リモートワークの味方:Microsoftの「VROOM」は職場に自分のアバターを登場させる

Microsoft Researchは5月5日、職場に自分と同じ大きさのアバターを登場させることができる技術、Virtual Robot Overlay for Online Meetings(VROOM)を発表した。これはテレプレゼンスロボットにARとVRを組み合わせたものだ。VROOMシステムについては最近の論文で詳しく説明されている。オフィスにいる人もリモートで働いている人も、まるで同じ空間にいるように感じることができる。

リモートワーカーはWindows Mixed Realityヘッドセットを着用して自身の姿勢や頭の動きを追跡する。そしてテレプレゼンスロボットを介して動き回り、360°を見渡すことができる。職場にいる人はHoloLens ARヘッドセットを装着する。Unityベースのアプリでアバターがリモートワーカーの動きに応じてアニメ化される。

腕と手の動きはコントローラーに記録され、双方に表示される。このシステムは、話している時の口の動きやまばたきだけでなく、無駄な動きも追加することによってアバターをよりリアルにしている。

アバターの顔は、VROOMがリモートワーカーの顔を2D画像から3D画像に変換して作り出している。VROOMは一人称視点も提供するので、リモートワーカー側も自身の手の動きを見ることができる。リモートワーカーがロボットに移動指示を出すと、アバターは歩いているかのように動き出す。

論文の著者はBrennan Jones氏(サイモン・フレイザー大学博士号取得候補者兼Microsoft Researchのインターン)、Yaying Zhang氏(同研究所エンジニア)、Sean Rintel氏(同研究所ソーシャルコミュニケーション技術シニアリサーチャー)、Priscilla Wong氏(同研究員)だ。彼らは論文でこう述べている。

標準的なテレプレゼンスロボットとVROOMを比較するために画面付きのテレプレゼンスロボットを使用していましたが(これについては将来的に論文で報告する予定)、ローカルユーザの全員がヘッドセットを着けている場合、画面は不要です。したがって今後のイテレーションでは、リモートワーカーの頭の高さまで伸ばしたポールに360°カメラを搭載したロボットを使うことになると思います。

VROOMの技術は、同じ目線で同じ物を見たり一緒に作業したりすること、例えばホワイトボードを使った話し合いや設計に関わるような作業に最も適していると論文では期待している。テレプレゼンスロボットの使用例としては他に美術館での応用や、学術会議でのリモート発表などが挙げられる。

VROOMは今のところ1対1の対話しか検証されていない。今後、複数人への応用や、複合現実オフィスをシェアすることや、より安価なロボットでの実現が期待される。

VROOMは先行研究論文の続編として、ACM CHI Conference on Human Factors in Computing System(人と情報システムの相互作用に関する国際会議)の承認を受けている。2018年に発表された同会議の論文では複合現実下で複数のアバターを会議に参加させ対話を行う「Mini-Me」が紹介されている。

この他にも、4月にはZoomでの会議にVRで参加できるアプリ「Spaces」が発表され、HTCはVRで会議や共同作業を行えるアプリ「Vive Sync」をローンチした。

※本稿は提携するVentureBeat記事の抄訳になります

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】

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