Dine はマッチングやコミュニケーションを飛び越え、いきなりレストランやカフェでのデートがセットアップできる、第3世代のデイティングアプリとして昨年ローンチ。行きたい店を軸に男性と女性がマッチングされる、スケジュールの調整が完了すると、 Dine のスタッフが自動的に店の予約をしてくれる。一方この便利さと裏腹に、さまざまな理由でユーザが店をドタキャンすることは課題として潜在しており、Dine はこれまでユーザ通報機能の実装、予約時の電話番号登録などでドタキャンを抑制してきた。
Dine Protect 導入の店舗管理画面 Image credit: Mrk & Co
Dine プロテクトの提供開始を受けて、この機能を導入している店舗にユーザが予約する際には、男性ユーザと女性ユーザが共にクレジットカードの番号入力を求められるようになる(Dine プロテクト導入店舗利用時初回のみ)。ドタキャンが発生した場合、Dine プロテクト導入店舗は管理画面からボタン一つでユーザにキャンセル料を請求できるようになる(料金は各店舗のキャンセルポリシーによる)。
Dine では、どちらか一方が食事を「おごります」などの設定も可能となっているが、ドタキャン発生時のキャンセル料が、おごると宣言している一方のみに請求されるのか、男性ユーザ・女性ユーザ双方で一定割合での按分または折半となるのかについては定かではない。ただ、お店に対するノーショー対策であるのみならず、ユーザ同士のデートのドタキャン対策としても一定の抑止効果を期待することができるだろう。
Dine では、メッセージが開通すると最初に日程調整の画面が現れるようになっている。アメリカでのこれまでのサービス実績では、ユーザ同士がマッチして会話が始まれば、デートに至るのは約40%。極めて高い数字と言える。(上條氏)
マッチングには、ユーザが選んだ相手の好みの顔、年齢、それに選んだデートの行き先などをアプリが学習し次第に精度が上がって行く。1ヶ月6,500円か、3ヶ月払の場合4,800円/月のサブスクリプションモデルで、男女公平の観点から男性ユーザにも女性ユーザにも共通の料金体系が適用され、男女ユーザのどちらかが料金を支払っていればデートのセッティングが可能。デイティングアプリの中ではやや強気の値付けではあるが、その背景にはデートのコミットと、マッチングのクオリティの高さがあるようだ。また、なんとなく洗練された雰囲気を醸し出す Dine の UI にも、上條氏らの「デイティングアプリを恥ずかしいものにしたくない」という思いが反映されている。
Dine は、すでに北米のニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ボストン、フィラデルフィア、ワシントン DC、バンクーバーでローンチしている。日本では今回の東京に続き、ユーザの利用状況を見ながら、大阪・横浜・福岡など都市圏を中心にサービスを拡大させていきたい考え。ニューヨークやロサンゼルスでは、Dine 経由でマッチしたカップルがレストランに来店すると、最初のドリンクが無料になる「Dine Pass」というサービスを試験提供しており、O2O アプリとしての可能性も併せ持つこともうかがえる。
Image credit: Mrk & Co
今回資金調達した企業のうち、パートナーエージェントとは戦略的提携を伴うようだが、Mrk & Co およびパートナーエージェントの両社は、現時点で具体的な提携内容については開示していない。Mrk & Co では、これまでの1年間でアメリカ、これからの1年間で日本での市場可能性を見極め、今後、アジアやヨーロッパにも展開を広げ、売上の約半数を日本国外、残りを日本国内で確保できるような体制を目指したいと上條氏は語った。
この分野では、この種のデートをコミットするアプリの参入がいくつか見られる。背景には、サイバーエージェント(東証:4751)が立ち上げた複数のデーティングアプリ(通称:カップリングユニオン)が、軒並み好成績を上げていることがバーティカル全体の活性化に結びついていることがあるようだ。当初、今秋解禁されるかもしれないとされた、民放テレビ局での出会い系アプリの CM 放映開始は来年以降にずれ込みそうな様相だが、いずれにせよ、男女の出会いという人間の本能に帰する欲望が失われない限り、デイティングアプリの進化は続きそうだ。