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ユーザー調査のエクセルとにらめっこしながら迎えた人生のターニングポイント:Cinammonの平野未来さん【後編】

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アジアを舞台に活躍するCinammonのCEO、平野未来さん 「ベトナムとタイを拠点に、世界規模のコミュニケーションサービスを目指して走る「Cinammon」の平野未来さん【前編】」の後編をお届けします。 「なぜ?」が違う、一度目と二度目の起業 三橋:実際に起業してみてどうでしたか。これまでの経験で特に活きているものってありますか。 平野:いや、もう本当にたくさんあり過ぎて、これって一つ挙げられな…

OLYMPUS DIGITAL CAMERAアジアを舞台に活躍するCinammonのCEO、平野未来さん

「ベトナムとタイを拠点に、世界規模のコミュニケーションサービスを目指して走る「Cinammon」の平野未来さん【前編】」の後編をお届けします。

「なぜ?」が違う、一度目と二度目の起業

三橋:実際に起業してみてどうでしたか。これまでの経験で特に活きているものってありますか。

平野:いや、もう本当にたくさんあり過ぎて、これって一つ挙げられないくらいですね。資金調達もそうだし、チームのマネージメントについてもそうだし。でも、今回のCinammonは二度目の起業なので、一度目でいろんな危機への対応能力はつきましたね。起業って本当にジェットコースターみたいなものなので。

三橋:他に、一度目の起業と二度目の起業とで違っていることってありますか。

平野:大きく違うのは、「なぜ?」のところですかね。ネイキッド・テクノロジーの頃は、精神的にすごく辛かったんですよ。なんでかって言うと、周りが見てかっこいいと思うことをやっちゃっていたから。自分が本当にやりたいことよりも、そっちが全面に出てしまっていた気がします。その時に、自分に嘘をつかない生き方をして、自分のやりたいことをやろうって心に決めました。

三橋:自分がつくりたいものをつくる、と。同じ辛くても乗り越えられる感じなのかしら。

平野:今は例え何か危機があったとしても、それを辛いとは思わないです。仕事とプライベートのON/OFFがなくて、常にONでそれが楽しいので。コミュニケーションサービスをつくりたいので、今まさにそれをつくっていますね。

三橋:SNSが登場した時の感動もきっかけだったり?

平野:私が過去にすごいなって心底思ったサービスは3つあって。Eメール、匿名チャット、SNS。Eメールに最初に触れて、離れている人に瞬時に届くってすごい!と思ったし、匿名チャットでは世界が広がる感じがすごく楽しくて。この3つに共通するのは「コミュニケーション」という部分で、自分もそういうサービスがつくれたら最高だなって。何億人っていう規模に使われるサービスをつくりたいです。

ベトナム現地での採用:お金以外のモチベーション

三橋:その世界規模で闘う舞台としてシンガポールを選んだ理由は?

平野:そもそも、私は学生時代からバックパッカーで世界中を回っていて、その中でもアジアがすごく好きでした。シリコンバレーという選択肢も考えたんですけど、世界中から優秀な人材が集まっているから競合も多いし、英語力と文化がわからないというハンデもあります。それに比べて、アジアなら先進国メリットがあるし、近い分だけ文化も理解できたり、英語も何とか通じたりするので。

三橋:今の拠点はベトネムですけど、現地の人を採用する上で気をつけていることがあれば教えてほしいです。

平野:やっぱり、一番大切なのは人選ですね。ベトナムに行った初期の頃と今のメンバーは、完全に入れ替わっているんです。当時はまだベトナムに子会社を設立する前で、外国法人による現地人の採用は法律で禁止されているので。現地の会社にアウトソーシングして人を採用したら、スタートアップという環境には無関心の「志がない優秀なエンジニア」が集まってしまいました。

三橋:ベトナムでは、働くモチベーションも日本とは違うのかな。

平野:そうですね。ベトナムは全般的に働くことのモチベーションが金銭なんです。日本人みたいにやりがいを大切にしないので、仕事が終わっていなくても定時には帰る。でも、途中から独自に採用をするようになって、よりスタートアップという環境や自社プロダクトに携わることへのモチベーションがある人材を集めることができました。

エクセルとにらめっこしながら迎えた人生のターニングポイント

三橋:なるほど。これまでを振り返ってみて、平野さんにとってのターニングポイントってどこでしょう。

平野:mixiにいる時に、とあるユーザー調査をしたことがあったんです。その時に、「人って数種類くらいにしか分かれないんだな」って思ったんですよね。当時は大学生を中心に話を聞いていたんですが、本音を隠すのが上手い大人に比べて、ストレートに話してくれるので価値観みたいなものが浮き彫りになって。

三橋:どんなタイプに分かれると思いました?

平野:大きくは3つですね。

  • 自分が愛されることを大事にする
  • 友達を大事にする
  • 自分がどう見られるかを大切にする

で、じゃあこの中で自分はどこに入るかな?と思った時に、3つ目の「周りにどう見られるか」を気にするタイプだって気がついて。人にどう見られるかを突き詰めていく人生って、かっこ良くないなって思ったんです。

三橋:すごい、調査結果とにらめっこしながら人生のターニングポイントを迎えたんだ。

平野:そうです(笑)エクセルに向き合ってのターニングポイント。私のロールモデルは、未踏プロジェクトでお世話になったソニーコンピューターサイエンス研究所所長の北野宏明先生という方で。起業も先生が発破をかけてくださった部分がありました。

自分の信念で動いていて、何事も本当に楽しそうに目をキラキラさせて話すんです。「他人からどう見られるか」を気にする今の自分のままでは北野先生みたいにはなれない。これはもう自分のマインドを変えないとダメだなって思いました。

情熱を時間減衰させずにスグ動くこと

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三橋:最後に、平野さんのようにグローバルに活躍されている人に憧れる女性ってたくさんいると思うんですが、何かメッセージをください。

平野:私が感銘を受けた他の人の言葉のフォワードなんですが(笑)昔から、あまり先のことを考えてもね…と思うタイプで、以前はそれじゃダメなんじゃないかって思っていたんです。

でも、Facebookのシェリル・サンドバーグさんが、「いつ結婚して、いつ子どもを生んで、とスケジュールのことばかり考えずに、今自分が情熱のあることに集中しなさい」とおっしゃっていて。

三橋:情熱を感じるままに注力していれば、おのずと道は切り開ける?

平野:じゃないかな。これはイイ!と思うことに出会っても、その勢いって放置しておくとだんだん時間減衰しちゃうじゃないですか。だから、いいと思ったらすぐ動かないといけないなって。とにかく打席に立って打ってみること。これを大切にしてほしいです。

三橋:明るくてチャレンジ精神旺盛な平野さんとお話していて、こちらまで元気をもらいました。今日はどうもありがとうございました。

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ベトナムとタイを拠点に、世界規模のコミュニケーションサービスを目指して走る「Cinammon」の平野未来さん【前編】

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ベトナムとタイを拠点とするCinammonのCEO、平野未来さん B Dash Venturesで開催された、あるイベントで出会ったのが平野未来さんでした。起業した「ネイキッドテクノロジー」をmixiに売却し、当時はまだmixiにいらっしゃったはず。 その後、あれよあれよという間に2社目となるCinammonを立ち上げ、タイやベトナム市場をターゲットに「PicChat」というアプリを展開しています…

miku-hirano-frontベトナムとタイを拠点とするCinammonのCEO、平野未来さん

B Dash Venturesで開催された、あるイベントで出会ったのが平野未来さんでした。起業した「ネイキッドテクノロジー」をmixiに売却し、当時はまだmixiにいらっしゃったはず。

その後、あれよあれよという間に2社目となるCinammonを立ち上げ、タイやベトナム市場をターゲットに「PicChat」というアプリを展開しています。シンガポール、ベトナム、タイとアジアを舞台に活躍する女性起業家です。

世界規模のコミュニケーションサービスをつくりたい。そんな思いに駆られて走り続ける平野未来さんへのインタビューを前編・後編に分けてお届けします。

ベトナムからタイへ:「現地に行ってしまったほうが早い」

三橋:お久しぶりです。ちょうど日本に一時帰国されているタイミングでつかまえることが出来て良かった!今はベトナムに住んでいらっしゃるんですよね?

平野:そうです、今はベトナムでCinammonの事業を展開しているんですが、来週からタイに引っ越することになって。

三橋:え、そうなんですか。なぜタイに?

平野:うちのアプリは、ベトナムとタイで特に反響が大きいんです。特にタイは何もしていないのに使ってくださるユーザーさんが多いので、実際に住んでもっと力を入れればさらに伸びるかなと思って。

三橋:なるほど。すごい行動派だ。これまでベトナムに住みながらタイへの引っ越しの準備を進めていたんですね。

平野:まったくです(笑)現地に行ってしまったほうが早いというのが持論なんです。最初から器をつくってしまうことで道が切り開けるはずだろう、と。シンガポールとベトナムにも知り合いがゼロの状態で行って、とにかくやってみることで軌道に乗った部分があります。

三橋:潔い。いろいろ調べたりして頭でっかちになってスタートが切れないくらいなら、まず行ってしまえってことなんだ。

平野:そうですね。まずはシェアオフィスを借りて、一人からでも現地人を採用して。といっても、現状はまだ外国法人が現地の人を採用できるかもわからないですが、何かしら方法はあるはずなので。

前身のアプリをピボットして誕生した「PicChat」

三橋:そもそも、今のCinnamonという会社について改めて聞いてもいいですか。

平野:2012年10月に、共同ファウンダーの堀田と2人で立ち上げた会社です。今はオペレーションをベトナムに移していて、10人ほどのチームを組んでいます。日本で採用するとなるとこうはいかないので、先進国メリットですね。今年2月にはシードで1.5億円を調達しました。

三橋:今は「PicChat(ピックチャット)」というアプリをつくられているんですよね。前身のアプリがありましたよね。

平野:もともとは、「Seconds」という写真共有アプリをつくっていました。共有する手間を感じることなく、旅行中やデート中、友達や彼氏と一緒にいる時に使ってもらおうって思って。でも、ふたを開けてみると、むしろ一緒にいない時に使われていることがわかったんです。例えば、彼氏彼女が自撮り写真をお互いに送りまくるとか。

三橋:今って既に「残すために撮る写真」っていう概念がくつがえされてる気がする。

平野:そうなんです。写真には2通りの意味があるんですよね。1つは、アルバム的な想い出に残す使い方で、日本人だとだいたい25歳以上の方はこの使い方で。でも、最近は「その場のコミュニケーション」が増えているので、PicChatは後者にフォーカスしています。

パイロット志望からITに目覚めるきっかけとなったSNSの登場

三橋:なるほど。共同ファウンダーの堀田さんとはどんな経緯で一緒に会社をやることになったんですか。

平野:もともと堀田とは学生の時に未踏ソフトウェアに一緒に応募した頃からの仲間で、もう10年来の付き合いになります。だから、「あ・うん」の呼吸で進められますね。

三橋:お互いにないものを持っていて補い合う感じなのかな。そもそも平野さんって理系出身なんでしたっけ。

平野:大学ではコンピューター・サイエンスを専攻していました。さかのぼると、本当は子どもの頃からパイロットになりたかったんですよ。宮崎に航空大学校っていうパイロットになるための専門大学があるんですが、応募するためにはそもそも身長が163cm必要で。13cmも身長が足りなくて、高校1年生にして既に夢破れたりで(笑)

三橋:儚い夢だ…。そこからどう切り替えたんですか?

平野:結局、自分で操縦できないなら、せめて飛行機とかロケットの機体をつくる側になりたいなって思って、コンピューター・サイエンスを選びました。

三橋:でも、今の平野さんは完全にITですよね。どんな経緯でITに目覚めたんでしょう。

平野:大学3年生の頃に、GREEとかmixiがSNSとして登場してすごく流行ったんですよ。あの世界を変えている感じ、人のコミュニケーションのあり方を変えている感じが超すごいなと思って。そこからウェブ系にすごく興味を持つようになりました。大学生の時に応募した未踏プロジェクトでも、SNSの上にマーケティングエンジンをつくるような事業を考えたりして。

三橋:2005年くらいのことですよね。今でこそ、ソーシャルグラフとかソーシャルコマースって耳にするけれど、当時はだいぶ早かったのでは?

平野:そうですね。その後、未踏の獲得賞金を基にネイキッド・テクノロジーという会社を立ち上げて、ソーシャルマーケティングの広告エンジンをつくったはいいものの、まったく売れず…。私の中では、当時には早過ぎたってことにしているんですけど(笑)

後編では、一度目と二度目の起業で違うこと、エクセルとにらめっこしながら迎えたという平野さんの人生のターニングポイントなどについてお伝えします。後編につづく。

 

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