オンデマンド遠隔通訳アプリ「Oyraa」、2.7億円をプレシリーズA調達——マーケや希少言語のデータ収集など強化

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Image credit: Oyraa

単語通訳アプリ「Oyraa(オイラ)」を開発・提供する Oyraa は10日、プレシリーズ A ラウンドで2.7億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、Adlib Tech Ventures、ジェネシア・ベンチャーズ、千葉道場。同社では調達した資金を使って、開発やマーケティングの強化に加え、マイナー言語のデータ収集を加速するとしている。

Oyraa は、トルコ出身で、東京大学大学院工学系研究科を卒業後、以前はボストンコンサルティンググループの日本オフィスに勤務していたコチュ・オヤ(Oya Koç)氏により2017年創業。Oyraa という社名は、オヤ氏とビジネスパートナーの名前に由来する。同年、通訳を必要としている人と通訳ができる人を結ぶマッチングプラットフォームとしてアプリをローンチした。

このアプリでは現在、153言語2,000名以上の中から適任の通訳者をスマホで呼び出し、1分単位でサポートを受けることができる。シーンに合わせて通訳者を選べるため、役所手続きや医療機関受診、電話での問い合わせといった日常生活のあらゆるシーンで通訳者による言語サポートを受けられる。企業ユーザには、アパマン、クレディセゾン(東証:8253)、MUIC 関西(関西イノベーションセンター)、PinT などがいるそうだ。

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Oyraa は人が通訳することを前提としているが、現時点で詳細は不明だが、提供する機能の一部に AI を取り入れるを検討しているようだ。AI を活用しようとする場合、性能向上にはデータの蓄積量がモノを言う。英語や中国語のデータは日本でも比較的蓄積しやすいが、同社では今後、ミャンマー語、ベトナム語、インドネシア語といったマイナー言語のデータ蓄積にも注力する考えだ。

このアプローチの背景にあるのは、日本の労働力不足に伴って、アジアの労働者の増えていることがある。日本の在留外国人数は今年約342万人に上り、Oyraa では、中でも技能実習生などとして急成長している国籍に注目している。国籍別で言えば、前年比で、インドネシアが23%増、ミャンマー人が24%増、ネパール人が12%増など、アジア出身の労働者が大幅に増えていることがわかる。

Oyraa はこれまで、外国人材が多数働く建設現場や企業、インバウンド施設などと連携してきた。関西万博に向けた工事現場での運用、空港カウンター、企業の外国人向けコールセンターなどで、サービスを提供しながらデータ収集を行なってきたという。同社は、まずは在留外国人からのデータ収集を着実に進めることで、徐々にマイナー言語対応を強化していく方針だ。

Oyraa は将来、東南アジアやアフリカなどでのサービス展開も視野に入れており、さらに多くの言語への対応を目指している。今回調達した資金により、同社ではアプリストアでの上位表示を目指した対策や、デジタル広告の出稿などのマーケティング施策を本格化させる。在留外国人へのリーチ強化には、従来の企業タイアップに加え、彼らの母国向けのプロモーションなども検討していくとしている。

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