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ソラコムがさくらインターネットと提携、誰でも高セキュリティのモバイル・サービスが実現可能に

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モバイル通信のクラウド化プラットフォーム「SORACOM」を運営するスタートアップ、ソラコムは1月27日、主催するカンファレンスの壇上で4つの新サービスを発表した。 公開されたのが「SORACOM Canal」、「SORACOM Direct」、「SORACOM Endorse」、「SORACOM Funnel」の4つで、本日から利用可能となる。 CanalとDirectは共にSORACOMの提供…

ソラコム CEO 玉川憲氏
ソラコム CEO 玉川憲氏

モバイル通信のクラウド化プラットフォーム「SORACOM」を運営するスタートアップ、ソラコムは1月27日、主催するカンファレンスの壇上で4つの新サービスを発表した。

公開されたのが「SORACOM Canal」、「SORACOM Direct」、「SORACOM Endorse」、「SORACOM Funnel」の4つで、本日から利用可能となる。

CanalとDirectは共にSORACOMの提供する通信SIMから得られたモバイル通信を、そのままセキュリティの確保されたプライベート・クラウドおよびサーバーに接続するためのサービス。

CanalはSORACOMがAmazon Web Services(以下、AWS)上で稼働していることを活用し、同じくAWS上で稼働するプライベートクラウド(Amazon Virtual Private Cloud)へのプライベート接続を実現する。

玉川氏「大企業は、AWSでAmazon VPC (仮想プライベートクラウド)が利用できるようになったことで、クラウドへの対応が進みました。私たちは、セキュリティ対策が可能になるSORACOM Canalができたことで、企業のIoT活用が本格化すると考えています」

Directはこの接続先がAWS以外のシステムの場合に適応したもので、接続には専用線を使う。これにより、サービス運営者はモバイル通信を利用しながら、インターネットから隔離された完全なプライベート網でサービスを運営することも可能となる。本件は後述する。

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Endorseは認証サービスで、SORACOMのSIMをトークンで認証し特定することを可能にする。これにより、SORACOMのSIMが入っているだけで特定のWifiアクセススポットに自動ログインが完了するような「認証SIM」を制作することができるようになる。

ソラコム CTO 安川健太氏
ソラコム CTO 安川健太氏

4つ目のFunnelは、ソラコムCTOである安川氏から発表された。各種クラウドに対して接続するアダプタという機能を提供し、モバイル通信から直接クラウドにデータを送信する機能。対応しているのは「Amazon Kinesis」「 Amazon Kinesi Firehose」、「Microsoft Azure Event Hubs」となっている。

例えば、大量のデータを受け止めるAmazon Kinesisに直接データを送り込む設計にすれば、モバイルからのデータを一旦受け止める「ダム」のような設計が比較的簡易に構築できるようになる。

また、上記の発表以外にもSORACOMの管理機能を強化したSAM(SORACOM Access Management)のリリースも発表されている。これはSORACOMの特徴であるモバイル通信の管理機能を更に拡大したものだ。

これまでもAirを使えば例えばある特定事業者がSORACOM SIMを第三者に発行、速度制限や利用期限設定など、そのユーザーを管理することができた。このアカウント管理の権限を更に一段広げ、ソラコムのパートナーが更にサービスをリセールするようなビジネス展開を可能にする。

加えて、IMEI取得の機能も発表された。こちらは携帯モジュールの識別番号を取得するというもので、SIMの不正利用対策のための機能。IMEI取得機能、SAM機能ともに無料で利用することができる。

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ソラコムの利用アカウント数は現時点で法人個人含め1500件に上り、パートナーシップについてもこれまでに117社が申請し、ソラコムが認定を完了している企業も21社に上ることが公表されている。ステージ上では、パートナーシップを結ぶセールスフォース・ドットコムの取締役兼COO川原均氏も登壇した。

さらに、ステージではヤフーの提供するIoTプラットフォーム「myThings」との連携も発表された。本件は2016年2月にリリースを予定しており、また後日詳報をお伝えしたい。

さくらインターネットとの衝撃的な提携

さくらインターネット フェロー 小笠原治氏
さくらインターネット フェロー 小笠原治氏

今回の発表で最も驚いたのがさくらインターネット(以下、さくら)との提携だ。実はソラコムの発表前にさくらインターネットはソラコム同様のIoT向けプラットフォームのプロジェクトを公開していた。

<参考記事>

詳しくは上記記事を参照頂きたいのだが、アプローチの起点はそれぞれモバイル通信側、クラウド側と違えど、全体構成はほぼ同じ考え方だ。ソラコムが今回発表したCanalもDirectも同じ構成を可能にする。

ただ、さくらの発表当初、このMVNO箇所をどのように用意するのか疑問に思っていた。ソラコムの技術集団が寄ってたかって半年以上かかって開発したものを追いかけるというのだろうか?

さくらインターネットが公表しているIoTプラットフォーム構成案

答えは簡単だった。両社は最初から提携していたのだ。これによって、完全にプライベートなモバイルークラウド空間でのサービスが今すぐにでも可能になる。ーー更に、さくらでこのプロジェクトを牽引するのは国内IoTの旗手であるCerevoで取締役も務める小笠原治氏だ。

これでモバイル、通信モジュール、クラウド、すべての駒が揃ったことになる。

では、具体的に何ができるのだろうか?

キーワードは「モバイル網を通じた極めてセキュアなサービスの可能性」だ。

例えば社内システムが分かりやすいかもしれない。社員は配布されたソラコムのSIM入りのデバイスを持って自由に営業活動をする。売上や顧客情報など、極めて高いセキュリティを求められるような情報であっても、このDirect構成を使えば、モバイル通信はそのままダイレクトにさくら内にあるプライベートなクラウド空間へと直行することになる。

生体情報などの極めて個人的な情報を取り扱うことになるInternet of Thingsにおいて、この情報がリスクにさらされない、という物理的な前提は大きい。

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つまりはこういうことだった

そして何よりもこの構成が非常に安価に構築できるのがビジネス的なメリットだ。馬鹿みたいなコストをかければもちろん上記構成はこれまでも構築はできた。ソラコムはこのDirect専用線を月額数万円レベルで提供するという。

さらに今回発表された認証サービスのEndorseと合わせて使えば、クラウドにありながら、極めてプライベートな社内システムに「のみ」接続可能なSIM(を挿したデバイス)を手軽に作ることができるようになる。主に業務用のソリューション・ビジネスをやっている事業者は、新しいビジネスチャンスに心踊るのではないだろうか?

※本取材記事は平野武士とモリジュンヤの2名で執筆いたしました

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さくらインターネットがIoT向け「垂直統合型」モバイル通信プラットフォームを来春に発表へ

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昨晩開催されたさくらインターネット【3778】の公開イベントの壇上発表で、同社が来春にもIoT(Internet of Things)関連プロダクトおよびサービス専用のモバイルデータ通信プラットフォームを提供する予定であることが分かった。 2月に開催されるイベントで詳細が発表されるということだったが、公開されているスライドを見る限り、単なるMVNO(仮想移動体通信事業者)事業への参入というよりは、…

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昨晩開催されたさくらインターネット【3778】の公開イベントの壇上発表で、同社が来春にもIoT(Internet of Things)関連プロダクトおよびサービス専用のモバイルデータ通信プラットフォームを提供する予定であることが分かった。

2月に開催されるイベントで詳細が発表されるということだったが、公開されているスライドを見る限り、単なるMVNO(仮想移動体通信事業者)事業への参入というよりは、さくらインターネットのクラウドに繋がる垂直統合型の環境を新たに提供することになる、というのが正しい認識かもしれない。

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提供されるのはSIM(どこのキャリアと契約するかは不明)とハードウェアに通信機能を追加するSIMモジュール、そこにBLE(ブルートゥース接続環境)と各種センサーが合体したもので、このパッケージを使えば、各種ハードウェアにモバイル通信環境を提供できるようになる。例えばフィットネス器具にこのモジュールを使えば、そこから取れる生体データをモバイル通信を使ってサーバーに送ることができる。

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面白いのはその送り先がさくらインターネットのクラウドで、閉じたネットワークであるという点だ。いわゆる閉域網でオープンなインターネットに比較して安全性が高く、個人情報などセンシティブなデータの取り扱いに向いている。さくらインターネットはテックビューロと協業してブロックチェーン関連のテストを始めているが、おそらくこういった取り組みも、このモバイル通信網の構想があったからかもしれない。

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クラウド上に送られたデータはAPIを叩いて取得することができるようで、前述のような例でフィットネス器具から取得した個人の生体データはこのAPI経由で取り出すことができる。スマートフォンで自分の体重変化などをチェックするようなオンラインサービスに利用できる、というわけだ。発表では2016年春にクローズドβをリリースし、その募集を2月に開始するということだった。

この分野ではソラコムが先行しているが、彼らがSIMのコントロール以外全てオープンなのに対し、こちらは全てさくらインターネットが用意する垂直統合型である点が大きな相違となるだろう。

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さくらインターネットとテックビューロが始めたブロックチェーン実験、注目したい二つのポイント

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国内フィンテック系スタートアップのテックビューロがさくらインターネット【3778】と協力して立ち上げたプライベート・ブロックチェーン環境実証実験の話題は大きな反響を呼んだようだ。 さくらインターネットが運営する「さくらのクラウド」上でテックビューロが開発するプライベート・ブロックチェーンのクラウド化技術「mijinクラウドチェーン」の実証実験環境を利用可能になるというもので、2016年1月から無料…

国内フィンテック系スタートアップのテックビューロさくらインターネット【3778】と協力して立ち上げたプライベート・ブロックチェーン環境実証実験の話題は大きな反響を呼んだようだ。

さくらインターネットが運営する「さくらのクラウド」上でテックビューロが開発するプライベート・ブロックチェーンのクラウド化技術「mijinクラウドチェーン」の実証実験環境を利用可能になるというもので、2016年1月から無料で開発者、事業者向けに提供されることになっている。

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さくらインターネットのフェロー、小笠原治氏の話によれば、12月16日の発表以降すでに66件の利用申込があり、海外からのテスト申込も多いということだった。

この実証実験で注目したい2つのポイント

さて、本誌読者のみなさんであればフィンテックの盛り上がりと同時にこの「ブロックチェーン」というワードを耳にしたことがある方も多いだろう。私もこの分野はビットコイン関連で出会うことになった一人だし、個人的にもよくチェックしているビットコイン関連メディア「CoinDesk」も、その話題はブロックチェーン技術を中心に構成されることが多くなった。

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CoinDesk

一方、このワードを読み解き伝えることは、樹海に足を踏み入れるがのごとく大変難しい。実際私もこの原稿を書くのに深みにはまってしばらく戻ってこれなかった。

そこで思い切って技術的な要素は抜きにして、今回の実証実験がどのようなインパクトを与えてくれるのか、ビジネス的な部分にフォーカスしてお伝えしてみたいと思う。ポイントは「ブロックチェーンで可能になるサービス」「新たなクラウドビジネスのスキーム」の二点だ。

ブロックチェーンが可能にする「信頼性」の担保

「技術的な要素を抜きに」と前置きしておきながらではあるが、さすがにブロックチェーンが何者か全くわからないまま読み解くのは難しいので、こちらの記事をご紹介したい。今回、実証実験に参加したテックビューロ代表取締役、朝山貴生氏がフィンテック関連メディア「THE COINTELEGRAPH」に寄稿している3本の連載だ。

<参考記事>

ここで理解したいポイントはおおよそ次の3点になる。(朝山氏の記事から引用)

  • ビットコイン(の根幹技術であるブロックチェーン)は実質上のゼロダウンタイムを実現した
  • インターネットに晒されていても誰も改ざんすることも盗むこともできないセキュリティを実現した
  • ブロックチェーンによる劇的なコスト削減

平たく言うと、彼らはこのブロックチェーンの「落ちない・改ざんできない・劇的に安い」環境をプライベートでクラウド上に用意し、「実際にみんなが使えるか試せるようにした」(小笠原氏)のが今回の2社の取り組み、ということになる。ブロックチェーンの複雑かつ深い議論とは対照的に、提供されるAPIを叩くだけでこれらのメリットを享受できるのも特筆ポイントだ。

では、実際に何がこれでできるのだろうか?

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イメージ引用:VentureScanner

米調査会社のVentureScannerが出している、フィンテックエコシステムのカオスマップを眺めると大凡アウトラインは見えてくる。レンディング(貸金)、パーソナルファイナンス(資産管理)、ペイメント、各種投資、金融インフラ、バックオフィス。

これら全てに於いて当然ながらデータの確実性、安全性が問われることになる。送金したお金のデータが途中で減ってしまうようなサービスは誰も使わないわけで、この信頼性のところに使えるのが前述のブロックチェーン技術であり、2社が今回用意したAPIということになる。

上記を眺めて「ウチは金融サービス別にやりたいわけじゃないんだよね」と思う人もいるかもしれないが、それは大きな誤解だ。このインフラが約束しているのは別に貨幣に限ったものじゃないからで、この世には「そのデータを改ざんされると困る」ものがたくさんある。会計はもちろん、契約、議事録、ポイント情報に個人情報などなどなど。

「データの信頼性」をインフラに委ねることで、広がるアイデアやビジネスがある。それこそが今回2社が提供する真のインパクトなのかもしれない。

新しいクラウドビジネスのスキーム

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このインフラの凄さについてはぼんやりと分かったとして、ではビジネスはどうだろうか?2社は今回、この環境を2016年6月末まで無料で実験的に提供し、その後に有料プログラムへ案内するとしている。

もちろんこのプログラムの獲得もひとつのビジネスではあるが、それだけだとやや小ぶりだ。そこで注目したいのがやはり小笠原氏の存在が挙げられるだろう。彼はさくらインターネット創業メンバーであり、複数企業の代表や起業支援、ハードウェア投資などを手がけつつ、8月には同社フェローとして復帰している。

彼がここ最近最も力を入れているのがInternet of Thingsの文脈であり、投資育成プログラムのABBALab、ハードウェアメーカーのCerevo、DMM.make AKIBAのプロデュースなど、モノとインターネットの融合に関しては常に爆心地の「ど真ん中」に存在していた。

この「モノから得られる大量のデータ」と「そのデータの確実性の担保」「そのサービスをホストするクラウド」を掛け合わせると、たちまち彼らが見ようとしている世界が広がってくるのではないだろうか?

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参考:スマートロックのAkerun

例えばスマートロックをひとつとってみよう。Airbnbのような空き部屋のレンタルにスマートロックを使えば、鍵の受け渡しは必要なくなる。しかしよく言われることの一つに「安全性」が挙げられることが多いのもこの分野ならではだ。

そこで彼らの用意するインフラがひとつ可能性を提示してくれる。

もし誰がいつどこで鍵を開けたか、また閉めたかが分かって、さらにそれが「絶対に確実にその人」であることが証明できるなら、それはこのシェアリング経済の「穴」を埋めることに繋がるのではないだろうか?

その人であることは指紋や顔認証などで取ることが可能だ。場所についても、いつ開けた/閉めたかについても全てデータで取ることができる。そしてそれを改ざんできないようにすることも、このブロックチェーン技術を使えばできるようになる。

もし、シェアリング経済圏のサービスを全て彼らのインフラ上で実現することになれば、どうだろう、そのインパクトは計り知れないし、もちろんそれ以外にもデータの確実性を求めるサービスはごまんとある。

インタビューの最後に小笠原氏はまだ全体のスキームを完成させるための「ピース」が残っていると話をしていたので、また何か動きがあるのかもしれない。

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