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とりあえず高級住宅に住める「住宅のサブスク」ZeroDown、シアトル進出

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ピックアップ:Y Combinator grad ZeroDown opens Seattle office to tackle pricey housing down payments ニュースサマリー:不動産テック「ZeroDown」は1月17日、本社を置くサンフランシスコに次ぐ第二のサービス展開都市としてワシントン州・シアトルへの進出を果たすことを発表した。同社はこれまでに、Y Combin…

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ピックアップ:Y Combinator grad ZeroDown opens Seattle office to tackle pricey housing down payments

ニュースサマリー:不動産テック「ZeroDown」は1月17日、本社を置くサンフランシスコに次ぐ第二のサービス展開都市としてワシントン州・シアトルへの進出を果たすことを発表した。同社はこれまでに、Y CombinatorやGoodwater Capital、 Credit Suisseから総額1億ドル越えの資金調達(デッドファイナンス含む)に成功している。

ZeroDownは高級一軒家を頭金なく分割払いで購入可能なプラットフォームを展開。一般的なローンでなく、自宅の価格から算出される金額を2年間分割で支払うシステムを取る。買わない場合は支払額の50%をキャッシュバックする選択も可能で、2年間実際にお試しで住んだ後、購買の意思を決めることができるのが特徴。

頭金とは別に初期費用として1万ドルまたは1万5000ドルの支払いが必要。費用に応じて月額の支払額に差が出る仕組みを取る。なお、月額料金は市場価格の変動に左右されず初期値から変更されることはない。

話題のポイント:California Association of Realtorsのデータをもとに不動産企業「Compass Real Estate」が算出した資料によれば、ダウンタウン・サンフランシスコ近郊にて一軒家・コンドミニアム(中層物件を想定)を購入するためには、約34万ドル(日本円で約3700万円の年収)の収入が必要と示しています。

Median Income

この指標はサンフランシスコ市内における物件の「中央値」なことも特筆すべき点です。数個の高級物件が平均値を上げているのでなく、あくまで中央値なため、総じて約34万ドルほどの収入がないと基本的な生活を送れないということを意味します。

ZeroDownは物件価格が高騰する背景に対してソリューション提供をしています。初期サービスフィーはかかるものの、物件の購入自体は同社が代わりとなって対応し、ユーザーはZeroDownから物件を賃貸します。

物件の購入ステップを踏んでいるにもかかわらず金利が高いローンを組まず「とりあえず入居」を最低限の資金で始めてしまうことを可能としています。この「とりあえず」の環境を整えるという点を踏まえれば、WeWorkのモデルと似ているといえます。

Annotation 2020-01-28 224437

WeWorkはフリーランスや小規模の事務所からの需要が多いですが、大企業の海外進出の際「とりあえず入居」することが可能なオフィスとしての需要にも応えています。敷金や礼金がなく、基本的な家具が準備されている「環境」を即日から得られるとあれば、多少家賃が高くとも短期的には問題はない思考になります。

ZeroDownも「便利・お得」といった感覚を上手に利用しているといえるでしょう。自宅購入のようなまとまった金額が必要だった従来の概念を取り払うことに成功しています。

お試し感覚で住み始めることができるモデルは、物件購入におけるユーザーの負担を限りなく取り除けている「住宅のサブスク」と言えるのではないでしょうか。なかでもZeroDownの住宅サブスクモデルが優れているのは、住み始めてから5年以内であれば退去できる選択肢を準備している点にあります。住宅購入をしないと選択した場合でも、月額で支払っていたサブスク料金の50%はキャッシュバックされることも大きな利点となります。

購入する場合には今まで払っていた月額のサブスク額を全て購入資金として充てることが可能です。ただし、自宅の総額は同社が購入した時点より年間最低3.3%が上乗せさせられるそうです。そのため購入の意思を示す人は比較的少ないのでは、と感じました。

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さて、自宅を所有するためのサブスクリプションモデルの観点では、同じくYC卒業生の「Rent the backyard」が近い構造だと思います。同社は既に自宅を所有しているユーザー向けに裏庭に新たな住居を建設し、Airbnbなどの民泊として利用する機会を提供しています。建設に際し前金などはなく、所有権を月額で買い戻していく仕組みです。

こうした住宅のサブスク化は、米国で深刻となっている住宅価格の高騰という社会問題に対する明確なソリューションです。特にサンフランシスコやシアトルの住宅価格高騰はテック企業がもたらしたものと言われており、これを揶揄した「The Google Bus」という歌もリリースされるほどです。

サンフランシスコと同じ西海岸のシアトルも、住宅価格は高騰を続けていることは下のグラフで一目瞭然です。

Seattle Real Estate Prices

今回シアトルへの進出を果たしたZeroDownですが、シアトルには同社に似た事業を行うスタートアップ「Flyhomes」が本拠地としています。ZeroDownと同じように、物件購入に際するキャッシュフローに対してソリューション提供をしており、既に1500件以上もの利用実績を誇っているとしています。

シアトルでは、オンライン型の不動産検索・データベースとして成長を遂げてきたZillowやRedfinも本拠地としており、リアルエステートのコミュニティーも活発な印象です。既にエンタープライズの域に達している先駆者と、新しい形の社会課題解決型のスタートアップが見事にコラボレーションし、より住みやすい街に変化を遂げていくことが望まれます。

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