GRIPS、オープンソース技術をベースとした高精度自動分注システムの開発と実証実験が完了

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 2024年4月15日、株式会社GRIPS(千葉県流山市、代表・森田康)は、オープンソース技術をベースとした高精度自動分注システムの開発と実証実験に成功したことを報告いたします。
 この実証実験は、同社の柏の葉R&Dラボ(東葛テクノプラザ内)で実施され、オープンソースソフトウェア(pythonなど)による制御プログラムを開発し分注工程とその後のプレートのハンドリングまでを統合的に制御することに成功しました。
 実装された工程は、96穴マイクロタイタープレートにミキシングを含める段階希釈を行い、ロボットアームで希釈後のプレートに蓋を乗せ、OT-2から取り出した後、電子天秤へ搬送して秤量するところまでを一連の行程としました。
 今回の実証実験では、制御ソフトウェアを実装するプラットフォームにオープンソースのROS2を採用し、将来的に制御対象物が変化しても、柔軟に対応できる制御システム構築を目的の一つとしていました。この点については、実際の分注シーケンス自動化の制御ソフトウェア開発において従来よりも汎用的な記述により開発できることが確認できました。
 分注作業自体はOT-2に集約させることで、分注工程に必要なキャリブレーション作業を大幅に改善することができました。プレートのハンドリングについては、自由度の高さと費用対効果からLite6という機体を選定しました。制約のある可動域での制御でしたが、一定の制約条件下でも安定的な繰り返し動作を確認できました。また、動作時に物理的干渉が発生するリスクは今回の実証実験における大きな課題でしたが、仮想環境でのシミュレーションにより発生する可能性のある物理的干渉の多くを回避できることが確認され、今回の実証実験の成果の一つとしてあげることができます。具体的にはGazeboというシミュレーションツールを利用し、OT-2とLite6の連動動作時の物理的干渉を未然に防ぐ事前検証を行えることが確認されました。
 この実証実験の成果は、ロボット導入による工程の自動化や生産性向上にとどまることなく、外段取りと呼ばれる工程を含めたシステム全体の効率化に道を開く大きな一歩だと感じています。これまでは、導入するハードウェアの産業分野、用途によって大きく異なる制御システムの構築手法を将来的には汎用性と柔軟性の高い手法へと移行させることができるユニークな技術的提案になるものと予想しています。
 一方で、システム構築にあたりいくつかの課題も確認されました。今後は今回の自動分注システム構築をさらに発展させ、より多くの具体的なアプリケーションに適用しつつ機能性、応用性を高める開発を進めてまいる所存です。
 今回の実証実験の成果を基に、今後はROS2をプラットフォームとする汎用コントローラの製品化と対応するロボットの拡充に尽力してまいります。このプラットフォームは同社
製品(開発コード名:ROSSetter/ロゼッタ)として今後も機能向上に努め、実装するコンピューティング環境についても、ローコスト版、ハイエンド版など用途に合わせたラインナップを拡張してまいります。

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