AIによる肺癌の予後予測モデル構築に向けた多施設レジストリ研究(REAL-WIND)を開始

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 特定非営利活動法人 西日本がん研究機構 (West Japan Oncology Group)(所在地:大阪府大阪市、理事長:中川 和彦、呼吸器グループ代表:山本 信之、以下、『WJOG』)は、「IV期肺癌患者における予後を含めた実態調査:多施設後ろ向きレジストリ研究(REAL-WIND)UMIN ID: UMIN000044957」(研究代表者:林 秀敏 近畿大学医学部内科学腫瘍内科 講師、研究事務局:藤本 大智 和歌山県立医科大学 呼吸器内科・腫瘍内科 助教 以下、『本研究』)を開始します。新医療リアルワールドデータ研究機構株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長:是川 幸士、以下、『PRiME-R』)および株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区、代表取締役社長:本間 洋、以下『NTTデータ』)は、データマネジメントおよび技術面から本研究を支援します。

 本研究は、電子カルテデータ等のリアルワールドデータ※1(以下、『RWD』)を標準化/構造化して管理・統合するCyberOncology(R)※2を用いて情報を収集し、新たな実地臨床情報の収集基盤の構築を目指します。さらに収集した臨床情報から日本人における予後等を予測するモデルを作成し、実地診療におけるIV期肺癌の臨床的背景、治療実態、予後を研究します。
※1 医療現場から得られる電子カルテデータ、検査データ、治療データ等の臨床情報
※2 電子カルテ等の入力支援システム「CyberOncology(R)」の本格提供開始について(2020年9月28日)
https://prime-r.inc/newsrelease/125/

1. 本研究の背景
 近年、肺癌患者さんにおいて分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬に代表される薬物治療の進歩が国内外の臨床研究によって示されています。しかし、実地診療において日本の肺癌患者さんにおける質の高い診療情報を用いた大規模な治療実態調査や予後調査はなされておらず、そのような治療進歩の下で実際にどの程度の予後であるか、どの程度の患者さんが薬物療法を受けているか等の基本的データが必要とされています。
 肺癌患者さんに対する薬物療法の実態や予後移管するデータは、今後の治療開発の基準となりますし、患者さんへの説明に役立つ情報になることは間違いありません。
 WJOG、PRiME-RおよびNTTデータは、多くの医療機関と協力しIV期肺癌患者さんの実地診療における臨床的背景、治療実態等を研究するため、本研究に賛同する医療機関を募ってまいりました。
 この度、多くの医療機関より本研究への賛同をいただいたことから、新たな実地臨床情報の収集基盤の構築および複雑な臨床情報から日本人における予後等を予測するモデル作成を目的とした本研究を開始しました。

2. 本研究の概要・意義
(1) 本研究の概要
1. IV期肺癌の大規模レジストリ構築
 各医療機関の電子カルテと連動したCyberOncology(R)を用いて入力、抽出された情報により構造化されたデータベースを構築します。高品質なRWDを収集するためにアブストラクタ※3が定期的に医療機関を訪問し、必要なデータの入力を補助します。入力されたデータは、各医療機関のCyberOncology(R)において匿名化された上で、高セキュアなネットワークを通じて、PRiME-Rのデータセンターへ送信されます。データセンターでは、中央モニタリングによるデータマネジメントを行い、構築した大規模レジストリデータをWJOGへ提供します。

2. 我が国の実地診療におけるIV期肺癌の臨床的背景、治療実態、予後、安全性を検討
 上記にて構築した大規模な我が国の実地診療データを用いて予後、薬剤の治療効果、安全性の検討を行い、予後を含めた治療効果に関連する因子の解析を行います。

3. 機械学習を用いた予後予測モデルの作成
 予後を予測するために最適なアルゴリズムと評価方法の検討を行い、大規模レジストリのデータを用いて機械学習のモデルを開発します。

※3 高品質な RWD を収集するために、目的とする臨床情報の項目が電子カルテからCyberOncology(R)によって網羅的にデータ抽出・収集されるプロセスを管理する医療従事者を示す。

(2) 本研究の意義
1. 新たな医療情報基盤を活用し、多数の医療機関のRWD を収集した大規模レジストリを研究に活用
・実地診療における背景や経過、治療薬選択、治療における臨床情報を収集
・6,000~8,000症例の大規模レジストリを構築し、治療方針や治療効果や安全性、それらの患者背景による違いなどを検討可能

2. 機械学習を用いた日本人における予後等を予測するモデル作成により、今後の治療方針の決定等に寄与
・複雑な臨床的患者背景、治療法、臨床データから日本人における予後等を予測するモデルの作成により、将来的に治療方針の決定に寄与
・今後の日本人の治療開発における参考データとして利活用可能

                      本研究のイメージ

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