していく。