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海外の地で働く日本人女性を取材し続けて4年:「なでしこVoice」を運営する濱田真里さん【前編】

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新宿のカフェで待ち合わせをした「なでしこVoice」の濱田真里さん 日本を出て、各国で活躍する働く女性の声を紹介する「なでしこVoice」。立ち上げて4年が経つ同サイトを運営するのは、濱田真里さん。通称「ハママリ」。海外就職を考えて情報を探した際に、現地で働く女性の声があまりに少ないことをきっかけに活動が始まった。 THE BRIDGEでさまざまな分野で活躍する女性を見ていて感じるのは、「女性はこ…

Mari-Hamada新宿のカフェで待ち合わせをした「なでしこVoice」の濱田真里さん

日本を出て、各国で活躍する働く女性の声を紹介する「なでしこVoice」。立ち上げて4年が経つ同サイトを運営するのは、濱田真里さん。通称「ハママリ」。海外就職を考えて情報を探した際に、現地で働く女性の声があまりに少ないことをきっかけに活動が始まった。

THE BRIDGEでさまざまな分野で活躍する女性を見ていて感じるのは、「女性はこうあるべき」という固定概念の存在。これまで取材させていただいた女性はそれを窮屈に感じ、自分なりの形で活き活きと仕事をする方法を見つけている。海外という選択肢も、またその一つ。なでしこVoiceでは、新しく道を切り開く女性の声を紹介している。

“Be The Change You Want to See.”(世界に変化を見たいなら、まずあなたがその変化になりなさい)を目指す濱田さんへのインタビューを前編・後編に分けてお届けします。

東南アジアを中心に、現地に赴いて活躍する女性の話を聞く

三橋:「なでしこVoice」拝見しました。海外で活き活きと働く女性へのインタビュー記事が面白いですね。このサイトの運営が本業なんですか?

濱田:なでしこVoiceは今年6月で立ち上げから丸4年になります。現在はフリーランスとして、4月に新たに設立されたNPO法人「ABROADERS(アブローダーズ)」というプロジェクトなどに参加しています。海外就職を応援するメディアで、なでしこVoiceにも通じるものがあるなと思ってジョインしました。

三橋:なでしこVoiceの取材は現地でやっているの?海外まで行って取材するとなると費用もかかりそうだけど。

濱田:ちょくちょく海外取材には行っていて、それこそ最初の頃の旅では2週間で30人くらいの方に取材させていただくこともありました。現地に赴いて、対面で直接お話を伺うことをポリシーにしているんです。だからSkype取材などは一度もしていません。

三橋:具体的には、どういう地域で活動している女性の取材が多いのかな?

濱田:東南アジアですね。理由は3つあるんですけど、個人的に海外旅行や世界一周をしてみて、アジアが特に楽しかったこと。個人的に東南アジアが大好きなんです。あとは、日本から距離も近いし、旅費も安い。3つ目の理由が大きくて、すごい熱気や生きるエネルギーを感じるからです。

三橋:具体的にどんなところにエネルギーを感じるの?

濱田:インフラも何も整っていないから、電気や水道が止まるなんてことも日常茶飯事です。だから、自分からアクションを起こさないと何も起きないんですよね。日本は、何もしなくても平和に一日が終わっていきます。全部が混沌としていて、日々が戦い。そんな環境にポテンシャルを感じるんだと思います。

三橋:そもそも、海外で働くことに関する情報を発信するようになったきっかけを教えてください。留学されていたとか?

濱田:大学3年生の時に世界一周の旅に出たことで、海外で働くことへの関心がいっきに高まりました。それまでは海外というキーワードは全く頭になかったんですが、ある本が始まりで。「マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった」という一冊。この本を読んで、それまでの価値観がガラッと変わりましたね。

三橋:おお、というと?

濱田:わたしは早稲田が大好きなので、将来は子どもも早稲田に入れようとか、大学を卒業後は大手企業に就職するんだろうなと漠然と考えていました。でも、この本を読んでから、働くということをより真剣に考えるようになったんです。自分が日本で生まれたという幸運を活かして、海外で何かしたいと思いました。この時、初めてNPOや国連などの仕事に目が向きました。

一人のジャーナリストの死をきっかけに、志を新たに

三橋:一冊の本をきっかけに180度考え方が変わったのね。世界一周から帰ってきてから、なでしこVoiceを立ち上げたの?

濱田:まずは自分で世界の現場を見てみようと思って、世界一周で初の一人旅に飛び立ちました。大学4年生で帰国して、海外就職に興味があったのでいろいろ調べてみたんですが、現地で働く女性の声がまったく見つからなくて。

三橋:情報がないなら、それを自分で発信しちゃおうってことだったのかな。

濱田:そうですね。ちょうど東北大震災の年に就職活動をしていて、少し空いた期間があったのでカンボジアに飛んだんです。現地で働く日本人女性にお会いしてお話を伺ったことが、今のなでしこVoiceの前身の活動になりました。

三橋:カンボジアの現地で刺激を受けて、でも日本帰国後に日本の会社に就職した理由は?

濱田:IT系の事業会社で1年ほど営業職に就きました。カンボジアに足を運んでみてわかったのは、今の自分では何も役に立てるものがないということ。その事実を痛感して、まずは今しかない新卒チケットを使って就職しようと思ったんです。

三橋:でも、就職してからもなでしこVoiceの活動を続けていたのね。これまでに何人くらいの海外で働く女性にインタビューをしてるの?

濱田:既に60名ほどの方のインタビューを掲載していて、まだ掲載できないないものを含めると倍以上になりますね。一度は就職したんですが、結局なでしこVoiceや海外就職を応援する活動に注力するようになって今に至る感じです。

三橋:会社員になってから、海外就職という自分が本当に関心がある分野で仕事をしようと決意した理由を聞きたいです。

濱田:仕事はすごく楽しかったですし、人にも恵まれていました。実際、本当にやりたいことがあるから辞めると当時の会社の副社長に話した際も応援してくれて、快く送り出してくれました。辞めて本当にやりたいことをやるように背中を押してくれたのはある事件でした。

三橋:事件?!どんな?

濱田:女性ジャーナリストの山本美香さんってご存知ですか?2012年の8月20日にシリアで亡くなったんですが。中東などの紛争地に自ら取材に出向いて、熱心に活動をしている方でした。ご自身が綴った取材体験記が本になっている以外は、あまりインタビュー記事などがなくて、同年1月のなでしこVoiceのインタビューが最後だったんです。

三橋:山本美香さんの最後の声。とっても貴重なインタビューなのね。

濱田:取材以降、とっても慕わせてもらっていたので唐突に亡くなったことが本当にショックで。女性として発信に命をかけているジャーナリストの鏡のような方でした。その時に、本当にやりたことがあるなら、せっかくの時間や命を無駄にしないでその道に突き進むべきじゃないかって考えるようになりました。

後編につづく。

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