出張支援クラウド「BORDER」、三井住友海上キャピタルやPKSHAのファンドから1.2億円を調達——コロナ禍乗り越え、4割が新規流入に

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Image credit: Border

出張支援クラウド「BORDER」を提供するボーダーは6日、直近のラウンドで約1.2億円を調達したと発表した。このラウンドに参加したのは、三井住友海上キャピタルと、PKSHA SPARX アルゴリズムファンド(PKSHA Technology Capital とスパークス・AI & テクノロジーズ・インベストメントによる運営だ)。今回の調達を受けて、ボーダーの累積調達額は5億円を超えた。

ラウンドステージは明らかではないが、今回で4度目の資金調達となる。複数の投資家からのオファーはあったようだが、以前、調達した三井住友海上キャピタルと PKSHA SPARX アルゴリズムファンドからのフォローオンでの調達となった。コロナ禍においても、これらの投資家から継続的に支援や理解を得られたことが決め手になったとみられる。

新型コロナウイルス(COVID-19)は、2019年12月に中国・武漢で第1例目の感染者が報告され、その後、数カ月でパンデミックと言われる世界的な流行となった。2020年に入ってから我々は自由な渡航ができなくなり、企業も海外出張を次々と取りやめた。その影響は、BORDER の週あたりの出張手配件数に如実に現れている(下図。値は振られていないので、相対変化で理解いただきたい)。

Image credit: Border

旅行関連事業を営むスタートアップにとって、コロナ禍を乗り越えるのは並大抵のことではなかったに違いない。事実、ボーダーでも、3つの新規事業立ち上げを試みたが、そもそも、旅行事業が好きなメンバーが集まっていることもあって、それ以外の事業では、なかなかうまくいかなかったという(立ち上げた事業のいくつかは売却済とのことだ)。

コロナ禍を完全に脱したわけではないが、BORDER では2022年2月くらいに需要が回復する兆しが見え始めた。その後、急速に回復し、2022年4月にはコロナ以前のレベル、現在では、コロナ以前よリも多くの注文を受けるようになったという。6割の注文はリピーターだが、4割は新規の客というのは、BORDER にとって嬉しい傾向だ。

出張を再開し始めたタイミングで、手配方法の見直しをかけた企業が多いと思うんです。それで、いろいろ比べていただいて、うちが選ばれて、新規で入ってこられるお客さんが結構おられる。(代表取締役社長 細谷智規氏)

代表取締役社長 細谷智規氏
Image credit: Masaru Ikeda

BORDER は2014年、日本人ビジネスパーソンの海外出張需要を現地のランドオペレータに直接繋ぎこむ「手配サービス」としてローンチ。2016年に、BORDER のオペレータがチャット経由で出張旅程をアレンジする「手配・管理サービス」へとピボットした。出張する人がチャットで連絡すると BORDER のオペレータが予約を手配、出張する人の会社のアドミンはダッシュボードで管理できる。

一定の利鞘が確保できる海外出張需要を当て込んでいた BORDER だが、出張者が手配を依頼し、会社のアドミンがダッシュボード管理でき、出張者に旅費を立て替えさせなくていい(後でまとめて会社に請求が来る)ユーザ体験(UX)が重宝され、国内出張の取扱も提供するようになった。ただ、国内は利鞘が薄いため、オペレータの手間をかけず、半自動的に手配できる仕組みを実装しているそうだ。

アフターコロナの需要回復から約1年を経過し、現在は、できるところにリソースを投じながらサービスをグロースさせているという細谷氏。ボーダーでは、今回調達した資金を使って、出張データや ChatGPT など AI 技術活用によるユーザ利便性向上のための開発、外部関連サービスとのアライアンス強化に注力するとしている。

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