清水商事株式会社は、新潟県三条市に本社を構える家庭用品総合卸商社です。日々の生活に欠かせない雑貨用品を取り扱っています。
清水商事では環境に配慮した商品を中心にオリジナルの商品も企画しています。このたび、オリジナル商品のテーブルウェアを取り扱うECサイト「hibicolle」にてライスレジン製食器「ほわり」の販売を開始しました。開発のきっかけや米どころならではの取り組み、製品へのこだわりなどを、企画担当の野田よりご紹介します。
◆新潟県三条市発の家庭用品卸。環境に配慮した商品企画に強み
清水商事株式会社は、金物の街・新潟県三条市にある創業60年の家庭用品総合卸商社です。家庭用品総合卸売業ではキッチンツール、テーブルウェア、クリーニング、サニタリー、トイレタリーといった日々の生活に欠かせない雑貨用品を取り扱っています。金物の街・新潟燕三条の土地柄を活かし、地場商品を中心に多くのメーカーとの取引をおこなっています。毎日使うものだからこそ、「ここちよさ」(発見、驚き、楽しみ、喜び)を感じられるように日々提案を続けています。
また商品企画・製造管理事業では、暮らしに役立つ、市場ニーズを掴んだ新たな価値を創造。北海道の天然無垢材を使用したテーブルウェアブランド「暖(おん))」や天然成分100%の害獣忌避剤「撃退!シリーズ」など、環境に配慮したオンリーワン商品を中心に企画・販売を行なっています。
◆「ライスレジン」との出会いと、ほわり開発経緯
2021年に新潟県の燕市で「お米のしゃもじ」を販売している企業との出会いから「ライスレジン」の存在を知り新潟でバイオマスレジンを製造している企業に問い合わせたところから「ほわり」の構想が始まりました。
「ライスレジン」とは、お米由来の国産バイオマスプラスチックで食用に適さない古米・米菓メーカーなどで発生する破砕米など飼料としても処理されずに廃棄されてしまうお米を独自の技術でポリプロピレン(以下、PP)とお米を混ぜることでバイオマスプラスチックへとアップサイクルします。原料となるお米も主に新潟で作られたもので、環境への負担が少ないと言われる「バイオマスプラスチック」の原料としては、トウモロコシや竹もありますが弊社が所在する米どころの新潟らしい「地産地消」の材料だと考えました。
私たちの最終的なイメージは、出来上がった「ほわり」をアップサイクルしたいというのが一番なんです。例えば「ほわり」を使います。いつかお皿なので壊れます。それを回収して再度リサイクルしたいという思いがあります。それが「ほわり」は出来るところがこのプロジェクトを進める一番の意義です。
「ライスレジン」を活かした製品を実際に開発するのはテーブルウェア業界に45年携わってきた清水商事のテーブルウェア事業部の私が担当しました。
初めはライスレジンで作る商品の構想はカトラリーや袋でしたが、テーブルウェアの仕事に45年間関わってきた経験をから、折角だったらこのSDGsへの取組みに繋がる材料を活かして国内でプラスチックの商品として世の中に出てないような使いたくなる形の「お皿」を作りたいと思いました。
「ほわり」のフォルムは私が木製漆器のメーカーにいたときに出来上がっていたのですが、木材漆器の需要が少なくなりそういう物も作れなくなった。だから、あのフォルムだったら「ほわり」を作る際に、新しいライスレジンの器にはそのフォルムがいいんじゃないかなと思い当時の記憶をフィードバックしながらデザインを考えたのが原点です。
そこにプラスアルファで材料にお米を使用するのでお米の柔らかいイメージにしたかったので、同じ丸皿でもフォルムを少しでも丸みを帯びた形にこだわった美しいお皿を作りたいという想いでプロジェクトは動き始めました。しかしここからが苦難の始まりとなりました。
◆「ほわり」完成までには苦難の連続
プラスチック製の「ほわり」の製造にはプラスチックを射出成形するための金型が必要不可欠でした。「ライスレジン」使用した理想のフォルムのお皿を製造していただく為に何社もの成型メーカーを訪れたのですが、「ライスレジン」は比較的新しい材料で成形条件に不明な点が多く、お米が入っているため材料が湿気に弱く成形困難と考えられていた為に「うちだと難しい」と断られ途方に暮れていましたが、数ヶ月お願いを続ける中で、新しい素材にチャレンジしたいと言うメーカーが現れてくれた時はその心意気に嬉しくて涙が出そうでした。
ようやく成型をしてくれるメーカーが見つかり、製品試作に移りましたが不具合がいろいろ起こりました。「ライスレジン」に慣れるためにメーカーさんに何度も何度も試作していただいて最終的にが普通に製造できるとなったのが今ですら一番の喜びです。
一番初めに見たサンプルは現在の形状ではなかったんです。最初は見るも無惨な形状でしたが、独特の丸みを帯びたフォルムを出すために何度も金型を修正して試作を重ねて今の形を安定して出せるようになりました。また狙った色を出すのも大変で、お米が入っている影響で成形すると銀色の線がお皿の表面に出てしまう現象が起きました。線がもうあちこちに出てしまい線が出なくなるまでに何度も試作しました。線が出なくなった対策は企業秘密なので教える事は出来ませんが、成型メーカーの新素材へのチャレンジ精神が成し得た成果だと思います。
開発初期の銀色の線の入った「ほわり」
本来だったら早めに発売したかったが、製品化までに構想から1年以上かかり、数千枚を試作を重ねてようやく出来上がった「ほわり」ですが、時間を掛けた副産物もあります。「ほわり」の独特のマットな色合いは銀色の線を消そうと試作を重ねた結果生まれた色合いでした。本来マットな色合いを出すにはタルク材を添加しますが「ほわり」はタルク剤を添加せずにこの色合いを出すことが可能になりました。
不安の中始まったこのプロジェクトですが、構想から約2年で販売できる状態まで来ることができたのは、多くの関係者の「ほわり」に対する情熱だと思っております。今後は様々な方の情熱がこもった「ほわり」を皆様に届ける為に頑張っていこうと考えております。
◆「ほわり」の今後の展開予定
こうして誕生したのが、お米の器「ほわり」です。古米や廃棄米を使用することによってSDGsの取り組みにもなり、なにげなく生活の一部に「ほわり」を取り入れることで、持続可能な社会への貢献につながります。製造過程では、製品として不合格となった器も廃棄せず、粉砕して液状にし、もう一度型に流して作り直しています。作ったものをムダにしない、製造過程もサステナブルです。
また豊富なカラーリングと、陶器にも遜色ないフォルムにもこだわりました。バイオマスプラスチックを使用しているので割れる心配もありません。お子様からご年配の方まで、幅広い年齢層にお使いいただけます。
現在、「ほわり」ブランドとしてライスレジンを使ったカトラリーの開発も進めています。直近の販売予定としてはテーブルウェア充実を考えており、食事シーンを必要な飲料を飲むための食器としてマグカップをリリースする予定です。
商品を増やして「ほわり」のテーブルウェアで食卓周りを一つのシーンとして実現できるように開発を進めていきたいと思います。
※「ほわり」はECサイト「hibicolle」にて販売中
hibicolle:https://www.hibicolle.life/