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ランサーズとリアルワールドが業務提携、国内クラウドソーシングの勢力図を塗りかえる

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一部報道にあった通り、総合クラウドソーシングプラットフォーム「Lancers」を運営するランサーズと、マイクロタスク型クラウドソーシング「CROWD」を運営するリアルワールドは3月2日、共同ソリューション開発に関する事業提携を発表する。両社は今後、発生する受注の相互補完を実施し、これまで損失していた受注機会のロスをなくすと共に、新たなソリューション開発にも取り組むとしている。 さて、以前私はランサ…

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左からリアルワールドの菊池誠晃氏、ランサーズの秋好陽介氏

一部報道にあった通り、総合クラウドソーシングプラットフォーム「Lancers」を運営するランサーズと、マイクロタスク型クラウドソーシング「CROWD」を運営するリアルワールドは3月2日、共同ソリューション開発に関する事業提携を発表する。両社は今後、発生する受注の相互補完を実施し、これまで損失していた受注機会のロスをなくすと共に、新たなソリューション開発にも取り組むとしている。

さて、以前私はランサーズ代表取締役の秋好陽介氏に大型合併の話を聞いたことがあった。

海外ではElanceとoDeskが2013年末に合併、流通額で9億3000万ドルほどの規模に成長している一方、国内組の規模はまだまだそこに及ばない。一気に勢力図をひっくり返すことができるほど簡単でないことは重々承知の上、それでもなにか奇策はないものかと秋好氏と話していて、朧げながら見えていたのがランサーズの「連携戦略」だった。

参考記事:クラウドソーシングのオープン化はビジネス躍進の起爆剤になるかーーランサーズ秋好氏に聞く – THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

ランサーズのオープン戦略については何度か記事に書いたのでそちらをご一読いただくとして、今回の相手は今までと訳が違う。先に上場を果たしたリアルワールドだからだ。昨年9月にマザーズへ上場、2014年9月期の決算で売上は約27億円(リンク先はPDF)、同社の保有するクラウド会員数は890万人に上る。また、先ごろ2月25日には株式異動によりクックパッドが第2位の株主となる動きもあったばかりだ。

決算では同社の運営するポイントメディア事業とクラウドソーシング事業の詳細についてはまだ開示されていないのだが、同社代表取締役の菊池誠晃氏の話では、大きな手応えを感じているということで、今回のランサーズとの連携が更に同社クラウドソーシング事業の発展につながる可能性は高い。

具体的にどのような連携が実施されるのか。お二人にショートインタビューを実施したのでお届けする。(太字の質問はすべて筆者、文中敬称略)

秋好さんこうきましたか。概要を教えていただけますか?

秋好:これまでもランサーズでは総合型プラットフォームとして(文字打ちなどの)マイクロタスクも可能ではありましたが、大型の受注などについてはお断りをすることがありました。一方で、同じようにリアルワールドさんではウェブ制作などのプロフェッショナルな仕事については、クラウドソーシングで受注しづらく、外注で対応をしていたそうなのです。こういう状況を両社で補完して、相互に送客することで受注額を増やす、というのが提携の狙いになります。

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なるほど、何か売上のシェアなどを実施されたりするのですか?

菊池:マージンをいただく場合もあるでしょうし、案件ごとですね。

ただ、受注額の規模が違いすぎると2社提携のバランスがとれないのではないでしょうか?

菊池:私たちへの依頼案件はボリュームが大きい代わりに単価が安い。ランサーズさんはその逆が多い。結果的にグロスでは金額がそこまで変わらないのではと考えています。

ちなみにリアルワールドさんのクラウド会員さんは890万人ということですが、どういった方が多いのでしょうか?

菊池:主婦の方やシニア、地方で働いている方が多いですね。平均して3万円から5万円ほどの副収入を得ている方が多いです。上位の方だと月収20万円程度の方もいらっしゃいます。

一方でランサーズの会員は現在46万人、こちらはどういう方が多いでしょうか?

秋好:半分以上がフリーランスの方ですね。地方の小規模事業者の方も登録があります。こちらは数パーセントですが、法人として登録ができるので、例えば地方でフリーランスとして仕事をしていて、年収が500万円ほどになったので法人成りしているという方もいらっしゃいます。

ランサーズはよりプロフェッショナルな仕事で単価が高い、リアルワールドはデータ入力などの量が出る仕事が多い。2社で差別化ができている、と。

秋好:今後は単純な仕事の紹介だけではなく、一緒に共同の商品開発を実施していきます。例えば、ウェブ制作の依頼があったとして、そこから人手のかかるA/Bテストまでを一気通貫で提供するなどです。

受注状況についてはいかがでしょうか?

秋好:クラウドソーシング事業者の上場が相次いだ結果もあって、大企業からの発注が今まで以上に増えています。オープン戦略が功を奏し、現在、クライアントも上場企業だけで300社、取引ベースだと2000社の規模に成長しました。

菊池:BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)領域での依頼が好調です。特にコールセンター業務が通話からチャットに変化してきていて、ここにクラウド会員さんの隙間時間をマッチングさせることに大きなチャンスを見出しています。アウトバウンドのチャットサポートですね。

なるほど。ありがとうございました。

ーー両者の話で感じたのは、企業からのクラウドソーシングに対する期待値の高まりだ。

菊池氏への最後の会話で出てきたコールセンターのクラウドソーシング化というのは、実は大変な可能性を秘めている。残念ながらコールセンター業務というのはどうしても単価が安くなりがちになる。アウトソーシング全般に言えることだが、これが結果的に「ブラック」な企業体質につながることもしばしば耳にする。

一方で、元々働ける能力のある人、例えば育児中で戦列から離れた女性、家庭の事情で首都圏から離れた人材などは、もっと有効に活用されるべき「人財」だ。彼らの事情と企業ニーズを効率的にマッチングさせることができれば、双方にとって満足度の高い状況を生むことができる。これがクラウドソーシングの根本的なコンセプトでもある。

このマッチングを高い確率で成立させるためにも、受注した仕事を効率よくクラウドソーシングに参加している方々に供給することが重要になってくる。そういう観点からも、今回の連携は受発注効率化の一環として注目される。

もし、ウェブ制作からサポートまであらゆる工程をクラウドソースで実現できる社会が成立すれば、新しい働き方はまたこれまでと違った市民権を得ることになるのではないだろうか。