会社の命運を握る「経営人材」育成の3つのポイント

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<目次>
1.経営人材の役割と期待
2.企業の成長の柱となる経営人材育成の高まるニーズ
3.経営人材育成に成功するための3つのステップ
4.明日から取り組める経営人材の育成について
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「私を超える経営人材が社内から生まれてきて欲しい」

これは、現代の社長の多くが頭を悩ませる問題だろう。
トップダウン・ボトムダウン等、組織における意思決定のスタイルはいくつもあるが、社長のみが会社の方針を左右する戦略的意思決定に関与するのにはもはや限界が来ている。

不確実性が増し、高速化する経営環境の変化に対して、組織が順応していくためには、社長の良きパートナーとなる経営人材の果たす役割が重要である一方、今日に至るまで経営人材の育成に関する明確な解決方法は見つかっておらず、より現場は危機感を増してきているという。

今回は経営人材の育成と構造的な課題についての考察してみた。

1.経営人材の役割と期待

そもそも「経営人材」とはどのような人材のことを指すのだろうか。
まずは経営人材の役割と期待について考えてみたい。

経営人材とは、「会社の経営成果に対して全責任を持つ取締役・執行役員クラス」のことを指す。つまり、将来自社の経営者や経営幹部を任せられる人材を言う。しかし、想定されるポストは企業によって異なることが多い。
経済産業省の調査によれば、経営人材の想定ポストとして、「事業責任者(66.7%)」、「副社長・専務・常務(64.7%)」、「CEO・COO/社長(58.8%)」などの比率が高い結果となった。

この経営人材の役割は、私は大きく3点あると考える。

1.自組織の存在意義を見出し、伝え続ける
組織における揺るがない存在意義を見出し続けてこそ、経営人材である。
「我々の役割・使命・価値」を本質的に探究し続け、机上の空論ではなく目の前のビジネスの活動に向かう実践の中で探究し続けることこそが大事になる。この実践を通じて「組織の魂」を深掘り、この活動が組織の理念やビジョンとして結びつくようになる。

2.将来を構想する力と戦略的意思決定
短期的な視点にとどまることなく、数年後の市場環境や業界の動向も踏まえた将来を構想する力とそれに基づいた自社の本質的役割や方向性について戦略的に意思決定する力が問われる。ミドルマネージャーが「短期的・部分最適」思考であるのと比較し、経営人材は「長期的・全体最適」思考の転換とジャンプアップが求められる。

3.自律度合いを組織内に伝染させる
1.2.の役割を期待される経営人材には胆力と強い意志が求められる。自らの中心軸となる確固たる信念や強い意志をもち、全人格的な素質や能力が問われる。言い換えれば、高い自律性が求められる。経営人材には高い自律性を自ら保持するだけにとどまることなく、この意志を起点に組織に伝染・波及することが大事になる。経営人材にこそ求められるのはこの「高い自律性の持続」である。

このように、ミドルマネージャーと経営人材を区別するとしたならば、既存の事業やオペレーションを「回す」のがミドルマネージャーであるのに対し、経営人材は曖昧かつ抽象度の高い最上位の経営事項に対して、組織全体や外部環境の動きを洞察し、戦略的に意思決定し、無から有を生み出す「創る」力が求められる。

この創る力を持った経営人材の育成が企業には喫緊の課題として求められている。

経済産業省の調査によると、経営人材の確保・育成の状況について「どちらかといえば不安(55.7%)」が多数を占めているのが現状だ。また、経営人材の確保・育成に関してすでに「取り組みをしている」と答えた企業でも、「どちらかといえば不安」「不安」が52.9%まで上がった。各企業とも、経営人材の育成に何らかの課題を感じている状況が伺える。

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