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「リゾテック沖縄2020」がハイブリッド開催、国内外から企業やスタートアップが集結——台湾のスタートアップハブとも連携

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沖縄県宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターでは、10月29日〜11月1日の4日間にわたり、ResorTech Okinawa(おきなわ国際見本市)2020 と Okinawa Startup Festa 2020 が開催された。今年2月に開催されたプレ開催イベントに続き、今回は初の正式開催となり通算2回目。新型コロナウイルスの影響で、現地会場に参加するオフラインと、ネット越しにさまざまなコンテ…

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

沖縄県宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターでは、10月29日〜11月1日の4日間にわたり、ResorTech Okinawa(おきなわ国際見本市)2020Okinawa Startup Festa 2020 が開催された。今年2月に開催されたプレ開催イベントに続き、今回は初の正式開催となり通算2回目。新型コロナウイルスの影響で、現地会場に参加するオフラインと、ネット越しにさまざまなコンテンツをたのしめるオンラインのハイブリッド開催となった。

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ResorTech Okinawa 2020には沖縄県下はもとより本土からも42社が参加した。また、Okinawa Startup Festa 2020 は、台湾の不動産デベロッパが運営する、台北市のスタートアップハブ「Terminal C(兆基国際新創衆落)」にサブ会場を設け、台湾スタートアップも招く形でイベント運営された。ピッチイベントに参加したスタートアップは、日本国内とアジア各国からをあわせて30社。なお、ResorTech Okinawa のオンライン展示会については、11月30日まで開催されている。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

ResorTech Okinawa が開催されることになった経緯については、プレ開催の際の拙稿に記してあるので、本稿では今回イベントのハイライトをお伝えする。

ResorTech Award

ResorTech Okinawa では、参加した企業やスタートアップの中から、有益性・市場性・将来性などからイノベーション度が高い技術、製品、サービスを選び表彰する ResorTech Award が授与された。

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【総合グランプリ】「MujInn(ムジン)」 by ユナイテッドコーポレーションとゴールドバリュークリエーション

MujInn は、さまざまな宿泊施設でセルフチェックインができるようにするシステム。フロント業務の無人化・省人化を支援する。不動産事業部や宿泊事業部を営むユナイテッドコーポレーションと、システム開発会社であるゴールドバリュークリエーションが共同で開発した。

Image credit: United Corporation / Gold Value Creation

宿泊客には、24時間対応、現地精算、スマートロック連携、多言語チャットのほか、エントランスが無いタイプの宿泊施設にはファミリーマートでカギに相当するキーナンバーを受け渡すサービスを提供。また、運営会社に対しては、宿泊在庫を管理するサイトコントローラとの連携、宿泊施設を遠隔監視する騒音センサーとの連携、部屋割当、宿泊台帳記入、パスポート情報登録自動化を提供。

【イノベーション部門グランプリ】「ミラーコンシェルジュ」 by パシフィックハイウェイジャパンとハナムラ

コンサルファームのパシフィックハイウェイジャパンとインテリアメーカーのハナムラは、鏡にコンシェルジュを配信するクラウド対応人材配信サービス「ミラーコンシェルジュ」を開発。人が近づくと自動で顔を感知し、鏡に等身大のアバターが現れ話しかける。顔認証に加え、音声認識・言語理解・多言語対応、TV 電話機能により、あらゆる場所にコンシェルジュを配信し遠隔会話を実現。

Image credit: Pacific Highway Japan / Hanamura

プラットフォーム開発をパシフィックハイウェイジャパンが、コンテンツ制作をハナムラが担っている。住宅のインテリア空間、オフィス空間、商業建築空間、ホテル、公共施設等に多くのカスタマイズした商品を導入。男性・女性のアバターによる人に近い自然な音声で、日本語・英語・中国語に加え、オプションにより15カ国語での応対が可能。

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【JSSA 賞】

受賞チームに、日本スタートアップ支援協会(JSSA)が次回、東京や大阪で開催するミートアップへのファイナリスト参加できる賞が授与された。ミートアップでの優勝者は、JSSA が運営するファンドから2,000万円の出資を受ける権利が得られる。

Alpaca.Lab(日本・沖縄)

Alpaca.Lab は、琉球大学との共同研究により運転代行業界の最適化を図ろうとするスタートアップだ。運転代行を営む業者は全国に8,850あり、なかでも交通事情から沖縄が国内最多の数を誇る県だ。一方で、運転代行は料金が不明瞭だったり、飲食店などで呼び出してから到着するまでに30分から2時間程度を擁したり、違反行為の前歴のある業者を見つけるのが難しかったりするなど、多くの課題がある。

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Alpaca.Lab の「AIRCLE(エアクル)」では、ユーザが自分の車の特徴をアプリに入力しておくことで、その車の運転に適した最適なドライバーを付近からマッチング。運転代行業者に対しては、いつどこでどのように運転代行が実施されているか、どのように売上が立っているかをもとに AI で最適なドライバー配置を提案できる仕組みを提供する。政、警察、運転代行業者などと連携し、社会的摩擦を生まないモデルを目指す。

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Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【OIH 賞】

受賞チームに、大阪イノベーションハブ(OIH)のスタートアップ海外展開支援プログラム「OIH グローバルゲートウェイ」や OSAP(OIH Seed Acceleration Program)を通じた大企業とのマッチング機会、ピッチイベント出場の機会を提供する。

QueQ(タイ)

レストランや病院での混雑時や、遊戯施設でのアトラクション開始時刻待ちで行列を作って待つことを余儀なくされる状況の代替ソリューションとして開発された「QueQ」。事前に時間を予約する代わりに、QueQ はある場所に来て順番待ちの列を目にする人を対象に、アプリを使って「場所取りできる」ようにしている。待ち時間の間その場所を離れてアクティビティを楽しんだりできるのだ。

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新型コロナウイルスの感染拡大から、さまざまなシーンで密を避けるソリューションとして、観光客への事前予約機能提供、大使館のビザ延長の対応待ちなどにも活用されるようになった。アクアビットスパイラルズのマルチペイメント機能「PayChoiice(ペイチョイス)」とも連携している。

Ubestream/環球睿視(台湾)

Ubestream(環球睿視、台湾証取:7587)は、セマンテックナレッジソリューションに基づいた AI チャットボットサービスを SaaS で提供してる。応用範囲は、バーチャル観光客ガイド、企業が問合せを受ける AI コールセンターなど多数。新型コロナウイルス感染拡大を受け、飲食業向けのインテリジェントソリューション「OMO Smart Store(智慧商店)」を開発。

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OMO Smart Store の機能の一つ「非接触料理注文サービス(零接触点餐服務)」では、ユーザはモバイルや PC からオンライン注文でき、店頭でのピックアップやテイクアウトが可能になる。飲食店にとっては、仕込み作業の効率化が図られ、店舗の収益率向上にも繋がる。2019年8月に日台韓で開催された「Asia Open Data Challenge」で最優秀人気賞を受賞。

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【Fukuoka Growth Next 賞】

受賞チームに、FGN(Fukuoka Growth Next)のコワーキングスペース1年間無料権を提供。また、官民共同型スタートアップ支援施設の位置づけを生かし、福岡の行政や財界をからめた社会実装の支援を提供する。

TravelTech Lab(日本・大阪)

外国から訪日した観光客は所定の手続をすることで買い物の消費税10%相当が免税となるが、実に彼らの72.1%は免税措置を受けないまま日本を後にしている。彼らに免税措置を受けない理由を聞いてみたところ、免税手続が面倒、買い物が複数店舗に分散(1店舗で5,000円以上購入しないと免税にならない)、免税対象以外の店舗で商品を購入していることがわかったという。これらの問題を解決すべく、TravelTech Lab は、訪日外国人向けオンライン免税 IoT 宅配ロッカー「JaFun(ジャファン)」を開発した。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

観光客が JaFun のモバイルアプリを使って商品を注文すると、空港やホテルに設置されたロッカーに、販売者から直接商品が届く。観光客はユーザ登録時にパスポート情報を登録しており、商品ピックアップ時に顔認証で本人確認する。すでに免税手続済であるため、観光客の追加手続は不要。免税となる消費税10%の半分に相当する5%を TravelTech Lab が受け取るビジネスモデルだ。手ぶら観光が可能になり、コロナ禍での防疫ツーリズムに貢献するとしている。

Okinawa Startup Festa 2020: Startup Pitch Awards【沖縄銀行賞】

受賞チームに、全国の地方銀行8行が毎年開催するビジネスコンテスト「X-Tech Innovation」の2020年の回において、沖縄銀行主催の沖縄地区予選への出場権を提供。

Attic Start(日本・沖縄)

Attic Start は、世界中の人々が共通の関心事や好きなことを軸に繋がることができるサービス「Paike」を開発。3月28日に仮リリースし、まもなくモバイルのネイティブアプリがリリースされる予定。世界中の人を対象にしているため UI は全て英語となっていて、ユーザが好きなことの写真をシェアし世界中から「いいね」がもらえると、どこからもらえたか世界地図上に表示される。

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UC Berkeley 出身で弁護士だった創業者が、言語障壁があっても好きなことを共有できればコミュニケーションを図れることか思いたったサービス。ユーザ同士が好きなことを軸にチャットで繋がることができたり、場所や好きなことをキーに別のユーザを検索し繋がることができる。旅を促進する機能も持つが、コロナ禍であるため、現在は「好き」をテーマにオンラインミートアップを開催。

パネルセッション

イベント期間中、いくつかのパネルセッションも行われた。沖縄県知事の玉城デニー氏と台湾のデジタル担当大臣 Audrey Tang(唐鳳)氏とのセッションで、Tang 氏は「市民を信じることで、市民は信頼される行動をとる。トップダウンではなく、行政には徹底的な透明性が求められる」と語った。

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星野リゾート代表取締役の星野佳路氏を招いてのセッションでは、コロナ禍において、テクノロジーを活用して観光産業がどのようにニューノーマルに適応していくべきかが論じられた。

Image credit: IT Innovation and Strategy Center Okinawa

沖縄で「リゾート×テック」をテーマに見本市&スタートアップカンファレンスが開催——日本内外から130社・8,800人が集結

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沖縄県宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターでは、2月5日と6日の2日間にわたり、ResorTech Okinawa(おきなわ国際見本市)と Okinawa Startup Festa 2020 が開催された。沖縄での IT 企業やスタートアップに特化したイベントとしては過去最大のものだ。国内はもとより海外8カ国から130社が参加。スタートアップも沖縄県下や日本国内のみならず、隣接する台湾からも…

沖縄県宜野湾市にある沖縄コンベンションセンターでは、2月5日と6日の2日間にわたり、ResorTech Okinawa(おきなわ国際見本市)Okinawa Startup Festa 2020 が開催された。沖縄での IT 企業やスタートアップに特化したイベントとしては過去最大のものだ。国内はもとより海外8カ国から130社が参加。スタートアップも沖縄県下や日本国内のみならず、隣接する台湾からも数社が招かれ、約30チームがブース出展やピッチ登壇を行った。イベント全体における2日間の入場者数は、事務局発表の速報値で8,800人。

沖縄県は観光業が盛んであり、県境が周辺諸国と直接隣接していることもあって、リゾートとテクノロジーを掛け合わせた ResorTech を経済振興策の一つに掲げている。労働力低下対策、デジタルマーケティング、キャッシュレスといったテクノロジーを既存産業の柱と掛け合わせることで、社会全体のデジタルトランスフォーメーションを図ろうとする狙いも伺える。沖縄県は ResorTech への取り組みを施策の基盤にすることを明らかにしており、スタートアップに対し通年で実証実験などの機会を提供していく考えだ。

LUUP の展示ブースを訪れた玉城デニー沖縄県知事。同社は、宜野湾市や名護市カヌチャベイリゾートで実証実験を行なっている。
Image credit: Masaru Ikeda

ResorTech Award

ResorTech Okinawa では、参加した企業やスタートアップの中から、有益性・市場性・将来性などからイノベーション度が高い技術、製品、サービスを選び表彰する ResorTech Award が授与された。

【総合グランプリ】newme(ニューミー) by ANA ホールディングス

瞬間移動をテーマに ANA ホールディングスが開発したテレイグジスタンスのためのアバター。BRIDGE でも一昨年の NoMaps で展示された同機を紹介したが、その後、「newme(ニューミー)」と名前が付けられ、全社的な取り組みとなった模様。移動手段の提供という形で離れた場所にいる人同士を繋ぐ企業ながら、従来と違う形で繋ぐ手段を提供するというディスラプティブな姿勢が評価された。ANA はアバタープラットフォーム「avatar-in」を今年4月にローンチ、newme を2020年夏までに1,000体普及することを目指す。

【イノベーション部門グランプリ】AIRCLE by Alpaca.Lab

琉球大学との共同研究により運転代行業界の最適化を図る Alpaca.Lab。運転代行は、車で来訪した飲食店で呼んでもらうことが多い。この際、飲食店は運転代行業者への電話に時間を取られ、ユーザは呼び出してから運転代行が到着するまでに時間を要ることが課題。Alpaca. Lab はこの課題を、飲食店と運転代行をつなぐアプリ「AIRCLE(エアクル)」で解決。GPS データを元に、最寄りの運転代行とマッチングされるので待ち時間も短縮される。「Okinawa Startup Program」第3期から輩出。

【海外部門グランプリ】VM-Fi by Maxon Creative(麦成文創)

VM-Fi は、小型の送信機を持つことで、インターネット接続を持たないスマートフォンに対しても、半径50メートルの範囲で音声を届けることができるアプリケーションだ。屋外で歩きながら使えるため、グループのツアーガイドへの利用が期待されている。静粛を求められる場所においても、ガイドはマイクを使って大音量で説明を伝える必要がない。レシーバーに相当するデバイスを容易しなくていいので、サービス提供コストも下げることができる。インターネット接続を必要としないので、海外からの訪問客であってもローミングは不要だ。Maxon Creative(麦成文創)では、沖縄の各所にこのサービスが普及させたいとしている。

JSSA アワード

5日と6日の2日間にわたり、沖縄や台湾のスタートアップ、沖縄科学技術大学院大学(OIST)からのスピンオフしたスタートアップなど約30チームがピッチ登壇した。翌日7日に那覇市内でのミートアップに合わせ沖縄入りしていた日本スタートアップ支援協会(JSSA)代表理事の岡隆宏氏、ベクトル専務執行役員 CSO の中島謙一郎氏が審査員を務め、優秀チームに、JSSA が次回、東京や大阪で開催するミートアップへのファイナリスト参加と、そのための旅費を提供される賞が授与された。ミートアップでの優勝者は、JSSA が運営するファンドから2,000万円の出資を受ける権利が得られる。

AWA PASS by OKT Communications

OKT Communications は、泡盛のサブスクリプションサービス「AWA PASS」を考案した。ユーザは AWA PASS に月額600円を支払うことで、AWA PASS 参加飲食店で泡盛2杯までを無料提供してもらうことができる。お店は多額の集客コストをかけずに、新規顧客の開拓や常連顧客の活性化が可能になる。AWA PASS 提携店の登録料は無料。将来は、サービスを全国地域や泡盛以外の種類などにも広げ、地産地消プログラム、新商品のマーケティング、インバウンド集客などでマネタイズを図る。

FASTPICK by U&I

スモールビジネスにありがちなドンブリ勘定にあると感じた上間弁当天ぷら店の2代目敏腕経営者としても知られる上間喜壽氏は、日々の経営からデータを集め、どうすればビジネスが改善するかを、本業と並行して U&I を設立。同社が今回紹介したのは、事前に注文・決済、簡単受け取りができるプラットフォーム「FASTPICK」。テイクアウトフードコートとして飲食店へモバイルオーダーのサービスを提供する。

パネルセッション

パネルセッションもいくつ開かれた。

スタートアップの創出にアカデミアがどう関われるかをテーマにしたパネルでは、馬田隆明氏(東京大学 産学協創推進本部 本郷テックガレージ FoundX ディレクター)、Lauren Ha 氏(沖縄科学技術大学院大学=OIST 技術開発イノベーションセンター 准副学長)、大角玉樹 氏(琉球大学国際地域創造学部 教授)が登壇。自身も琉球大学で「ベンチャー起業講座」のメイン講師を務める和波俊久氏(リーンスタートアップジャパン 代表社員)がモデレータを務めた。いずれも、アカデミアで起業家育成の第一線で活躍する人たちだ。

起業は教育で学べるのか、という問いに対し、和波氏は自身が経験した3回の起業体験のうち、唯一失敗した1回の経験が教育にアドバイスを求めたものだったとして疑問を呈した。Ha 氏は起業は学べるが、その起業を成功させるのは何より実際にやってみることだと話した。馬田氏は起業を学ぶことはできるが、起業家に求められるメンタリティなどは非認知性が高いことが判明しており、若いうちの方が習得しやすいため学び始めるタイミングが重要だと主張した。大角氏は、教育機関で学べるのは現時点で明らかになっている知識を元にしており、不確定な将来のことは教育ではカバーできないとした。

日本で活躍するエンジェル投資家が彼らの目線から、沖縄のスタートアップエコシステムの現状と可能性を話し合うセッションには、砂川大氏(スマートラウンド 代表取締役、連続起業家・エンジェル投資家)、田中邦裕氏(さくらインターネット CEO、エンジェル投資家)、小原聖誉氏(StartPoint 代表取締役、エンジェル投資家)、小川真司氏(琉球銀行 法人事業部地方創生グループ調査役)、兼村光氏(沖縄ITイノベーション戦略センター=ISCO ストラテジスト)が登壇。嶋根秀幸氏(ファウストビート 代表取締役)がモデレータを務めた。

沖縄におけるスタートアップはまだ少ないものの、2016年から開始された「Okinawa Startup Program(当初は、琉球銀行のみが主催者であったため「Ryugin Startup Program」)が一つのターニングポイントとなったことが説明された。日本では、東京以外の地方自治体では、福岡市、神戸市、大阪市などが地元のスタートアップエコシステムの創出に一定の成功を見せていることが共有された。東京はリゾートとは言い難く、リゾートという呼称に沖縄は国内で最もふさわしい地域であることから、ResorTech を中心としたスタートアップが多く生まれることに期待が込められた。

日本のスタートアップシーンで活躍する沖縄出身の起業家と、その起業家のスタートアップに出資した投資家を〝相思相愛のカップル〟に見立て、有名テレビ番組「新婚さんいらっしゃい!」仕立ての構成で展開された最後のセッション。古田奎輔氏(Payke 代表取締役 CEO)×林龍平氏(ドーガン・ベータ代表取締役パートナー)、澤岻優紀氏(OLTA 代表取締役 CEO)×天日郁也氏(ジャフコ シニアアソシエイト)、松本隆一氏(Cbcloud 代表取締役 CEO)×長野泰和氏(KVP 代表取締役社長 パートナー)の3組のカップルが登壇。

3人の起業家たちは、それぞれ自身が事業を立ち上げたきっかけを披露。古田氏は、沖縄が東京から離れている分、〝ある種の治外法権〟で東京流のルールや起業スタイルに囚われなくて良い点はメリットは大きいと強調。また、松本氏は沖縄独特の助け合い精神(ゆいまーる)から、切磋琢磨したり競合と戦ったりすることに慣れていない点は、起業においてはネガティブに働く側面があるかもしれないと説明。澤岻氏は、スタートアップは「新機会の追求型」と「生きるために起業する型」に大別されるが、沖縄には圧倒的に後者が多く、むしろ前者に属するスタートアップとなるダイヤの原石をどう見つけるかが課題、と話した。

主催者の声

左から:実行委員長の稲垣純一氏、事務局長の永井義人氏
Image credit: Masaru Ikeda

イベントの終盤、実行委員長を務めた稲垣純一氏(沖縄県情報産業協会会長代行)と、自身もスタートアップ経営者であり、事務局長を務めた永井義人氏(沖縄 ITイノベーション戦略センター(ISCO)専務理事)に、今回のイベントの開催までの経緯と振り返りを聞くことができた。

沖縄返還から48年。日本の他の地方自治体と同様、沖縄県も十年単位で振興開発計画を見直してきた。内地から離れている分、輸送コストがかかる商品やサービスでは競争力を発揮できないと判断、沖縄にはコールセンターをはじめとする情報産業の誘致がここ二十年ほどで進んだ。しかし、世界が前進する中、沖縄にも新たなコアになるコンテンツのあるビジネスの創生が求められるようになった。

昨年、入域観光客の数で、沖縄はハワイを超えた。依然として観光客一人当たりの消費額や滞在日数ではハワイに及ばないものの、観光業やリゾート産業と IT を掛け合わせることで新たな価値を創造できるのではないか、という仮説が ResorTech という言葉に込められた思いだ。そこにはアジアにおける物流ハブになりつつある沖縄が、ビジネスやスタートアップコミュニティのハブにもなりたい、という思惑が見え隠れする。

今まで使われていた同じ技術シーズが観光などで生かせれば、端末もコストダウンできるだろうし、業務効率もよくなる。そういったことに、皆に気づいてもらえるキッカケになれば・・・。

地理的な観点から大量生産などには不向きだが、観光業と情報通信産業は沖縄がもともと持っていたポテンシャルだけに重ね合わせやすい。そこには、次の20〜30年の可能性が見えてくると思う。(稲垣氏)

会場となった沖縄コンベンションセンター
Image credit: Masaru Ikeda

沖縄がスタートアップのハブとして成長するために必要なベンチャーエコシステムには、2つ足りないものがある。一つは地元大企業の支援。沖縄の大企業はスタートアップ支援は役所がやるものと考え、自分たちが直接応援するのを遠慮するきらいがある。そんな地元の有名企業には、スタートアップに対し、少額出資でもファーストユーザになるでもいいから、「信用のお裾分け」をしてほしいとお願いしている。

もう一つはテックブランドだ。エストニアならブロックチェーン、香港ならフィンテックなど、そのスタートアップハブを象徴するブランドイメージが存在する。沖縄にそれはまだ無いが、ResorTech がそんなキッカケの一つになれるのでないか。(永井氏)

沖縄県の ResorTech に関する活動が興味深いのは、年間を通してそのイニシアティブが展開されることだ。イベントとしては年に1〜2回程度の開催となるが、ISCO 主導のもと、沖縄県・企業・スタートアップを巻き込んだ PoC が県下の随所で展開されている。次回の ResorTech Okinawa は10月29日〜11月1日、今回と同じ沖縄コンベンションセンターでツーリズム EXPO ジャパンと同時開催される予定だ。