エンジニア採用支援のLAPRAS、韓国Wantedらから4億円を調達——AI機能拡充と韓国エンジニアのマッチングに注力

左から:WANTED JAPAN の CEO カン・チョルホ(姜哲浩、강철호)氏、Wanted Lab の CEO イ・ボッキ(이복기)氏、LAPRAS の CEO 染谷健太郎氏
Image credit: LAPRAS, WANTED JAPAN

IT エンジニア採用プラットフォーム「LAPRAS」を運営する LAPRAS は25日、約4億円を調達したと発表した。ラウンドステージは不明。韓国の HR テック大手 Wanted Lab(원티드랩、KOSDAQ:376980) の日本法人 WANTED JAPANが出資した。なお、金額には、りそな銀行と日本政策金融公庫からのデットが含まれる。LAPRAS の累積調達額は約12億円に達した。

LAPRAS は今回の資金を、AI による転職支援機能の拡充と韓国 IT エンジニアの採用市場への進出に活用する方針だ。具体的には、LAPRAS におけるプロダクト開発の強化、マーケティングおよび営業体制の拡充、事業開発に充てるとしている。LAPRAS は昨年11月、Wanted Lab と業務提携している

AI 機能の拡充と BPaaS 事業

今年3月に、LAPRAS 上で開始された新機能「AI 面接コーチング(β版)」(イメージ)
Image credit: LAPRAS

LAPRAS は今回の資金を活用し、AI による転職支援機能の拡充を進める。同社はすでにこれまでにも、AI がユーザの希望や経験に基づいてパーソナライズされた理由付きで求人をおすすめする機能や、その人に応じた求人の要約を作成する機能を試験提供している。

AI を活用した新機能は、これまでの LAPRAS をさらに強化するものだ。すでに試験的に実施しているものもあり、それらをプロダクトに順次導入しながら、転職体験自体を変革していく狙いがあるそうだ。従来の求人提案やレコメンド機能で感じられた不透明さや恣意性を解消し、より納得感のある転職体験の提供を目指すという。

また、LAPRAS は今回の発表に合わせ、採用サービスのリブランディングも行う。従来法人向けに提供していた採用サービス「LAPRAS SCOUT」の名称を LAPRAS に統一し、企業のニーズに合わせた多様なプランを展開する。特に注目されるのが、採用活動の一部をアウトソースできる運用代行(BPaaS 型)プランだ。

通常の代行というよりは、BPaaS タイプのシステムや AI を組み込むことで、より効率的な代行を実現していきます。現在、さまざまなサービス会社が類似の取り組みを行っていますが、当社も採用領域でこの方式を積極的に取り入れていく予定です。(LAPRAS CEO 染谷健太郎氏)

BaaS 型のサービスすでに多くの企業で導入が進んでおり、LAPRAS はこれを拡充して企業の採用支援を強化する。LAPRAS のサービス多様化により、従来の企業側のリソースやノウハウに依存するスカウト型の採用(ダイレクトリクルーティング)で発生していた機会損失をなくすことを目指すのが狙いだ。新サービス名は2024年10月から順次適用される予定だ。

韓国 IT エンジニアの採用マッチング事業

LAPRAS は、Wanted Lab とその日本法人 WANTED JAPAN との提携を通じて、韓国のハイスキルな IT エンジニアを日本企業とマッチングする新事業を開始する。この背景には、国内の IT エンジニアの人手不足や、グローバルな事業展開を志向する企業の増加がある。そんな中で、韓国の IT エンジニアは魅力的な人材として注目されているという。

WANTED JAPAN の CEO カン・チョルホ(姜哲浩、강철호)氏は、韓国の IT エンジニアが日本で働くことの魅力について、次のように説明した。

韓国は日本よりも失業率が高く、優秀な人材が国内で活躍の場を見つけられない状況があります。そのため、日本語や英語のスキルを持つ人材にとって、海外での活躍は魅力的な選択肢となっています。また、日本企業、特にスタートアップがグローバル展開を加速させる中で、国際競争力を高めるために海外人材の採用が不可欠になっています。このような背景から、韓国の人材と日本企業のマッチングは、今後ますます重要になると考えています。

LAPRAS は、高いスキルを持つ IT エンジニアを求める企業と、韓国の優秀な IT エンジニアを、日本への移住を伴う雇用やEOR(Employer of Record)サービスを活用した越境フルリモートの働き方等でマッチングしていく方針だ。

すでに複数の企業で導入が決定しており、今月からサービス提供を開始する予定です。当社は、さまざまなプレイヤーと連携しながら、グローバルなリソースを活用して日本の IT エンジニア不足の解消を目指すとともに、日本のITエンジニアに海外での活躍機会を提供する支援も行っていきます。

ビザの取得や言語学習などの支援については、パートナー企業と連携して対応する予定です。特に、韓国語でのコミュニケーションが可能な相談窓口の設置は、移住を考える人材にとって重要だと考えています。そのため、これらのサービスを提供できる企業と提携し、総合的な支援体制を構築していきます。(染谷氏)

同社の登録ユーザ数は現在約3.5万人、採用サービスの「LAPRAS SCOUT」(今後 LAPRAS に統一)の利用企業数は1000社以上に達している。また、2024年2月に開始した求人掲載のみのプラン「LAPRAS JOB BOARDプラン」は開始6ヶ月で約200社が利用、2024年7月時点の LARPAS の掲載求人件数は前年同期比で150%以上、面談数は200%以上増加しているという。

日本の HR 領域には、現職に満足していない方や転職希望者が増加しているにもかかわらず、実際の転職者や転職活動を行う人が増えていないという課題があります。LAPRAS は、これらの課題解決に取り組んでいきます。ユーザにとってより良い転職機会を創出し、日本の IT 業界全体の活性化に貢献していきたいと思います。(染谷氏)

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