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優勝はカンボジア農家の資金管理を助ける「Agribuddy」にーー日経FinTechカンファレンスにて次世代スタートアップ7社が登壇

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日経FinTechが主催するフィンテック関連のカンファレンス、「Nikkei FinTech Conference 2016」の会場に来ている。同カンファレンスは国内外のフィンテック関連金融機関、事業者、スタートアップが集まり、現在のトレンドを探るというもの。 同カンファレンスの最後にはフィンテック市場を席巻するであろう次世代の金融テクノロジー企業が7社がそのサービスを披露すべく登壇した。結果、審…

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日経FinTechが主催するフィンテック関連のカンファレンス、「Nikkei FinTech Conference 2016」の会場に来ている。同カンファレンスは国内外のフィンテック関連金融機関、事業者、スタートアップが集まり、現在のトレンドを探るというもの。

同カンファレンスの最後にはフィンテック市場を席巻するであろう次世代の金融テクノロジー企業が7社がそのサービスを披露すべく登壇した。結果、審査員から最も多くの評価を勝ち得たのはカンボジア農家の資金管理を助ける「Agribuddy」となった。

人体通信でNFC認証を可能にする「eNFC」

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Suicaなどに使われるNFC通信のアンテナ部分を人体を使って実現するソリューションがeNFC。提供するウェラブル機器(スマートデバイスや人体埋め込みなど)を身につけることで、例えば指を使って改札を通過するというようなことを可能にする。

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人体がアンテナとなるので例えば改札の床にNFC機器を埋め込んでおけば、そこを通過したタイミングで体がアンテナとなり指を改札に触れさせるだけで通過が可能となる。

ビットコイン・デビットカード「deBit」

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ビットコインは国内1500店舗ほどでしか利用できない。流通量の大きさに比較して実経済で使えないという課題を解決するためにdeBitはVISAマークのある店舗で利用できるデビットカードの方法を採用する。

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海外ではShiftなどの例が先行しているが、同社は世界の取引所のデータをリアルタイムに収集してビットコインの最安値、最高値の情報を把握しているため、ユーザーに対して常によい取引条件を提示できるのが強みと語る。

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ビジネスモデルについては、既に仮想通貨のトランザクション量で収益が上がるモデルを構築しており、カード手数料などは必要としていない。あくまで実経済での仮想通貨利用が進めば(もちろん彼らのインフラを使う前提だが)収益が出る仕組みとなっている。日本でのリーガルチェックも済んでおり、国内でのサービスインも合法という判断が出ているそう。

ビットコイン取引所の東証を目指す「Quoine」

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先日、ジャフコらからの1600万ドル調達を発表したビットコイン取引所のQuoineが登壇した。Quoineは仮想通貨のリアルタイム市場ポータル「Coinhills」のビットコイン取引所の取扱高ランキングで世界7位と上位につけるサービス。(登壇時は4位)

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多くの取引所がコンシューマー向けサービスを提供するのに対してB2B2C的なモデルを採用しているのが特徴。稼働している取引所のバックエンドをOEM提供している他、今後、取引所の運用そのものをまるごと運用代行するケースもあり得るという。

栢森氏は、日本の FX 取引金額が5,000兆円の規模に達していることをふまえ、将来的にはその10%程度が仮想通貨に置き換わっていくのではないか、と語っている。Quoine の現在のビットコイン取扱高は、1日あたり日本円換算で約50億円程度だが、この規模も今後100倍程度まで成長できる伸びしろがあるのではないか、というのが栢森氏の読みだ。(前回取材時より)

詳細についてはこちらの記事を参照いただきたい。

ビットコイン取引所のQuoineが本社機能を日本に移し1,600万ドルを調達——「仮想通貨の〝東証〟を目指す」

カンボジア農家の資金管理を助ける「Agribuddy」

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途上国の農家には金融サービスへのアクセスや資金管理能力に問題があり、農業をやりたくても農地を担保に銀行からお金を借りられるが、その資金を生活費に使ってしまい、収穫までの間の資金管理ができない。結果的に消費者金融などに手を出して焦付きが発生する。

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Agribuddyは誰がどういう作物を作っているかという農家のクレジットスコアリングを作って、銀行に対して信用情報の提供をしている。銀行はその与信情報からクレジット枠だけを作り、スマートフォンアプリに対してその貸付枠内の資金が提供される。これによって農家は肥料などを提携している店舗から購入することができる。

ビットコイン寄付を啓蒙する「Guracone」

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お母さんが寄付ができる仕組みを作りたいと考えたが海外送金の手数料が高かった。例えば10万円海外送金すると数千円かかる。ビットコインは数十円で済むので安い。ビットコインによる寄付を普及させることでより多くの支援金を送付できるようになる。Guraconeは寄付金をビットコインで送金する啓蒙活動をしようとしている。

電子レシートによるマーケティング支援「ログノート」

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Lognote(ログノート)は電子レシートのプラットフォーム。スマートデバイス向け電子レシートの発行、インフラの構築から利用店舗のマーケティング支援までを提供する。POS連動型で電子レシートを発行することで店舗は利用ユーザーと接点を持つことができる。昨年にはアドウェイズから出資を受けている。

ビッグデータから経済活動の今を知る「ナウキャスト」

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経済の今を知るをテーマにビッグデータを活用して経済活動の可視化に取り組んでいる、2015年創業の東大発ベンチャー。提供しているCPI Nowでは国家統計で1カ月半かかる消費者物価指数を2日で出すことができる。開始半年で180社近くの金融機関で利用されている。

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これまでは全国版だったが地域別に落とし込むようにしており、特定地域別の物価を作ることを可能にしている。これにより地域や業種に最適化した金利などの設定が可能になる。

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地方創生という観点では、金融機関が実施した施策がどのような結果を得られたのか、その瞬間で何が発生したのか、政府統計との比較も含めて意思決定できるデータを提供する。

 

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日経FinTechがフィンテック専門カンファレンスを初開催——ブロックチェーン・コンソーシアム主催のR3、メガバンク3行がパネル登壇

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本稿は、Nikkei FinTech Conference 2016 の取材の一部である。 日本を代表するフィンテック・メディアである「日経FinTech」は24日、創刊後初となる専門カンファレンス「Nikkei FinTech Conference 2016」を東京で開催し、政府や金融当局・銀行や金融サービス会社・フィンテックスタートアップが一堂に会した。 カンファレンスの冒頭には、世界40以上…

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本稿は、Nikkei FinTech Conference 2016 の取材の一部である。

日本を代表するフィンテック・メディアである「日経FinTech」は24日、創刊後初となる専門カンファレンス「Nikkei FinTech Conference 2016」を東京で開催し、政府や金融当局・銀行や金融サービス会社・フィンテックスタートアップが一堂に会した。

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R3 Tim Swanson 氏

カンファレンスの冒頭には、世界40以上の金融機関が参加する「ブロックチェーン・コンソーシアム」を主催するアメリカのスタートアップ R3 CEV のマーケットリサーチ局長 Tim Swanson 氏が登壇した。Swanson 氏は、世界的にブロックチェーンに対する期待が高まっているのとは対照的に、大企業が本格的に導入可能なブロックチェーン・ソリューションが、世の中にまだ現れていないことを指摘。一方、R3 ではブロックチェーンを利用した「分散型元帳テクノロジー(DLT;Distributed Ledger Technology)」を推進事例を紹介した。

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従来の銀行システムでは、銀行毎の中央化されたしくみで預貯金などに関する記録を保持しており、銀行や国境を越えた送金などの取引では、SWIFT や全銀などの銀行間システムを通じて情報がやりとりされる。ネットワークはメッシュ型で構成されているものの、元帳を銀行毎で保持しているため、情報は銀行同士のエンド・トゥ・エンドでのやりとりに依存している。一方、DLT が導入されれば、金融取引の元になる元帳データは、ブロックチェーンで相互に真正性が担保された形で保持されるため、銀行という枠組みにおいても、非中央化された(decentralized)さまざまな金融サービスの可能性が広がる、ということだった。

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午前中後半のセッションでは、日本を代表するメガバンク3行である、三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)、みずほフィナンシャルグループ(MHFG)の各行で、フィンテックを先導するオープンイノベーション担当部門の責任者がパネルディスカッションに臨んだ。

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MUFG 柏木英一氏

MUFG の柏木英一氏(デジタルイノベーション推進部長)は、同行のオープンイノベーションに臨む事例として、昨年6月に実施した Fintech Challenge 2015 で選ばれたスタートアップのうち、ZUU Online と協働する金融キュレーション・メディア「FinTech online」、Finatext と協働する投資信託を選ぶためのアプリ「Fundect」が既に運用されていると説明。今年はじめから開始された「MUFG FinTech アクセラレータ」では、特に強力なメンター陣を揃える点に注力しており、8月に実施される初回バッチのデモデイでは、その成果に期待してほしい、と語った。

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SMFG 中山知章氏

SMFG では昨年10月にオープンイノベーションを推進する IT イノベーション推進部を設立。モバイルウォレットなどの次世代購買体験、エンタープライズ向けの API 提供や IoT 活用、人工知能、ブロックチェーンを活用した次世代金融インフラなどの調査や開発に注力しているとのことだ。中山知章氏(ITイノベーション推進部長)によれば、特に顧客の嗜好を分析して商品を提案する、ニューロサイエンスを活用したイノベーションについても傾倒しているとのこと。また、シリコンバレーのアクセラレータ Plug & Play との提携、福岡に拠点を置くハウインターナショナルのようなスタートアップとも協働している。

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MHFG 阿部展久氏

MUFG と SMFG がオープンイノベーションに特化した部署を設置している一方、MHFG はインキュベーションPT(プロジェクトチーム)という組織横断の形態でオープンイノベーションを推進している。インキュベーションPT長の阿部展久氏によれば、例えば、既存サービスにどう人工知能を生かせるかについては既存部門が深く関わる一方で、ディープラーニングがどのようなサービスに使えるかといった課題については、中長期的なスパンでインキュベーションPTが追いかけているという。

三行に共通したのは、これらの部署やプロジェクトチームは KPI を持っているものの、それは収益に関するものではなく、取り組む PoC(Proof-of-Concept)やプロトタイプの数や、どれだけソーシングできたか(どれだけのスタートアップと関係をもてたか)というものだ。イノベーションを推進するラボを敢えて本社から離れた場所に設置したり(MUFG 柏木氏)、必ずしも金融のバックグラウンドを持たない外部からの人材を積極的に登用したり(SMFG 中山氏)、各行とも、本来なら銀行マンが強みとする金融の既成概念にとらわれない、ディスラプティブな発想を生み出すための努力に余念が無い。

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MHFG のインキュベーション・プロジェクトチームの概要

また、とかくオープンイノベーションにおいては、大企業がスタートアップに対して高圧的であるとの批判を受けがちだが、この点については、各行とも「情報収集のためだけにスタートアップに会うのは失礼。スタートアップのビジネスをスケールさせることが重要(MHUG 阿部氏)」、「(銀行—スタートアップ—お客様の間で)Win-Win-Win の関係がどう築けるかを常に考えている。また、銀行内の人材育成にも(スタートアップの)力を貸してほしいと思っている(SMFG 中山氏)」など、試行錯誤を重ね、スタートアップとの良好な付き合いを模索していきたい、と語った。

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