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出張支援クラウド「BORDER」、三井住友海上キャピタルやPKSHAのファンドから1.5億円を調達——データ活用でレコメンド精度やUX向上を加速

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出張支援クラウド「BORDER」を提供するボーダーは22日、直近のラウンドで1.5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドでは、三井住友海上キャピタルがリードインベスターを務め、PKSHA Technology Capital とスパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメントが運営するファンドが参加した。 今回の調達のラウンドステージは明らかではないが、同社が公表する調達ラウンド…

BORDER のメンバー
Image credit: Border

出張支援クラウド「BORDER」を提供するボーダーは22日、直近のラウンドで1.5億円を調達したことを明らかにした。このラウンドでは、三井住友海上キャピタルがリードインベスターを務め、PKSHA Technology Capital とスパークス・AI&テクノロジーズ・インベストメントが運営するファンドが参加した。

今回の調達のラウンドステージは明らかではないが、同社が公表する調達ラウンドとしては初めてのもの。これまでにフレンドラウンド、エンジェルラウンドなどを経て3度目の資金調達となる。2014年に実施したインタビューでは、大手旅行代理店の OB などがエンジェルとして出資参加していることを明らかにしていた。

BORDER は2014年、日本人ビジネスパーソンの海外出張需要を現地のランドオペレータに直接繋ぎこむ「手配サービス」としてローンチ。その後、BORDER のオペレータ(リモートワーカー)がチャット経由で出張旅程をアレンジする「手配・管理サービス」へとピボットした。出張する人がチャットで連絡すると BORDER のオペレータが予約を手配、出張する人の会社のアドミンはダッシュボードで管理できる。

BORDER の創業者で代表取締役の細谷智規氏によれば、企業からは出張旅費のコストダウンや利便性向上のみならず、出張する社員の安全確保やコンプライアンス遵守など管理面でのニーズが大きく、この点で BORDER は、BTM(ビジネストラベルマネジメント)業界の既存プレーヤーとの差別化に成功しているという。これまでの累積利用企業数は378社(1月20日現在)に達している。

中堅企業をターゲットにしていたが、大手や準大手など名だたる企業が使ってくれるようになった。毎年、1.5倍〜2倍ずつくらいの割合でユーザ企業が増えている状態。(細谷氏)

BORDER のダッシュボード。企業のアドミン担当者は、どの社員がどこに出張しているかも一目瞭然。
Image credit: Border

BORDER には、ユーザの所属企業の出張規定(職位に応じた宿泊予算、ホテルや航空券のクラスなど)が設定されており、さらに、過去の出張履歴に基づいて、出張する人の好みに応じた提案をオペレータが行う。ユーザがチャットで連絡を始めてから BORDER のオペレータが最初の応答を返すまでのリードタイムは平均200秒。概ね8回のメッセージ往来で手配が完了していることから、1回の出張手配に要する時間は30分程度ということだ。

国内の出張は OTA などを使ったセルフ予約型が多くなる一方、海外出張はセルフ予約+コンシェルジュの混合型が増えていくだろう。これまでに非常に多くのデータを蓄積できていることから、ユーザの好みや条件に応じた提案の的確さで差別化を図っていく。(細谷氏)

今月3億円を調達したビッグデータと AI を使った旅行サービス「atta」、昨年8月に2億円を調達した AI Travel、9月にローンチした「Oooh(オー)」、先ごろ個人ユーザにもサービスを開放した「Dr. Travel」など、トラベルテックバーティカルもまたレッドオーシャン化しつつある。海外でもアメリカの「TripActions」が Andreessen Horowitz などから2億5,000万ドル調達、スペインの「TravelPerk」が6,000万ドルを調達するなど BTM はホットな領域だ。

BORDER は事業としては十分に回っていることから、今回の調達は資金需要よりも協業体制の確立の意図が大きいと推察される。今回リードインベスターを務めた三井住友海上キャピタルの親会社である三井住友海上は海外旅行保険を取り扱っており、BORDER とは既にユーザの相互送客を始めている。PKSHA Technology とは、BORDER が蓄積している旅行者データの活用での新たなビジネス開発が期待できるだろう。

BORDER では今後、サービスのさらなる開発やユーザエクスペリエンス向上に向け、カスタマーサクセスやエンジニアを増員する計画だ。

海外出張ホテル手配のBORDER、ユーザの声を受け、予算と場所から宿泊先候補を3つ提案する方式へ移行

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昨年11月に紹介した BORDER。旅行代理店を介さずに現地のツアー・オペレータからホテルの提案を受け、安価で予約が完了できることから人気を集めている。 海外出張旅行手配サイト BORDER は、ユーザからの声を受け、今日から宿泊先候補を3つ提案するしくみに移行した。なお、従来からの、ツアー・オペレータと相談しながらホテルを選べるフルパッケージ提案のサービスも提供を続ける。 BORDER の調査に…

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昨年11月に紹介した BORDER。旅行代理店を介さずに現地のツアー・オペレータからホテルの提案を受け、安価で予約が完了できることから人気を集めている。

海外出張旅行手配サイト BORDER は、ユーザからの声を受け、今日から宿泊先候補を3つ提案するしくみに移行した。なお、従来からの、ツアー・オペレータと相談しながらホテルを選べるフルパッケージ提案のサービスも提供を続ける。

BORDER の調査によれば、初めての都市を訪問するビジネスパーソンは、会社が定める出張予算の上限額の関係で、3つ星〜4つ星のホテルの中から1時間以上かけて宿泊先を選んでいるケースが多い。一方で一度使い勝手のいいホテルが見つかってしまえば、二度目以降は、その同じホテルに宿泊し続けることがしばしばだ。この最初のホテル探しに要する時間を、ツアー・オペレータの力で短縮してもらおう、というのが新たなコンセプトだ。

観光でホテルに泊まる場合と大きく異なる点です。観光の場合、今までに泊まったことのないホテルに泊まりたいと考える人が多い一方、出張では、一度気に入ったホテルが見つかったら、その都市を訪問する都度、同じホテルに泊まり続ける人が多い。(BORDER 代表 細谷智規氏)

出張においては定宿という概念が観光訪問よりも強く作用するので、予約を代行するツアー・オペレータにもホテルから競争力のある価格を引き出せるメリットが生まれる。

出張旅行は、〝予算〟と〝訪問先で宿泊を希望するエリア〟が定まればホテルを提案できるので、この2つの要素だけをユーザに入力してもらい、予約完了までのプロセスを極力単純化することにしました。このやり方であれば、世界中のビジネスパーソンのニーズに対応できます。100社を超える BORDER の企業ユーザから得られた声をもとに考え、最大公約数をとったら、こういう形になりました。(細谷氏)

新しい BORDER は、企業の中で社員複数名の出張に対応でき、過去にどの社員がどのホテルに泊まったかも管理できる。また、宿泊履歴の確認が容易で、過去に宿泊したことのあるホテルにも、再予約を入れやすいインターフェイス設計になっている。

BORDER はこの新しいしくみをアメリカ、シンガポール、ベトナムの3カ国向けの海外出張手配サービスで展開。目的地の交通に不慣れな人のため、往路のみ空港からホテルまでの車による送迎サービスも提供する。

6月30日まではキャンペーンとして BORDER で予約したユーザは、海外で使える Wi-Fi ルータのレンタルサービス「グローバルWiFi」を通常料金の半額で借りることができる。

安さと利便性で旅行業界をディスラプトするBORDER、日本人ビジネスマンの海外出張需要を取り込めるか?

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今週はジャカルタに来ている。来週は台湾だ。なんとなくこんな日々が続く中で、毎度のことながら、飛行機のチケットと宿の手配は面倒なものだ。以前、THE BRIDGE 英語版で取り上げた Kaori-san のような秘書サービスを使えばいいと、アウトソースを勧める友人もいるが、フライトやホテルに対する自分の好みを定量的に伝えるのは難しいし、旅程が意としたイメージと異なる内容だった場合、おそらく手配してく…

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今週はジャカルタに来ている。来週は台湾だ。なんとなくこんな日々が続く中で、毎度のことながら、飛行機のチケットと宿の手配は面倒なものだ。以前、THE BRIDGE 英語版で取り上げた Kaori-san のような秘書サービスを使えばいいと、アウトソースを勧める友人もいるが、フライトやホテルに対する自分の好みを定量的に伝えるのは難しいし、旅程が意としたイメージと異なる内容だった場合、おそらく手配してくれた人に不満をぶつけてしまうだろう。

それで結局、自らオンラインでフライトやホテルを手配することになっているのだが、このジレンマを解消してくれるであろうスタートアップが現れた。ビジネス出張に特化して、ツアーオペレータがフライトとホテルの手配をしてくれるサービス「BORDER」だ。

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旅の予約をする場合の商流を表すと上図のようになる。今までの旅行予約では、旅行代理店、ツアーオペレータ、フライト・ホテルの順でオーダーが流れる。Expedia などに代表される、オンラインの安売チケットサイトでも、この商流は変わっていないので、そういう観点では Expedia とてディスラプティブな存在ではない。営業店舗の設置コストが不要で、ツアーオペレータや飛行機会社/ホテルの営業努力によって、安い料金を生み出しているに他ならないのだ。

一方、BORDER では商流において、旅行代理店をスキップする。代わりに、BORDER を通じてフライトやホテルの好みを伝えると、複数のツアーオペレータが案を提示してくれるしくみだ。この点においては、自分の好みを伝えると、複数の不動産業者から新居の提案が得られる「ietty」に近い。

ここでいうツアーオペレータはすべて日本の会社で、日本の旅行業法の免許を持っているだけでなく、世界主要都市に現地オフィスを持っています。その現地オフィスの担当者が直接、日本語で対応してくれるので、安売チケットサイトにはできないフライトやホテルの提案が実現できるわけです。

ツアーオペレータは通常、卸売的な位置で旅行代理店とビジネスをしていますが、旅行業務取扱管理者もいるし、直接、旅の予約を受けられるんです。そこで彼らに BORDER を通じてビジネスをしないかと持ちかけたところ、東南アジア、アメリカ、南米に強い7社が協業してくれることになりました。(代表・細谷智規氏)

出張だけでなく、一般消費者の観光旅行も対象にしていいのではないかと考える読者もいるだろうが、ユーザ〜旅行業者間のやりとりが、出張は平均2往復で済むのに対し、観光では平均10往復必要なのだそうだ。また、観光の場合は旅に対するニーズも多様化しているため、サービスを平準化すべく、BORDER は出張需要にフォーカスすることにした。

PurpleCow の designclue などにもみられるように、サービスを平準化することで、ウェブサイトを通じて発注側は日本語でありながら、受注側は現地語でオーダーを受け取れるようなインターフェースを作ることも、ネットサービスにおいては可能だ。仮にユーザが海外のツアーオペレータと直接取引する場合、日本の旅行業法の対象にはならないため、将来的には日本企業以外のツアーオペレータも BORDER に参加する可能性は考えられるだろう。

大手企業は出張手配において既に取引関係のある旅行代理店が存在することが多い。日本の海外ビジネス出張市場は年間1兆円、そのうち、アジアへの出張需要は6,670億円に上ると言われており、BORDER では特に、中小企業やスタートアップなどのアジア出張にフォーカスしてサービスを展開していきたい、としている。

BORDER を創業した細谷智規(ほそたに・ともき)氏はシンクタンク日本総合研究所出身で、今年 UCLA で MBA を取得して帰日。アメリカでも起業していたが、その事業を一度クローズし、主戦場を日本に移しての一念発起だ。BORDER の投資家の中には、名前は明かせないが大手旅行代理店の OB なども名前を連ねており、旅行業界をデイスラプトしようとする本気度の現れが見てとれる。

BORDER は想定顧客を集めるべく、海外カンファレンス参加や出張に便利なオウンドメディアを開設しており、今後はオンライン・タクシー配車サービスなどと協業でプロモーションの強化を図る。

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BORDER 代表 細谷智規(ほそたに・ともき)氏