サウザンドアイズ、「2020インターネット・パフォーマンス・レポート」を発表 2020年前半はCOVID-19の影響が色濃く

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~インターネットの障害は3月に63%増加、ISPへの影響が多大~

サウザンドアイズ・ジャパン株式会社(以下、サウザンドアイズ、本社:東京都港区、代表:尾方 一成)は本日、業界で唯一、インターネットの可用性とパフォーマンスを調査する同社のレポート「2020インターネット・パフォーマンス・レポート」を発表しました。同レポートは、ISP、パブリッククラウド、CDN、DNSを対象に調査を行い、新型コロナウイルスでインターネットにどのような変化があったのか、地域やプロバイダの枠を超えて、その影響を長期的に調査しました。

このたびの発表にあたり、リサーチを担当したサウザンドアイズのプロダクトマーケティング・ディレクターであるアンジェリーク・メディナは次のように述べています。「インターネットは、本質的に平時でも予測がしにくく、障害をゼロにすることはできません。しかし、この3月から多数の国で在宅勤務や遠隔授業、リモートでのエンターテイメントが急速に取り入れられたことで、クラウド事業者と比較すると混乱に対してより脆弱なISPで、前例のないレベルで障害アラートが発生しました。本レポートにより、企業は、インターネットのパフォーマンスをCOVID-19以前と以後で比較することができます。そして、従業員と顧客が利用するクラウドやインターネットといった外部要因への依存度を把握・管理しながら、より弾力性のあるIT環境を計画することができるようになります。」

クラウドサービスの急速な採用、SaaS型アプリケーションの台頭、そして高まるインターネットへの依存により、企業は常にリスクにさらされています。サウザンドアイズのソフトウェアプラットフォームにより、企業はインターネットを自社のネットワークのように監視できるようになります。世界中に配置されたモニタリングポイントで1日に何十億という観測が行われ、トラフィックのフローに途切れがないか、そのパフォーマンスを監視しています。サウザンドアイズは、この独自のインテリジェンスを用いて、顧客のデジタル体験に影響しそうなインターネットやクラウドといった第三者に依存する環境をモニタリングしています。インターネット・パフォーマンス・レポートは、2020年1月から7月に集計された観測データを用いて、インターネットの弾力性と挙動を明らかにし、企業がデータ主導の観点からITおよび経営計画を策定できるように助力します。

2020インターネット・パフォーマンス・レポートの所見は次の通りです。

前例のない数の障害が世界的に発生。1月と比較して障害発生数は3月に63%増加。その数は、パンデミック以前と比較すると2020年上期を通して上昇した。6月には1月と比較して44%の増加がみられた。
北米とアジア太平洋地域のISPでは、3月の障害数が最も多かった。1月と比較すると、それぞれの地域で65%、99%増加し、現在は平常値に戻っている。一方EMEA地域では、月を経るごとに障害数が増え、1月と比較して6月にはその数は45%増加した(*1)。
クラウドの安定性が全体的に高かった一方、最も影響を受けたのはISPである。1月から7月の間、クラウド事業者の障害数は400件強だった。一方、ISPでの障害数は4500件強を記録した。全体では、障害の80%以上がISPのネットワークで起きており、クラウドでの障害数は10%未満だった(*2)。
全ての地域で障害数が増えたが、パンデミック以前の傾向と同様に、障害は営業時間中のピークタイムに発生することが多く、一方、大きな障害は営業時間外に発生することが多かった(*3)。
全体として、インターネットはよく耐えた。前例のない状況でネットワークの障害が増える中、インターネット関連のインフラはよく持ちこたえた。未知の要求に応えるべく、キャパシティと可用性を健全に提供するためには、サービス事業者の敏捷性が不可欠だった。トラフィックの遅延、ロス、ジッタといったマイナスの要素は許容範囲に収まり、クリティカルなネットワークの逼迫は見られなかった。
事業者サイドの調整によるネットワークの一時的な停止もあった。2月以降に観測されたネットワーク停止の多くには、ネットワーク事業者が変化するトラフィック量を調整しようとネットワークに加えた変更に起因する一時的なものもある。

Bloor Research社でITインフラのリサーチディレクターを務めるポール・ベヴァン氏は次のように述べています。「当初、私たちは企業とサービス事業者の双方が在宅勤務環境を緊急対応で構築しようとしているのを見ていました。しかし今では、リモートの従業員にサービスを提供するというより、永続的なシナリオに対応する方向へと確実にシフトしています。これにより、ネットワークインフラの再編成がなされます。そしてこれは、3月以前のネットワークプラットフォームとは大きく異なるものになります(*4)。サウザンドアイズのレポートは、インターネットが管理対象の中心的な存在となった今、組織が自社ネットワークと外部ネットワークの相互依存関係を理解し、ITインフラを強化する方法を考える際に重要となります。」

2020インターネット・パフォーマンス・レポートはこちら(https://www.thousandeyes.com/resources/internet-performance-report-covid-19-impact)からダウンロードいただけます。

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2020年8月5日発表プレスリリース 補足資料

「2020インターネット・パフォーマンス・レポート」から、日本およびアジア太平洋地域の所見を抜き出しました。ネットワーク運用管理のご参考になりましたら幸いです。

なお、こちらで記載しているネットワークの障害は、100%のパケットロスを検知したノードを対象としており、メンテナンス等による一時的な停止も含みます。

*1:アジア太平洋地域の障害傾向について(P. 12)
アジア太平洋地域におけるネットワーク障害の週次の傾向は、北米といくつかの共通点があります。いずれの地域でも、調査期間を通じて急激な増減が見られますが、アジア太平洋地域では3月と4月の一部においてその起伏が一段と大きくなっています。いずれの地域も1月12日週に大きな山が見られますが、その件数はアジア太平洋地域の方が顕著です。

(Figure 7:週次(月曜~日曜)のネットワーク障害件数。3週間の移動平均は、 障害件数が3月に上昇し、4月以降下降したことを示している)

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