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手元の音源からアナログレコードの生産・販売が依頼できるクラウドファンディング・プラットフォーム「QRATES(クレイツ)」がプリローンチ

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音楽も映像も今やデジタル全盛の時代、デジタルコンテンツの消費方法も、ダウンロード型からストリーミング型へと変化している。ただ、トレンドというのは振り子のようなもので、どんな分野においても、デジタルを追求したかと思うと、数年後には人々の関心は、形を変えてアナログに戻ってくるような気がしている。 1990年にレコード針を生産していたナガオカが解散したのがアナログ音源の終焉を象徴する出来事だったが、数日…

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音楽も映像も今やデジタル全盛の時代、デジタルコンテンツの消費方法も、ダウンロード型からストリーミング型へと変化している。ただ、トレンドというのは振り子のようなもので、どんな分野においても、デジタルを追求したかと思うと、数年後には人々の関心は、形を変えてアナログに戻ってくるような気がしている。

1990年にレコード針を生産していたナガオカが解散したのがアナログ音源の終焉を象徴する出来事だったが、数日前 NHK のある番組を見ていて我が目を疑った。数ある音楽会社やレーベルからレコードのプレス依頼が相次ぎ、製造工場は連日残業しても生産が追いつかないというのだ。レコードのパッケージとしての完成度、デジタルには無い音域の広さを愛してやまないアーティストや音楽愛好家が、予想を超える需要を生み出しているのだという。

そして今日、渋谷に拠点を置くスタートアップ Tokyo Digital Music Syndicates(以下、TDMS と略す)が、誰もが簡単かつ安易にそのようなニーズを現実化できる、レコード生産+クラウドファンディング・プラットフォーム「QRATES(クレイツ)」をプリローンチした。アーティストが自分の作品のデジタル音源をアップロードすることで、レコード制作の需要をファンから募ることができ、クラウドファンディングの結果に応じて、実際のレコード生産・パッケージ制作・代金回収・配送までを代行依頼できる。

iTunes などのデジタル音楽配信サービスが立ち上がってまもない頃、デジタル配信される音源のビットレートはまだ高くなく、クラブシーンなどの大音量の環境では音も歪み、使い物にならなかった。デジタル全盛の今でも DJ 達が重いレコードを数多く持ち運びしているのは、その名残だろう。TDMS は業界に先駆けて WASABEAT というクラブDJ向けの高音質デジタル音源配信サイトを2007年に立ち上げ、以来、アーティストから寄せられる声に耳を傾けてきた。

レコードを出したいという声は寄せられていた。しかし、日本国内にはもはやレコードをプレスできる会社は一社しかない(筆者が NHK で見た東洋化成のこと)。最低でも300枚のロットが無いと作れないし、販売時の適正価格は1,500円〜2,000円になってしまう。

できたレコードを世界に販売しようとしても、最低でも流通の仲介会社が2つか3つは入ってしまうので、これではアーティストのものに一銭も残らない。小ロットでリスクを軽減し、レコードを販売できるまでのしくみを作りたかった。(TDMS 代表取締役のべ・ヨンボ氏)

理想を実現するために、べ氏はチェコにある老舗のレコード・プレス工場と提携、QRATES を日・英両語に対応することで日本のみならず、世界中のアーティストやレーベルからオーダーを受け付けられるようにした。最小ロットは100枚から受け付け可能で、レコード盤面やパッケージデザインもウェブ上で完結でき、生産リスクを軽減できるよう、ファンからのプリオーダーを募るクラウドファンディング機能も備わっている。

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Kickstarter や Indiegogo でも、レコード制作のプロジェクトが盛り上がっているのは知ってました。しかし、レコード制作に特化したクラウドファンディング・サイトは無かった。おそらく世界初です。(ベ氏)

QRATES 上では、レコードのクラウドファンディング・プロジェクトページが作成できる上、何枚のプリオーダーがあれば赤字が出ないかなどの損益分岐点の計算、プリオーダーしたユーザ(バッカー)向けのボーナストラックの提供設定、ファンのエンゲージメントまで行えるなど、アーティストやレーベルにとっては、痒いところに手の届く仕上がりだ。べ氏のもとには、インディーズのアーティストのみならず、大手レコードレーベルからも協業の可能性を模索する問い合わせが来ているようだ。

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QRATES の利用料は基本無料。レコードのプレス代は別途かかるが、プラットフォームの利用料は、クラウドファンディングによる販売が成立した時のみ売上の15%、その他プレス製造を伴わない販売のみの利用時は売上の10%となっている。デジタルよりも音域が広いレコードに加工するための、音源のアナログ向けマスタリング機能も追加費用を支払えば利用可能だ。クラウドファンディング完了後、およそ2ヶ月程度でプレスされたレコードがプリオーダーしたユーザの手元に届く。

TDMS では既にレコードプレスの試験製造を完了していて、現在は QRATES のインターフェースのチューニングと、チェコのプレス工場とのワークフローの最終確認中だ。ベータ版サービスの正式ローンチは4月初旬の予定、筆者のみならず、音楽を趣味や生業としている人なら、その瞬間が待ち遠しいに違いない。

TDMS はこれまでに、QRATES の開発を目的として、IMJ Investment PartnersエクシングPE&HR から資金を調達している。

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