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体温で動くスマートウォッチ「Matrix PowerWatch」

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私はモバイル機器を充電し忘れたり、充電器を失くすことがよくある。PowerWatch のアイデアが好きなのはそういう理由だ。スタートアップの Matrix Industries により開発された PowerWatch は、体温で充電され、肌と接触さえしていれば充電する必要がない。 6年近くに渡る研究、Indiegogo で実施したクラウドファンディングキャンペーンの成功から1年を経て、カリフォルニ…

私はモバイル機器を充電し忘れたり、充電器を失くすことがよくある。PowerWatch のアイデアが好きなのはそういう理由だ。スタートアップの Matrix Industries により開発された PowerWatch は、体温で充電され、肌と接触さえしていれば充電する必要がない。

6年近くに渡る研究、Indiegogo で実施したクラウドファンディングキャンペーンの成功から1年を経て、カリフォルニア州メンローパークを拠点とする Matrix Industries は PowerWatch の発売をついに開始する。

この腕時計に使用された技術は充電切れの心配を解消し、ウェラブルデバイスの新時代を切り開くでしょう。

Matrix Industries 共同設立者で CEO の Akram Boukai 氏は VentureBeat のインタビューで話す。価格は PowerWatch.com で170米ドル。節電につながることを考えるとそれほど高くはなさそうだ。

Boukai 氏はこう語る。

余計な機能は要らないという人々をターゲットにしました。1日1万歩くらい歩くアクティブな人なら、充電不要です。

このスマートウォッチは、熱エネルギー変換技術を搭載したチップを使用することで体温によってエネルギーを取り込むことを可能にしている。Matrix は発電能力を極限まで高めた先進の熱発電技術を独自開発した。電子機器に電力を供給して内蔵バッテリーを充電させるために必要な、高効率電力変換回路を開発したのだ。また、このウェラブルデバイスが感知できる最小量の熱まで取り込める設計になっている。

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PowerWatch は温度差を利用して熱エネルギーを電力に変換する
Image Credit: PowerWatch

手首の外側は熱を取り込むには適さないと Boukai 氏は言う。頭や足の裏、手首の内側ほどには熱を発することができないからだ。腕時計の肌に触れる面とそうでない面の温度差を保つことが最大の秘訣で、手首から取り込んだ熱をもう一方の面から逃すという仕組みだ。

彼らは、電気は伝えるが熱をそれほど通さない半導体を発見した。その性質を生かした半導体チップをナノサイズ、つまり10億分の1メートルサイズで作り上げた。チップの裏表に温度差が発生すると電流が加わる仕組みである。

腕時計を外すとデータはメモリーに保存され、スリープ状態になる。再び着けると取り外す前の状態が復元される。アイドルモードで2年間のデータ保存が可能だ。また、体温による発電量を知らせるパワーメーターが常時稼働。言い換えれば、装着時のカロリー消費量を正確に計測できるということだ。

デバイスには航空機レベルの非常に軽いアルミニウムが使われていて、スマートフォンとワイヤレスに同期もできる。タイムゾーンの自動切り替え、歩数の記録、消費カロリーと睡眠時間の計測も可能。また50メートル防水である。

基本的には充電式のフィットネスウェラブルと同じ機能が搭載されていて、なおかつ面倒な充電が不要である。タッチスクリーンは付いておらず、機能の切り替えは2つのボタンで行われる。

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PowerWatch にタッチスクリーンは付いていない
Image Credit: Dean Takahashi

充電するために取り外し、そのまま忘れ去られるということがウェラブルを使わなくなる一番の原因だと Boukai 氏は語る。PowerWatch は取り外す必要がない。

2011年、Boukai 氏はカリフォルニア工科大学時代の友人 Douglas Tham 氏と共に、材質科学のスタートアップとして Matrix Industries を立ち上げた。彼らはウェラブルデバイスがすぐに充電切れしてしまう問題に着目し、スマートウォッチ開発にピボットしてかさばりがちな電子機器のサイズを落とすことにフォーカスした。この問題を解消すべく行った開発を通して、彼らは10件の特許を取得した。

数年前には成し得ないことでした。(Boukai 氏)

Matrix Industries は、コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で行われたコンペ、ラスト・ガジェット・スタンディングで優勝した。1月に行われた Indiegogo のクラウドファンディングキャンペーンで164万米ドルを調達し、続けて350万米ドルが集められた。ベンチャーキャピタルでは Khosla Ventures をはじめとする出資者から合計2,400万米ドルを獲得している。従業員は現在11人、メンローパークで半導体を自社生産しているが、将来的には中国に生産拠点を移す計画だ。

PowerWatch は現在、12万人以上の先行予約購入者に向けて配送を開始している。

シャープのカラーディスプレイを搭載した特別仕様の PowerWatch X も年内に発売予定である。Boukai 氏は、来年に Amazon と小売店での販売開始を見込んでいる。定価は200米ドルとなる予定。

最初の収益を得られて大変喜ばしい気分です。(Boukai 氏)

手首よりもエネルギーを多く取り入れられる場所はあり、Matrix は充電不要のワイヤレスイヤホンを始め、様々なデバイスの研究を行っているという。

【via VentureBeat】 @VentureBeat

【原文】