カーボンアカウンティング(炭素会計)スタートアップの Zevero は17日、シードラウンドの1st クローズで620万ユーロ(約9億8,400万円)を調達したと発表した。このラウンドは Spiral Capital がリードし、East Ventures や複数のエンジェル投資家が参加した。Zevero は今回の調達を2段階で実施しており、今後も他の投資家からの資金調達を継続する予定だ。
調達した資金は、事業のグローバル展開の継続や、製品・サービスの拡充に充てられる。特に、日本、アメリカ、オーストラリア、アジア太平洋地域などの主要市場での拡大に注力する。今回の資金調達により、同社は機能を拡張し、企業が規制上および商業上の義務を果たすために必要な革新的なツールの提供を継続できるとしている。
Zevero は2021年に設立されたイギリスを拠点とする企業で、企業が排出量の影響を理解し、その影響をどのように、どこで削減できるかを判断するためのツールを提供している。同社のプラットフォームは、AI を活用して排出係数のマッチングやサプライチェーンデータの統合を行い、企業が炭素排出量削減のための具体的な手段を特定できるようサポートしている。
また、同社のプラットフォームは、高度なライフサイクルアセスメント(LCA)手法とカーボンアカウンティングツールを連携しており、企業が環境への影響を詳細に理解し、サステナビリティ目標達成に向けた情報に基づく意思決定を行えるように支援する。また、炭素影響の測定だけでなく、顧客がサステナビリティ目標を達成するための情報に基づいた意思決定を行えるよう支援する。
カーボンアカウンティング市場は、以前に増して、多くの企業が排出量削減に取り組んでおり、規制に対応するため急速に成長している。グローバルでの市場規模は現在、150億米ドルと評価されている。昨年には、カーボンアカウンティングの Opcya がシリーズ A ラウンドで1,200万米ドルを、同業の Persefoni がシリーズ C ラウンドの1st クローズで5,000万米ドルを調達した。
なお、今回の調達に先立ち、Zevero は今年初め、シンガポール拠点のクライメートテックスタートアップ LEVELUP に買収されたことを発表している。両社は Zevero ブランドの下で統合され、Zevero は LEVELUP が持つアジア市場での専門知識を活用し、一方で LEVELUP は Zevero のイギリスでの経験を活用できるようになった。買収額は不明だが、数百万ドル規模と推定される。
統合後の新生 Zevero は、従来の食品・飲料業界での高い専門性を新たな業界や地域に拡大し、新たなグローバル経営陣の下で事業を展開している。LEVELUP の 元 CEO 谷内樹生氏が新生 Zevero のグローバル CEO に就任した。買収に際し、谷内氏は、Zevero は創業から3年で13カ国以上の顧客にフルスタックのカーボンアカウンティングを提供していることを評価した。
Zevero は、過去3年間でイギリスやヨーロッパ市場で大きな成果を上げ、DEYA、Delphis Eco、MOTH などの主要消費財ブランドがサステナビリティ目標を達成するのを支援してきた。今回の資金調達により、同社はこれらの成功をグローバル市場に拡大する態勢を整えたことになる。
Zevero の経営陣は、2022年9月まで参天製薬(東証:4536)の CEO を務めた谷内氏(現 CEO)、2022年に GMO インターネットが買収したイエラエセキュリティ(旧ココン)創業者の倉富佑也氏(創業者)、ヨーロッパのカーボンアカウンティングで実績のある Ben Richardson 氏(Chief Sustainability Officer)と George Wade 氏(Chief Commercial Officer)で構成されている。
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