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コネクトフリー、ユーザが自ら発行できる認証済IPアドレス「EVER/IP」のサービス展開を本格化——ICOによる資金調達を実施へ

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久しぶりに希代の神童から連絡があったので、会いに来てみた。1〜2年に一度の割合で、新しいサービスを出してくる Kristopher Tate(帝都久利寿)氏だ。たびたび新しいサービスを出していると言うとピボットしているように聞こえるかもしれないが、彼のサービスにはある種の一貫性がある。技術的にも裏付けがあるのだが、常に先進的過ぎて、世間が追いつけていないという表現が正しいだろうか。 <関連記事> …

久しぶりに希代の神童から連絡があったので、会いに来てみた。1〜2年に一度の割合で、新しいサービスを出してくる Kristopher Tate(帝都久利寿)氏だ。たびたび新しいサービスを出していると言うとピボットしているように聞こえるかもしれないが、彼のサービスにはある種の一貫性がある。技術的にも裏付けがあるのだが、常に先進的過ぎて、世間が追いつけていないという表現が正しいだろうか。

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今回、Tate 氏が紹介してくたのは「EVER/IP」という新プロダクトだ。通常、グローバル IP アドレスというのは、我々が必要に応じて ISP(インターネットサービスプロバイダ)から借りていて、さらにたどると、ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)から借りている。EVER/IP は、グローバル IP アドレスをユーザが自分で発行してしまおうというものだ。

ユーザが自分でグローバル IP アドレスを発行できると何がうれしいか、という話なのだが、Tate 氏が先週説明会で行なったプレゼンテーションを筆者なりに理解すると、次のような効用がまとめられる。

  • IP アドレスは、個人(またはデバイス)に結びつくので、最初から source と destination が認証済になる。途中経路も暗号化される。現在、インターネットの世界で使われている暗号化/認証は、PKI(公開鍵基盤)のしくみをベースにしているが、自分がグローバル IP アドレスを発行できる空間においては、発行している自分がアドレス割当先の認証に責任を持てる。
  • IP ルーティングの効率化。通常、インターネットのルーティングでは、1ホップ先のルータをゲートウェイに指定し、そのルータがルーティングマップに沿って次のホップへと、バケツリレーを繰り返すわけだが、EVER/IP では周辺ホップの複数のルーティング情報を把握できる。
  • 既存の IP インフラの上でも動作する点。IPv6 の上では VPN と同じ動きをするとのことだった。おそらく、IP パケットがカプセル化されるということだろう。では、もっと一般的な IPv4 の上ではどういう動きをするのか、ということなのだが、この点については筆者は Tate 氏に確認を怠った。筆者の理解が追いつくかどうかはともかく、次回、彼に会った時に確かめてみたい。

PKI において認証のベースとなる CA(certification authority)の考え方は、認証局の存在はカスケード的に真正性を皆で信じましょうよね、という前提に立っているので、ブロックチェーン技術の台頭とともに頻繁に議論される「decentralize(非中央集権化)」の考え方とは、確かに相反している気もする。そう考えれば、EVER/IP は IP アドレスやインターネットの認証技術を decentralize しようとするアプローチとも理解できる。

インターネットにおける暗号化や認証が特に問題になるのは、IoT デバイスをインターネットにつなごうとしたときだ。人間ならウェブブラウザを通じて ID やパスワードを入れたり、場合によってはモバイル機器などを駆使して二段階認証にしたり、ウェブブラウザに表示される証明書の真正性を示すマークを信じたりすればいいわけだが、デバイスではそうはいかない。EVER/IP の本当の効用は、実は IoT 周辺で発揮されるのかもしれない。

Tate 氏の牽引するスタートアップ ConnectFree は、この EVER/IP の技術やプロダクトの開発強化を目的として、近く ICO による資金調達を実施する計画だ。詳細は現時点で明らかになっていないが、19日に発表するということなので、ConnectFree のウェブサイトをチェックしてみるとよいだろう。

あの米国人起業家が次に挑むのはデバイスのIoT化チップ――コネクトフリーがEast Venturesから資金を調達

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希代の天才起業家と言われる Kristopher Tate が作ってきたサービスを、筆者は一通り愛用してきた。今は Beatrobo で活躍する浅枝大志氏と開発した AM6、本来テザリングできないはずの従来型 iPhone で、脱獄しなくてもテザリングできるようにするツール t.free などだ。いずれのサービスも面白いものだったが、諸般の事情によってサービスを終了し、京都に移住した Kristo…

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希代の天才起業家と言われる Kristopher Tate が作ってきたサービスを、筆者は一通り愛用してきた。今は Beatrobo で活躍する浅枝大志氏と開発した AM6、本来テザリングできないはずの従来型 iPhone で、脱獄しなくてもテザリングできるようにするツール t.free などだ。いずれのサービスも面白いものだったが、諸般の事情によってサービスを終了し、京都に移住した Kristopher が次に何をやるのか興味津々だった。

Kristopher Tate
Kristopher Tate

そんな中、新たなニュースが飛び込んで来た。Kristopher が営むスタートアップであるコネクトフリーEast Ventures から資金調達したのだ。調達金額などの詳細については明らかにされていないが、その資金を使って彼が挑もうとするのは IoT の領域である。

インターネットにつながっていないデバイスを IoT にするのを加速させようとする試みはいくつか見受けられる。一つの大きな課題は、多くのソフトウェア・エンジニアがハードウェアの開発に必要な知見をもっていないことだ。ソフトウェアとハードウェアの融合とも言うべき IoT を促進すべく、イギリスの BERG のようなサービスも生まれている。

Kristopher が現在手がけるプロジェクトはステルスであるため、現時点で公開できる情報は限られているが、彼は他社サービスとの違いを次のように語ってくれた。

BERG では、ハードウェア・スタートアップが苦手とする部分をクラウドで吸収するが、我々のはそれと違う。クラウド・ベースだと、クラウドがダウンしたら、その IoT は使えなくなるし、セキュリティが担保できないでしょ? 我々はデバイスに載せるチップで、End-to-End のセキュアな通信を担保するんです。

確かに、SSL のウェブ画面をプロキシ経由で閲覧するようなもので、相乗り型のクラウド経由では、IoT とウェブサービス間のセキュアな通信は担保できない。ただ、これまでは IoT の実装を簡素化する上でクラウドを介在させるのは常套手段で、ここの利便性を追求するとセキュリティが犠牲になるのは、避けられないトレードオフだった。

THE BRIDGE で IoT 系の記事を寄稿してくれている岡島康憲氏と以前話したとき、彼は IoT においてはセキュリティのことがあまり論じられておらず、違う見方をすれば、IoT のセキュリティ分野はブルーオーシャンだとの見解を示していた。インターネットの世界に SSL が発明されて、ミッション・クリティカルなサービスにインターネットが利用できるようになったように、IoT がセキュアなものになれば、IoT の利用範囲はさらに広がるだろう。

Kristopher がチップだけで IoT 実装の利便性とセキュリティをどうやって同居させようとしているのかはまだわからないが、前述したように彼は天才なので、筆者のような凡人が考えもつかない方法で見事に解決してくれることを期待している。