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ベンチャーと大企業の協業に向けて−−福岡のからくりもの×西日本鉄道のコラボで生まれたバスの乗換えアプリ【後編】

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からくりものと西日本鉄道が『にしてつバスナビ』を開発するために協業することとなった。協業に至る経緯や地方で起業することについて、からくりもの代表取締役社長の岡本豊氏へのインタビュー後編です。【前編】はこちら。 バスを軸に日々の生活をもっと便利にすること 『バスをさがす 福岡』は、最終的に5万ダウンロードを越えた。福岡県民500万人を踏まえると、約1割の人が使っていた計算になる。現在、西日本鉄道の『…

からくりものと西日本鉄道が『にしてつバスナビ』を開発するために協業することとなった。協業に至る経緯や地方で起業することについて、からくりもの代表取締役社長の岡本豊氏へのインタビュー後編です。【前編】はこちら。

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バスを軸に日々の生活をもっと便利にすること

『バスをさがす 福岡』は、最終的に5万ダウンロードを越えた。福岡県民500万人を踏まえると、約1割の人が使っていた計算になる。現在、西日本鉄道の『にしてつバスナビ』は、12月20日にリリースしてすでに1万ダウンロードを超えており、年内には5万ユーザを越えていきたいという。今後のアプリの方向性などについて伺った。

「ユーザからの要望の多い機能として、入力のしやすさ、履歴の見やすさ、よく使う路線の保存があります。それらを含めながらいま考えているのは、よく使うバス停の組み合わせから、現在地の情報をもとに検索しなくてもサジェストする仕組みができないかと考えています。そうすることで、ユーザは入力しなくてもバスの路線がすぐにわかります。

乗ったあとのサポートも必要だと考えています。現在は、バスに乗るまでをサポートしていますが、乗っている時にいま自分がどのバスに乗って、いまどのあたりにいるのかがわかると、降りた先で待っていたり待ち合わせをしたりしている友人や家族に現在地を知らせることができます」

からくりもののビジョンは「便利さで自由な時間をつくること」。テクノロジーを通じて日々の生活を便利にし、よりクリエイティブな取り組みや家族や友人との時間を大切にすることが大切だと岡本氏は語る。

ユーザの声を聞きながらリーンスタートアップで開発すること

岡本氏は、ユーザの声を聞きながらアプリを作ることが大事だという。

「アプリをつくる上で、ユーザの声を大切にしています。地域と関連したものだからこそ、ユーザとの対話を踏まえながら、現場のニーズを尊重したことで、広く多くの人に使ってもらうことができました。『にしてつバスナビ』になっても、そこは変わりません」

機能を追加していこうとすればするほど、ユーザにとって不便になることはしばしある。西日本鉄道との打ち合わせでも、リーンスタートアップの概念を説明し、ミニマムでつくることの重要性や、予定している機能を見越しつつも機能超過にならないように、いかに削っていくかを重要視しているという。

「あれもあったらいい、これもあったらいいではユーザはついてきません。打ち合わせでも、それは必要なのかを常に考え、小さなバージョンアップを重ねながら追加していくことで、ユーザに無理のないようにアプリを使ってもらえるようにと考えています。

これも入れたい、という誘惑に負けないこと。バージョン1を作るときに、バージョン1.2くらいの次を想定してつくること。シンプルにつくるために、優先順位を明確化して、最速で欲しい機能はこれ、次にこれ、ということを考えていくことが大切です」

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地方だからこそ、大企業との協業のチャンスは大きい

リーンスタートアップの考え方に対して、西日本鉄道の担当者も理解をし、互いの信頼関係をもとに開発を行っている。距離感の近い地域コミュニティならではの関係性といえる。

「福岡のITコミュニティは、ある程度活動していれば互いに顔見知りの関係になれます。だからこそ、新しい挑戦をするときにはみんなが応援する文化があります。同時に、地元企業との距離も近く、今回のように西日本鉄道ともすぐに話ができるのも、ほどよいコミュニティだからこそです」

福岡には、VCはあまりおらず出資といった事例は少ない。だからこそ、福岡に拠点を構えるベンチャーの多くは受託を通じて開発力を高め、自社のサービス開発に取り組みながら状況に応じてサービスを伸ばしていったり、今回の事例のように大企業と協業したりしながら成長の機会を図っている。

「地方のほうが、ベンチャーと大企業が協業できるチャンスは大きい。距離の近さや、ベンチャーの面白い取り組みに企業が気づきやすいのかもしれません」

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ベンチャーと大企業の協業に向けて−−福岡のからくりもの×西日本鉄道のコラボで生まれたバスの乗換えアプリ【前編】

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2013年12月22日、福岡を拠点に活動しているからくりものが独自に開発した、バスの乗り換えアプリの『バスをさがす 福岡』がきっかけとなり、西日本鉄道の公式アプリとして『にしてつバスナビ』を開発するために、両社が協業することとなった。協業に至る経緯や地方で起業することについて、からくりもの代表取締役社長の岡本豊氏に話を伺った。 福岡を拠点にリモート開発 からくりものは、2012年に設立したスマート…

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2013年12月22日、福岡を拠点に活動しているからくりものが独自に開発した、バスの乗り換えアプリの『バスをさがす 福岡』がきっかけとなり、西日本鉄道の公式アプリとして『にしてつバスナビ』を開発するために、両社が協業することとなった。協業に至る経緯や地方で起業することについて、からくりもの代表取締役社長の岡本豊氏に話を伺った。

福岡を拠点にリモート開発

からくりものは、2012年に設立したスマートフォンアプリ開発の企業だ。学生の時から起業したいと考えていた岡本氏は、大企業に就職後3年で、独立。退職後に、友人から福岡が居心地がいいという話を聞いて福岡に移住した。フリーのプログラマーとして活動し、2010年頃から受託でiPhoneアプリ開発を始めことがきっかけでアプリ開発に取り組見始めた。福岡でアプリ開発ができる人が重宝されるようになり、一人ではなく仲間で開発しようと考え2012年4月に5人で会社を設立した。

メンバーは5人のからくりものだが、一つのオフィスに全員はいない。いわゆるリモート開発の会社で、メンバーの一人は東京にいるという。筆者が取材に伺ったときも、岡本氏一人がシェアオフィスでスペースを構えていた。

「リモートでも仕事はまったく問題ありません。もちろん、定例で日々の進捗を共有したりハングアウトなどで顔を合わせたりしています。メンバーの4人は福岡にいるため、週に一度集まれる人は集まって会議をしたりご飯を食べたりしています」

「ほしい」がきっかけとなったアプリのアイディア

会社を設立してすぐの2012年8月に、開発合宿を行った。チームワークを高め、メンバー一人ひとりが新しい技術や取り組んでみたいサービスを開発することを目的としていた。

「合宿の数ヶ月前から、どういったものを開発しようか議論していた中で、自分たちの普段の生活で不便だと思ったものを軸に考えたのが、バスの乗り換えサービスでした」

福岡は、市内に2000台以上のバスが走り、その台数は日本一といわれている。そのため、移動手段のほとんどはバスか地下鉄だ。地元の人はよく使う路線を記憶している人も多いが、バスの路線図がわかりにくくく観光客などは理解しずらい。福岡以外の地域から移住してきた岡本氏ならではの課題と、その課題を解決するためのサービスと言える。

当初、バス停の位置を調べることができなかったが、オープンデータになっている国土地理院の情報と西鉄バスのWebサイトの情報をもとに開発を行ない、その後、数ヶ月の開発の微調整を行ない、2012年11月12日にバスの乗換え案内アプリ『バスをさがす 福岡』をリリースした。どの路線番号のバスに乗ればいいか、目的地に何時に着くのか、運賃はいくらか、待っているバスは、今どの辺りか、どのバス停に止まるのかなどの機能が用意した。

ベンチャーと大企業による協業で生まれたアプリ

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リリース後はSNSなどの発信に止め広告などは行わなかったが、リリース後一ヶ月で5000件近いダウンロードとなり、一年後には5万ダウンロードを突破。Mashup Award9にも出場し、見事シビックハック賞を受賞するなど評価を得た。

その頃、西日本鉄道にもアプリの様子が伝わり、話をすることとなった。岡本氏は、アプリ内で路線の情報などを示すことができなかったので、その情報をAPIとして公開してほしい、という話をするつもりだったが、担当者の方がアプリを気に入り、同様のものを公式アプリとしてリリースしたい、といった話となったという。

「西日本鉄道は、福岡の大企業の一つです。その大企業が、こうしてベンチャーがやっていることにフットワーク軽く話を聞くということが素晴らしいと感じました。西日本鉄道は公式アプリをもっていなかったので、何かアプリを作っていきたいと考えていたタイミングだったそうです。

そこで、現状の『バスをさがす 福岡』の開発を最小限にとどめながら、西鉄バス公式アプリとして新しく開発するのを、自社が全面的に請け負う形となりました」

M&Aではなく、ベンチャーが開発したサービスをきっかけに、大企業の新規受託案件として依頼する形で、開発も一から作りなおし『にしてつバスナビ』は完成した。公式アプリに際して、乗換検索、日時指定検索、高速バスの対応、住所と住所でバスが検索、などが実装され、公式でしかできない機能となっている。

開発ソース自体はからくりものが保有しているため、西鉄バス以外のバスサービスを開発することも可能だ。別アプリ扱いのため、現在はすでに『バスをさがす 福岡』はAppStoreから削除されており、『バスをさがす 福岡』内でも『にしてつバスナビ』への誘導を行っているという。同時に、Android版もリリースしている。

後編】に続く。

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