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映像視点の民主化を目指す「SwipeVideo」、長友佑都氏らが支援

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ニュースサマリー:マルチアングル・自由視点映像の配信技術「SwipeVideo(スワイプビデオ)」を開発・運営するAMATELUSは26日、プレシリーズAラウンドでの資金調達を公表した。投資家にはプロサッカー選手の長友佑都氏、ちばぎんキャピタル(ひまわりG4号投資事業有限責任組合)、山口キャピタルや個人投資家らが参加している。調達額は非公開。 同社は2017年1月創業。配信者による一方的な映像配信…

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ニュースサマリー:マルチアングル・自由視点映像の配信技術「SwipeVideo(スワイプビデオ)」を開発・運営するAMATELUSは26日、プレシリーズAラウンドでの資金調達を公表した。投資家にはプロサッカー選手の長友佑都氏、ちばぎんキャピタル(ひまわりG4号投資事業有限責任組合)、山口キャピタルや個人投資家らが参加している。調達額は非公開。

同社は2017年1月創業。配信者による一方的な映像配信ではなく、ユーザーの需要に応じたマルチアングル視点の自由なスイッチングを可能とするアプリケーションを提供。国際特許を取得し、昨年末には民法テレビ局で同技術が採用されるなどの実績を持つ。

話題のポイント:6月19日に約3カ月遅れで日本プロ野球が開幕し、久々に日本にスポーツの熱狂が戻りつつあります。試合自体は感染防止のため無観客で行われているものの、今までカメラが入れなかった客席アングルからの映像を放送するなど、実際に観戦しているような熱狂の「リアリティー」体験を追求しようという動きが生まれています。

このようなエンターテイメントのマルチアングル化は、近年あらゆる分野で導入される傾向にありました。

例えば海外に目を向けると、NFLやMLBなどでは360度のパノラマアングル映像がチャレンジの際に活用され、スポーツエンターテイメント領域における単一視点からマルチアングルへの変化は着実に進んでいる印象を受けます。

しかし、自由視点映像はあくまでコンテンツの一部として導入されているのが実情です。つまり、映像選択自体に「自由」はなく、マルチアングルへ切り替える「スイッチング権限」は放映側が持ち続けています。

こうした、ユーザーが任意にアングルを選べる仕組みが一般化されていない背景には、受信側・閲覧側のデータ処理が非常に重いことが挙げられます。視聴ユーザ各自が自由に視点を選ぶような体験は、5G環境が前提とされているということでしょう。

では現在のインフラとデバイスで、本当の意味で「自由視点映像」を実現することはできないのでしょうか?この問題を解消し、映像視点の民主化を実現させているのが「SwipeVideo(スワイプビデオ)」を開発・運営するAMATELUSです。

同社では「VOD (Video On Deman)からVOD 2.0 (View On Demand)」をキーフレーズに、一人一人のユーザーが本当に見たい景色を自由に選択できる Switching Free を掲げたテクノロジーを提供しています。これは、視聴者がWeb上またはアプリから左右へスワイプするだけで、自由な視点スイッチングの体験を味わうことができるというものです。

SwipeVideo の直近利用例では、ミュージシャン、ナオト・インティライミさんの過去に実施したライブ映像をマルチアングル化させ、ファンクラブサイト限定で配信したことが大きな反響を呼びました。このように、過去の映像であっても自由視点映像を生み出すことができるのは大きな強みだと思います。

また、今回同社の調達ラウンドへ参加した長友佑都氏はリリースにて「サッカーでファンの皆さんが視点を自由に選べることができたら試合の楽しみ方も増える」とコメントを寄せてより、同社技術を活用したスポーツ観戦における視聴体験アップデートなど、様々な利用も想定できます。

そのためにも、既存エンターテイメント事業者やテレビ局との繋がりは重要となるでしょう。その布石として、同社は今年3月に電通との業務提携を発表し、あらゆる分野・映像の改革へ乗り出しています。

同社創業者でCEOの下城伸也氏はプロカメラマンによって撮影されたライブ映像を、後から自由視点化し配信することの面白い一つの例として「ワンフレームごとにおける “視聴率”を算出できる仕組みがある」と語っています。

「例えばミュージシャンの例では、過去のライブ映像をマルチアングル化し再度配信することで、アングルごとの視聴率を導き出すことが可能です。それにより、アーティスト側は誰が、そして、どのタイミングで一番見られているのかを知ることができ、モチベーションに繋がると思います。また、アングル視聴率に沿ったMVを制作することで、ファンの一番好きなアングルに最適化させたMV制作も可能となります」(下城伸也 / AMATELUS)。

このように、B向けにシステム提供を推し進める一方、今後はユーザー主体でコンテンツを作り出すUGC分野にも力を入れていくそうです。

「スマホのリアとフロントカメラを利用し、2画面を同時に撮影することが可能な『SVcam』を自社で開発しています。この機能と、SwipeVideoを組み合わせることで視聴者は自分好みのリア・フロント景色を融合させた視聴体験が可能になる」(下城伸也 / AMATELUS)。

実際に同社ではSVcamとSwipeVideoを組み合わせることで、高校バスケ「SoftBank ウインターカップ 2019」の決勝戦オープニングイベントにて、アイドルグループのメンバーが撮影者となり(自撮り画面)パフォーマンスを撮影し(フロントカメラに映る)配信する取り組みを実施しています。

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SVcamとSwipeVideoを活用した新しい視聴体験

同氏は本当の意味でVR/ARが実用レベルになるまでには、少なくとも3〜5年の月日がかかると予想しています。つまり同社ではその変化過程の通過点として「VOD2.0」があると定義し、現段階における課題解決に挑んでいるのです。

「VR/ARは概念として一般化されたのは事実です。しかし、広く多くの人が利用出来るレベルになっていないので、利用レベルでは一般化されていないのもまた事実。私たちとしては、撮影と視聴体験を、現在のインフラとデバイスで出来る事を前提にアップデートするのが直近3〜5年の指標となります」(下城伸也 / AMATELUS)。

また、「VOD2.0」を進めていく中でも、VR/ARが実用化された社会を想定し、様々なものをホログラム化できる世界も展望するとしています。世の中の視聴体験がダイナミックに変わりつつある今、SwipeVideoが挑む映像視点の民主化が視聴体験のネクストスタンダードになる可能性は大いにあるのではないでしょうか。